【リボン】のヒーローアカデミア   作:嘘しか言わん狐

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入学前の総仕上げ

トガヒミコの襲撃(?)から数年余りの月日が経った。

もう3日後には、雄英高校の入試試験が始まる頃だ。

 

No.4の娘、袴田維折にも推薦の誘いが来たが、これを素知らぬ顔で横のトガヒミコに押し付けた。

結局意地でも同じクラスになることを諦めなかったヤーヤー期のヒミコは家出して本格的に袴田家に居着き、1年間維折とトレーニングした。

 

「じゃあ、入学前最後の仕上げを始めるよ」

 

「はーい」

 

ベストジーニストの事務所にあるトレーニングルームで、2人の少女が対面する。

装備はお互いに数十本のダミーナイフと、ヒミコにはサポートアイテムとして、伸縮するワイヤーの先端に注射器のついたワイヤー・シリンジャーが片腕に2門ずつ、計4門。

 

「いつでもいいよ」

 

「そっちこそ…」

 

静かに見合うだけで、相手が何をしてくるか分かる。

ただ、一手だけだ。お互いに手の内を分かりすぎているからこそ、警戒を解けない。

 

先に仕掛けたのはトガヒミコ。

素早く放たれたダミーナイフをリボンが絡め取ると、その隙間を縫って少女の影が飛び込んでくる。

 

「っ…」

 

トガヒミコの手にしっかりと握られたダミーナイフにリボンが巻き付けられ、素早く引っ張るとスルリとダミーナイフを弾き飛ばし、肘を叩きつける。

 

逆にその衝撃を逃がすように大きく仰け反り、脇腹に膝が飛んでくるのを、リボンで身体を引っ張って強引に避ける。

 

「ティロ・フィナっ…」

 

リボンで形成されたマスケット銃の銃身を踏みつけたトガヒミコの回し蹴りを顎に受けて視界がブレる。

 

ヒミコは一度視界から外すとすぐに消える……

このままでは見失うのは確実、とリボンを天井に巻き付けて上空に離脱する。

 

「イオリちゃんは判断が遅いのです」

 

逃げる維折の太ももにシリンジャーが突き刺さり、勝ちを確信した瞬間、足首にリボンを絡める。

油断した時こそが人間の最も捕まえやすい所だ。

 

「ヒミコちゃんは気付くのが遅い、ティロ・フィナーレ!」

 

ズラリと並んだ十門の砲身が一斉掃射で勝負を決める。

ちなみに断っておくが、トゲヴィランを撃ち殺しそうになった時からちゃんと火力は抑えるようになった。

制圧用のゴム弾みたいなもので、殺傷力を減らして速度を高めたので普通は避けられないはずだ。

 

「危なかったのです」

 

トガヒミコの身体から無数のリボンが伸びて、一本一本が絡み合い大きな盾のように形成される。

 

一瞬、変身もしていないのにリボンを出したように見えたが、まさかそんな事あるはず無いと天井から付近を見下ろす。

 

「どこから来ても……」

 

これで分かる。

無数のリボンが部屋中を張り巡り、全てがその先端にマスケット銃の引き金に繋がったリボンの結界だ。

 

「半径20mティロ・スプラッシュ…いや、エメラルド・フィナーレ…?」

 

少なくとも、これが今出せる最高の技だ。

流石にコレまで突破されたらちょっとヒミコが私の上位互換すぎて泣く。これもすぐ真似されそうで怖いが……

 

「見つけた…!くらえヒミコ!半径20mティロ・スプラッシュ・エメラルド・フィナーレ!!!」

 

「うぁっ…!?」

 

今度の一斉掃射は避けられなかったようだな。

腕に着弾させた弾丸を解いてリボンを巻き付けて拘束した。

 

「いたた…痛いですよイオリちゃん!」

 

「勝負あったねヒミコ」

 

個性『リボン』はあくまでも、『手』からリボンを出す。

なので手を封じてしまえばリボンは出せない。

それは当然、今私に変身しているヒミコも同じ事……

 

「いいえ、引き分けですよ」

 

完全に勝ちを確信して、確認を怠った。

 

「あぁだめだ、やっぱり勝ち誇ったら負けるんだ」

 

首筋に押し付けられたダミーナイフには、リボンが巻き付けてあった。リボンは一度精製してしまえば身体から離れても操れるので、ヒミコは事前にこのリボン付きナイフを放り投げていたのだ。

 

「はぁ…疲れた。若干ヒミコの方が強いかな、若干ね。若干」

 

「あれぇ?悔しいんですかぁ?」

 

「悔しいってか不甲斐ない。自分の個性にしてやられたし」

 

「ふぅ…大変だったのです、あんなのズルいですよ、誰が抜けられるんですか」

 

床に倒れ込んで、まだ軽くフラフラする頭を休める。

ヒミコも流石に半径20mティロ・スプラッシュ・エメラルド・フィナーレのダメージは大きかったようで、疲れたように倒れている。

 

「あれ、なんなんですか?いつ作ったんですあの技」

 

「あぁ、半径20mティロ・スプラッシュ・エメラルド・フィナーレの事?」

 

「なんですそのダサい名前」

 

そんな……酷い……

ダサいなんてそんな…

 

「ダサい上に長いし語感も悪いです。スプラッシュが真ん中に入ってるのがダメ。スプラッシュは絶対最後なのです。ていうかなんで英語とイタリア語が混ざってるんですか?」

 

「メタリックグログランリボンのように華やかさと重厚感が合わさってるでしょ?」

 

「タフタリボンみたいにシンプルなほうがいいです」

 

「……そっかぁ」

 

二人はゆっくりと身体を休め、来る雄英高校入試へ備える。

ついに、原作が動き出そうとしていた………

 

 

 




平然と覚醒してるように見えますけど、トガちゃんが個性を使えるのは維折のリボンだけです。
毎日溺れるほど血を吸っていればこれくらいのパワーアップは当然と言えます。かぁいいですね
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