「この人が私のコーチ…明浦路司さんだよ」
司に抱き着いて自分のコーチだと発表した光は、そうはもうメチャクチャいい笑顔だった。
自慢のパートナーを公に披露できた喜びで大満足といった様子。カワイイ!
光にばかり頼っていられない、次は俺の番だな。
さあ、己が何者であるかを告げる時が来た!!
ちゃんと自分の口から堂々と誇りを持って宣言してやる。
「狼嵜光のコーチをしている、明浦路司です!よろしくお願いしましゅ!」
あ、嚙んじゃった///
何やってるんだ俺!光が『ブフォッw』と吹き出したじゃないか。
大事なところでビシッと決められなくてごめんね!
でも、言ってやったぞ。こ、こんな感じでどうでしょうか?
恐る恐る部屋の様子を見渡してみる。
瞳さんはウンウンと頷き、理凰君とミケ太郎は音を立てない拍手をしてくれた。
慎一郎さんはとても優しい眼差しで俺と光を見ている。
思わずパパァ!と呼びたくなる父性を感じるぜ。
事情を知る皆からは『まあいいんじゃね』と及第点を頂けたようで安心した。
問題はここからだ。
初耳連中のリアクションが来るぞ!
ははは、こやつらめ。揃いも揃ってポカンとしよってからに。
光と俺のサプライズを食らった面々は完全にフリーズしてしまっている。
完全に静まり返った室内。ふむ、嵐の前の静けさってヤツだな。
この感覚には覚えがある。
ルクス東山に光がやって来た初日と同じだ。
静寂なるひと時もあと数秒か、衝撃に備えるため光を少しだけ抱きしめ返す。
嬉しそうに『えへへ』と笑う光がクソ可愛い!
そろそろか・・・せーのっ!さん!はい!
「「「「なっ、なんだってぇーーー!?!?!?」」」」
いいね!模範的なリアクションだね!
ありがとうございます!!
●
開講式の会場は騒然としながらも言い知れぬ緊張感に包まれていた。
そんな中、爆弾発言をした張本人たちは素知らぬ顔であった。
「光、そろそろ離れてくれるとありがたい」
「今充電中だから無理。急速充電してほしかったらもっと強くギュッてして」
「これでいいか?」
「ひゅ~ツカサニウムがチャージされるぅ」
「え?俺ってばそんな謎物質を出してたの?」
何をイチャついとんじゃボケェェ!?!?
二人の様子に会場の空気はますます不穏なものになっていく。
司が光との関係を公表した瞬間、瀬古間衛のかけた術式は解除された。
各々の認識が正され、霧が晴れたような感覚が脳内に浸透していく。
情報のつかめない司の新弟子、光がどこで誰と練習をしているか不明であった事。
ヒントは既に出ていたのだ。
呪術という反則的な力の介入がなければ、察しのいい人物ならすぐにでも気付いたはずだ。
歪められていたパズルのピースが今、ようやく組み合わさった。
「ぷっ…くくくw…あはwあははははははwwwそっかそっかぁwwそう来ちゃうかぁwww」
いち早く自我を取り戻したライリー・フォックスは人目も
笑い過ぎて目に涙を溜めたまま、司たちの前に躍り出る。
突如接近して来たライリーに司たちは『うわ、出たよ』と警戒態勢に移行。
瞬時にしかめっ面となった光は嫌悪の感情を隠そうともしない。
「ピカるんとつかっち、
「うるせーよ、
「コラッ光!相手がいくら腹黒フォックスでも失礼だろ!」
「うはw私嫌われすぎwww」
失礼な態度をとられたにもかかわらず、ライリーは楽しそうだ。
彼女は悪びれもせず自分の提案を口にする。
「ねぇ二人とも、今からでも私のクラブに来ない?みんなでハッピーになろうよ」
「お断りします。なんでもかんでも自分の思い通りになると思わないでくださいコノヤロウ」
「寝言は寝て言え、
「またしても、うちのエースを引き抜こうだなんて…本当にいい度胸してますね?ライリー先生とは一度じっくり語り合いたいわ、拳で!!」
「やーん!ピカるんにつかっち、それに瞳先生も顔が怖いゾ☆」
あまりに不躾な勧誘に温厚な瞳も不快感を示す。
今のはライリーが悪いので誰も助け船を出すことはない。
三人に凄まれて『キャー☆』と退散するアメリカ産の女狐様。
あの様子ではきっと懲りてはいない。
