おかしな狂った世界に私一人が立ち竦む。
空は継ぎ接ぎのパッチワーク、カラフルなビルが立ち並ぶ。
「……?え、魔女…?」
『Homulilly』
知っている。これはナイトメア、都合のいい幻想だ。
間違いない。これは夢だ。巴マミごっこをしすぎたんで夢にまでまどマギに侵食されてしまったのかも。
「……ほ…ほむらちゃんとかいるかな…」
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「マミさん」
振り返ると、かぁいい三つ編みの女の子がいた。
間違いないほむらちゃんだ。前世ではほむらちゃんも勿論好きだったよ。最終的に私はマミ×杏子で落ち着いたが。
「マミさん、大好きです、抱きしめてください」
「えっ!?えへへ〜いいんですか…?あ、じゃあ失礼して…」
ほむらちゃんをふわりと抱きしめて、今はこの夢を楽しもうと…バカみたいに飛びついて。
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「……っぉあ…!?」
「人殺しのマミさん、よくもやってくれたよね!」
お腹が熱い。痛い、痛すぎる。
「ほむらちゃ…うわ痛えっ」
「人殺し、人殺し、人殺し、人殺し、人殺し」
「りぼ……りぼんを……で、出ない…!?」
銃声が響いて、私のお腹に風穴を開けていく。
リボンが出せない。死んでしまう。
「やめ…!!」
銃を持つ暁美ほむらの姿をした何かの腕を掴んで、捻り上げるとべチャリと血が飛び散った。
「酷い、マミさん。私の腕を壊すなんて」
「ちがっ…そんな千切れるなんて…思わなくて…」
今度は背中、背中に激しい痛みが走った。
じんわりと血が広まって、なんて最悪な悪夢。
「よくもほむらちゃんを、最低、マミさん、死んじゃえ」
「いったっ……!逃げないと…!くそ、なんで…!なんでリボンがでないんだよ!?」
背中に刺さったのはピンクの光の矢だった。
今度はピンクのツインテールのかぁいい女の子、鹿目まどかの偽物だった。
激痛に顔を顰めながら必死に身体を引き摺ってビルの中に身を隠す。まどかとほむらの偽物は走れないのかゆっくりとしか歩いていないので逃げ切れるはずだ。
「リボンが出ない…!!リボンが…!」
ビルの中、柱に身を隠して必死に傷口を抑える。
リボンが出せない。治癒が使えない。
こんなのまるでスタンド攻撃じゃないか。ここはヒロアカだぞ、なんだこの無敵の個性攻撃は…!
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「グゥ゙ッ………!」
脇腹から剣が飛び出してきた。
これは…美樹さやかの剣だ。
「見つけましたよマミ先輩〜」
青い髪のショートヘアの少女が、マントを翻して朱色の剣を振りかぶるのを見て、咄嗟に蹴りでその手を砕いた。
「痛いなぁ…酷いなぁ…再生能力は私の領分でしょ」
「畜生!あっちいけ!!!」
頭を狙って拳を叩き付けた。
ぐちゃりと潰れて、噎せ返るような血の臭い。
あまりにもリアルな感触に気が狂いそうになる。
「っ…おえ…酷い気分だ」
最悪だ。殺した。気持ち悪い。
ちょっとリアル過ぎる気がする。
こんなの酷く
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「おいおい、人殺しのマミ。きっもいなぁ。マミあんとかあるわけねぇだろ。クズのマミの分際で」
今度は真っ赤な魔法少女の佐倉杏子。
関節根のように分離する槍で私の身体を絡め取る。
「大好きなあたしが殺してやるよ、嬉しいだろ」
「人殺し?こりゃ夢だろ、お前の個性か?」
「そうだよ、お前が殺したんだ人殺し」
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「なにが巴マミだよ、最低の人殺し。あの脳無を殺したときは楽しそうだったじゃないか。えぇ?おい、さやかがかわいそうだよな、一緒に死ねよ!ひとりぼっちは寂しいもんな!!」
脳無は、人なのか?
そうか…私は人を殺したのか。
「じゃあな殺人鬼」
槍が私の眼球をプツリと潰した。
「ぐぁぁ…ぁぅ……痛い、くそ、気が狂いそうだ……」
「この治癒は……そうか、現実のほうでトガヒミコに治されたのか。目障りだなぁ、おい。確実にトドメ刺したつもりなのによ、カンタンに直してくれるよなぁ〜」
「現実の方……そういう…こと、か。これは、夢の中で攻撃する個性か、まるでデス・サーティーンだな、酷い目に合わせてくれやがって…!」
「ふふふ…貴様の記憶にあったなぁ〜!嬉しいだろう?冥様と同じ、前世とやらで会いたかったろうまどか達に会えてさ!私の個性はその通り、夢を操る個性!!」
どうやら記憶も読まれたらしい。
陰湿な個性だ、ほんと嫌いだこいつ。
「どうせくたばるお前の為に教えてやるよ、この私の個性【ナイトメア】は、この私から一定範囲内で眠った奴に悪夢を見せる個性!悪夢の中では全て私の思い通り……お前は個性を使えない、お前の思い出がすべて!お前を襲うのさ!!」
「ペラペラよく喋るな、クソ野郎」
能力を喋りまくるのは敗北フラグだって知ってる?
