百獣海賊団の家族問題が少しだけマシだった場合の話   作:もちごめさん

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僕はおでんか ①

「――ハァッ!!」

 

 

 気合の一声と共に放たれた一撃が、巨大な岩塔を破壊した。

 直径十数メートルはある岩石の塊が根元からへし折れる。轟音と共に傾いて、倒れるそれにさらに続けて放たれたいくつもの攻撃が、今度は巨岩全体に縦横に広がる亀裂を刻む。

 その、中心。叩き込まれた最後の一撃がトドメとなって、直後、岩塔は完全に砕け散った。

 見上げるほどの威容を誇った岩塔は砂礫の小山と粉塵に変わり、辺りに土煙のもやを撒き散らす。咽喉を刺激するいがらっぽい空気が辺りに満ちる。

 そんな中で、その事態を巻き起こした張本人たるヤマトはふぅと、もやを手で払いながらため息を吐き出した。

 

 ヤマトは修行の最中だった。

 おでんになると決めてから十六年、毎日欠かさず続けている、強くなるためのその鍛錬。心に誓った想いを忘れたことは一度もなく、故に強くなり続けたヤマトの修行内容は年々そのレベルを上げ続け、手狭になったお堂を卒業したのは決して最近のことではない。

 修行の規模と難易度は、十六年前とはもはや別次元だ。現に今現在、ヤマトが修行に於いて手にするのはいつもの金棒ですらなかった。

 ただの木の棒。特別堅いわけでも鋭いわけでもない、そこらで拾った木の棒だ。それで以って、ヤマトは岩塔を粉々にしたのである。

 つまりところ、【覇気】だけでそれを成したのだ。木の棒を折ることも欠けさせることもなくやり遂げたその硬さ(・・)は、紛れもなく超絶技巧の域にある。もはや【覇気】に於ける一つの極致と言っていいだろう。

 それは誰しもが称賛するであろう技だった。

 

 が、しかしそれほどの技量を発揮しておきながら、ヤマトの顔に歓喜の色はない。どれほど凄かろうが、その極致(・・)はヤマトにとって喜ぶに値しないものだった。

 

 

「はぁ……」

 

 

 と、今度は気の抜けた息が漏れ出る。なにせ極地、頂上ということは、その先がないということ。それ以上の進展が望めないということでもあるのだ。

 行き止まりで、これ以上強くなることができない。そんな状況、喜ぶべくもないだろう。

 

 ――否、行き止まりとはいえ、多少の余地はあるにはある。上り詰めてもそれを磨くことはまだ可能だ。

 研ぎ澄ましていけば、確かに現状よりも強くなることはできる。それは間違いない。

 だがそれにはひたすらな、気が遠くなるような反復練習が必要だ。地道で且つ果てしない、それこそ今までの比ではないほどの根気をつぎ込まねばならず、そしてそんな苦労を重ねたところで、今までのような爆発的なパワーアップにはつながらない。

 

 となれば当然、モチベーションは下り坂。行き止まりと同様に、ヤマトはそんな修行を歓迎できるはずもないのだ。

 その上、こんな状況(・・・・・)であれば尚のこと、やる気など起こらないだろう。

 

 

「……ああもう、今日はやめとこう。一人で修行なんて、つまらな過ぎて死んじゃいそうだ」

 

 

 以前までなら誰かしら修行相手がいたのだが、今は――もといここ最近、それがない。

 単純に皆、修行にかまけていられないほどに忙しくなってしまったからだ。

 ジャックはキングやクイーンと同じ“大看板”に任ぜられ、他の皆、ブラックマリアもうるティもページワンも小紫も、皆そのすぐ下の“飛び六砲”という上級幹部。特に小紫はカイドウに啖呵を切ったかつての日から特別にせわしなく、“飛び六砲”の仕事も手につかないほどあっちへこっちへ行ったり来たりする身となってしまっている。

 

 皆一様にヤマトを一人置き去りにして、百獣海賊団の幹部としての仕事にばかり励む日々。かつてのように鬼ヶ島に皆が揃うようなことは。今やほとんどなくなっていた。

 それこそ思わず独り言の愚痴をこぼしてしまうくらいには、ヤマトはこのところずっと一人きりなのだ。

 

 

「……なんでもいいから、何か楽しいことでも起きないかなぁ」

 

 

 もう何度目とも知れないため息と共に、ヤマトは傍の岩に腰を下ろしてぼやく。

 そしてふと、以前まで修行をつけてもらっていた大名たちの話の一部を、ヤマトの脳味噌は思い出す。武装色の覇気のさらに先、リュウ――なんたらとかいう技の件。

 

 

「……また、どうにか修行付けてもらえないかな」

 

 

 難しいか、と諦めながら、ヤマトは曇天の空の中、ひらひら舞い落ちる雪の粒を眺めていた。

 

 

