【リボン】のヒーローアカデミア   作:嘘しか言わん狐

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悪夢の先触れ

何度殺しても蘇生される。

あの緑谷出久という少年がワン・フォー・オール継承者だというのは分かった。

 

赤リンの煙幕の中で、完全にすべての情報を遮断され、それでもオール・フォー・ワンは魔王だった。

何も見えず、音も頼りにならない状態で戦い続けた。

 

「さっさと死ねや!!」

 

背中を爆炎で焼かれ押してくるのは忌々しき駆藤似の男。

 

「!やっと赤外線が…!」

 

ようやく煙が晴れた。今度こそ目の前の目障りなヒーローを一掃できる。そう思った矢先に再び赤リンの煙を撃ち込まれる。

しかしこれでは周りのヒーロー達だって見えないはずなのに。

 

「バクゴー!もっと右だ!!ぶっ殺せ!」

 

「そこかァ!!!」

 

「緑谷君、そこ左下ね」

 

「SMASH!!」

 

なんという個性の練度、自分の体に絡みついたリボンでの索敵、あのぜひヴィランとしてスカウトしたい女は粉塵をばら撒いてその中の動きを繊細に感知しているのだ。

 

「ぬぅっ!!!」

 

AFOの背中から放たれた触手のような黒爪が緑谷出久の脳幹を確実に抉り取った。

 

そのたびに、袴田維折のリボンに無駄にされる。

 

何度も何度も何度も、心臓を貫き、頭を吹き飛ばし、身体をバラバラにしてやったのに、緑谷出久は即座に生き返り殴りかかってくる。その姿にかつてのオールマイトを幻視しながら、オール・フォー・ワンは彼の身体に纏わりつくリボンを忌々しく思っていた。

 

そのリボンを【炎熱】で焼き切ろうと手を伸ばし……

そして防がれた。ベストジーニストに一瞬だけだが服の裾を解かれてズボンに縫い付けられたせいだ。

 

「SMASH!!!!」

 

その拳に黒い鞭のような物が覗く。

繰り返し振るった拳が確かに、その力を蓄えていた。

無意識のまま放たれたその拳は、加速した。

 

「ッ………!!駆ど…!!!」

 

その力の片鱗は確かにあの日自分から与一を奪ったあの男の個性だった。

 

完全な無意識による一撃だったが、【変速】は【黒鞭】【発勁】とが合わさって今、因縁を絶った。

 

 

 

ワン・フォー・オール歴代継承者の想いがその拳に託されたのだ。オール・フォー・ワンのぬらりとした顔に深々とめり込み、そして雲を晴らした。

 

 

「ウワサに聞いた魔王オール・フォー・ワン。盲目でここまで暴れるとはな」

 

「皆が紡いだ勝利だった。こんな奴が歴史の闇に潜んでいたとは…思いもしなかったが」

 

エンデヴァー、ベストジーニストの2人によって拘束されたAFOを尻目に、イレイザーヘッドが振り返る。

 

「それで……お前らなぜ戦った。交戦許可は出していないぞ」

 

あろう事かA組…そしてA組に張り合ったB組の無断戦闘について相澤は語らねばならない。ヒーロー以前に教師として。

 

「す、すみません…」

「ざけんな、俺等がやんなきゃ負けてたろうがよ!」

「かっちゃん!?」

 

「袴田、わざとリボンを緩めたな?」

 

私は交戦してません。味方の治癒と防衛だけです」

 

「同罪だ。お前は前からそういうところがある。いつも独断で動く、それで一度死にかけただろう…」

 

「はーい」

 

「イオリちゃん可哀想なのです、相澤先生優しくして欲しいなぁ〜」

 

「真面目に聞け」

 

袴田維折は、今ひとつ危機感が無かった。

 

 

 


 

 

袴田維折は転生者だ。ボクと同じ転生者。

 

あのUSJ襲撃の映像を見て、一目でわかった。

 

なにも巴マミのコスプレしてたから分かった、とかそういう安直な意味じゃあない。

袴田維折は殺人に躊躇が無いからだ。

 

脳無を即座に殺す判断を下した。

脳無だって元は人間なのに、もしかしたらまだ自我が残ってるかも知れないのに。同じ脳無だし黒霧も殺すのかな?

