ドラゴンボールX   作:人工知能318号

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次元を超える因縁! ベジータ(超)VSベビー(GT)

 

 

 ブルマの研究所は、機械の低く唸る振動と金属が軋む甲高い音に支配されていた。

 オイルと焼けた配線の焦げ臭い匂いが空気に混じり合い、薄暗い照明の下で無数のモニターが青白い光を放っている。

 

 中央に鎮座する巨大な『次元転送装置』は、まるで生き物のように脈打つ配線と点滅するランプで覆われ、不穏な気配を漂わせていた。

 ベジータは腕を組み、眉間に深い皺を刻んで立っている。不機嫌さがその鋭い眼光に滲み、妻の無謀な実験に付き合うことに我慢が限界を迎えていた。

 

「お前が何かやらかすたびに、俺がとんでもない目に遭うんだぞ!」

 

 彼はそう吐き捨てる。

 声には苛立ちと諦めが混じり、歯を食いしばる音が小さく響いた。だがブルマは、そんな夫の不満など意に介さず、目を輝かせて笑顔を浮かべる。

 

「科学の発展にはね、ちょっとした犠牲が付き物なのよ!」

 

 その軽やかな声とは裏腹に、彼女の手は躊躇なく制御盤の赤いスイッチに伸びた。カチリ、と乾いた音が研究所に響き渡った瞬間、装置が唸りを上げ、異様なエネルギーが渦を巻き始めた。

 

 次の刹那、すべてが崩壊した。

 次元転送装置から青白い電光が炸裂し、まるで雷鳴が室内で爆発したかのように空気が震えた。制御不能のエネルギーがスパークを散らし、金属の破片が火花と共に飛び散る。

 耳をつんざくトラックのクラクションを思わせるけたたましいブザー音が空間を切り裂き、ベジータの怒りの叫びすら掻き消した。

 光が彼の視界を飲み込むと同時に、強烈な引力が体を引きちぎるように襲い、意識が闇に落ちた。

 

 目覚めた時、ベジータの鼻腔を満たしたのは、乾いた土と腐敗の入り混じった死の匂いだった。

 目の前に広がるのは、赤茶けた不毛の荒野。地面はひび割れ、風に舞う砂塵が視界を霞ませる。頭上には濁ったオレンジ色の空が重く垂れ込め、太陽すらも毒々しい光しか投げかけない異様な世界だった。

 ツフル星——かつて彼が知った星とは似ても似つかぬ、滅びと荒廃に染まった異次元の地だ。

 

 

 

 額に走る鋭い痛みに顔を歪め、彼は指で触れるとねっとりとした血が付着した。

「ブルマのせいで……また面倒なことに巻き込まれたか!」と呟く声は、怒りと疲労が混ざり合って掠れていた。

 立ち上がろうとしたその時、遠くから地響きが轟き、地面が微かに震え始めた。砂塵の向こうから現れたのは、銀髪を風になびかせた異形の姿——スーパーベジータベビー2。

 この世界でベビーに乗っ取られたベジータ自身の肉体が、そこに立っていた。

 

 その姿は禍々しさに満ちていた。

 筋肉が不自然に膨張し、血管が浮き上がった皮膚は青白く変色し、目からは赤黒い光が滲み出ている。まとわりつくオーラは黒く粘つく瘴気のように揺らめき、周囲の空気を腐らせていく。歪んだ唇が引きつり、口元に浮かんだ笑みは狂気と嘲りを湛えていた。

 

「愚か者め。わざわざ平行世界からこのオレに殺されに来たか!」

 

 その声は、ベジータ自身の低く鋭い響きに、ベビーのねっとりとした不気味さが絡みついたものだった。まるで内側から魂を侵食するような、吐き気を催す声音だ。

 

 ベジータは拳を握り潰すほど強く締め、目の前の敵を見据えた。額の血が頬を伝い、口元に滴る。その味は鉄と屈辱だった。

 

 

「キサマ……何者だ?

 なぜ俺と似た気を持っていやがる?」

 

 ベジータの声は低く唸るように響き、鋭い眼光が目の前の異形を射抜いた。額の血が乾き始め、頬に赤黒い筋を残している。その言葉には怒りと疑惑が滲み、拳が自然と握り潰され、関節が白く浮かんだ。

 

 銀髪をなびかせたスーパーベジータベビー2が、歪んだ笑みを深くした。

 

「ほう……それだけか?

 忘れたとは言わせんぞ、サイヤ人の王子!」

 

 その声は、ベジータの記憶に刻まれた自らの響きと、ベビーの粘つくような不快さが混じり合い、まるで耳の中で這う虫のように不気味に響いた。嘲りのこもった瞳が赤黒く光り、瘴気のようなオーラが一層濃密に揺らめく。

 

「なんだと?

