雄英体育祭、第1種目。障害物競走。
『スタート!!!』
一斉に走り出した民を見ながら、私はヒミコの背中にしがみついてリボンをプロペラ状に形成、風力で加速する。
ついでに追い抜こうとすぐ後ろに来たやつは吹き飛ばされるんで気をつけてもらおうか。
「私がプロペラ!」
「私が推進力なのです!」
ヒミコがリボンをスパイダーマンみたいに射出して身体を引っ張ると、面白いように吹っ飛んでいく。
引っ張る力と押す力、両方あればそれは速い。
このスピードなら1位も余裕だろう。
『さっそく実況してくぜェ!!解説アーユーレディ!?イレイザーヘッド!!』
『無理矢理呼んだんだろうが…』
『1-A袴田!!同じく1-A渡我と合体技だ!!なんで協力してんだよぉ!!』
『あいつらデキてるからな』
スピードは十分、コントロールもまだまだ行ける。
私達2人揃えば無敵なのだ。
『だがそう簡単に行かせねェぞ!第1関門!ロボインフェルノ!!』
入試のロボだ。今さらこんなもんで怯むやついないだろ。
一瞬で粉々に消し飛んだロボ達の残骸が空中で氷漬けになる様は中々に神秘的だった。
「ティロ・フィナーレ・リベレーション!」
『1-A轟!!袴田が粉々にしたロボを凍らせて広範囲を足止めだァ!!こいつァシヴィーーーっ!!!』
私達はこのままのんびり吹っ飛んでいこう。
追走してくる轟君のおかげでひんやりと心地良い。
「うわっ!ロボの破片が…」
『おっとどうした大きく仰け反った1-A緑谷ァ!!頭から血を流しているぞ!』
デク君が流血?そんなイベントあったかな。
もしかして私が無駄にロボを粉々にしたせいか?
それなら本当ごめんね。
『ここからはよく見えなかったが…破壊されたロボの破片が当たったようだな』
チラッと振り向いてみたけど結構な流血だ。
額ががバックリ裂けている。
ダラダラと流れる血のせいか走りづらそうにしているが……見たところ全身に力をまとわせ『フルカウル』を使ってるはず。
にも関わらず……たかが破片であそこまで傷を負うか?
『おいおい!第1関門チョロいってよォ!!んじゃ第2関門ほどうさ!落ちればアウト!!それが嫌なら這いずりな!』
普通ならここで減速するだろう。
「ヒミコ、突っ込め!」
「りょうかいですっ!」
この程度のロープ、まともに走ってやる義理もない。
切り立つ崖にリボンを這わせて編み込んでやれば、あっという間に豪華絢爛な橋の出来上がりだ。
「快適快適〜♡」
『ウッソだろおい!A組袴田&渡我コンビ!橋を作っちまった!しかも無駄に装飾凝ってるぜ!!!』
「いくぞ!俺達もこの橋を使わせても…」
「あぁ!?真ん中まで来たところで橋を消しやがった!」
「助けて!助けてぇ〜〜〜!!」
『えげつねえ!!!』
『合理的だな』
誰が敵に塩を送るような真似をするか。
この橋渡るべからず…というにはトンチが無さすぎるが。
「待てやぁ!!舐めプリボン!」
「ギャッハッハ!!弾けて砕けろ!
爆発音煩い。あの爆発音に日頃囲まれてるから、あいつら声が無駄にでかいんじゃないの?絶対耳悪くなってる。
粉塵を下に撒き散らしながらそれを即座に発火して粉塵爆発を起こしてるようだ。
粉塵を出すだけの個性でなく、恐らく火を点けるのも個性の内なんだろう。どちらか片方だけだったらこんな傲慢な性格にはならなかったのかもしれない。
『1-A爆豪!飛んできた!1-B粉実も飛んで……おい!わざわざ足元の奴ら爆撃してんぞ!!やりすぎじゃね!?』
『はぁ…怪我人は終わり次第、リカバリーガールか袴田のところに行くように』
相変わらずあの粉実とかいう女、凶暴すぎない?