 ――が、その時だった。

 ズン、と空気を伝う微かな振動。直後、降り注ぐ雪の白色が、ほのかなオレンジ色に染まった。

 

 

「……!?」

 

 

 呆然とそれを眺め、一瞬の後。ヤマトは勢いよく身を起こした。

 目を擦り、それでもなおオレンジに色付く雪に己の気のせいでないことを確信し、心臓が好奇心で跳ねあがる。退屈で仕方がなかったちょうどその時、現れた異常を放っておけるはずもなく、ヤマトは事態を確かめるため衝動のまま跳び、一気に岩塔の頂上まで上り切った。

 

 そして、目にする。鬼ヶ島の正面にある巨大鳥居の要塞が、煌々と眩い炎で燃える様。

 さらに加えて、見覚えのないドクロを掲げた小さな船が一隻、燃える鳥居を悠々潜って鬼ヶ島へと進んでいる様子までもを、ヤマトは視界にとらえることとなった。

 破壊された防衛設備と百獣海賊団ではない海賊船。それが何を意味するかは、考えるまでもないだろう。

 討ち入りだ。

 

 

「いいね……! こういうのを待ってたんだ!」

 

 

 退屈を持て余すヤマトにとって、それは絶好の暇つぶしに他ならない。一人修行という苦行同然の行いに興じるのとどちらが楽しいのかは一目瞭然で、故にヤマトの頭はたちまちのうちに視線の先の海賊たちに塗りつぶされた。

 

 

「待ってろよ、海賊……! 僕が全員、退治してやる!!」

 

 

 そう興奮のままほくそえみ、岩塔を飛び降りたヤマトは金棒を引き抜くと、戦場になるであろうライブフロア目指して一直線に走り出した。

 

 

 

 

 

 

 

 ほどなくして、ヤマトはライブフロアに到着した。

 いつかの侍たちの討ち入り時と同様に、上階から階下の広場――ライブフロアの入り口近くに眼を向ける。そしてやはり始まっていた海賊たちと守備兵たちとの戦闘に、さらに期待感を煽られることとなった。

 

 海賊たちは、以前のササキやフーズ・フーのような大人数ではなかった。数えられる程度の少数だ。

 が、しかしその分、皆強い。何人かは、百獣海賊団の幹部レベルと比べても遜色ないようだった。

 

 そして――何より。恐らくは船長なのだろう、テンガロンハットをかぶった上裸の男。

 一味の中で、ヤマトよりも少しばかり若年だろうその男が飛びぬけた強さを持っている。外界の海賊の討ち入りとなれば当然、六年前のササキとフーズ・フーの二人が浮かぶが、恐らくその二人よりも強いだろう。

 その二人も今では百獣海賊団に下り、“飛び六砲”に任ぜられるほど強くなってはいるのだが――少なくとも当時と比べれば、上裸の男に軍配が上がることは間違いない。

 それほどの強者の姿が、そこにあった。

 

 ヤマトの血が滾らないはずがない。

 

 

「――ふぅ、こんなもんか。百獣海賊団の本拠地ってわりに、あんまり大したことないな」

 

「末端の兵隊だからな、そりゃそうだ。……が、あまり気を抜くなよ? 幹部級が出てきてからが本番だ」

 

「それに、最後にはカイドウっていう特大の化け物が待ってるんだ。エース、わかってると思うが……」

 

「みなまで言うな。わかってる、四皇のお膝下で油断なんかしねェよ。……カイドウの首は、おれが必ず――」

 

 

 ――と、ライブフロアに集った百獣海賊団の兵隊たちを全員蹴散らし、海賊たちは息を吐く。上裸の男が仲間の忠告に頷いて、拳を決意で固く握ると、屋敷の奥へと足を向けた――ちょうどその時。

 ヤマトは、その行く先に飛び下りた。

 

 

「「「「「ッ!!?」」」」」」

 

 

 ズン、と着地の衝撃で床板がめくれ上がる。ついでに衝撃は周囲の半死半生の兵隊たちも吹き飛ばし、「ふぎゃあっ!!」と悲鳴を上げさせながら、そんな声など耳に入らないほど戦いへの高揚感を抱えたヤマトは背中の金棒に手を伸ばした。

 行く手を遮り得物を抜く姿を見せれば、その戦意は嫌でも伝わる。上裸の男もすぐさまヤマトを姿を捉え、握った拳をヤマトへ向けて身構えながら口を開いた。

 

 

「……何者だ、お前」

 

 

 声も視線も、先ほどまでより数段鋭くなっていた。警戒心を露わにし、仲間を庇うように前へ出る。

 どうやらヤマトの相手は自分以外では難しいと、瞬時に理解したらしい。腕っぷしだけでなく、しっかり目も良いものを持ち合わせているようだ。

 

 その事実に、ますますヤマトの心は高鳴った。もはや間違いなく、今まで戦ってきた敵の中でも最強だ。そんな相手との戦闘に疼いてならない身体を必死に抑えつつ、男の問いに名乗りを上げんと息を吸う。

