海の彼方で、カナタを想う   作:おぴゃん

25 / 158
1.ガラスの大砲(2)

 

 暮酒店は作りの古い、いかにも下町の酒屋といった店だ。

 天気は昨夜の大雨から晴れ。晴れから激しい雨と繰り返し、今では干からびるほど強い日差しが通りに面したショーケースに並べられた安酒を煮えたぎらせている。

 その横を通ってうなぎ屋のように細い入り口から店内に入ると、当たり前だが冷蔵庫いっぱいに並べられた色とりどりの酒瓶と対面する。やはり、高い酒は置いてない。ありふれた酒屋だが、長い年月で日焼けした木材に囲まれた空間の居心地は悪くない。

 

「いらっしゃせー」

 

 入り口のベル代わりに吊るされた風鈴が鳴ると、その音よりも涼しげな、カナタのボーイッシュな声が奥から聞こえてくる。

 巧みな棚の配置で通りから見えない場所に角打ちスペースがあり、小さいながらしっかりしたバーカウンターが据え付けられている。

 

 そこに頬杖ついて客を待つカナタは、なぜかメイド服を着ていた。

 

「六月だっつーのに、あっちーよなあ……」

「だな……」

 

 そんな居心地のいい店の外には、退色して寝ぼけた色になった青色のベンチが置かれていた。そこで休日の真昼間からたむろする不良の一人──レイジは炭酸水のボトルから口を離す。

 

 彼は右眉毛がなくなっていた。

 

「カナタの……あの格好はフミオの趣味なのか」

「俺じゃねえ。コスプレって苦手なんだよ。見ちゃいけねえ感じして」

 

 こびりついたモーターオイルが、フミオの頬に黒いラインを描いていた。ただでさえ湿気た雨上がりの街中でレイジがシュウシュウと音がするほどの勢いで汗を発散させているのを背後に、フミオは黙々とバイクをいじっていた。

 

「ちら」

 

 彼の愛車は、今日も今日でご機嫌ナナメだ。両手はすでにオイルまみれの傷まみれ。フミオは垂れてくる汗を何度も何度もタオルで拭いながら悪態をつく。

 

「ちらちら」

 

 その手が、時々止まる。

 コスプレに興味はない──と言っておきながら、フミオは体を伸ばして、ムチャなポーズで店の中を覗き込む。

 カナタがカウンターの中で作業をするたび、丈の短いスカートがフワリと舞う。時々チラ見えする眩しい太腿を目に焼き付けようと彼は必死だ。

 そんな彼も、両方の眉がきれいサッパリ焼け落ちていた。おかげで普段の美青年はどこかへ消えうせ、ウーパールーパーのような顔に成り下がっている。

 

「フミオ。タバコやめて」

 

 鋭く咎められて、ようやくフミオは自分が無意識に胸ポケットをまさぐっていたことに気づく。習慣とは恐ろしいもので、オイル染みのついたポロシャツのポッケから、タバコのパックが半分顔を出していた。

 

「別にいいだろ。ここ俺んちだぞ」

「グダグダ言ってねえでやめろ。今すぐ。私、イライラしてんのよ。例に漏れず」

 

 大柄なレイジの体を日除けにして、隣にルリコが座っている。クチャクチャとガムを噛む音をわざと響かせながら、合成香料の甘ったるい香りを漂わせていた。

 機嫌が悪いのはバイクだけではない。今日のルリコも最高のコンディションで、うっかり触れたら噛み付かれそうなほど、その気配が鋭い。

 

「いい歳のガキがライター見せびらかして。何日か前に火遊びで散々な目に遭っておいて、懲りないわね」

「…………ところで、さっきから何食ってんの?」

「見りゃ分かるでしょ。お昼ごはん。ブルーベリーガム」

 

 フミオがレイジに目配せした。

 

「それでは、足りないんじゃないか」

「足りると思ってんの?」

「いや……」

「じゃ黙ってて」

 

