光ちゃんと司先生が結ばれる話   作:青紫

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オオカミ少女⑦

 先日、私は遂に恩人である男性の所在を突き止めた。

 知りたかった名前も判明し、感動の再会までこのまま一直線!

 という感じになると思っていたのだが、そうは問屋が卸さなかった。

 

「あれからもう10日か…」

 

 私は未だに彼、明浦路司さんと接触できずにいたのだ。

 何故かって?

 理由は簡単、この私が怖気づいてしまっているからだ。

 あーそうですよ、私が全部悪いんだ。

 だって、いざ司さんを前にしたら、何て声をかけていいのかわからないんだよ!

 司さんに『私を覚えていますか?』と問いかけて、

 

『は?キミ誰?知らんわ、キモ』

 

 なんて言われたらショック死するわ。

 

「いや、さすがに狼嵜光を知らない業界人はいないっしょ」

「『キモ』はいくら何でも言わないわよ」

「だよねー。わかっているんだけど………え??」

 

 私はひとり自室で悶々としていたはずなのに、なぜ二人がいる?

 いつの間にか、エイヴァさんと汐恩が当然如く入室して、くつろいでいるじゃありませんか。

 鍵かけたよね?

 セキュリティもプライバシーもあったもんじゃねえ。

 

「いつからいた?」

「光が『つかささん///』とか言いながら変顔キメてるところから!」

「だらしない顔でよだれ垂らしてたわよ。証拠写真も撮ったわ」

「イヤーッ!消して今すぐ消して!」

 

 かなり最初の段階から目撃されている。

 司さんを思うあまり注意散漫が極まっていたようだ。

 とりあえず、私の部屋から出て行ってくれないかな?

 親しき中にも礼儀ありだぞ。

 

「そういうわけにはいかないのよ!」

「私とママで光のお悩み聞き出し隊!」

「うわぁ、ウザーい」

 

 テンション高めな親子にげんなりする。

 黙秘を貫きたいが、この二人がそれで引き下がるとは思えない。

 最悪、慎一郎さんと理凰を召喚する恐れすらある。

 仕方なく、私は司さんのことを打ち明けるのだった。

 

 ・・・・・・・・・・・・

 

「光、ビビってるの?」

「ま、まあ、そういうこと」

「私が一緒に行くのはどうかしら?保護者として、ご挨拶もしたいし」

「それは何か恥ずかしい…」

「もう!はっきりしないなあ。いつもの光らしくないぞ」

「わかってる。それは一番私がわかっているんだよ!」 

 

 自分がぐずぐずして情けないことは百も承知。

 サッサと会いに行って『あの時はありがとうございました!』と、誠心誠意お礼するだけでいいのだ。

 何も難しいことはない。

 でも、司さんに会いに行って拒絶されてしまったら、そう考えると怖い。

 怖くて動けない。何もしない方が賢明なのではと思ってしまう。

 独りよがりの感情を押し付けて彼を困らせてしまうのも嫌だ。

 このまま、自分の中の綺麗な思い出に浸っていれば、傷つかないし楽なんじゃないかとも思う。

 

「どうするのか決めるのは光よ。でも、これだけは言わせて」

 

 エイヴァさんは私の肩に手をおいて真剣に語りかける。

 真面目にしていれば、これほど頼りになる人もいないと思う。

 

「今動かないと、あなた一生後悔するわ」

「っ!?」

 

 エイヴァさんの言葉が突き刺さる。

 何もしなければ後悔・・・するんだろうな。

 

「大事なのは、あなたがどうしたいのかよ」

「でも、それじゃ…迷惑かけちゃう」

「いいじゃない迷惑上等よ!光のことを散々悩ませた男なら、それぐらい許容しろっての」

「ママの意見に同意!」

 

 エイヴァさんと汐恩がうんうんと大きく頷いている。

 この似た者親子め!

 

「それとも、その彼とやらは……女の子の気持ちを蔑ろにするような、器の小さい男なのかしら?」

「ちっさ」

「そんなことない!!」

 

 司さんをバカにしないで!