 

ボクと同じ、戦闘はゲームなんだ。

 

どれだけ人を殺してもまったく罪悪感が沸かない。

 

ボク達は漫画(コミック)の中の世界として認識している。

人生ではない、心の何処かで……解っている。

 

転生してから、現実感がない。

 

ずっと夢を見てるみたいなんだ。

ボクは眠っていて、夢の中で大好きな弔と一緒にいる。

弔はボクには冷たいけどそれもまた愛おしい。

 

「ボクが本物よりも幸せにしてあげるからね、弔」

 

完璧な力を得られるように、究極の存在と成れるように改造手術を受ける弔を見守りながらボクはモニターを眺める。

 

「……煙幕か、はぁ〜なんだったっけ、赤外線を遮断するやつ…はくりん?だっけ?まぁ…対策はしてるよね」

 

赤外線を遮断する煙幕のせいでなんの偵察にもならなかった。AFOが捕まったからまぁいいけど……

恐らく袴田維折のせいで誰も殺せなかったらしい。

 

「ぜんぶ…お前の都合のいいように話が進むよね、袴田維折。ボクは君が目障りでしかたないよ」

 

随分と幸せそうだなぁ。ボクは弔にウザがられてるのにお前は大好きなトガヒミコとイチャイチャイチャイチャ。

 

 

絶対に殺してやる。

 

 

『なに?タルタロスが壊滅しているだと…!?』

 

『ではこいつはどこに収容する?』

 

『そもそも誰がどうやってタルタロスを…』

 

 

あぁ…AFO。大丈夫安心してヒーロー。

どこに移送するにしてもボクが責任持って殺すから。

万に一つも生かしておけない。

 

弔を乗っ取るなんて絶対に許さない。

 

『オールマイト、今回の連続自爆テロですが…事前に分かったのはある女からのタレコミなんです』

 

『女?うーん、なぜテロが起こるのが分かったのか…』

 

『その…今回の首謀者はその女です。貴方に連絡したのは、その女が名指しでオールマイトを指名したからです』

 

ちょうどいい時間だ。

オールマイトを引き離すための爆薬も尽きたらしい。

 

『これから爆破1分前に自動的に場所を送るから、オールマイトに市民を助けさせてあげて、と。こちらの返答には答えませんでした……録音だったのでしょう』

 

『ふむ……私を指名したその女性の名前は?』

 

『死柄木冥、と名乗っていました』

 

『死柄木……か。USJ襲撃のヴィランと同じ名字だね』

 

しかしオールマイト…想定より速かった。

袴田維折がなにかしたのだろうね、弱体化どころかパワーアップしてるんじゃないの?

 

どうやって殺そうか。最悪殺せないにしても袴田維折と緑谷出久と同時に相手はしたくないな。

 

ボクでは一対一が限界だ。まだ未熟な緑谷出久なら殺せるかもしれないけど、もしかしたら袴田維折のせいでパワーアップしてるかもしれない。

 

用心するに越したことはない。

 

「コンプレス…荼毘と連絡は取れた?」

 

「あーはい。ぜんぶ終わってから突然ね」

 

「…そう。ならいいよ、ありがとうコンプレス」

 

「はいよ…」

 

ただでさえ今の連合はボロボロなんだ。

トゥワイスもトガヒミコもいない。あとマグネも。

荼毘にまで抜けられちゃさすがに困る。

 

リボン教なんてふざけた宗教のせいでこんなに苦労するなんてね。本当に一刻も早く殺したい、袴田維折。

 

「はぁ……」

 

弔の連合を返してくれ。

ボクの知る世界に戻してくれ。そして…

 

「…死ねよメアリー・スー」

 

何度だって殺してやる。

じわじわじっくり…追い詰めて殺す。

 

 

「……そうだ、あいつを使おう」

 

 

この世界を巡って見つけた、オールマイトにすら勝てるかもしれない奴。奴で袴田維折を仕留めてやろう。

極稀に、イカれた個性の持ち主が自然に生まれる。

ボクと袴田維折は転生者だからブッ飛んだ概念個性に目覚め扱えたといえるが、そうでなくても壊れた個性は勝手に現れる。

 

ボクは海外に目をつけたんだ。

海外には原作で描かれなかったまだ見ぬ強固性がいるはずだ、と。そうして一時期海外に渡った。

 

その時に会った、あいつを使って殺してやる。

 

個性特異点はもうすぐそこだ。




あっさりとした終わり方ですが倒せそうなのでここぞとばかりに無理矢理個性解禁してくる歴代継承者のおかげです
当初書きたかった最後まで、なんとか書き進めて行くつもりです
改めて今後とも見ていただけると幸いです
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