 ルリコがベンチの背もたれに首を預けた。

 彼女の自慢の、ツヤのある黒髪が重力に惹かれて流れる。

 

「なによ」

 

 いつの間にか彼女の髪をじっと見つめていたレイジは、ルリコに睨みを利かされて、眉半分しかない顔を力なく背けた。

 

「うえー、これすっごく蒸れるぞ。あせもできちゃう」

 

 作業にひと段落つけたカナタが、三人固まっている所に歩いてきた。数日前にここの店長が量販店で買ってきたというコスプレメイドが誇る吸湿性は絶望的だ。

 安いポリエステルに包まれた胸元を広げながらカナタが前かがみになると、深々とした谷間が三人の目の前に現れる。

 

「うむ……」

 

 レイジは目を背け、

 

「おおおおお、おおおおおおお。おおおおお!」

 

 フミオは興奮のあまり、五七調の奇声を上げて三白眼をかっ(ピラ)く。思わず前にのめった彼の頭を、ルリコが思い切り引っぱたいた。

 

「いだーっ!」

 

 悶絶するフミオの視線をさえぎるように、ルリコがカナタの前に立った。

 

「あの白いドレス、脱げたんだ。良かったじゃん」

「ああ、それなんだけどさあ」

 

 ズレたカチューシャをチョイと引っ張って直してやりながらルリコが聞くと、カナタが何の前触れも無くスカートをたくし上げて見せた。

 

「中、こんなカンジになってる」

「……アンタ。マジでいつか取り返しのつかないことになるわよ」

 

 無頓着に生足を晒しておきながら、カナタは不思議そうに首を傾げている。

 この先、よく分からない常識の中で生きているこの娘が大きなトラブルに巻き込まれませんようにと、ルリコは祈ることしかできない。

 

「ルリコ! どけ、バカ、俺にも見せ」

 

 純粋なエロ野郎のフミオが、このボーナスタイムを逃す手は無い。

 赤面したレイジと呆れたルリコの間に無理やり首をねじ込む。

 生徒会印のアイアンクローをものともせずに首を伸ばした彼の前にあったのは、色気もへったくれもない、適当に丸めて結んだ白い塊だった。

 

「中でこうやって、ぐるぐるにスカート縛ってごまかしてんの。頭いーでしょ」

 

 ルリコがフミオの頭頂めがけて拳を打ち下ろす。ごん、といい音が聞こえた瞬間、「はあああぁぁぁ」と心底から失望した声を漏らして、酒屋の息子が膝から崩れ落ちる。こうしてささやかなエロは終わった。

 

「なーフミオ。それってバイクだよな?」

「あー……? そうだよ。バイクだよ。別に珍しいモンじゃねえだろ」

 

 スライムのように地べたにへばり付いていたフミオが力なく顔を上げた。

 

「カッコいいじゃん。これ、エンジンってどこなんだ?」

「エンジン? モーターなら目の前にあんだろ。その丸っこいの」

 

 バッテリーが取り外され、地面に広げられたシートの上に分解されたモーターユニットが置かれている。巨大な鉄の輪のようなステーター、そして引き抜かれ、ドロリとした黒い油を纏ったシャフトは、正しく機械の心臓という風情がある。

 

「気ィつけろよ。ビリっとすンぞ」

 

 それらの前にしゃがみこんでしげしげ眺めていたカナタが指を伸ばしたとき、フミオが声をかけた。

 

「バッテリー外してっけど、一応な。お前がケガすると俺がレイジに殺されちまう」

「バッテリー? こいつって電池で動いてんの? めずらしー……」

「そだよ。つーか今の時代、大体電動だぜ。マジでモノを知らねえんだな……」

「あ? 普通、クルマつったらガソリンだろうが」

「ガソリンは高級品だ。もう採れないから」

 

 レイジが補足した。

 

「この時代にガソリン車を乗っているのは……かなりの金持ちだろう」

「世の中にはそれに火をつけて遊ぶバカもいるみたいだけどね」

 