 最高の戦いであればこそ、台無しにならないために手順はしっかりしなければ。根付いたそんな値観を以ってして、ヤマトは男へ口角を上げた。

 ――が、

 

 

「う、うおおおぉぉ……!! や、ヤマト坊ちゃん……!! ヤマト坊ちゃんの援軍が来たぞっ……!!」

 

 

 ヤマトが名乗るその前に、ヤマトの登場に感極まった兵隊の一人が声を上げた。

 着地が巻き起こしたショックが、叩きのめされた彼らに一種の活を与えてしまったのだろう。一人を皮切りに、さらに何人もがヨロヨロと身を起こし、取り戻した勢いを叫び始める。

 

 

「ぎ、ぎゃははは……!! ざ、残念だったな、侵入者ども……!! テメェらはここで終わりだ……!!」

 

「そ、そうとも……!! ヤマト坊ちゃんの強さは折り紙付き……!! 最高幹部の“大看板”にも引けを取らねェ……!!」

 

「テメェらなんか、何人束になろうが一ひねりよ……!! なにせヤマト坊ちゃんは――って、あれ……? なんかこの流れ、デジャブな感じが……」

 

 

 などと。彼ら自身が言うようにどこか既視感を感じる、虎の威を借る狐の如くなイキりっぷりを以ってして。

 

 

「ヤマト坊ちゃん(・・・・)……? よくわからねぇが、それがお前の名前か。察するに中々の大物みたいだな?」

 

「……ああ、そうだよ」

 

 

 多分に勢いを挫かれる羽目になってしまった。が、まあこうなっては仕方がない。

 むしろおかげで幾分逸り気味だった頭を冷やすことができたのだと納得することにして、ヤマトは僅かに怪訝を覗かせる男に頷いた。

 頷いて、次いで金棒を引き絞るように後ろに構える。応じて男もすぐに戦闘へと集中し、深く息を吐く。

 そしてヤマトは、半端な名乗り(・・・・・・)の続きを叫んだ。

 

 

「僕はヤマトで――そして光月 おでんだ!! いくぞ、海賊ッ!!」

 

「おう、やる気なら容赦は――はぁ!?」

 

 

 せっかくの集中力を、なぜだかまたいかにもな困惑で霧散させる男と、そして兵隊たちから響く「やっぱり!」の声の中、堂々名乗ったヤマトは身に溜め込んだ力で勢いよく地を蹴り、そして同時に構えた金棒を振り抜いた。

 

 

「【鳴鏑(なりかぶら)】!!」

 

「――ぐはッ……!!」

 

 

 振るった金棒から放たれた衝撃波の弾丸は、動揺で硬直した男の身体を見事に捉えた。血が流れ、ぐらりとよろめく。

 運よく隙を突けた形だが、戦場に於いては隙を晒したほうが悪い。ヤマトはよろめく男めがけてさらに加速して、距離を詰めると飛び掛かった。

 

 

「もらったッ!!」

 

 

 跳躍し、大上段に振りかぶった金棒を、男の脳天へ容赦なく振り下ろした。

 先ほどのヤマトの着地の比ではないほどの衝撃が、辺り一帯に撒き散らされる。床板は盛れなく吹き飛び、金棒は下の岩盤にまで深い亀裂を刻み込んだ。

 

 が、それほどの威力の一撃を振り抜いたヤマトはその瞬間、戦慄する。

 

 

「――!? 手ごたえが――」

 

 

 ない。あったのは床板と、そして岩盤を砕いた感触のみ(・・)だった。

 

 そして――舞い散る砂埃と共に周囲をゆらゆら漂う、無数の火の粉。金棒を伝う感覚だけでなく、一瞬を置いてそれを視認し、ヤマトはようやくその不自然(・・・)の正体を悟った。

 

 

「ッ!! 君、悪魔の実の能力者か――!!」

 

「ああ!! メラメラの実を食った!! さっきはちょっと動揺しちまったが……お前の攻撃はおれには効かねェ!!」

 

 金棒は、炎と化した男の身体を(・・・・・・・・・・)すり抜けていた(・・・・・・・)のだ。

 そんな非現実的な、しかし間違いない現実に、今度はヤマトの身体が驚愕で固まることとなり、

 

 

「お返しだ!! 【火拳(ひけん)】!!」

 

 

 放たれた拳と燃え盛る巨大な炎が、ヤマトを吹き飛ばした。

 

 

 ――悪魔の実。食べた者に特異な能力を授けるその果実の中で、自然(ロギア)系はかなり特殊で希少で、そして強力だ。

 能力者の身体を自然物へと変化させ、それを操る自然(ロギア)系の実は、ほとんどの場合、物理攻撃に対する完璧に近い耐性を持つ。ちょうど上裸の男の身体を金棒がすり抜けたように、実体のない自然物であるために攻撃を受け流せてしまうのである。

 