 ピンチの私を颯爽と助けてくれヒーローなんだぞ。

 

 こんな私の戯言を真剣に聞いてくれて、スケートを続けると言ってくれた人だ。

 彼は人の気持ちに寄り添える、とても優しい人なの。

 今コーチをしているだって、誰かを教え導き、支える仕事が性に合ってるからだろう。

 そういう人なんだよ。

 そういう人だから、どうしてもまた会いたいと思ったんだ。

 例え、あの日のことを全部忘れていたとしても、

 司さんはきっと・・・

 

「私の思いをちゃんと受け止めてくれる」

「ええ。その通りだと思うわ」

「なんだ、わかってんじゃん」

 

 言葉にすると胸のモヤモヤは消えて行った。

 エイヴァさん、汐恩ありがとう。答えは得たよ。

 とにかく、会わないことには始まらない。

 

「私、行かなくちゃ」

「よし行け、光!キスしてこいキス!」

「ききききき、キスなんかするわけないでしょ!?」

「しないの?勢いでブチュッとしてくればいいのに」

「するかぁ!」

 

 なぜそこでキス?

 私はただ、あの日のお礼をしたいだけであって、

 司さんとキスしたいとか微塵も・・・思ってない、はず?

 キスか・・・私が司さんと////

 いやいやいや!何考えているだ私は、煩悩退散! 

 まったく汐恩のマセガキっぷりには困ったもんだ。

 

「待ちなさい、光」

「焚きつけといて、今更止めないでよ」

「あなた、その顔で行くつもり?」

「え、私の顔なんか変?鼻毛出てる?」

「鼻毛はセーフよ。おでこがアウトね」

「おでこ?」

 

 鏡台前まで行き自分の顔を確認する。

 『ひゃ!』と変な悲鳴がでた。

 鏡には額に大きく『肉』と書かれた私の姿が映し出されていた。

 おい、ふざけんな!

 

「キン肉ヒカルwww」

「しーおーんー!お前の仕業かぁ!」

「私に全然気付かないからさ。思わず書いちゃった」テヘッ

 

 書いちゃったじゃねーよ。

 何してくれてんの?

 この状態で会いに行ったら全てが台無しだったぞ。

 

「エイヴァさん、娘の暴挙を止めてよ!叱らない教育には断固反対!」

「娘たちの微笑ましい姿。ああ、母の喜びを感じるわ~」

「ダメだこの人。汐恩!こら待て、お前のデコも『肉』にしてやる!」

「きゃーwww」

 

 すばしっこく部屋中を逃げ回る汐恩を追いかけて大乱闘。

 私と汐恩、トムとジェリーみたいだ。

 エイヴァさんはその様子見て悦に浸っていた。

 

「うるせぇぞ、光!さっきから何をや……!?!?」

「……理凰」

 

 騒音に耐えかねたのか、理凰が勢いよく扉を開いて部屋の惨状を見た。

 こら、レディの部屋に入る時はノックしろと教えたはずだか?

 彼の視線は母親から妹に移動し、最後に私の額へと固定された。

 

 『肉』を見て盛大に吹き出す理凰。

 

「ぶははははははwwなんでwwwキン肉マンwww」

「おー笑え笑え!今の内に笑っとけ!お前のデコも『肉』決定な!」

「お兄ちゃん。こちらwwかの有名なwキン肉ヒカルさんですwww」

「キンww肉wwヒカルwwwあはははははははwww」

「キン肉バスタァァーー!!」

「「ぎゃーー!!」」

 

 48の殺人技でアホ姉弟二人を黙らせた。

 

 鴗鳥家の子供たち三人が額に『肉』を書く珍事が発生。

 父・慎一郎は自分の額にも『肉』を書くべきかを真剣に悩み。

 母・エイヴァはひたすらカメラのシャッターを切っていたという。

 

「どうすんのこれ!油性マジックじゃないか!」

 

