海の彼方で、カナタを想う   作:おぴゃん

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4.その名は『焼失』(1)

 

 

「いろいろあったが、バイトがんばったので給料が入った!」

 

 カナタが高々と給料袋を掲げると、初夏の光に照らされて、封筒越しに透かしの顔が心霊写真のように浮かび上がった。昼休みの教室に、レイジとフミオの「おおー」という声が響き渡る。

 

「で?」

 

 封筒にほおずりするカナタを、ルリコはどうでもよさそうに見ていた。

 

「これでどっか遊びにいこう!」

「いいねえ。ルリコ、お前もどう────」

「期末テストあるだろが」

 

 盛り上がるフミオに、すかさずルリコが水を差す。ぐっと黙った成績不良者の隣で、カナタはまだ、封筒を振りかざしている。

 

「テストテストって、まだ二週間あるじゃんか。たまには息抜きしないと、始まる前から息切れしちまうよ」

 

 そんなふうに浮かれていると、不意に背後から大きな影が伸びてきて、『気を抜けるほど勉強できてるんですか?』とチクリと刺してくる気がした。

 が、今日は彼女が現れない。

 カナタはちらりと教師の机を見た。そこにあるのは、うず高く積まれたやりかけの仕事だけで、キリエの姿はなかった。

 

「先生なら体調不良でお休みよ」

 

 ルリコの表情がどこかぼんやりして見えたのは、気のせいだろうか。

 

「え、初耳だぞ」

 

 カナタがポカンとする。レイジとフミオに目をやると、二人とも首を横に振った。

 

「いっつも二日酔いの先生が体調不良で休みだあ? おもしれー冗談」

「アパートに車が置きっぱなしだったから、もしやとは思ったが」

「ほら、うちのクラスって『A()ホの2-A』だし。そんなの先生がわざわざ言いに来るわけないでしょ。だから私が、めんどい伝言ゲームやって、ひゅう────」

 

 突然、ルリコの体がふらりと後ろに倒れかけた。

 

「わあ、ルリコ!」

 

 とっさに支えようとするカナタを、ルリコは手で制し、近くの壁に体を預けて耐える。

 

「ダイジョブ。いっつも壁を背にするようにしてるから……つまりA組もキリエ先生も、教師どもから見放されてるってワケ。くそ、ちょっとボンヤリしてて忘れてた」

 

 まだ具合の悪そうなルリコが、黒板に「五限目 数学 自習」と書き込む。後半になるにつれて筆圧が弱まり、文字の勢いが目に見えて落ちていく。

 額を黒板にこすりつけるようにもたれかかっているルリコの姿が気になったが、カナタは自分の役目に集中することにした。

 下唇を軽く噛みながら、弁当の包みを取り出す。小さいのが一つ、中くらいが一つ、そして桁違いに大きいのが一つ。

 

「ありがとう」

「あざーっす」

 

 レイジとフミオが弁当を受け取って、拝むようにしてカナタに向かって手を合わせた。ポケットに突っ込んだままで暖まった二百円を、それぞれが彼女のがま口に放り込む。

 なんだか賽銭みたいでヤだなァ──と思ったが、カナタは口には出さなかった。

 

「グラフ書けなくっても、うめえ弁当って作れるんだなあ……」

 

 フミオがしみじみ呟く。ショウガの効いた肉団子はすっかり彼のお気に入りで、たまに梅干しをかじって味変しながら口をもぐもぐ動かす姿は、いかにも幸せそうだ。

 

「グラフと料理のウデマエは関係ないっつの。それに、キリちゃんがイチジカンスー教えてくれたから。もうぐにゃぐにゃなヤツだって書ける。任せとけ」

「ぐにゃぐにゃ? 一次関数に、ぐにゃぐにゃ……?」

「おいおいレイジぃ、アタシよりベンキョーできねえのか? なんだったら、アタシが教えてやってもいいぞ」

 

 腰に手を当て胸を張るカナタは得意げだったが──レイジは首をかしげ続ける。その太い首を抱えて、気まずそうな顔のフミオがそっと耳打ちする。

 

「ほら、ウチの先生ってアル中だろ? だから、たぶん……」

「手が震えている」

「おまけに目もかすんでるハズ」

 

 一次関数のグラフは、本来ならシャキッとした直線しか書かれないはずだ。だが、アル中の歪んだ視界と禁断症状のなかで書かれた結果、キリエの描いた図形は中学生用テキストに突然三角関数の波を爆誕させたらしい。

 

「……教えるべきだよなァ。気の毒だが」

「俺は、カナタがショックを受ける顔を見たくない……」

「なーにをゴチャゴチャ抜かしてんだ? ホラ、レイジ、早く弁当食べな。オマエのはトクモリなんだから、昼休み終わっちまうぞ」

「あっ、ああ……」

 