ライリーを皮切りに、大勢が『どういうことだ?』と司たちに詰め寄って行った。
会場の混乱はしばらく収まりそうにない。
喧騒の最中、結束いのりは茫然自失状態であった。
そんな彼女にそっと近づき肩を叩いたのは、美しきオオカミ少女、光であった。
至近距離まで接近し、いのりだけに聞こえる囁き声で語りかける。
「ありがとうね、いのりちゃん」
「え…なに、が…」
「いのりちゃんがヨダカを選んだおかげで、司さんは私を選んでくれたよ」
「…そんなつもりじゃ…」
「本当にありがとう。私今、とっても幸せなんだ」
光は本当に幸せそうに笑う。
その酷薄な笑みを見ていられなくて、いのりは目を逸らす。
逸らした視線の先には、かつて自分のコーチだった人がいた。
彼はもう私を見てはくれない。その事実に打ちのめされる。
「……司先生…」
不意に漏れたいのりの言葉に、光は即座の反応をみせた。
「違うよ」
「…え……」
「もうあの人はいのりちゃんの先生じゃないよ」
「……っ」
「私のだよ」
「
笑顔のままだが、光の目はまったく笑っていない。
彼女から発せられたのは身震いするようなプレッシャー。
それは光の本心を言葉よりも雄弁に語っていた。
明浦路司は私のものだ!
誰にも渡さない!
彼を惑わす事は絶対に許さない!
プレッシャーをまともに受けたいのりは、今すぐ逃げ出したい衝動に駆られたものの、何とかその場に踏みとどまった。
まただ、またあの感覚がする。
体の奥底から湧き出る熱く煮えたぎる何かが、内側から全身を侵していく。
これは・・・怒り?
光に対し激しい憤りを感じている自分がいる事を、戸惑いながらもいのりは自覚した。
何か反論しようと口を開きかけた時・・・
「キミたち何をしているのかね?」
「うわっと!」
「つ、司先生…」
二人の感情を乱す人物、司は腕組をした姿勢ですぐそばに立っていた。
瞳に説明を丸投げして逃げて来たらしい。
「見つめ合ったまま動かないからビックリしたぞ。二人はもしかして、
「違うよ!私はいたってノーマルだから変な誤解しないで!」
「そ、そうですよ。光ちゃんとは別にそんなんじゃないです」
「なんだ違うのか…百合の間に挟まるチャンスだと思ったのになぁ…」
「「残念そうにするな!」」
「息ピッタリさんだね。試しにちょっと挟んでくれる?」
「「しないったら!」」
「ちくしょう…だが俺は諦めない。諦めないからな!」
本気で悔しがる司を前に『司先生、こんな人だったけ?』と、いのりは首を傾げる。
司は光の頭をペシペシ叩きながら、申し訳なさそうにいのりへと向き直った。
絶妙な力加減で頭部に触れられている光は何だか嬉しそうだ。
その気安いやり取りに、いのりの心はざわついてしまう。
「ごめんね、いのりさん。
「いえ、別に、大丈夫です」
「ちょっと司さん。私が全面的に悪いみたいに言わないでよ」
「どうせ余計な言動でいのりさんを挑発でもしたんだろう?」
「可愛い教え子が信用できないの?悲しいなぁ…」
「嘘をつく子とは距離を置くべきですかね?狼嵜さんはどう思います?」
「他人行儀は嫌ぁぁ!私が悪かったです、すいませんでしたぁ!いのりちゃん、ごめんなさいぃぃ!!」
「あ、うん。私も、なんかごめん…」
「ちゃんと謝れて偉いぞ。二人とも仲良くな」
「はーい。善処しまーす」
「……はい」
狙ったのかそれとも天然なのか、ともかく司はこの場を治めることに成功する。
司たちによって長引いた開講式は、何ともいえない雰囲気のまま終了した。
●
ざわ・・・ざわ・・・
「あの師弟どういう関係だ?」
「なんか距離近すぎじゃね?すっげぇうらやましいんだけど」
「ひ、光ちゃんがメスの顔してた…」
「明浦路先生って、いのりちゃんの先生だったはずじゃ?」
「ええ!?それでさっきケンカしてたのか」
「修羅場?ねえ、修羅場なの?」
「え、えらいこっちゃで。この合宿無事に終わるのかよ」
「コーチたちもビックリしてたね」
「ライリー先生、フルボッコだったwww」
先程の興奮冷めやらぬ感じで、俺と光は噂の的になっていた。
この程度は想定の範囲内だ。好きなだけざわつくがよい!