 『肉』の字を消すのに一日かかった。

 

 ●

 

「服装よし、髪の毛よし、『肉』は完全に消えた」 

 

 キン肉事変の翌日。

 私は司さんに会うため、彼の勤め先であるルクス東山FSCに来ていた。

 それなりに顔の売れている私だ。

 無駄な注目を集めて、感動の再会に水を差すのはよろしくない。

 なので、私は今ちょっとだけ変装をしている。

 目深にキャップを被り、伊達メガネを装着、服のコーデは可愛さより落ち着きを優先した。

 これで私が狼嵜光だと即バレはしないだろう。

 

 受付では見学希望者だと適当に話をして入館許可をもらう。

 目当ての人物はすぐに見つかった。

 私は物陰からそっと彼の様子を伺う。

 

「司さん。ほ、本物だ…妄想じゃない生の司さんだ」

 

 テンション上がって来た!

 町中で偶然、推しのアイドルを発見したような気分だ。

 背の高い彼は遠目でもよく目立っている。

 ちょうど今、スケートリンクを軽く流すように滑っているみたい。

 彼がスケートをしているところ初めて見た。

 

「わ、わ、思ったよりずっと上手じゃん!ヤバい永遠に見ていられる!」

 

 ゆったりとしていながら芯の通った綺麗な滑り。

 技術的な観点から言えば、ヨダカや慎一郎さんの方が上なのだろう。

 だけど、司さんの滑りは見る者を包み込むような安心感と、

 スケートへの飽くなき情熱を感じさせてくれる。

 『スケートばか』という点ではヨダカにも匹敵するかもしれない。

 これまで様々な男性スケーターを見て来たが、

 司さんの滑りが一番好きだなあ。

 

「おっと、こうしちゃいられない」

 

 目的を見失うところだった。

 司さんが一人の内に接触を図ろう。

 そう思ったのだが、私はどうやら出遅れてまったようだ。

 彼の下へ一足先に向かう人影がいた。

 

「…いのりちゃん?」

 

 あれはマイフレンドいのりちゃんではありませんか。

 彼女に気を取られ物陰から出るタイミングを逃してしまったぞ。

 傍から見ると完全に不審者だが、それどころではない。

 私は持てる視力と聴覚をフル活用して彼女の動向を伺う。

 

 そして私は思いもよらない現実を突き付けられる。

 

「司先生~♪」

「おお!いのりさん。今日の笑顔も100点だね」

「えへへ、そうですか。そう言ってもらえると嬉しいです」

「よーし、今日の練習も頑張ろうね」

「はい!ビシバシしごいてください」

 

 ・・・・・・・・・・・・は?

 

 先生?誰が?誰の?

 

 もしかしなくても、

 いのりちゃんのコーチって、司さんなの!?

 

 ◎△$♪×¥●&%#?!

 

 脳がフリーズした。

 現実を理解するまでしばらくお待ちください。

 

 ・・・・・・・・・・・・再起動。

 

 ふ、ふーん。そうなんだ。

 いのりちゃん、司さんに教えてもらっているんだ。

 手取り足取りあんなことやこんなことを・・・

 ふーん。

 

 なんだか二人ともすっごく仲いいね?

 師弟というより兄妹みたい。

 うわー、いのりちゃんメッチャ楽しそう。

 うわー、司さんってあんな風に笑うんだ。

 

 あ、今、ナチュラルにボディタッチした。

 二人とも、ちょっと近すぎないかな?

 そんなに接近する必要ある?ないよね?

 ないよね!?

 

 ヒューヒュー、お二人さん見せつけてくれるじゃないの!

 こっちは脳みそ鼻から出そうだよ。

 

 うーん。

 まいったなコレは・・・まいった、まいったぞ。

 

 今日は覚悟を決めて来たつもりだった。

 しかし、フタを開けてみれば、司さんといのりちゃん、

 二人の絆を見せつけられてしまったわけよ!

 くそったれーーーー!!!!

