雄英体育祭までの僅かな時間、放課後や土日にひたすらA組を鍛え上げる。通称維折の
「えーとまずデク君」
「はい!」
「私の新しい新形態ホーリーマミについては昨日見せたね」
「は、はい…!」
結果から言うと昨日の訓練はただひたすらに個性の質量ですり潰す一方的な暴力だったので、なんの訓練にもならなかった。
「あれは…仕組み的には、さ。自分の全身の筋繊維をリボンで覆ってる。筋肉よりリボンの方が強くて出力も大きいからね。ようは身体の内側に「巡らせて」…「倍増」させる技」
「なるほど…!リボンの個性は手から放つ!それをあえて放出せずに体内に巡らせたのか……!」
「デク君にも同じことは出来るはずだ。リボンよりもっと簡単にね、全身の力を均一に溜めて高めるんだ」
「練習してみるよ!」
これでフルカウルを覚えてくれたらいいな。
体育祭で腕バキバキにしたら怒られるよ?
「はい、お茶子ちゃん。トガが使うんなら…人を浮かせて上空で解除して殺すのです」
「命を取るんはやめてほしいかな…」
「お茶子ちゃんはβあげして車投げとけば勝てる」
「なんの話やっ!?」
しまったつい前世の思い出が…
「えー…切島君と砂藤君、君らはある戦士と闘ってもらうよ」
「えっ…」
「お、おいある戦士ってエンデヴァーじゃねぇよな…?」
「安心して、こちらです」
私はただ、扉を開けるだけだ。
すると聞き覚えのあるBGMが流てくる。
ちょっと権利とかの関係で直接は言えないが、巴マミといえばのあのBGMだ。
「な…なんだ…?」
「え…誰!?誰なのこのおじさん!?」
そこには、黒くぶ厚い胸板にテンガロンハットとジョックストラップという紳士的な出で立ちの男性が仁王立ちする異様な光景だけがある。
ちなみに、ジョックストラップというのはケツ丸出しのパンツであり、とてつもなく肌面積の多いマッチョなのだ。
「あの人達が私を馬鹿にしたの!怒って!」
「え!?なに、なんで!?」
「違うよ!そんな事してません!!」
「ティロ………フィナーレ!」
男は叫ぶ。ただ、凄まじい気迫をもってして、まず切島の頬を殴った。返す手で呆然とする砂藤にも拳を振るう。
「お、重い……!なんだこのパンチ…!」
「お、おい袴田助け…」
「ティロ・フィナーレ!」
完全に怯んだ砂藤が次の瞬間、地面に倒れ込む。
一体何が起こったのか?目眩がする、脳が揺れる。
「マミさんと呼べ……!」
「結局マミさんって誰なんだ!」
「私だ、君達にはその男を倒せるくらい強くなってもらう」
「まず誰なんだよォっ!!!このおっさん!!!」
「結局エンデヴァーみたいなもんじゃねぇか!」
なんなら絵面の衝撃度的にはこっちのほうが上だ。
「あと…この、この音楽なに!?」
「それは私のテーマ曲。ようやく再現……完成できたので試験的にその男に試聴してもらってる」
「とても素晴らしい曲です、我らがマミさん…」
「いい音楽だけどさぁ!!!」
その日から毎日、切島と砂藤は謎の男性にボコボコに殴られ続け、個性の強度と戦闘力を爆発的に上げたという……
「次!青山君!」
「ウィ☆」
「このトイレに座ってあの的を撃ち続けろ」
「ウィ☆」
青山君は毎日のように血の滲むような過酷な訓練に励んだ。実際に血が滲んでるのは尻なのだが。
「ヤオモモ!」
「はい!」
「これを覚えて、頭にたたき込むんだ」
「これは……?」
「これがクラスター爆弾、こっちが核兵器、水爆、毒ガス、それらを最も効率的に飛ばせる無反動ロケット、大陸間弾道ミサイル、核搭載二足歩行戦車…白リングレネード…」
「待ってください」
「特にオススメは白リン。アメリカではW・P…ウィリー・ピートなんて呼ばれてて人間の皮膚を焼きながら骨まで到達して、治療から数日経っても空気に触れると発火する。体内に蓄積させたリンが腎臓とか心臓を破壊して確実に……」
「待ってください」
「これを覚えておけば、改良型の赤リンが創りやすくなると思う。赤リンの出す煙は赤外線を遮断する効果があって、かつ白リンと違い安全性が高い」
「あ、そっちは助かりますわ」
火力だけなら白リンの方が上なんだけどなぁ。
「あとは、食べ物を創造して、脂質が付きやすいもの」
「へ?……食べ物、ですか?そんなこと出来るんでしょうか」
「出来る出来る、生物じゃなくてただの物質、それを口内で創って脂質を補給しながら脂質を出し続けて」
「………や、やってみますわ……」
ヤオモモは、その日の内に歩く大量破壊兵器になった。
その気になれば一晩で国を滅ぼせるだろう。
「瀬呂君、私のダミー人形にロープアクションの動きを教えさせるから頑張ってね、たまに腕とか千切っちゃうけど治してあげるね」
「千切れるの!?」
「大丈夫、治せるから」
瀬呂範太の動きは若干ジーニストに寄った。
「芦戸ちゃん、どんなに痛かろうと止めずに酸を出し続けて」
「わ、分かった……」
「大丈夫だよ〜治し続けるから痛くないよ〜」
「………いや全然痛いよ!?」
「お茶子ちゃんはヒミコと組手ね、じろちゃんも組手しておいで!葉隠ちゃんはトランペット練習してて!」
「うん!………うん?なんで?」
「ヴァイオリンは私だから」
「トガはキーボードなのです」
「バンドの話!?」
A組女子はヒミコ仕込の格闘を叩き込まれ、葉隠透はトランペットの吹き方を叩き込まれた。
「さぁ!次は上鳴、脳味噌焼き切れ」
「あれ本気だったのかよーー!?」
BOOOOOOM!!!
