海の彼方で、カナタを想う   作:おぴゃん

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6.ディープ・ディープ・ブルー(1)

 地下2500メートルの都市から更に下方。A-6500シャフトは地獄の門に突き立つ一本の槍だ。

 その矛先には、いくつかの棺を納めた部屋がある。カナタを壊されたレイジが暴れたときのままの姿で残されており、ひどく荒れ果てている。

 天井から、切れたケーブルがだらしなく垂れている。まるでハミ出た内臓のようだ。仄青(ほのあお)い光に照らされて、その下の棺に腰掛けるものがいた。

 

「ヘンな……カンジだ」

 

 フミオは、右腿をさすっていた。

 彼の肉体は、爪先から首元まで、カーボン複合材の黒い強化スーツで覆われている。彼の折れた太股の動きを補佐するためのものだ。

 ピッチリとボディに密着するスーツの上から、彼は西高の緑のジャージを羽織っていた。シャフトの底に渦巻く異界の冷気が、スーツ越しに肌を刺してくるからだ。

 ──あるいは、まだあの教室に、自分の帰る場所があると信じたいのかもしれない。

 

「お前はどう感じる。背骨子(せぼねこ)

 

 チッ──もはや慣れっこになった幻聴が返事をする。姿は見えない。フミオは、あの少女にひどく嫌われていた。

 

『クソ野郎の体にくっつけられて、おかしな名前で呼ばれ続けて。あたまくるくるパーになりそう』

「ハ」

 

 フミオは反動つけて、棺から降りる。足の具合は絶好調だ。相変わらず骨は砕けてボルトで固定したまんまだが、ここ数日あちこち切って縫ってした時の麻酔のおかげで痛みを感じない。

 フミオはそれで十分だ。痛みを感じない/痛みを表現できない。長い長い一ヶ月の果てに、ようやくレイジと同じラインに立つことができた。

 そして──同格の力も手に入れた。

 

『カンチガイするなよ。ぬるま湯浸かりの甘ちゃんが』

 

 充足感の中でたたずんでいたフミオは、顔をしかめる。

 今となってはこの少女は、厄介な同居人だ。彼の脳みその片隅に、彼女の部屋がある。彼女は時たま壁越しに耳を澄ませて、気に食わない考えが漏れ聞こえてくると、こうして壁をドンと突いてくる。

 

『私とブンちゃんの約束。見て、聞いて、話すだけ。今だけ一応、公平ではいる。お前に力はかしてやらない。私はただのブレーキだ』

「オヤジはなんでお前みたいのと……」

『答えることは約束の中にはないよ』

「そうかよ」

 

 フミオは、棺の傍に置いていたバッグを開ける。

 ごやごちゃとした中身をかきわけて、彼は金属製の注射器を取り出した。厳重に厳重に扱うよう注意書きされた黄色いタグが、かすかな気流の中で揺れる。その上、本体はバイオハザードマークのテープでぐるぐる巻きにされている。

『中和剤』だ。レイジとカナタが喉から手が出るほど欲しがる、ナノマシン用の特効薬。それも、二本ある。

 レイジの運命を左右する薬を掌で転がしながら、フミオは無表情だった。

 

『それ、レイジにくれてやるんでしょ』

「どうかな……」

 

()()()()()()()()()()。フミオは夢遊者のような、焦点の定まらない目をしている。

 防衛局の情報で、レイジが撃たれたことを知った。

 彼が今、生死の境──イスルギレイジという人格の終焉──を彷徨っていることも、知っている。

 それを救えるのが、このクスリだけだということも。

 

「ひとつ。ホイヨとクスリをレイジに渡してやる。あいつはきっと、町の外に行っちまう」

『ひとつ。じゃねーよ。もうそれでいけよ、ホイヨでいいだろ』

 

 ぶつぶつ言われているが、フミオはかまわず親指を折る。

 

「ふたつ。クスリは渡さない。レイジはレイジじゃなくなるだろうが──全部忘れて、この町で平和に暮らし続けられる」

『その時町が残ってれば、だけどね』

 