 カナタに急かされて、レイジは風呂敷を解き始めた。彼が弁当を食べるようになって、もう何日も経った気がする。だがレイジがハシを握るたび、彼女は少し緊張したような、それでいて何かを期待したような面持ちを浮かべる。

 

 ──ソワソワしちゃってまあ。

 フミオは一服の気分を味わおうと、火のないタバコを咥えた唇を緩めた。

 

 レイジの弁当は一面の黄金色だ。ご飯の上に隙間なく卵焼きが敷き詰められた弁当は圧巻の一言に尽きる。

 それが顔を出すと、普段は重苦しいレイジの雰囲気が、ほんの少し──本当に少しだけ、軽やかになる──

 

「んへへ」

 

 ──ように感じているのは、目を細めて彼を見つめる、カナタだけだ。

 

 

「こいつの顔見てて面白いのか?」

 

 フミオが聞いた。

 

「ん」と、視線をレイジに向けたままのカナタが頷く。

 

「どれ。俺もやってみるか」

 

 彼女の隣までイスを引いてきて、フミオも目の前の岩男をじっと観察する。レイジが、上目遣いにチラ、とフミオを見やった。

 

「これは小骨がノドに引っかかった時の顔?」

「卵焼きにホネはねえだろ」

「……それもそうか」

 

 カナタは紙コップに麦茶を注いでレイジに差し出す。軽く頭を下げながら、レイジがそれを受け取った。

 

「ああ、口の中がパサついてたのか」

「そ。分かりやすいだろ?」

 

 カナタがうれしそうに声を上げた。レイジの箸が、また別の、丁寧に巻かれた卵焼きを掴んだからだ。彼女は身を乗り出して、レイジの様子をつぶさに観察する。

 

「これは俺だって分かる。卵焼きがうまい。って顔だな」

 

 満足そうに何度も頷くレイジの様子を見て、フミオが指をパチンと鳴らす。が、二人はまったく気づかない。

 

「ンだよぉ、二人だけの世界ってヤツぅ~?」

 

 まあ、お前らが楽しいんなら俺も悪い気分じゃないけどサ──フミオは自分に言い聞かせるように苦笑した。

 以前はほとんど表情を変えなかった男が、最近はよく頬を緩めるようになった。

 ほほえましい風景のはずなのに、それを見つめるフミオは、胸の奥に肋骨が一本カロリと音を立てて落ちていったような、妙な感覚を味わう。

 

「フミオも祝え。三日連続でレイジがアタシの卵焼き褒めてくれたんだぞ」

 

 フミオが手持ち無沙汰にもてあそぶライターの音に気づいて、カナタが振り返った。満面の笑みだった。

 

「俺はいつでも、なんでも、カナタのすべての料理を絶賛しているつもりだが」

「あーはいはい。そうかよ」

 

 適当に返事しながらも、カナタの笑顔はそのままだ。

 

「じゃ、明日はもっとキアイ入れてやるかね」

「ごっそさん」

 

 いろんな意味で腹が一杯になったフミオが、そう言って弁当箱を畳んだ。それから時間をかけて山ほどの卵焼きをレイジが平らげたころ、出て行った時と同じように、フラフラとルリコが戻ってきた。

 

「コラ、フミオ、タバコしまいなさいよ」

「遅かったな」

「水飲んできた。おなかいっぱい。たぷたぷ」

「ルリコ。これ食えよ」

 

 差し出されたのは薄青色のハンカチで包まれた、小さな弁当箱。ルリコが一瞬手を伸ばしかけたのをカナタは見逃さなかった。

 

「……だから、いらないわよ」

 

 しかし彼女は、結局顔を背けてしまった。

 

「困ったらガム食べるから。今週はまだ二枚残ってるし」

「あ、じゃあ、ツケでもいい。だから食えったら」

「いやよ。そういうの」

「ジュース一本分だぞ!?」

「それ一ヶ月でいくらになる?」

 

 ぐっと、カナタは言葉に詰まる。あまりにも守りが固い。

 

「あー……なんか、暑いよなあ、最近。なあ、レイジ!」

 

 睨み合う二人の間に漂う空気が耐え切れなかったのか、レイジの背中をドンと叩いて、フミオが大胆な話題転換に打って出た。

 

「ああ……暑いな。最近」

 

 レイジのそれは会話ではなく、おうむがえしだ。

 

「ボケが」

 

 フミオから気の利かない友人に対する、かなり心こもった舌打ちが浴びせられた。それでもレイジは表情ひとつ変えない。

 

「ごほん──で、だ。次の自習はちとダルいが、それが終われば体育じゃねえか。もうプール開きだろ。そうだろ? あんな思いして掃除したんだ。俺たちだって入る権利くらい」

「ないわよ」

 

 ピシャリと言ってのけたルリコが、無理やりアゲたフミオのテンションを急降下させた。

 