 

 今、あの二人の下へ突撃するなんて・・・私にはできない!

 

「司さんが先生?うらやましいうらやましいうらやましいぃ!!」

 

「なんで私はヨダカなんだよ!おかしいだろ!」

 

「司さんも司さんだよ!私というものがありながら!!」

 

「うわーん!いのりちゃんのアホエビフライ―ーー!!」

 

 いたたまれなくなった私は、

 恨み言を吐きながら逃げ出すしことしかできなかった。

 

「オエェェ…」

 

 司さんとの再会に失敗し、泣きながら家に帰った私はトイレで吐いた。

 なんかもうストレスが限界突破して、吐き続けた。

 

 ●

 

 ふさぎ込みながらも、ルーティンと化しているフィギュアの練習はちゃんとこなした。

 とにかく淡々と日常をこなすことに専念した。

 何も考えたくなかった。

 

 ゲロリストと化した私を家族は心配してくれたが、

 特に何も言ってこない。ずっと腫れ物に触るような対応をされている。

 『こいつ何かあったな』『そっとしておこう』という気遣いを感じる。

 立ち直るまでもう少し時間をください。

 

 ・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 大会にも当然の如く参加する。

 勝利を重ねることでしか心の傷を癒せない、

 悲しきスケートモンスター光ちゃん。

 

 悪いけど、

 これから見せる私の滑り全部ただの八つ当たりだから。

 いくぞぉオラァ!!

 

 いのりちゃーん!早く私を殺しにいらっしゃーい!

 

 あ、ヤベ!雑念が入り過ぎてミスった。

 ジャンプの回転数間違えた!?

 後でヨダカに舌打ちされる案件かコレ?

 ま、いいや。少ないより多い方が良いってことで許して。

 

 いつもより多めに回った私の演舞、司さんに届け!

 

《狼嵜光、全日本ノービスBで3Aを決め連覇達成!》

 

 大勢の人が快挙だなんだと騒いでいた。

 雑誌のインタビューなんか受けちゃったりして、

 

「狼嵜選手、連覇達成おめでとうございます」

「ありがとうございます。これも皆さんが応援してくれたお陰です」

「いや~見事なトリプルアクセルでしたね。会場中が湧きたっていましたよ」

「あはは、何かぴょんと跳んでくるくるってしたらできてました」

「勝利の喜びを今誰に伝えたいですか?」

「もちろん、つか…んんっ!…家族とお世話になった全ての方にですね」

 

 みんな口々に私を賞賛してくれたけど、私はどこか上の空。

 連覇は嬉しい、嬉しいのだが、今の私にはそれより気になることがある。

 司さん、今頃何しているんだろうな~。

 いのりちゃん、どんな練習しているんだろう?

 私、気になります!(切実)

 

 ●

 

 過酷なヨダカのレッスンも今ではすっかり私の日常に組み込まれた。

 どんな理不尽にも疑問を挟まず、指示された通りに滑って滑って滑りまくる。

 

 ヨダカと司さん、トレードできねぇかな?

 

 最近では練習後にへばって動けなくなることも減って来た。

 リンクの上で半死半生だった頃が嘘みたいだ。

 慣れって怖いな。

 

「今日はここまでだ」

「ウッス。お疲れっしたぁ!!」

「待て」

「何スか?私、残業はしない主義っスよ」

「最近、お前の帰りが遅いと慎一郎が苦言を呈して来た。寄り道も程々にしろ」

「ご心配どうもっス。プライベートなんで、お構いなくっス!」

「その喋り方もやめろ」

「禁煙してくれたら考えるっス」

 

 サヨナラ!