 人差し指。

 

「みっつ……」

 

 中指が、半端に折れ曲がったまま止まる。

 

『三つ目は?』

「それは…………」

 

 フミオは、優柔不断だ。

 二つのものを目の前に並べられて、『これだ』と決めたことなど、ほとんどない。いつでも第三の選択を探してしまう。

 そして結局時間切れ。ブブー、

 ポーカーの切り札。カナタの弁当をAかBか選べなかったこと。ルリコとの関係の終焉。IDカードを手にしたのに、一人でシャフトに降りられなかったこと。

 自分が学生なのか、それとも防衛局の職員としてあるのか、未だに決めかねていること。

 

 コツッ──

 

 指を折り曲げた右手を見下ろしていたフミオは、部屋の外から聞こえた足音で顔を上げる。

 

『ほら、フミオ。運命が来たよ』

 

 彼の目の前で、めくれあがった床材の隙間から黒い霧が現れる。

 むっとくる生臭さが漂ったかと思うと──それは、フミオにしか見えない幻を形作る。

 全身にフジツボをはりつけた、七歳ほどの少女は、じいっと見上げてくる。

 

『ちゃんと選びな。うやむやにしちゃダメだ。選んで、オトナになってみせろ』

 

 ヒビ割れた少女の虹彩が、試すような、祈るような色を浮かべている。

 そこに、追い詰められた獣のような顔をしたフミオの姿が反射している。今の彼は、この部屋と同じくらい空っぽで、荒れ果てている。

 

 ■

 

「驚かないわよ」

「だろうな」

 

 ルリコとフミオは十数メートルの距離で対峙した。彼女たちの間の断絶の幅だ。

 腕組みして『完全拒絶モード』に入った生徒会長から視線を外し、フミオはその背後を見やる。レイジと、それを支えるカナタがいる。

 聞いていたよりレイジの具合が悪そうだった。あの筋肉の大山脈が、今となってはカナタに支えてもらわないと立っていることすらできない。

 フミオに向けられたレイジの瞳は熱病のように濁り、もはや焦点を合わせていなかった。

 

「ここに来たのはクスリのためだろう?」

 

 フミオは、指に挟んだ二本の注射器を見せびらかす。

 

『────』

 

 ちらりと背後の幻影に目を送った。恨み言のひとつでも言ってくるかと思った少女は、沈黙したままだ。

 見守ってやる。フジツボの隙間から覗く瞳が、彼に語りかけてくる。

 

「アンタに最後言ったコトバ、覚えてる?」

 

 ルリコの声は、絶対零度で冷えている。もはや彼との過去の関係なんて、彼女にとっては毛ほどの意味も持たない。

 

「『二度とツラ見せるな』だったな」

「物覚えがよくてけっこう。さ、それ渡して、さっさと消えて」

「そう急ぐなよ」

 

 カチリ。

 

「…………おやおや、こいつは驚きだな」

 

 それは、言葉の上だけの感情だった。

 ルリコが拳銃を抜いたとき、フミオは自分で意外なほど落ち着いていた。まあ、この女ならそうするだろうな──という予感を、彼女が肩掛けのホルスターにワルサーを突っ込んで現れた瞬間から抱いていた。

 

「撃つわよ。ほら、よこせ」

「撃つだろうな。お前なら」

 

 パアンッ──

 

「あ……」

 

 それまでピクリともしなかったレイジが、かすれた声を上げた。

 濁った彼の瞳が束の間光を取り戻す。しかし、そこにうつろう色は驚きと、小さな絶望だ。カナタには、ハッキリそれが見えた。

 

 フミオの、ヒョウのようなまだら模様を描く金髪が舞う。銃弾は彼の頬を深々とこそげ、右耳が描くアーチをほんの少し吹き飛ばした。

 ヌルリと流れ落ちる血が、彼のジャージに赤黒いシミをつける。

 