 故に、カイドウたちの動物(ゾオン)系ともう一種、超人(パラミシア)系という三つの区分で、自然(ロギア)系は最強種と称される。そんな無敵も同然の能力を手にすれば当然、能力頼りで地力がないがしろになっているということも多いのだ。

 ――と、この鬼ヶ島に軟禁されているヤマトはそう聞いていたのだが、しかしこの上裸の男の場合、どうやらそれには合致しないらしい。

 

 上裸の男の攻撃、能力の炎も覇気の拳も、どちらも等しくヤマトにダメージを与えていた。

 拳の一撃は身体の内まで響き、口の中に血が滲むほどで、炎ももちろん、ヤマトの肌のあちこちにじくじく痛む火傷痕を刻んでいる。

 男はヤマトの期待通りの強者だったのだ。が、もちろんそれで倒れ伏すほどヤマトは弱くはない。金棒を床に突き立て吹き飛ばされた身体を留めると、次いで一振りして身を焼く炎を掻き消す。ふぅ、と息を吐き、内臓を揺らす痛みも吐き出すと、それでもう万全だ。

 そんなヤマトの健在の姿は、当の男と、その仲間たちにとって衝撃的なものだったようだ。思わずといったふうに目を見張り、驚愕の声を漏らす。

 

 

「……マジかよ、【火拳】をあの距離で受けて、まだ立つのか……!?」

 

「しかも、まだまだ全然元気って感じだ。こりゃヤバいぞ……!」

 

「ぎゃ、ぎゃはは……当たり前だろ……!! ヤマト坊ちゃんがこの程度の炎で、やられるわけがねェ……!!」

 

「そうだぜ……!! あんな炎、カイドウ様が吐く炎と比べたらないも同然……!! マッチ以下だぜェ……!! ……正直それでもちょっと怖かったけど……」

 

 

 さらに兵隊たちも倒れ伏したまま、なお調子のいいことをまくしたてる。否、一部まっとうにビビっていたが、ともかく上裸の男はさらに表情を引き締めた。

 

 

「……お前ら、もっとしっかり下がってろ。こいつはどうやら、出し惜しみして勝てる相手じゃなさそうだ。ここからは本気でやる……!!」

 

「本気……? 今までは本気じゃなかったってこと?」

 

 

 つい、ヤマトの心が口に出た。それを受け、男は小さくニヤリと笑う。

 

 

「ああ。おれたちはカイドウを討ちに来たんだ。部下相手は力を温存しておきたくてよ、つい手を抜いちまった。悪いな」

 

 

 それは挑発のつもりだったのだろう。俺はまだギアを上げられるが、お前はついてこられるか? という。

 だがしかし、ヤマトがそれで絶望するわけもない。心には、むしろ安堵が広がっていた。

 

 

「よかったよ。……いや、ありがとうって言うべきかな。今のが君の全力だったなら、戦いはここで終わりだっただろうから」

 

 

 ヤマトは覇気を、腕と金棒に込めて言った。

 同時、男もまた両腕を覇気で染める。能力のみならず肉体も鍛え上げ、百獣海賊団の本拠地まで乗り込んでくるような男が使えないはずもないのだが、目にしてヤマトは確かな安堵と、そしてさらなる高揚感に笑みを深めた。

 そして、続ける。

 

 

「覇気を纏った攻撃は、自然(ロギア)系の実体を捉えることができる……!! 知っていると思うけど、もうさっきみたいな不意打ちはできないよ、メラメラ君……!!」

 

「メラメラ君じゃねェ。おれは……エース。ポートガス・D・エース。……それが、お前を倒す男の名だ!! 覚悟はいいな、ヤマト!!」

 

「望むところッ!! 来い、エース!!」

 

 

 皮切りに、再び男との――エースとの戦闘が始まった。

 

 お互い同時に突っ込んで、紫電を纏ったヤマトの金棒と炎を纏ったエースの拳とがぶつかり合う。覇気も併せた攻撃はしかしそれでも拮抗し、一撃、二撃と次々重なり至近距離での打ち合いの体を成す。

 覇気の練度すらも己と近しい好敵手。炎と紫電が飛び散るそんな攻防は、やがてエースの口元にも高揚感の笑みを浮かばせた。ヤマトも当然高揚し、口から思わず感嘆の声が漏れ出した。

 

 

「エース……!! 君は本当に強いね!! 海外じゃさぞ名の知れた海賊だったんじゃないかい!?」

 

「当然だ!! おれくらい強けりゃ世界に名前も轟くさ!! ……が、その割にお前の名前は聞いたことがねェな……!! おれと張り合えるほど()えぇのに、どういうことだ?!」

 

「そりゃあ、僕はずっとこの島にいるからね!! 鎖国国家のワノ国の情報は、滅多なことじゃ外には出ないんだよ!!」

 

「なるほどな……!! どうりで百獣海賊団の手配書にヤマトの名前がねェわけだ!! おれのことを知らねェのも、鎖国国家で外の情報が入ってこないからってことか!!」

 