こいつのクソウザい個性だが…今恐らく現実で異常に気付いたヒミコが私を回復させた……つまり、現実でも私の身体に損傷が出たはずだ。
「口に気をつけろよ…!まぁいいや、冥土の土産に好きなもん見せてやるよ」
「あ、そう。じゃあ…あんたの顔が見たいな」
「私の顔〜?まぁ…いいだろう。せっかく冥様からの依頼を完遂するというのに、この私の美しい顔面をお見せできんのはたぁぁぁしかに!!残念だからなぁ」
可愛らしい佐倉杏子の顔がバカっと割れて、中から出てきたのは金髪の彫りの深い外人女。特徴的なのは…顔にZの形のアザがある。分かりやすい顔。
「まぁ…!知った所でどうしょうもないだろうが…逃げられんぞ、ばかめ!」
ビルの窓を殴り割ってそこから落ちる。
勿論逃げるためではなく、倒すためにだ。
「っ………!気付いてヒミコ…!」
こっちで受けた傷が現実にも現れるのはさっきヒミコが回復してくれたから分かる。それなら……
テキは金パツ 外人女 カオに Z ノ アザ タオセ
私の腕にガラスでメッセージを託す!!
『早く来て欲しいのです相澤先生!イオリちゃんが敵の攻撃を受けてます!敵の特徴は金髪の外人女、顔に英語のZのアザです!眠らせて夢の中で攻撃する個性です!!恐らく夢の中では個性が使えないはずです!だから私がイオリちゃんに変身して回復し続けないといけません!よろしくお願いします!』
一方的に連絡して切りやがった。
……実に、合理的だ。
アイツらが借りてるアパートは雄英から近い。
そういう点でも合理的、悪くない判断だ。
「悪いがマイク、用ができたんであとの書類は頼む」
『ハァッ!?』
金髪の外国人女性、顔にローマ字の『Z』のアザ。
これだけ情報があれば十分だ。
ビルからビルへ、捕縛布を絡めながら飛んでいけばいい。
うちの問題児カップルだが、大事な生徒。
一刻も早く駆けつける。
静まり返った夜だ。上から見れば、怪しいやつはすぐに見つかった。
「袴田のアパートの屋上で寝ている不審なZのアザの女」
迷わず抹消を発動させる。
消し続ける。目の乾きなどどうってことない。
星一つない月夜に息の詰まるような紅い相貌が揺らめく。
女は身動ぎ一つ出来なかった。蛇に睨まれた蛙。
悪夢の中でしか力を振るえない井の中の蛙だ。
「お前は、ヴィランだな?」
「ひぃ……た…助けてくれ!!たのむ!な、なんでも話す!たのむよ手荒なマネはしないでくれぇ!な、生身の私はぁ非力なんだよぉ!」
「話は後で聞く。警察がな」
捕縛布に身体を絡め取られ、なすすべもなく締め上げられる。
その女はちっぽけで、非力だった。
「冥様ぁぁあ!!たすけて!冥様!冥様ぁ!!!」
こいつをさっさと捕まえて、袴田の無事も確認したい。
警察に引き渡して階段に腰掛けると、袴田が部屋を飛び出してきた。
「……袴田、怪我は?」
「もう…治しましたよ…結構嫌な気分でしたけど」
「そうか。無事でよかった」
見るにかなり窶れている。
エンデヴァーを見た時のA組のような顔だ。
「イオリちゃんは起きた時泣いたのです。あのゴミはもう警察に?」
「泣いてない!」
「あぁ…警察に預けたほうが確実だろう。俺達はヒーローであって、個人的な尋問はするべきではない」
「あの…相澤先生、ちょっと相談があるんですけど……いいですか?」
「あぁ」
「先生〜トガもあのヴィランバラバラに刻み殺したいんですけど相談いいですか〜?」
「ダメだ」
USJの時もそうだがお前ら殺す事を手段に並べるな。
例の動画…どのヴィランが撮ったのかは分からんがあれをばら撒かれたと知った時はヒヤヒヤしたが、どういうわけか世界中で袴田の信者ができたおかげで有耶無耶になったが…
本来、ヒーローとして批判されて然るべき行動だ。
「改造人間というか…動く死体殺した場合…あのー…人殺した判定なります?」
「……あまり気分のいい話ではないが法的には物として扱われるだろうな。USJの時の事なら、気にするな…とは言えんが。助かった、ありがとうな。お前は被害を最小限に抑えた…よくやった」
「オールマイトが来るのを待て、とは言わないんですね」
「問題点を言ってほしかったのか?それなら言い足りないほどあるんだがな」
「あー…遠慮しときまーす」
ヴィラン予備軍としての危惧はあるが、それを顧みられるだけ及第点。今日はむしろよく進歩できたと褒めてやろう。
ヴィラン名【ナイトメア】
個性も同じく【ナイトメア】
袴田維折を襲撃するが、イレイザーヘッドにより捕縛。
警察に引き渡され、知ってる情報を洗いざらい吐いた。
死柄木冥の計画、死柄木弔改造計画、そしてアジトの場所に至るまで彼女は包み隠さず話した。
翌日、獄中で遺体となって発見された。
手脚を斬り取られ、内臓を引き摺り出され、その頭をハサミで壁に打ち付けられた無残なものだった。
その両腕は持ち去られ、見つからなかったそうだ。
投稿遅れたのはヒロアカURでオール・フォー・ワンで遊んでたからです
………恩知らず(ねっとり)