「やっぱりな。お前、だいぶプッツンだな。マジでやりやがった」

「何、アンタ。レイジのマネゴト?」

 

 痛みにたじろぐ様子を見せないフミオを前にして、ルリコが首をかしげた。

 

「麻酔が効いてるだけだ。こんくらいじゃ、かゆくもならない」

「そう」

 

 ルリコは銃口を僅かに下げ、彼の膝を狙ったが──撃たなかった。

 血も涙もないと恐れられた生徒会長の顔に、迷いが走る。いかに彼女とはいえ、一生歩けなくなるほどの傷を負わせることには、迷いが──

 

「違うわよ」

 

 ルリコは振り返って、カナタを見据えた。

 包帯ぐるぐる巻きで足は取れかけ、腕はうまく曲がらない。溶けかけの顔の中で、見つめ返す青い瞳だけが鮮烈な覚悟の炎を灯している。

 レイジを支えて立つ彼女は今にも折れそうにみえたが──同時に、この先どんな災厄が降りかかろうが膝をつくことはないだろうとルリコに直感させる。

 ルリコは、ぎゅっと目をつぶる。

 

「……アンタがこの子にしたことの意趣返しなんて、できることならしたくない。私まで最低野郎になりたくねーの。なるべくならね」

「そうかい」

 

 フミオは否定しない。できない。すべて事実だ。

 

「話がしたい」

 

 フミオの声はひどく平板で、誰に向けたものかすら曖昧だった。

 彼はバッグを持ち上げ、中に注射器をしまう。手はそのまま、バッグの中で別の何かを握っている。

 それを見て、ルリコが顔をしかめる。

 

「……聞くだけ聞く。両手、見えるところに出してくれたら」

「ああ、いいぜ」

 

 トサ……中身の注射器ごとバッグが床に落ちる。現れたフミオの手には──銀色の、大型リボルバーが握られていた。

 

「アンタ……」

 

 ルリコの瞳が、一瞬怒りを浮かべる。しかしそれは、すぐ氷の仮面によって覆われた。

 

「しゃあねえよな。銃持って話しかけてくるヤツが相手なんだ。こっちも同じカード切らせてもらうぜ」

『あ……なんだありゃ?』

 

 軽く、シャフトが振動したようだった。

 フミオの視界の中に現れた少女が、口を大きく開いて天井を見上げている。銃を向け合う二人よりも気がかりな存在を、彼女だけ感知しているようだった。

 

「カナタ。いっこ、俺の質問に答えてくれるか」

「ああ──」

 

 包帯の少女は、フミオと同じジャージの上着を、シャツとショートパンツの上から引っ掛けている。

 フミオのジャージは鮮血で赤く染まり、カナタのものはドス黒い体液で水玉模様を描いている。

 同じ学校、同じジャージでどうしてこれほど別物になってしまったのか、フミオは不思議で仕方がない。

 

「俺がお前を踏みながら言ったコトバ、覚えてっか。お前にもう家はない。帰るところなんて、どこにもない」

 

 長さ30センチの銃身を持つリボルバーが、かすかに震えている。彼は重みに負けそうだった。銃そのものではなく、銃を撃つか撃たないかという選択が一本の指にかかっている事実が、どうしようもなく彼を痛めつける。

 それを必死に押さえ、彼は銃口を上げ続ける。

 

「そんな所にどうして行きたがるんだ? 俺に、教えてくれないか」

「アタシの過去と向き合うため。んでもって……何もないことを確かめたい。のかもな」

「ないこと。へえ?」

 

 銃口を逸らさずフミオに向けたまま、ルリコが真意を問うように首を傾げた。

 

「アタシの……いや、オモトカナタが住んでたっつー住所が更地になってても、前のアタシをオモチャにしたクソオヤジがそこにまだ住んでても、アタシはどっちでもいいんだ。

 ただ、そこがもう『アタシのモノじゃない』ってことが確認できれば……それで」

 