 いまだに腑に落ちない様子で首をひねっているカナタをよそに、ルリコが鋭くツッコんだ。男二人、気まずそうに顔を逸らしたのを見て、彼女は深くため息をついた。

 

「ところで、メイド服なのはどうして? 好きで着てんの?」

「その疑問には俺様が(チョク)で答えちゃおうかなあ!」

 

 いきなり、カウンターの影からねじり鉢巻の中年ハゲ男が飛び出してきた。なんの前触れも無い変質者のエントリーに、ルリコは真顔のまま三十センチほど垂直に飛び上がってしまう。

 

「いよお、素敵なお嬢ちゃんにお坊ちゃんがた! こんな真昼間から酒屋通いたあ将来有望だなあ!」

「やっぱキャラ濃いな! 久しぶりに見たらッ!!」

 

 ツッコミ体質のルリコは、脳が再起動するなりそう叫んでいた。

 

「お。レイジくんじゃーん。久しぶり。元気してた?」

「はい。元気です──その、いつもどおりでよかった。おやっさんも」

 

 木箱やビールケースが詰まれて狭い店内を素早く縫ってベンチまでやってきたハチマキの男は、上機嫌に笑って見せた。彼は容赦の無い力でレイジの背中をドカドカ平手で叩いてくる。

 

「ウゼー……」

 

 その隣で、フミオが顔をしかめた。

 前掛けにねじり鉢巻。肩口まで捲り上げた白シャツというコテコテの酒屋のオヤジ。あらわになった筋肉質な上腕二頭筋に「辰」の梵字タトゥーが彫られている。

 彼の名前は暮文他(クレ ブンタ)──つまり、フミオの父であった。

 

「学生にはチョイと早いけど、ウェルカムドリンク、引っ掛けとく?」

「アンタもカナタも、ナチュラルに未成年飲酒させようとしてくるわね……」

「つーかオッサン、カナタの足元で何してたんだよ。やらしーな」

「地下にいたの! 在庫管理だよ! お前さんと違って、こちとらまじめに仕事中よ!」

 

 せせら笑うフミオの前で、ブンタのむき出しの頭皮がゆでだこのように真っ赤に染まっていく。ギリギリと奥歯を鳴らし合う親子の背後で、屈んだカナタが「よいしょ」と開けっ放しのハッチを閉めていた。

 

「一応確認しとくけど、あれがアンタのボス?」

 

 彼女の横にやってきて、ルリコが耳打ちする。

 

「うん。そうだぞ」

「カナタ。フミオのパパって悪い人じゃないけど……その……」

 

 気配を感じたルリコが背後を見て、うげ、とつぶやいた。いつの間にかブンタがニコニコ顔で目の前に立っている。たっぱのあるハゲが無言で笑っているだけで十分な威圧感があるが、そこはルリコなので、ためらいはするが物怖じはしない。

 

「ヘンな大人よ、こいつ」

「ショック!!!」

「ほらね」

 

 叫びながら、相変わらず何が楽しいのか腰に手を当てブンタが笑い始めた。フミオはますます具合が悪そうになり、レイジは無言のまま困ってオタオタして、ルリコは顔をしかめる。

 

「ったく。あんなダセぇオッサンがどうして店持ってオトナやれてんだ。悪夢だぜ」

「こんなでも父親だろう。そういう言い方は──」

「レイジ君、今俺サマをこんなって言った!?」

「ヘンなオッサンだけど、テンチョーはイイ人だよ。ほら、アタシの見た目こんなんっしょ?」

 

 波打つ白いクセッ毛をいじりながら、カナタが言った。

 

「バイト先探してたんだけど、ピアスはオッケーでもウロコはダメとか言われてさ。ここだけだよ、笑顔がステキつって二秒でサイヨーしてくれたのは」

「まったくよぉ! 中身で勝負だよな! カナタちゃん! やっぱ人間はさあ!」

「オス! アタシ、最後までテンチョーについてくからな!」

 