 

 言葉を交わしながら、同時に金棒と炎の拳の攻撃も交わされる。やがて一際大きな一撃同士がぶつかり合い、炎が爆発。爆風に押されてお互いの距離が開き、その間でエースは手の炎を握りつつ、僅かに怪訝な表情を浮かべた。

 

 

「だが……猶更解せねェな! それだけの強さがありながら、なぜこの島に留まってる!? お前はこの島で……この国で、いったい何をどうしようってんだ!?」

 

「決まってる!! おでんになるのさ!!」

 

 

 エースの手から炎の槍が放たれて、それにヤマトが金棒を一閃、弾き飛ばす。直後、後を追うように無数の小さな火の玉がヤマトを襲い、そしてヤマトは走った予感が命じるまま、今度はその場を飛び退いた。

 直前までヤマトがいたその位置で、火の玉が大爆発。煙と爆風に巻かれて吹き飛ばされるヤマトをエースは捉え、両手に炎と覇気を燃やして飛び掛かった。

 

 

「おでん……!! さっきも聞いたが、いったい何なんだ!? ワノ国の称号か何かか!?」

 

「!? おでんに興味があるの!?」

 

 

 体勢を崩したとみて殴りかかったエースの拳は、しかし瞬時にバッと顔を上げたヤマトの手に捕まった。打撃の寸前にあった手首を捕らえられ、そのままぐいっとエースの顔に寄ったヤマトの――些か過剰な歓喜(おでん狂い)の眼差しが、一瞬だけエースの身体を硬直(ドン引き)させる。

 いや別に、なんて言う者はおらず、そうして戦闘の最中、長らく一人でおでん談議ができず鬱憤が溜まっていたヤマトは熱弁を開始した。

 

 

「知りたいなら、教えてあげるよ!! おでん……光月 おでんは偉大な侍だった男で、僕の憧れなんだ!!」

 

「ッ!! 憧れ……!?」

 

 

 語りながらも戦いは続く。ヤマトが捕まえたエースを放り投げ、直後落とした金棒の一撃を両腕でガードしたエースは苦悶を浮かべつつ繰り返す。

 ヤマトはそれに頷いて、そして宙から着地すると同時、床に叩きつけられたエースにさらなる追撃をかけた。

 

 

「すごい男だったんだよ!! 無法者ばかりで国の癌とまで言われた九里という郷を立て直し、赤鞘九人男という立派な家臣を従えて、国中の民から慕われた!! いずれは郷の大名どころか将軍にもなっていたはずの、そんな男だったんだ……!!」

 

「へぇ、そりゃ傑物だな!! だが、『だった(・・・)』だの『はず(・・)』だの……つまり、そいつは今――」

 

「そう、死人さ!! 十六年前、カイドウに殺された……ッ!!」

 

 

 地を蹴り加速し、すさまじい速度でエースの側面に回り込む。その勢いのままフルスイングしたヤマトの金棒を、エースは最初からそう来ると読んでいたかのような動きで跳んで躱した。そしてその躱しざま、大振りを空振りしてしまったヤマトへ、炎の拳を叩き込む。

 防御の暇なく入ってしまったダメージに、さしものヤマトも血を流した。しかもエースの反撃はその一撃に留まらず、さらに直後、今度は鋭い炎の弾丸がヤマトへと連射された。

 

 

「ッ――!! 当時のワノ国はカイドウと、カイドウをバックにつけたオロチによって支配されてしまっていたんだ……!! しかもカイドウとオロチは、おでんを卑怯な罠に嵌めた……!! それでおでんはみんなにバカ殿なんて嘲笑われるような目に遭って……でも、それでも彼は立ち上がった!! ワノ国を救うため、そして開国のために!!」

 

「開国……?!」

 

「そう、開国!! おでんはワノ国を開こうとしたんだ!! その理由はわからないけど……おでんは数年、この国を出て世界を見る冒険に出た!! 白ひげという大海賊の船に乗って、そしてあの海賊王ゴールド・ロジャーの船で最後の島、ラフテルにも行っている!! きっとそこで、開国しなくちゃいけない何か(・・)を知ったんだと思う!!」

 

「ッ!! ゴールド・ロジャー、だと……!!」

 

 

 絶えずヤマトへ浴びせかけられていた炎の弾幕が、その一瞬、どういうわけか僅かに緩んだ。ともあれその間にヤマトはその場から抜け出すと、攻勢に転じ金棒を振るう。

 

 

「その何か(・・)は、わからない!! おでんがどうしてワノ国を開国しようとしたのか、その理由は何もわからないけど……!! でも、彼はそのために命を懸けて戦った!! 僕はその生きざまに惚れたんだ!! だからその遺志を継ぐって、そう決めた!!」

 

 

 金棒を振るい――しかしヤマトはその一撃を振り抜かず、身体を一歩前へと進めた。

 