 カナタは、レイジの手を握る。

 傷だらけでガサガサの指が、きゅっと握り返してくる。世界一弱々しいが、世界一力強く、カナタを前に進ませてくれる。

 彼女はレイジに、微笑を向ける。きっとコイツと、アタシは海を見るだろう。

 

「そしたらホントに、レイジの隣がアタシの居場所になる。『イスルギカナタ』として、全部はじめっからやり直せるんだ。アタシの冒険は、そのための卒業旅行だ」

 

 これで満足したか? 燃える青が、聞いてくる。

 フミオは鉛のようにズシリとくる銀を構えたまま、カナタの瞳に心を塗りつぶされそうになる。

 選択、決断、覚悟、前進──すべてが彼女と共にある。

 フミオは唇を噛み締めるあまり、血が筋を引いていることにすら気づいていない。イスルギカナタ。彼女の払った痛みを、その地獄を、世界は聞き届けた。

 フミオが何もかも剥ぎ取った女は、フミオが持っていないすべてを手に入れて、戻ってきた。

 

「俺の」

 

 敗北感に塗りつぶされながらも、フミオは銃口を下げない。声がかすれる。ルリコが、肩をすぼめたのが見えた。自分でも、情けないと思った。

 

「俺の、提案はこうだ」

 

 彼には彼なりの意地がある。保留、継続、平穏────停滞。海のように壮大なカナタの前で、彼の正義は、あまりに卑小に見えた。

 

「クスリはくれてやる。レイジを助けてやるから、お前一人で海に行って、お前だけで居場所を見つけろよ」

「おことわりだ」

 

 カナタはにべもなく、即答だ。

 

「アタシさ、実は寂しがりやなんだ。一日だってレイジと離れていたくないし──ルリコもずーっとずっと一緒だ。旅はミチヅレっつーだろ?」

「ふ。そういうことらしいわよ。困ったモンよねえ?」

 

 呆れたように笑うルリコは、その軽やかで可憐な自分の笑みに気づけていない。彼女と交際している間、そして別れた後もさんざ手を尽くしてダメだったフミオだけが、彼女の変化に気づいている。

 

「ああ、そうか……お前らみんな、もうオトナやってるってワケか……」

 

 三人が、たった一人ぼっちで取り残されたフミオを見つめてくる。彼にあるのは小さな銃と、みんなに話を聞いてもらうため、振りかざしている注射器だけだ。

 

『なんのため?』

 

 いや、こいつがいたか。フミオは、語りかけてきた少女の存在を意識する。すると彼女の像が次第にハッキリと結ばれる。じいっと天井を見上げたままのポーズで、彼女は問い続ける。

 

『ヘンなやつがこっち来るから、巻きでいくよ。何のために、フミオはこんなコトしてんの』

 

 ズウンッ──今度はハッキリとした振動が、シャフトを襲った。

 地震とは揺れ方が違う。何か、途方も無く重いものを落として、それが床を突き破りながら向かってくるような、有機的な揺れだ。

 その正体がどうでもよくなるほど、フミオは打ちひしがれていた。

 

『フミオはどうして町に残りたがるの。どうしてレイジを繋ぎとめようとするの』

「俺は、レイジやルリコと過ごしてるのが、楽しいから……」

『それは相乗り(タンデム)だよ、フミオ』

 

 も何かに繰り返しぶつかって、破壊しようとする小刻みな揺れが室内を駆け巡る。砕けてパラパラと塵を落とす天井と同じように、フミオの心にもヒビが広がっていく。

 

『昔のレイジと今のフミオが一番似ているトコ、教えてあげる。()()()()なんだ。誰かに夢を重ねてないと、立っていられないんだ』

 

 足を、フミオはじっと握り締めた。強化服と麻酔をドバドバ突っ込んでボルトで固定して、ようやく動く足。

 それなしでは、彼は直立することもできない。

 

「もういい? アンタの声、聞き飽きた」

 

 ルリコが薬きょうを蹴って転がす音で、フミオははっとなった。

 少女の姿も声も感知できない彼女たちにとっては、フミオの荒れ狂う内心など、知る由もない。

 

