ーーアルケミ大陸 北西部 ヨア山の麓、帰らずの森ーー
(少年と黒いドラゴンが現れる)
【ごきげんよう!ハル!】
(気さくなあいさつ)
『あぁ…こんにちは、ウアス。また頼めるか?』
(意志を込めて)
【うん!道案内、まかせて!】
(ニコニコした笑顔で、首を縦に振る)
『ありがとう…ウアス。本当に感謝してる…ウアスがいなかったら、俺は山の中で行き倒れることになってたかもしれない』
【あのね、ハル…聞いてほしいことがあるんだ?】
(もじもじしながら)
『ん……』
【ヨア山の山頂には…確かに、鳥の巣があるんだ。でも、それは”フレスベルグ”っていう黒い色の鳥さんの巣で…金の鳥さんの巣じゃないんだ。】
(ゆっくりと話す)
『フレスベルグ……?』
【そう…伝えるのが遅くなって本当にごめんね。ボクは、そこに住んでるフレスベルグ…”オルフェ”とは仲良しだから、よくお話をするんだけど……オルフェが、願いを叶える力を持ってるなんて聞いたことない…】
(目を伏せて)
『そう…なのか…』
(少し落胆する)
《むむ…私の名前を呼んだのは、キミかね?》
(羽ばたかず、空中に浮かびながら)
『な、なんだ…!?でかい…!黒い鳥…!』
(非常に驚いて)
【ごきげんよう!オルフェ!】
(気さくなあいさつ)
《ごきげんよう…ウアス。この子が?》
(頭を下げて一礼する)
【うん!ボクのお友達の…ハル君だよ!】
(ハルを見る)
『ど、どうも……』
(恐る恐る)
《ごきげんよう…ハル!ウアスの友なら、私の友だ!私にできることなら何でも……しかし、願いを叶えることはできないが…》
(恭しく一礼)
『やっぱり…そうなのか…』
《…失礼でなければ…キミの願いを聞いてもよろしいか?金の鳥でなくとも、叶えられそうな願いであればよいのだが……》
『あぁ…そういえば…ウアスには、話してなかったな。』
【うん…でも、無理に話さなくてもいいんだよ?言いたくないことみたい…だったし…】
(申し訳なさそうに)
《なんとね…失礼した、ハル。私の配慮が欠けていた…忘れてほしい》
(一礼する)
『いや…いいんだ。最後まで…隠し通す事はできなさそうだし。』
【ハル…?】
『実は…俺には、ちょっとした病気があって。近くの街から来てもらった、お医者に診てもらったんだが…あまり、よくないらしくて』
(すらすらと話す)
【えっ…!?】
《なんと…!》
『だから…願いは、みんなとずっと一緒にいること…イデアやウアスと…ウアスの友達と。それから…旅に出たままの、パパとママにも…』
【そう…だったの!?ハル…!そ、そうと言ってくれたら…山登りなんか!】
(非常に動揺して)
《ふむ…どんな病気なのか教えてはくれないか?薬草が、どこかにあるやも…》
『”クローン病”……そう聞いてる。』
《ウアス?》
【身体の中に、炎症が起きる病気。自己免疫疾患の一つ…】
(呟くように)
《治す方法を聞いてる!》
(ウアスの動揺を払うように)
【ご、ごめん…炎症を抑える成分のある薬草……うん!日だまり草!】
《日だまり草…それなら知っている。少々面倒な場所ではあるが…ハル、キミは私が助けよう。》
(首をゆっくりと縦に振る)
『あ…ありがとう、オルフェ…!』
【ハル…!身体は大丈夫なの?】
『あぁ…うん。もらった薬があるからね……』
【そっかぁ…良かった!でも、ハル…もう、山登りはやめよう?きっと…キミの身体に、よくないよ】
『危険なのは分かってる…でも…薬は病気の症状を抑えるだけで、完治させられるわけじゃない。いつかは……』
【そんな…!】
(震える声で)
《急いだほうがよさそうか……私は日だまり草を集めてこよう。失礼!》
【あっ…オルフェ!でも、あの場所は…!どうか……気をつけて…!】
ーーアルケミ大陸 北西部 ヨア山麓、竜の巣ーー
(2匹の黒いドラゴンが現れる)
〔ごきげんよう。ウアス。〕
(落ち着いたあいさつ)
【ごきげんよう、ジェド。】
〔どうした、何があった?元気ないじゃないか?〕
(勇気づけるように)
【うん…ハルがね、実は…病気だったんだ。】
(ぽつぽつ、と)
〔なに……ハルが?〕
【あんまり…よくないみたいなんだ。ボクは…何も出来なくて…】
〔そうか……そういえば、お前さん宛で、オルフェから日だまり草を預かってるぞ。〕
(麻袋を見せる)
【えっ…!す、すごい…!さすがオルフェだ!】
〔”ひとまずはこれを。足りないだろうから、十分な量をもう少し集めてまた送る”と、言伝もあった。〕
【あぁ…ありがとう、オルフェ…!】
つづく……