 いや、この気……さてはツフル人か!」

 

 ベジータの眉が跳ね上がり、鼻腔が微かに震えた。目の前の存在から漂う“気”を改めて感じ取り、過去の記憶が脳裏を掠める。その瞬間、確信が彼の胸を突き刺し、口元に冷たい笑みが浮かんだ。

 

 すると、スーパーベジータベビー2が不気味な笑い声を上げ、口を開いた。

 

「オマエの体で、オマエと戦うとは。

 なんとも奇妙な事態だが……“ベジータ”は2人も必要あるまい! さあ、覚悟しろ!」

 

 その言葉は、ベジータ自身の声に似ながらも、ベビーのねっとりした嘲笑が絡みつき、異様な響きを帯びていた。挑発的な視線が彼を突き刺し、戦いの火蓋が切られる予感が荒野に満ちた。

 

 

 

 一瞬にして戦闘態勢に入ったベジータは、地面を蹴り、超サイヤ人ブルーへと変身する。

 髪が蒼く輝き、まるで嵐の雷鳴のような轟音と共に神の力が荒野を切り裂いた。オレンジ色の空が彼のオーラに押されて歪み、風が唸りを上げて砂塵を巻き上げる。瞳は鋭く青く燃え、全身から放たれるエネルギーが周囲の岩を粉々に砕き、地面にひびを走らせた。

 

 次の瞬間、ベジータは音すら置き去りにして間合いを詰める。

 拳がスーパーベジータベビー2の腹に叩き込まれると、空気が圧縮され、衝撃波が放射状に荒野を切り裂いた。岩が爆ぜ、砂が舞い上がり、まるで大地そのものが悲鳴を上げるようだった。

 ベビーは嘲笑を浮かべたまま一歩後退するが、その表情が固まる間もなく、ベジータの膝が背中に炸裂。雷鳴のような打撃音が響き、ベビーの体が地面に叩きつけられ、土煙が渦を巻いて立ち上った。

 

「俺の体を借りた偽物が、本物の俺を超えられると思うな!」

 

 ベジータの声は冷たく鋭く、怒りが込められた拳が高速で繰り出される。拳の一撃ごとに空気が焦げ、熱波が周囲を歪ませた。スーパーベジータベビー2はよろめきながらも反撃に転じ、両手を掲げて「スーパーギャリック砲」を放つ。紫黒のエネルギーが唸りを上げてベジータを襲ったが、彼は即座に「ギャリック砲」で応戦。金色の光が紫の奔流と正面から衝突し、凄まじい爆発がツフル星の大地を揺らした。

 

 衝撃波が広がり、荒野に巨大なクレーターが抉られる。

 爆風が砂塵を巻き上げ、空が一瞬にして暗転した。爆発の中心で、ベビーの体が膝をつき、銀髪が乱れて顔に張り付いている。対するベジータは、青いオーラを纏ったまま悠然と立ち、冷ややかな視線を敵に注いだ。

 

「貴様如き、この超サイヤ人ブルーの敵ではない」

 

 その言葉は氷のように鋭く、勝利を確信した王子の威厳が荒廃したツフル星の空に響き渡った。

 

 

 

 だが、スーパーベジータベビー2は倒れない。

 クレーターの底で膝をついたまま、銀髪が乱れ、顔に張り付いた土と血にまみれながらも、その口元に不気味な笑みが浮かんでいた。

 低くくぐもった笑い声が喉から漏れ出し、まるで壊れた機械のような異様な響きを帯びている。突然、彼の肉体が異変を起こす。皮膚が溶けるように波打ち、黒い液状の粘体が噴出。ドロリとしたそれは、まるで意志を持つかのようにうねりながらベジータに向かって飛びかかった。

 

「貴様の体を我が物に……!」

 

 ベビーの声は狂気と執念に満ち、粘液が空気を切り裂く不快な音を立てて迫る。黒い触手が瞬時にベジータの腕に絡みつき、蛇のように締め上げた。

 触手の表面はぬめり、異様な冷たさと熱さが同時に皮膚を侵食し始め、まるで酸でも浴びせられたかのような激痛が走る。ベジータの顔が一瞬歪み、歯を食いしばって息を詰まらせたが、その瞳に宿る怒りは微塵も揺らがなかった。

 

「貴様如きに俺が屈するか!」

 

 彼の咆哮が荒野を震わせ、超サイヤ人ブルーのオーラが爆発的に膨張する。

 青い炎が全身を包み込み、触手を焼き尽くす勢いで噴出した。絡みついていた黒い粘体がジュウッと音を立てて蒸発し、焦げた匂いが空気に混じる。触手は断末魔のような軋みを上げながら溶け崩れ、ベジータの腕から剥がれ落ちた。