横の爆豪を見ろ、あの引いた顔を。
かっちゃんにはな、常識ってものがあるんだ。
「こいつ…派手に殺るじゃねぇか…!」
前言撤回、爆豪も爆撃機になった。
雨霰のように降り注ぐ爆破…粉実の爆破と爆豪の爆破が合わさってとんでもない地獄絵図。
後ろから爆撃機二機が生徒達を爆殺しながら迫ってくる。
でも確かにそうだよね、「妨害してはダメ」とは今回誰も言ってない。つまりこれは成績に響かない正当な行為だ。
「ギャッハッハ!!!バクゴー!!テメェも殺るじゃねぇかよォ!!!おら!おらぁ!おら死ねクソ個性共!!短小個性にゃねーんだよ!生きる価値ってヤツがさぁ!!!」
「死にやがれッ舐めプリボン!死ねやァクソデクゥ!!」
『こいつらヒデェーーー!!』
成績に響かないのなら、確かにやるか。
随分と楽しそうだ。
「デク君っ!!」
『お、おいおいA組緑谷大丈夫かぁ!?血塗れだぞ!!』
やっぱりなにかおかしい。
気になる、デク君に何が起きてるんだ?
やっぱり、まただ!
やっぱりさっきの破片も偶然じゃなかった!
僕は意図的に狙われていた!
「うッ……ぐ…!!」
今の背中への衝撃で体勢を崩して、ロープから足を滑らせてしまった。なんとか掴んでいるけど、正直肩に刺さった破片のせいでうまく力が入らない。
僕はこんなところで負けてしまうのか?
せっかくオールマイトからワン・フォー・オールを受け継いだのに、こんな不甲斐ない結果で終わってしまうのだろうか?
「デク君っ!!」
「っ…!麗日さん…!!どうして…」
「いいから!私たちで決勝行くんだよ!!」
身体がふわっと軽くなって、そのまま麗日さんと宙を舞った。
そうだ…!僕はまだ負けちゃいないぞ!
「ありがとう麗日さん!助かったよ!」
空から見下ろしたから分かった、あの包帯男は僕の横の麗日さんを見て手に持っていた破片を捨てた。バレるのを恐れたんだ、僕を攻撃したのはあの包帯男だ!でもどうして?なぜ僕だけを狙うんだ?敵なのだろうか!?
『はやくも最終関門!一面地雷原!怒りのアフガンだ!!』
袴田さんに教えてもらった『フルカウル』…!
まだ慣れてないからたったの2%が限界だから…奴の攻撃は防げなかった!おかげでかなりダメージを負った…!
たぶん包帯男の個性は出力の高いパワー増強系…!
「麗日さん!地雷を集めて飛ぼう!」
「えぇっ!?無茶するなぁ…もう、私が浮かせるね!」
これじゃあゴールまで体力が持たない…!
あいつの攻撃でダメージを受けすぎたから、ワン・フォー・オールのコントロールが鈍ってきてるんだ。
だから、地雷の爆風を利用する!
『後方で大爆発!?』
来たか…デク君。
…それとお茶子ちゃんも一緒かぁ。
想定より速い。お茶子ちゃんの個性で軽くなったので、その分爆風をもろに受けて速く飛んだようだね。
『抜いたァ〜〜〜!!』
「だとっ…!クソデクゥーーーっ!!」
「緑谷…!」
でもダメだ、今日は全部1位になりたいんだ。
「なっ…捕まっ…!?」
「い、維折ちゃ…!」
「この構図ダブルデートになるのかな」
ゴール直前、ほんの一瞬あれば十分だ。
デク君の右手とお茶子ちゃんの左手をリボンでガッチリ結んで、こちらへ引っ張りお互いを意識させつつおまけでフル回復させて逆に私達無敵のヒミコ・イオリコンビが一着ゴールインだ!
そっちのほうがデク君も楽できるだろうしWIN-WINだね。
『今年は例年より多いので予選通過は上位45名!』
A組22名、B組22名として、発目ちゃんと心操君大丈夫かな。
……心操君は27位か…結構速い。あぶれるのは……
青山くーーーんっ!!!
「負けちゃった☆」
「チーズ友達が死んだ……惜しいやつを亡くした」
「仕方ないのです。強ければ生き、弱ければ死ぬ……それが自然の摂理、それだけです」
次の試合は騎馬戦、私とヒミコは当然として……
あと2人、どうしようかな。
今日のオリキャラ達
維折「私のせいでデク君怪我したのかな…?」
力内少年(33歳包帯男)「なんとか緑谷を暗殺しないと殺される」
粉実「クソ個性相手に強個性振るうの楽しぃぃぃ!!!」