「瀬古間さんから連絡があったわよ。術式は無事解除されたって、これで一安心ね」
「本当ですか!や、やった、姉畑先生よばわりを回避できたぞ!」
「おめでとう司さん。あとは私とウコチャヌプコロすれば完璧だよ」
「あはははwアイヌ語全然ッわかんねぇwww」
ヒグマと致した汚名は被らずにすんだけど、熊よりヤバい
人生が完璧に終わるような光の発言は全力スルーだ!
「悪足掻きは見苦しいわよ。もう観念して楽になれば?」
「瞳さん…最近、俺の味方をしなくなりましたね。光と何か取引でもしましたか?」
「私は純粋な善意から光ちゃんを応援しているだけ、カミサキがクラブの運営資金をPON!とくれたからじゃないわ!」
「瞳先生は話のわかる大人だよね~」
チィッ!瞳さんは既に懐柔されていたか。
光の外堀をガンガン埋めていく手腕には呆れてしまうわ。
「汚い!瞳さん金に汚いですよ!よくも俺を売ったな!」
「この先のクラブも安泰で、司君は可愛いお嫁さんをゲットできる。何が不満なのよ?」
「自分の生き方を勝手に決められるのが嫌なんですけどぉ!」
「ムキになる司はまだ知らなかった。来年、自分が光にプロポーズをしている未来を」
「おい、不吉なモノローグねじ込むなや」
いつものやり取りができている、合宿でも光は緊張した様子がない。
全然問題ない。俺も普段通りだ。
「無理してない?」
「何がだ?」
「わかってるくせに…いのりちゃんに会ってみてどう?辛くなかった?」
自分でも驚きなのだが、いのりさんを前にしても感情が思ったより波打ったりはしなかった。
以前、あれほど悪夢に悩まされていたのだ。ここに来る前は取り乱して号泣する自分を想像していたのだけど、実際に会ってみると何と言うか・・・
『あ、前に担当していた子だ。おひさ~』ぐらいにしか思わなかったんだよな。
その理由はたぶん・・・
「光がいてくれたから、平気だったよ」
「本当?私、司さんの役に立てた?」
「ああ、お前にはいつも助けられている。さすがは俺のお薬様だな」
「もっと褒めてくれていいよ。これからもご愛用よろしく」
「オーバードーズになりそうだ」
「中毒になってもずっと支えるからね。安心して私に溺れちゃってよ」
ヒカルセラピーの効果はバツグンだった。
俺のメンタルはいのりさんと普通に会話できるまでに回復していたのだ。
朗報が続いて気分を良くした俺たちは気合十分で練習場へと向かう。
そんな俺たちを複雑な表情で見ていた少女には、あえて気付かないフリをした。
●
ジュニア強化合宿では特別講師による氷上レッスンや陸上レッスン、
競技の複雑なルールに栄養学、芸術表現などの座学も受けることができる。
そして一番大事なのが、連盟の人たちからアドバイスをもらえる機会があることだ。
海外でも通用する選手を見て来た人からの助言はとてもありがたい。
光の更なるレベルアップにも活かせるはずだ。
「光、行けるな?」
「うん、任せて。ぶつかり稽古が禁止なのは残念だけど、頑張るよ」