 カナタがブンタのケツをスパァンと勢い良く叩いた音が店の外まで響き渡った。ハゲ頭のタコ坊主がたまらない顔でブルブル打ち震える。

 

「クゥ~~ッ! 今から時給上げちゃおっかな!!」

「サイアクだ。私、今最悪なものを見せられてる」

「毎日コレに耐えなきゃいけない俺のキツさが少しは分かったろ……」

 

 頭を抱えていたフミオの前に、ズイとブンタが顔を出す。明らかにオトナの顔じゃない。河川敷でエロ本見つけたクソガキのような得意顔で、彼は息子を見下ろしてくる。

 

「どうだァ。羨ましいだろォ、フミオくぅ~ん」

「るせえタコハゲ。オレにダセェとこばっか見せやがって!」

「うお」

 

 ブンタは大げさな身振りで胸元を押さえた。

 

「そういうの、傷つくぜぇ」

「けっ」

「で、なんでアタシはメイド服で働かされてんだ?」

「何を隠そうバイト雇うとか初めてで、俺サマの店って制服なくってさ……バイト代こんなんでいい? 働かせすぎとかない?」

 

 あんまりにもどうでもいい理由だった。

 

「とりあえず蒸れないヤツに変えてくんねえかな。テンチョーみたいに前掛けでいいじゃん」

「でもさぁ。俺サマはこの店に萌えを取り込んでいきたいのよ。萌えと古い店の融合ってさ、絶対来ると思うんだよな。でけぇニューウェーブがザブンとさ」

「モエのせいでアタシの肌終わりそうなんだけど」

 

 男どもは役に立たないし、カナタは危なっかしいし、おまけにヘンなオッサンまで出てきたし。なんだか疲れてきたからもう帰っちゃおうかな──と思っていたルリコは、いつの間にか自分がブンタとバッチリ目を合わせていることに気づいた。

 

「ああ、あの……その節はどうも」

「こっちも馬鹿息子が色々世話かけたろ。わり」

「いいえ。私も、いろいろと至らぬ点がありおりはべりだったと思うんで。ゴメンナサイ」

 

 どこか社交辞令的なルリコとブンタのやり取り。

 その間に挟まれたフミオが、居辛そうにしている。塩をかけられたナメクジのようにどんどん小さくなっていく彼を見て、ふとカナタが口を開いた。

 

「もしかしてなんだけどさ。ルリコとフミオって付き合ってた?」

「ゲ」

「よく分かったわねー。入学してから一週間くらいだっけ?」

「な、な、何だと!?」

 

 店を揺らすような大声が上がった。フミオごとベンチをひっくり返す勢いで驚いたのはレイジだった。

 もともと気マズい話をカナタに掘り返されたところにレイジまで関わってきて、フミオの貧乏ゆすりが激しくなる。その表情は、苛立ちとも焦りとも取れない。

 

「アブねえな。テメーが一番デカい声出してんじゃねえよ。バカ、レイジ」

「なん──だ──言ってくれたら、俺だって気を使うくらいのことは」

 

 浅い付き合いとはいえ、友人は友人。彼らが交際していたという事実を後々知らされれば、誰でも驚くのは不思議ではない。が──

 

「おいデカブツ。俺、オッケーもらったその日に言ったぞ」

「私も一緒にいて伝えましたケド。どうなってんですかね、アンタのノーミソは」

 

 突き刺すような眼差しが二人から返ってきた。

 珍しく気を使ってみれば、その結果は墓穴を掘って集中砲火。救いを求めるようにレイジが店内を見渡すと、呆れ顔で腕組みしたブンタと、その隣に立つカナタと目が合う。

 

「トモダチじゃねーのかよ。最低だからな、そういうの。直せ」

 

 トドメのハードパンチがカナタから放たれた。レイジが声にもならないうめきを上げて、へろへろとベンチの上にうずくまる。

 

「ま。一週間もたずにフラれちまったんだけどさ!」

 