 

「そのために、カイドウは僕が倒す……!! 君にあいつの首をくれてやるわけにはいかないんだよ、エース!!!」

 

「!!!」

 

 

 フェイントで金棒を大きく後ろに引き絞り、覇気と紫電がバチバチ瞬く。それにエースも気付き、驚愕から我に返ると拳に巨大な炎と覇気を込め――そして一瞬の後、両者同時に放たれた。

 

 

「【雷鳴八卦】!!!」

 

「【火拳】!!!」

 

 

 互いの技がぶつかって、せめぎ合う。炎と紫電、覇気のぶつかり合いによる衝撃波が見境なく撒き散らされて、倒れる兵隊たちがまた悲鳴と共に宙を舞う。

 そして――その結果。

 

 

「ッ――ぐ、おおぉぉッッ!!!」

 

「エースッ!!?」

 

 

 ヤマトの覇気が、押し勝った。

 

 エースが吹き飛ばされ、下がってその勝利を祈っていた仲間たちから驚愕と悲嘆の声が上がる。これほどの強者なのだ。一時の攻防とはいえ、負ける姿など見たこともなかったのだろう。

 あまりに伯仲した互いの力量はぶつかり合ってほとんどその力を使い果たし、言ってしまえばエースへのダメージはそこまでではないのだが、だとしてもその衝撃が薄れることはない。吹き飛ばされた兵隊たちもそれは同様だ。今にもまた騒ぎ出しそうな、そんな気配があちこちから漂っている。

 やかましいのは勘弁だ。ギャラリーが鬱陶しくなる前に早く戦いを続けようじゃないかと、ヤマトはおでん談議を発散できた満足感も相俟って、声を滲ませ強気に笑う。

 

 

「さあ、どうしたんだいエース!! 早く立ちなよ、戦いはまだまだ続くんだからさ……!!」

 

「……そう、だな」

 

 

 と応じ、ぶつかり崩れた壁の瓦礫からエースが身を起こした。ぶらりと下がった片腕が、かぶるテンガロンハットへと伸びそれを取る。

 トレーニング用のウエイトを取るような、ゆっくりとした所作。本気も本気、余裕など皆無の息が詰まるような死闘。そんな未来を想起して、ヤマトもまた身構えた。

 身構え、そしてエースの動きを捉えるために、覇気のアンテナと全身をこれ以上ないほどに緊張させて――

 

 

「おでんのことがよくわかった。教えてくれてどうもありがとう」

 

「律儀か!!」

 

 

 帽子を脱いでぺこりと頭を下げたエースのその姿に、思わずツッコミを入れてしまうこととなった。

 

 

「くっ……おでんの話をちゃんと聞いてくれたのは嬉しいけど、今は戦闘中だぞ!? お辞儀なんて、ふざけた奴だな……!!」

 

「ふざけちゃいねェよ、大真面目だ! モノを教わったら頭を下げる! それが礼儀ってもんだろう!」

 

 

 気が抜けるも、しかしヤマトはすぐにそれを引き戻す。たたらを踏んでしまった足を二歩目で立て直し、エースへと襲い掛かった。

 それに対し、お辞儀の余裕を見せつけたエースは反撃せずに守勢に回る。悶々とした思いの中で大振りになりつつあるヤマトの攻撃を躱しながら、対照的に面白がるように視線を周囲に、百獣海賊団の兵隊たちへと向けた。

 

 

「しかし、カイドウを倒す、か……! 部下たちの前でそんなこと言っちまってよかったのか? カイドウの敵だった男に憧れてるってのもそうだが……!」

 

「別に!! 今更誰も気にしやしないよ!! 今ここで初めて告白したわけじゃないからね!!」

 

「そ、そうだぜ……!! おれたちを動揺させようってそうはいかねェ……!!」

 

「ひゃ、百獣海賊団じゃ、ヤマト坊ちゃんの頭がおかしいことは周知の事実よ……!!」

 

「おい誰の頭がおかしいって!!?」

 

 

 エースの笑みに兵隊たちも口を出し、つられてヤマトの注意も逸れる。兵隊たちが小さく悲鳴を上げたその隙にエースはヤマトの間合いから抜け出して、取られた距離でまたも戦いの間が開いた。ままならない状況に、ヤマトは頭を掻きむしる。

 むしゃくしゃする感情を衝動的に発散し、そして宣言するように、ヤマトは金棒の先をエースへ向けた。

 

 

「……十六年前からずっと、おでんは僕の“夢”なんだ!! そのために今日まで生きてきた……!! この想いだけは、誰にだって笑わせない!!」

 

「“夢”か……! まあ、だろうな……!」

 

 

 ニヤリと、エースの口元の笑みが深くなる。帽子をかぶり直したその姿は自然体で、やはり戦意が真剣味を薄れさせていた。

 

 舐められている。そう見えてしまう光景(・・)が、ヤマトを苛立たさせる。

 