けたたましい爆音が響き渡る。
拳を振るい、苦悩も痛みも全部爆破に乗せて吹き飛ばしてやる。
「ハウザーインパクト…火力は上がった…だが足りねぇ…!こんなんじゃリボン野郎は殺れねぇ…!!新技のほうは調整に手こずったせいでまだ通用しねぇはずだ…!」
袴田維折の強さは本物だ。
生半可な火力で越えられる相手じゃない。
「あの陰湿舐めプリボンは俺が殺る…!」
滴る汗がバチバチと音を立てて闘志を掻き立てさせる。
必ず、すべてを越えた最強のヒーローになってやる。
「俺が目指すのはもっと上だぁ゙……!!!」
爆豪勝己もまた、限界以上のトレーニングに励んでいた。
さらなる強さを得るためにギラギラと輝くその手を振るう。
さて、A組魔改造計画の最終盤は、最近まですっかり忘れていたオールマイトの内臓修復計画だ。
相澤先生がちょろっとなんか言ったのを聞いて、オールマイトも乗り気だった……ので。
「Watts!?私は一体…!このリボン、袴田少女!?」
「これからオペを始めます」
「NO!待ってくれ!医師免許はあるんだよね!?」
「あるわけないでしょう、ヒミコ、メス」
「はい!」
「ちょっと待って!お願い!!」
リボンで回復し続けているので麻酔はなくても良い。
繊細なメス使い…これただのナイフだな。
ナイフでオールマイトの腹を掻っさば……
「力入れないでくださいオールマイト、刃が折れた」
「……約束してくれ、本当に大丈夫なんだね!?」
「へいきっすよ」
気を取り直してオールマイトの腹を掻っ捌く。
リボンの回復効果のおかげで失血死はあり得ない。
うわぁ…内臓スカスカ。これはエグい。
「ヒミコ、砂肝」
「なのです」
「待ってくれ今砂肝って言った!?」
鶏の砂肝をリボンで丁寧に繋ぎ合わせる。
多分行けるだろう。多分。
「このまま砂肝を膨らませて…通常の胃として機能するようにして……あれ、大きさ足りない。もう二個くらいいれちゃえ」
「Holy…SHIT…!誰か助けて…」
「シマチョウも入れて〜リボンで繋いで〜」
「……これ胃が3つくらいあることになりません?」
「まぁ無いよりはある方がいいんじゃない?」
なんだか楽しくなってきた。
このままスーパーオールマイト創ろう。
数時間かけてようやく完成…じゃなかった、完治した。
めちゃくちゃ健康そのもののスーパーオールマイト。
「う、うん…ありがとう!完全に治ってるよ!」
「オールマイト、右手力んでください」
「ん?こうかい……えぇ……」
「成功した!やったー!」
オールマイトの右腕がバキバキに硬化する。
計算通りなら全盛期のオールマイト以上の硬度が得られるはずだ。
「なにこれ…?わ、私の身体になにしたの袴田少女…」
「筋肉に血が巡りやすいよう老廃物も取っときました。ついでにヤオモモに造ってもらった超合金とか炭素とかダイヤモンドとか、リボンに練り込んで筋肉と融合させ、馴染ませることで究極の硬度が…」
「君なんでもありだね!」
「あ、忘れてたのです。オールマイト今、イオリちゃんのリボンが綺麗に一体化しちゃったのでちょっとした傷だったらすぐ治りますよ」
「凄いな…!」
「あと個性因子減ってたんで足しときました。リボンの回復効果も個性因子に継ぎ足しといたので、再生能力は永続です」
「ありが…えぇっ!?それ足せるものなの!?」
「はい、繋ぎ止める個性なので」
結果的に、オールマイトは通常の3倍のパワーに防御力、深海や宇宙空間でも活動できる肺活量、また内臓を吹き飛ばされても治ってしまう再生能力、ついでにワン・フォー・オールの残り香(残量MAX)となって復活した。
主にホルモンで
オールマイトパワーアップの一報を受けてオール・フォー・ワンが切れ散らかしていたと同時に、メディアではオールマイトの個性の考察がめちゃくちゃ盛り上がっていたそうだ。
繋ぎ合わせ、繋ぎ止める個性。
それが【リボン】なのです
生命を繋ぎ止め、傷を繋ぎ合わせる。
それに伴って血も内臓も腕もあるべきように繋ぎ合わせる
それが、【リボン】です(?)