 大きな土饅頭のようになって動かなくなったレイジを無視してフミオが立ち上がった。ヤケクソじみた笑顔を向けてくるフミオを睨み返すルリコの目からは、とことん色が失せていた。

 

「やー、手くらい繋げると思ったんだけど」

「……アンタのことフったっけ。私、記憶力には自信あるけど、覚えてないや」

 

 フミオがぐっと声を詰まらせた。黙りこくった彼を面白くなさそうに見て、ルリコは不機嫌にふんぞり返る。

 

「ところでカナタ。なんで急にバイトなんかしようと思ったワケ?」

 

 手持ち無沙汰にケータイをいじり始めたルリコが、何気なく聞いた。

 

「海行くならいろいろ買って準備したいし……それ! アタシ、そのケータイ欲しい!」

「これ? こんな型落ちが?」

「そうなのか? アタシ、カメラ付きなんて見たことねーぞ。数年前までポケベルがブームだったじゃんか。すげえ進歩だよな」

「は? ポケ──何?」

「ずいぶん懐かしいモンの名前が出たな。ポケベルなんて九十年代の遺物だぞ」

 

 どこか噛み合わない会話に、ブンタがヌルっと加わってきた。

 

「女子高生二人が話してるトコによく入って来れるわね、このオッサン……」

 

 ルリコがあからさまな迷惑顔を浮かべるが、ブンタはそんなの気にしちゃいない。彼は入り口のガラス戸から透ける青空を流れる雲と、ずっとずっと昔の風景を追うように遠い目をしている。

 

「電話できねえし、メールも打てねえ。でも番号だけは送れるからよォ。語呂合わせで暗号みてーの送って待ち合わせしたりして……そういうの、失われた侘びサビっつーのかねェ」

 

 信じられないことに、目頭にうっすら涙まで浮いている。乾いた笑いを漏らしながら、カナタが彼の背中を軽く叩いた。

 

「オーバーだなあ、テンチョー。老け込むにはまだ早いだろ」

「ンなこと言ってもよォ。世紀末なんてェもう八年も前のことだぞ。ナウでヤングなガジェットだったポケベルも、今ではノスタルジーに囚われたジジババのオモチャだ。ちょっと泣けてきたぜ。ぐすっうえっ」

「え」

 

 カナタはポカンと口を開け、化石のように固まったまま、しばらく無言でブンタを見つめた。

 

「ンだよお……オッサンがベソかいてるのが気持ち悪いってのか? 気持ち悪りーよな。正直俺サマもキツいと思うが今だけ許して欲しいトコだぜ……」

「いやそうじゃなくて……確かにそれもあるんだけど……今って世紀末だよな? ハレー彗星は? 恐怖の大王はどうした?」

「……今が何年だか、知っているか?」

 

 レイジが聞く。

 

「何って。世紀末だろ。イチキューキューキュー(1999)

 

 カナタが答えた。

 

「それがカナタが生きている時代、ということでいいか? その――思い込んでる時代、という意味だが」

「ア、アタシを試してんのか? 記憶喪失でも、文字は読めるし料理だって出来らあ。ジョーシキくらい覚えてんだ。ばかにすんなよ!」

 

 思わず声を荒げたカナタが我に返ると、気詰まりな沈黙があたりを支配した。その場の全員が、レイジでさえも宇宙人を見るような目を向けてきていた。

 

「なんだよっ、また仲間はずれか? アタシそんなにヘンなこと言ったか?」

「カナタちゃん、落ち着いて聞いてくれよォ」

 

 ブンタが壁際に掛けられた商工会のカレンダーを親指で示した。

 そこに大きく赤字で印刷された数字が、カナタの思考力を一瞬で奪い去る。

 

「今は2007年──ポケベルは廃れて、ハレー彗星は無事に通り過ぎた。恐怖の大王は……ありゃ半端中途で引き返しやがった。お前さん、まるで過去から来たみてえなこと言うじゃねえか?」

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。