 ニコチン中毒に別れを告げて素早くスケート場を後にした。

 さて、本日のデイリー任務を開始しますか。

 

 寄り道先はルクス東山FSCだ。

 ヨダカのレッスンが深夜に及ばない限りは、ここへ来てしまう。

 

「おや、また見学かい?」

「はい。見ているだけで幸せなんです」

「体験入会も募集しているから、興味があるなら参加してみるといい」

「ありがとうございます。考えておきますね」

 

 受付の人に顔を覚えらえてしまった。

 変装の賜物か、彼は私が狼嵜光だとは気付いていない。

 ルクス東山に足しげく通う理由は二つ。

 

「いのりちゃん、どんどん上達していくなあ。イイ感じだよ」

 

 一つは敵情視察ってやつ。

 遠くない未来にぶつかるであろうライバルを要チェックや!

 いのりちゃんの成長を見ているだけで、おらワクワクすっぞ。

 そしてもう一つは、

 

「はぅ……司さん…今日もかっこいい////」

 

 司さんの姿を目に焼き付けるためだ!

 もう、あたしゃこれだけが生きがいでね。

 ヨダカのしごきで疲弊した心身が癒される~。

 

「……いいなぁ」

 

 私の口から、いのりちゃんをうらやむ言葉が零れた。

 そして深いため息も出る。

 

 こうやって遠くから眺めているばっかり。

 司さんとはまだ話すことができていない。

 そんな自分に嫌気が差す。

 司さんの迷惑になりたくない。

 いのりちゃんの邪魔をしたくない。

 嘘だ。

 本当は私に勇気がないだけ、あの二人の間に割って入る度胸がない。

 

 このまま二人を見守るのが正解な気がして来た。

 私は彼らの前に立ち塞がる壁として存在し、二人の絆を更に強くする要因となって・・・

 酷いよ!私を踏み台にしたなぁ!! 

 踏むならヨダカだけにして!

 

「ただではやられん。司さんの心も一緒に連れて逝く」

 

 そんな感じの最終回になるかもしれない。

 バッドエンドじゃね?

 

 ん?んん?

 今日は何か余計なの混ざってないか?

 司さんといのりちゃん、そしてあともう一人は・・・

 

「理凰?なんで?」

 

 なんでお前がそこにおるねん。

 司さんといのりちゃんの間に挟まりやがって、代わってください!

 

 ●

 

「座れ」

「なんだよ光。俺、練習で疲れてて」

「いいから座れッ!」

 

 一足先に帰宅した私は理凰を待ち構えて捕獲。

 話をするために座るように促す。

 誰が、椅子に座れと言った?床に正座じゃボケが!

 

「どういう事か説明してもらおうか?」

「何キレてんだよ。意味わかんねー」

「理凰をルクス東山で見たというタレコミがあった」

 

 タレコミ元は私なので秘密。

 

「…父さんに頼んで移籍したんだよ。黙ってて悪かった」

「問題はそこじゃない。コーチは誰や?」

「あけ…じ…?何だったかな。何か頼りなさそうな奴だったよ」

 

 久しぶりに・・・キレちまったよ。

 

「明浦路司様だろうがぁ!」

「様!?」

「なんで理凰なの?なんで私じゃないの?どうして人は争うの?」

「落ち着け、言ってることが意味不明だ」

「フンッ!」

 

 私は自分の頭を理凰の頭に打ちおろした。

 鈍い音と鈍痛が響いたが、司さんを思う私はノーダメージだ。

 

「ぐぁ……いってぇーー!なんで頭突きした!?」

「体、ちょっとだけ交換しよう」

「できるかぁ!」

 

 『私たち、入れ替わってるーー!??』みたいにはならなかった。

 私は司さんの、理凰はヨダカのレッスンが受けられる。

 双方にとってプラスの良案だと思ったのに・・・残念。

 

 世話になる人の名前ぐらい覚えろと、理凰をシメておいた。

 

 しばらくして、理凰は生まれ変わった。

 『明浦路先生がさあ』と、楽しそうに司さんの話をするようになったのだ。

 さすが、司さん。

 生意気盛りオスガキを手懐けるなど、朝飯前だったようね。

 司さんに落とされた理凰・・・う、うらやましくなんて、ないんだからね!

 

 こんな私が、

 司さんとまともに話せる日は来るのだろうか・・・

 

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