俺と光が争うように滑り合い、フィギュア全体の精度を高めていく練習法。
通称・ぶつかり稽古(瞳さん命名)は合宿中は禁止とした。
光にはこの合宿でしか学べないことに、ライバルたちから刺激を受け、身内の贔屓目がない客観的なアドバイスを受け止める事に注力してもらいたいのだ。
「ほら行って来な。みんなにお前のカッコイイところを見せてやれ」
「かしこまり!そんじゃまあ、イッテキマース!」
光が勢いよく滑り出した。よしよし、あの様子なら問題なさそうだな。
スケートリンクには同じグループ選手とコーチたちもいて、それぞれの練習に励んでいる。
その中にはいのりさんもいるわけで、何とはなしに目で追ってしまう。
さすがに夜鷹純は来ていないようでライリー先生がコーチとして付き添っていた。
いのりさん、やっぱりキミは凄い・・・
各技の出来栄え、洗練された動きの数々、俺の下を去ってからも彼女がどれだけ努力を積んだのかが嫌でもわかる。
光が愚痴をこぼしていた例のヨダカ式トレーニングに食らいついて更なる成長を遂げたようだ。
元コーチとして純粋に彼女を褒めたい。
「いのりちゃん、前より確実に上手くなってるわ…東京に行ったのは正解だったのかしら…」
「ええ、さすがですよ。俺よりマシなコーチがいい指導をしてくれているんでしょう」
「嫌味を言えるなら、もう大丈夫ね」
光も瞳さんも心配しすぎだってばよ。
俺はいのりさんのコーチだった。それだけの事だ。
他の選手たちを見て思う、どの子もみんな素晴らしい出来栄えだ。
このライバルたちと光は戦わなくてはならないのだ。気は抜けないな。
その中でも一際目を引く存在が、眼前でジャンプを決めて見せた。
「すごっ!?あの子が…」
「ジュニアGP金メダリスト、岡崎いるか。カッコよ~」
ヤバいな、ジャンプの高さが普通じゃない。
並みの女子選手とは桁違いの高度を軽々跳びやがる。
現段階の身体能力は光以上と見ていいだろう、こいつは強敵だ。
ジュニアに上がればこのレベルの怪物たちと競うのか・・・
俺は光の強さを信じているが、それでも心配になる。
俺と瞳さんが岡崎選手に熱視線を送っていると、それに気づいた彼女と目が合う。
パチパチパチ『キャー!素敵!抱いて!』と拍手すると、照れたような感じで会釈してくれた。
あらヤダ、いい子じゃない?
そういう態度とられると、ファンになっちゃうわよ////
『コラァァ!私を見ろォォォッ!』
ハッ!脳に直接少女の憤慨する声が!?
俺の前で見せつけるようにジャンプする選手が現れる。
そいつは俺のパートナーである少女、狼嵜光だった。
岡崎選手に対抗するためか、いつも以上に気合の乗った得意技を披露する。
光の十八番・三回転ルッツ!!
惚れ惚れするような美しいジャンプは何度見てもいいものだ。
俺だけではなくリンクにいる全ての人間の目を釘付けにしてみせた。
皆さん今の見ましたか?
その子、俺の生徒なんですー!強くて可愛い自慢の子ですよ!