「今から十秒数える。その前にクスリちょうだい」

 

 クスリちょうだい――まるでヤクが切れたギャングの脅し文句だ。ルリコがまとう空気も、彼らに似ている。危険で、黒い覚悟を決めたものの目だ。

 彼女の腕がスっと伸び、その殺意と敵意を装てんした拳銃が持ち上がる。

 

「じゃなきゃアンタ撃つ。爪先。手首、股間、そのうちどこかに。じゅう」

「ごほっ……ル……」

 

 レイジが赤いものを吐く。血じゃない。固形物が入り混じった、ゼリーのような塊だった。

 彼の肉体は、パーツの総とっかえを開始した。彼が嘔吐する内臓の中に、そのうち脳髄が混ざり始めるだろう。それは、彼の人間性そのものだ。

 

「ルリ……や……」

「ムリしないで。今はアンタの体が大事。フミオのことも、殺しはしないから」

「おい……こっちにも銃、あんだぜ」

「ご」

 

 ルリコの冷徹にすぎるカウントダウンに、『だから?』というニュアンスが混ざりこむ。

 たまらずフミオが、撃鉄を起こす。シリンダーが回転し、黒い弾頭が装着された弾が不気味に輝く。

 しかし、彼には撃てない。彼の指は選択の重さで鈍く、遅い。

 

「よん」

 

 カナタは、背中が汗ばむのを感じた。レイジの体が熱い。失われた体温がよみがえって──きたわけではない。

 

「ルリ、コ……」

 

 向かい合った二つの銃口の間で張り詰めつつあるものを睨みながら、彼はまるで、残されたすべての力を総動員する準備をしているようだった。

 

 ズンッ。ルリコの「に」の声に被せるように、シャフトが震えた。

 

 固唾を呑んで見守っていたカナタは、今まで自分にのしかかっていたレイジの重みが離れていくのを感じた。

 頭を大きく揺らしながら歩き始めたレイジの姿を見て、フミオが目を見開く。

 その小さな小さな驚愕に付け入るように、冷淡な「いち」と、トリガーを引き絞る音が響き渡った。

 

「──ルリコ──やめろッ!」

 

 突風が吹いた。

 パパっ、と、二発分の発砲音が、レイジの怒号を縫って走る。

 

「ぐっ……」

 

 ルリコは目を疑った。

 タンクトップを身に着けた、広い背中が射線に飛び込んできた。白い生地の上に、じわ……と、赤黒い血が染み出てくる。

 二発分。薄汚れたタンクトップに、赤い牡丹が咲き誇るようだった。

 

「…………()──」

 

 バキュッ

 

 薄く、疲れた笑みを浮かべたレイジの顔が、ルリコの前で粉々に消し飛んだ。

 飛び散った上顎の歯がルリコの頬をかすめ、カナタの足元に転がっていく。頭の上半分が無くなったレイジの体がクワンとその場で一回りして──そのまま地面に倒れる。

 

 ペチャリ……生暖かい、べっとりしたものがルリコの頬を滑り落ちていく。脳だ。イスルギレイジ。その人格と『にんげん』のすべてを保管する容器が、粉々になってしまった。

 

「あ……レイジ?」

 

 カナタの声が呆然と響く。

 舌と下顎の歯列をハッキリ見せ付けたまま、レイジの体は動かない。

 血が、ゆっくりゆっくり、破片にまみれた床の上に広がっていく。

 

『………………ゲームオーバー、かあ』

 

 再生の兆候もない。不死者を()()()()()ことによって実質的な死に追い込む魔弾、Nullifier(ナリファイアー)404を頭部に直接叩き込まれたことで、レイジは完全に沈黙した。

 

「あ、ああ……」

 

 かすれた声を上げるフミオの手で、大型拳銃が煙を吹いている。彼は射的が上手だ。上手すぎた。

 とっさに放った撃ち返しの一発でさえ、最悪のクリーンヒットを引き当てるほどに。

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