 

「笑うなら……エース、僕は君を打ち負かして、それを証明するだけだッ!!」

 

 

 ――が、

 

 

「笑わねェよ」

 

「ッ!!」

 

 

 言い放つと同時に突撃し、振り下ろしたヤマトの金棒は、まっすぐヤマトを捉えて放たれたエースの言葉に、一瞬でその(怒り)を失った。

 腕の一本でガードされ、そしてヤマトが目を瞬かせる中、もはや何の力もこもっていないそれをエースは押し退けた。

 

 ヤマトが直視したエースは、真剣そのものの表情で愉快そうに笑い、口にした。

 

 

「おれも色々とやってきたが、誰かの“夢”を笑うほど落ちぶれちゃいねェ。そう見えちまったんなら悪かったな。……いいこと、思いついちまってよ」

 

「え……いいこと……?」

 

「おう。ついでだ、提案なんだが――」

 

 

 と、この一瞬で頭の中の何かを打ち砕かれたような、そんな奇妙な心地に陥り、困惑を隠せないヤマトは、素直にエースの言葉に聞き返し、

 

 

「おれとお前で、手ェ組まねェか?」

 

「……はぁ!?」

 

 

 直後、呆然を吹き飛ばされる代わり、さらなる困惑の只中へと突き落とされることとなった。

 

 「え、えええぇぇーーーーー!!?」と響く兵隊たちのリアクションを背景に、ヤマトもまた、突然そんな突飛を言い出したエースへと、戦いを忘れて詰め寄った。

 

 

「て、手を組む……!? 君、何言ってるんだ!? 僕たちは敵同士!! 今まさに戦ってる途中じゃないか!!」

 

「ああ、だからおれたちが戦う理由はねェと気が付いた。おれはカイドウを倒して名声を手に入れたい。そしてお前はおでんになるためカイドウを倒したい。……な? カイドウを倒すっていう目的は同じなんだから、戦うよりも協力した方が得じゃねェか」

 

「……本気で言ってるの、それ……?」

 

 

 否、本気であることは明らかだった。ヤマト自身、ヤマトをまっすぐ見つめて言うエースの言葉に悪意の類を感じられない。

 

 とはいえしかし、理性が納得できても心情的には別問題。ヤマトの中の海賊像がチラついて、不信の理由を捻り出す。

 

 

「そうか……! 僕以外にも手ごわい幹部は何人もいる! 力を温存するためボクにそいつらの相手をさせて、最後には裏切ろうって魂胆だろう! 裏切りは海賊の華、だからな!」

 

()げェよ! お前を騙す気はねェし、そういう打算もねェ! おれはただ……ヤマト、お前のことが気に入ったんだ!」

 

「は……」

 

 

 再び、ヤマトの言葉が詰まる。それをいいことに、エースはさらにまくしたてた。

 

 

「いいじゃねェか、一緒にカイドウの野郎を倒そうぜ、ヤマト! おれとお前が組めば最強だ! それに……なんてったって、楽しそうだろ?」

 

「ま、待てよエース! 確かにあいつはカイドウを敵視してはいるようだが……それでも百獣海賊団の幹部なんだぞ!? 信用しすぎるのは危険だ……!」

 

「そうだ! それに……あいつの言うように、お前と対等に戦えるレベルの幹部があと最低三人はいるんだ……! 仮にあいつを味方につけることができても、まだ戦力差がデカすぎる……! 戦力分析が甘かったことを認めて、ここは一旦、本島に引き返すべきじゃ……」

 

「心配するなお前ら! どんな奴が相手だろうが、おれが必ずぶっ飛ばす! それにヤマトは敵じゃねェって、おれの勘がそう言ってんだ! 協力できるし、そうすりゃカイドウだって倒せるさ!」

 

 

 仲間が至極真っ当に止めようとするも、エースはその尽くを乱暴に払い除ける。その無鉄砲さはいつものことであるのか、結果仲間たちは深々ため息を吐き出して、エースはその眼を再びヤマトの説得へと差し向けた。

 そしていたって本気の声色で、エースはこんなことまで言い放った。

 

 

「何ならよ、ヤマト! お前、おれのスペード海賊団の仲間になれよ!」

 

「エース!!?」

 

「っ――」

 

 

 仲間の諦めを一瞬のうちに吹き飛ばすも、そんな事はお構いなし。おまけにヤマトがポカンと呆けたことすら気にも留めず、エースはそれ(・・)がさも当然の流れだとでも言うように続けて語る。

 

 

「まぁ既に自分の計画があるってんなら無理にとは言わねェが……兵隊たちの様子を見るに、お前と一緒に行く仲間はいなさそうだしな。先達として忠告しとくが、海は一人で渡れるほど甘くねェ。航海に仲間の存在は必要不可欠だ。おれも一人で船出してから思い知ったんだが……」

 

「は……何の、話を……?」

 