「あ……え……?」

「だからプール、今年はないわよ。なしなの」

 

 ルリコが胸の前でバッテンを作って見せた瞬間、見えない銃弾に打たれたかのようにフミオがよろけた。カナタがフミオの顔を覗き込む。瞳孔が揺れている。

 

「なん……なぜ……?」

「こないだ市の水質検査が急に入って、ダメ出し食らった」

「じゃあ水入れ替えたらいいだろ!?」

「そんな予算どこから持ってくるのよ。とにかく今年はプールなし。午後はみんなで合宿所の草むしりね」

 

 机の天板を握り締めて、フミオが動かなくなった。

 

「おい、フミ」

「なんじゃそりゃーッ!!」

 

 心配したレイジが声をかけようとした瞬間、教室中に響き渡るくらいの声でフミオが絶叫した。プールのためにチャージしていた体力を使い切る勢いで机を高々と持ち上げたかと思うと、中身をハデにブチまけながら床に倒れこむ。

 

「私より先にアンタが倒れるんかい」

 

 一学期の間貯めに貯めたプリントの山がハラハラと舞い散る中で、机の下敷きになったフミオ。それをルリコが爪先で蹴っても、彼は白目をむいたままピクリともしない。

 

「フミオ、死んじゃった?」

 

 興味なさげに麦茶を注ぎながらカナタが聞いた。

 

「かつてないほど死んでるわ」

「朝からずっとガマンして履いてたのか」

 

 フミオのスラックスからハミ出た海パンを見つめてレイジが呟いた。六時限目の草むしりでは、さぞかし汗を吸って尻にピッタリ張り付くに違いない。

 

「でも、夏にプールなしはたしかにキツいわよね……」

 

 やりすぎなくらい強い日差しに目を細め、ルリコがブラウスの首元を緩める。午後の作業は思い出深いものになりそうだった。

 

 ■

 

「ははっ、いいぞ!」

 

 レイジの背中でカナタの歓声が弾けた。

 丸太のような足がペダルを踏むたびに、ママチャリがグングン加速する。アスファルトの匂いを運ぶ、乾いた風を切って住宅街へ出ると、中心街に向かって伸びる長い坂が見えてくる。

 

 アスファルトの白い照り返しが、降り注ぐ真夏の日差しが、上から下から全身を突き刺す。心地よい痛みだった。

 

「ブレーキかけたら怒るからな。飛ばせ飛ばせー!」

 

 レイジの背中にしがみついたカナタが、こぶしを振り上げた。

 蝉の声が遠ざかり、風をもっと身近に感じる。錆びたガードレールの脇をすり抜け、陽に焼けた路面をタイヤが滑る。シャツをふくらませる風を肌で感じていると、町並みが一気に近づいてくる。

 

 下り坂の先、無数の電柱が並ぶ細い道の向こうに、フミオたちを乗せたバイクが小さく見えた。

 

 整備不良の自転車が、坂の下で切り裂くようなブレーキ音を響かせて一度バウンドした。

 

「うぎゃっ」

 

 勢いよく尻を突き上げられたカナタが小さく悲鳴を上げて、胴に回した手に込める力を強くした。

 

「スリルあったあ! 」

 

 ケラケラ笑うカナタを乗せて、レイジは、電線のシルエット越しに青い夏空を見上げる。つられて顔を上げた彼女も、あまりに透き通った青に吸い込まれそうになる。

 

「なあ。夢のオンナって何のことだ?」

 

 思わぬタイミングで放たれた問いだった。軋むスポークの音にレイジがうなった声が交じる。

 

「俺の悪夢に出てくる女の子のことだ」

「オマエがずっと見てるっていう?」

 

 点滅する青信号の下を通って、自転車が交差点をすり抜ける。段差に乗り上げた車体の跳ねと見分けがつかないほど小さく、レイジが頷いた。

 

「そうだ──どうして、いきなり?」

「初めてルリコと会った時のこと思い出してた。アイツがアタシ指差して言ってたから。そんなにその子に似てるワケ?」

「いいや。小学生くらいの子供だ。灰色の……ワンピースを着ている」

「雰囲気は?」

「髪はカナタより少し長い。顔は優しそうに見える。あっちはもっと大人びてる」

 

 少し、間があってからカナタがレイジの背を一発殴った。さらに間を空けて、もう一回パンチを叩き込む。

 

「手首、痛めるぞ」

 

 岩盤のような背中越しにレイジが気遣った。

 

「あっちはってなんだ。あっちはって。アタシがガキって言いたいのか」

「い、いやそうじゃなくて……子供に見えるのに……話してるとこっちが年下みたいな気になるんだ」

「言い換えただけだろが」

 