難なく着氷した光は『あなたは私だけを見てればいいの!』とジト目で訴えてくる。
フハハハハ、誠に
「うちの子が一番とか思ってない?」
「思ってますよ。光は俺の誇りですから」
「親バカならぬコーチバカね。でも、気持ちはわかるわ。私だって光ちゃん(ドル箱)の活躍は嬉しいもの」
「金に目が眩んでいるの隠せてないですよ。こんな瞳さん見とうなかった!」
「司君は理解していないようね。光ちゃんがもたらす経済効果の凄さを!」
金の亡者と化した瞳さんは教育に悪い。
光にはポンポン金を出すなと注意しておこう。
●
午前のレッスンを終え昼休憩の時間になった。
育ち盛りの選手たちはお腹ペコペコで食堂兼談話室に集う。
今のうちに栄養を補給して午後のレッスンに備えなければならない。
かく言う私、狼嵜光も腹が減っていたので結構ガッツリ食べた。
選手の健康を考慮したバランスの良い食事、司さんの手料理には劣るけど、まあまあ美味しかったね。
「ごちそうさまでした。ふぃー、食った食った」
「食いすぎだろ。山盛りご飯をかきこんでんじゃねーよ」
「成長期だからいいの。それに、司さんは『いっぱい食べるキミが好き』だって言ってくれるはず」
「ただの願望じゃないか、ゲロ吐いても知らないからな」
ランチをご一緒した理凰がガミガミうるさい。
お父さんとお母さんが私に甘い分、昔から何かと小言の多い奴である。
私からしたら、理凰が小食すぎるんだよね。
もっといっぱい食べないと、司さんみたいなイイ体にはなれないぞ。
「先生たちは、今頃コーチ陣のミーティング中か…」
「だね~。晩御飯は一緒がいいなぁ」
「お前のコーチだって暴露したせいで、いろいろ言われるんだろうな。先生、またメンタル病まないといいど」
「そうならないよう、私が全身全霊で司さんを支えるよ。生涯に渡ってね」
「張り切りすぎるなよ。お前が暴走すると余計にややこしくなるのが目に見えている」
「ぐっ…そう思うなら理凰もフォローしてよ。得意のツッコミで何とかしてよ!」
「別に得意じゃないが?言っとくが、司先生とお前が二人でボケ出したら手に負えないからな」
結局最後は理凰もボケに回るもんね。
収拾つかなくなって瞳先生に全員まとめて折檻されるのがお決まりのパターンだ。
『ルクス東山の三バカ』と言われて喜んでいる理凰の頭も大概だと思う。
理凰と他愛もない話をしていると、私をチラチラ伺うような視線をいくつも感じる。
はっはーん!私と司さんの関係を聞き出したいのだね。
いいぞぉ!聞きたいのなら聞かせてやる。
思春期真っ盛りには刺激の強い、私と司さんの愛のメモリーを!!
クハハハハハハハハッ!
「光ちゃん…」
「へアッ!?……い、いのりちゃん?」
心の中で高笑いしていたら急に話しかけられてビックリした。
なるほど、ここで来るのか…意外と早かったね、いのりちゃん。
「光ちゃん、話があるんだけど…いい?」
「お前!どの面下げて」
「理凰、ちょっと席を外してくれる?」
「おいおい、こんな奴と今更何を…」
「理凰!お願い」
「……チッ!わかったよ…」
舌打ちをして理凰は席を立った。
男子グループと合流して、こちらを遠巻きに見守る事にしたようだ。
いのりちゃんに着席を促すと彼女は私の対面に座った。
部屋の空気が重くなったのはたぶん気のせいではない。
「それで?話って何かな?」
「決まってるでしょ」
へぇー、決まってるんだ。知らなかったぁww
「司先生のことだよ」
「
光といのりが真っ向から衝突する。
現場に居合わせた者たちは戦いのゴングが鳴る音を聞いたのだという。
・・・・・・・・・・
「ね、ねぇ理凰君、あの二人止めなくていいの?」
「遅かれ早かれぶつかる運命だ。勝手に戦ってろバカどもが」
「えぇ、それはさすがに酷くない?」
「止めたいならご自由にどうぞ。俺には無理だ……だって、あいつら恐ぇぇし!」
「「「「確かに恐ろしいぞ!!」」」」
見ている事しかできない、無力な子供たちは心中で同じ男に助けを求めた。
『『『『司先生!早く来てくれぇぇ!!』』』』