「何ってだから……おでんも人の船に、白ひげの船に乗ったんだろう? だったらいっそのこと、同じようにお前もおれの船に乗らねェかって話さ! おれも聞いた話でしかねェが、船長ってのは普通は見習いなり雑用なりをこなしていっぱしの船乗りになってからなるもんらしいし……そうでなくてもこのあたりの海は相当危険だぜ? 素人が一人で海に出ても、冒険どころかあっさり死んじまう」

 

「……僕が、海に……?」

 

「おう。だからよ、やっぱりお前、おれの船に乗れよ。お前ほど()えぇ奴がずっとこの国に引きこもってられるとも思えねェし、そうでなくてもお前はおでんになりたいんだろう? だからおれがその“夢”、手を貸してやるよ! カイドウをぶっ飛ばしてワノ国を開国した後、おれたちと一緒におでんみたいな冒険をしよう!」

 

 

 ――と。

 そんなふうに、エースはヤマトの未来(・・)を夢想した。

 

 カイドウを倒し、ワノ国を開国した――その()の話。ヤマトが鬼ヶ島に留まる理由を打ち壊した後の、ヤマトの“夢”の先。あるいは、その果て。

 エースはそれを、思わずその手を取ってしまいそうになるほどの、ある種の迫力に満ちた表情で口にして、そしてヤマトは――

 

 

「――考えたこと、なかったな……」

 

「――は……?」

 

 

 手をだらりと下げたまま、そう深く息を吐くしかなかった。

 

 

「……ヤマトお前、それはどういう――」

 

 

 今度はそんなヤマトにエースが呆け、唖然としたふうに声を漏らす。その後すぐに我に返り、その顔に怪訝を浮かべた。

 

 その時だった。

 

 

「――なんだ、出迎えがねェと思ったら……玄関が騒がしいじゃねェか……!」

 

「「「「「ッ!!!??」」」」」

 

 

 エースと、エースの仲間が、頭上から重く響いた声に、戦慄したように振り向いた。そして直後、エースの顔にすらほのかに恐怖の色が浮く。

 それは当然の反応だった。人である限り、初めてそれを眼にすれば本能的な恐怖心を抱かずにはいられない。むしろそれが正常なのだ。

 

 敵であるなら尚のこと。頭上を飛ぶ巨大な青龍――カイドウに見下ろされ、エースたちはその一瞬、恐れに囚われることとなったのだった。

 

 ただしもちろん、神とも言われる巨大な龍であろうとも、ヤマトにとってはもはや見慣れたものでしかない。恐怖ではなく僅かな驚きだけがそこにあり、いつものように何の遠慮も持たないまま、渋面を浮かべて口にした。

 

 

「……なんでいるんだよクソオヤジ。大事な取引で数日は帰らないんじゃなかったの」

 

「何でもねェ。舐めた態度の取引相手をつい殺しちまったせいで、交渉自体がなくなったんだ。キングたちはその後始末で、やることがねェんでおれだけ先に帰ってきた。……で、そいつらは何者だ?」

 

 

 会話の間に青龍が縮み、人の姿になったカイドウが硬直したエースたちに眼を向ける。視線に彼らはビクリと身を跳ねさせ、そしてそのショックを以って、先んじてエースが蘇った。

 

 

「……おれはエース。カイドウ、お前の首を取りに来た……!!」

 

「――っ! エース――」

 

「……ほう、そうか。それでヤマトと遊んでたってわけか」

 

 

 エースがカイドウに啖呵を切る。直後、カイドウの登場と共に緩んだヤマトの頭に緊張感が戻り、思わずそのまま声を上げるが――もう遅い。

 カイドウはじろりとエースの姿を見やり、そしてそれから一瞬ヤマトにも眼を向ける。互いに痛み分けといったそのダメージの程度を見、すると特に感慨もなく腰の金棒に手を伸ばした。

 

 

「まァ、その意気は買ってやる。来い」

 

「ッ……!! 上等!!!」

 

「ま、待てよクソオヤジ!! エースは今、僕と戦って――」

 

 

 悪あがきに今度はカイドウへと叫ぶもしかし、当然それは止まることなく、

 

 

「【大炎戒(だいえんかい)――炎帝(えんてい)】!!!」

 

 

 それまでの戦いでエースが使った【火拳】など比にもならないほどの炎がエースを中心に燃え盛り、頭上に集い太陽と化した灼熱の球。放射熱だけでも周囲の建物を燃やしてしまうほどのそれを、エースはカイドウへと打ち放ち、そして――

 

 ヤマトと同等程度の実力で真正面から立ち向かい、カイドウに勝てるはずもない。勝てるのならば、とうにワノ国は開国されているのだから。

 そう、声を上げたヤマトの想像通り。

 

 

「【雷鳴八卦】!!!」

 

「――!!!」

 

 

 カウンターの、たったの一撃。それだけでエースの意識は刈り取られ、地に沈むこととなったのだった。

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