 軽く、背中を叩かれながらレイジは道の先を見据える。白昼の日差しに焼かれた市内は、半透明の幕を吊るしたような陽炎に包まれている。

 フミオのバイクは遥か先を、陽炎のヴェールを纏って走っていた。彼も後ろに乗り込んだルリコも黒い塊のようになって、その姿はよく分からない。

 あまり待たせると、ルリコがキレる。そう思って、レイジはペダルを踏む足にいっそう力をこめた。自転車はもっと加速する。

 

「なあ」

 

 カナタがまた何か聞いてくる気配があったので、レイジは少し、身構えてしまう。

 

「なんだ?」

「海に行ったら、アタシの記憶戻るかな」

 

 ごう、と音を立てて大きなトラックが真横を駆け抜けていく。その後はすっかり静かになってしまって、ふとカナタが漏らした弱音が生んでしまった沈黙の時間を強調するようだった。

 

「はあ……分かるワケねーよな、そんなの」

 

 少しトーンダウンしたカナタの声。

 

 コツン。

 

 カナタの頭が背中に当たる。

 レイジは自分の話し下手がイヤになる。こういう時、フミオのように口が回ればと、彼をうらやましく思う。

 カナタを勇気付けるようなことを何か言ってやりたかった。

 

「────実は、俺も記憶がない」

「あ? 初耳なんだけど」

 

 カナタの手が、またまた背を打った。今度は、さっきよりもかなり強い力を感じた。

 

「隠し事はナシのはずじゃねーのかよ」

「すまない。言い出すタイミングがなかった」

「ふん……いつから?」

「生まれた瞬間から七年前まで、何をしていたか覚えていない。施設から出る前の生活とか、家族とか、そういうのだけじゃなくて、全部忘れてるんだ」

 

 施設──という言葉が一瞬引っかかったが、カナタはいったん置いておく。

 

「全部ないって、どういうこった?」

「言葉、読み書き、ハシの持ち方まで、本当に何もかも忘れてた。まっさらだったんだ」

 

 カナタは耳を疑ったが、レイジは冗談を言うような男ではない。彼が淡々としているのが、余計に過去の壮絶さを引き立てていた。

 

「おまけに、最初は寝返りも打てないくらい……女の子みたいに体が細くて、とにかく虚弱だった」

「キョジャク? お前があ!?」

 

 レイジの腹に手を回して、カナタは分厚い腹筋の感覚を確かめる。

 

「今はこんな体しやがって……そんなレイジ、ちょっと見てみたい気がするな」

「きっとガッカリする」

「…………それから、なんか思い出せたのか?」

「いや。全く。ただ、記憶が無くっても、それなりに生きていける。から……」

 

 ────まずったな。

 

 レイジは内心で舌打ちした。結局口にしたのは時間をいくら掛けても記憶が戻るはずなどない、という事実の突き付けだ。彼は自分が口下手なのは知っているが、今日はいつもに輪を掛けてひどい気がした。

 

「気を悪くしたなら謝る」

 

 黙りこくったままのカナタが心配だった。レイジは自転車を漕ぐ足を緩めて軽く振り返る。

 

「ちょっと意外だっただけ」

 

 彼の予想に反して、カナタは親しげにレイジの肩を叩いて、前を見るように促した。

 

「そんじゃアタシらって、けっこう似たもの同士なのかもな」

 ──なんちゃって。

 

 レイジは何も言わず、ただペダルを踏んだ。

 カナタの言葉が、自分のどこかに深く刺さっていた。

 カナタは言ってから気まずくなったのか「あ、デッカい入道雲」などと言って、後ろから乗り出してきて遠くを指差している。

 

 レイジの目に映るのは雲ではなく、カナタの無邪気な横顔だ。

 どうして彼女は、あんなにも朗らかに笑えるのだろう。レイジはカナタの笑顔を見るたびに、不思議な気持ちになる。

 夜中にうなされて目を覚ましたあと、鏡の前でこっそり笑う練習をしたこともある。だが映るのは、どこか引きつった、ぎこちない顔ばかりだった。

 

 ──自分も、あんなふうに笑えたら。

 

 そう思ったことは何度もある。でも、胸の奥にいつも燻っている炎が、それを拒むのだ。レイジは、カナタのようにはなれない。あんな風に、心から笑うことはできない。

 

 だからこそ──彼女の笑顔だけは、何があっても守りたいと願う。

 

「俺とカナタは違うだろ。何もかも」

 

 レイジの耳には、周りの蝉の声や自転車のチェーンの音だけが響いていた。やがて、カナタの手が、そっとレイジの服の端を離れた。

 

「……そうかよ」

 

 不機嫌そうに揺れながら、カナタはそれ以上何も言わなかった。

 さっきとは打って変わって気まずい沈黙をレイジがかみ締めているうちに、遠くに市民プールの建物が見えてくる。その壁は、すっかり退色した薄緑をして、霞んだ夏の大気の中で揺らいでいた。

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