 彼は腕を振って残渣を払い、冷たく鋭い視線をベビーに向ける。皮膚には赤黒い焼け跡が残り、微かに煙を上げていたが、彼の闘志は衰えるどころか一層燃え上がっていた。

 

 スーパーベジータベビー2は後退し、膝を突いたまま憤怒の叫びを上げる。

 

「く、くそう……っ! これまでか!?」

 

 その声は初めて焦りを帯び、銀髪が乱れ落ちる顔には恐怖と憎悪が混じり合っていた。黒いオーラが薄れ、肉体から力が抜けていくかのように震えが走る。だが、その瞳にはまだ諦めきれぬ執念がちらつき、ベジータを睨みつける視線は毒々しい光を放っていた。

 

 ベジータは一歩踏み出し、青いオーラを纏ったまま冷然と見下ろす。額の汗が頬を伝い、戦いの余韻に息が荒いが、その姿には王者の威厳が漲っていた。

 

「貴様の遊びに付き合うのも終わりだ。次はお前を完全に消し去ってやる」

 

 言葉と共に、彼の拳が再び握られ、蒼い光が荒野を照らし出す。

 

 

 

 しかしその瞬間、荒廃したツフル星の空に聞き覚えのある声が割って入った。

 

「ベビー様、受け取ってください!」

 

 ブルマの声──己の知るブルマとは違う、この世界のブルマの声──だ。

 鋭く響くその言葉に、ベジータの目が一瞬見開かれる。

 見上げると、オレンジ色の空に浮かぶ小さな浮遊装置が起動し、青白い光を放ち始めた。ブルーツ波——サイヤ人の力を増幅するあの波動が、濁った大気を切り裂いてスーパーベジータベビー2へと照射される。

 

 次の刹那、ベビーの肉体が異様な膨張を始めた。

 地面に這っていた体が軋むような音を立てて膨れ上がり、銀髪が黄金の剛毛に変わる。巨体が立ち上がると同時に、黄金の大猿へと変貌したその姿が荒野を圧倒した。身長は数十メートルに達し、筋肉が膨張した腕や太腿からは血管が浮き上がり、全身から放たれる黄金のオーラが空を染め上げる。大気を震わせる咆哮が轟き、衝撃波が砂塵を巻き上げてベジータの超サイヤ人ブルーの青い輝きをかき消すほどだった。

 

「フフヌハハハハ……! このカラダ中にみなぎるパワーはどうだ、サイヤ人!!」

 

 大猿ベビーの声は地鳴りのように響き、歪んだ笑みが巨大な口に広がる。目からは赤黒い光が溢れ、唾液が滴る牙がむき出しになっていた。その威圧感は、まるで天災そのものが形を成したかのようだ。

 

 次の瞬間、大猿の拳が振り下ろされる。

 巨木をへし折るような轟音と共に、拳が空気を圧縮し、衝撃波が先行して地面を抉った。ベジータは反応する間もなく数百メートル吹き飛ばされ、背後の岩山に激突。岩が砕け散り、土煙が舞う中、彼の体は岩盤に深く埋まる。衝撃で肺が締め付けられ、口から血が噴き出したが、彼は歯を食いしばり、這うように立ち上がった。

 

 だが休息は許されない。

 大猿ベビーが両腕を振り上げ、巨大なエネルギー波を放つ。黄金の光が唸りを上げて迫り、荒野を焼き尽くす勢いでベジータを飲み込もうとした。

 彼は即座に両腕を交差して防御するが、青いオーラが剥がれ落ちるように薄れ、体が悲鳴を上げる。骨が軋み、筋肉が引き裂かれるような痛みが全身を襲い、膝が一瞬地面に沈んだ。

 

「チィ……ッ!? ブルマめ、あんな野郎に操られやがって……!」

 

 血まみれの口から吐き捨てられた言葉には、怒りと悔しさが滲んでいた。

 ブルマがベビーに支配されている現実が、彼のプライドをさらに刺激する。だがその時、大猿ベビーの尾が鞭のようにしなり、雷鳴のような音を立ててベジータを再び叩きつけた。地面が陥没し、彼の体が土に埋もれる。口から鮮血が溢れ、肋骨が折れる鈍い音が響いた。

 それでも、這い上がるベジータの瞳に宿るのは、決して屈しない闘志の炎だった。額の血が目に入り視界を赤く染める中、彼は低く唸る。

 

「貴様如きに、俺の誇りも! 俺の家族も!

 穢されてたまるかぁ──っっ!!!」

 

 ベジータの咆哮が荒野を切り裂き、血と土にまみれた体が力強く立ち上がった。

 その瞬間、全身から深蒼のオーラが迸り、まるで嵐が具現化したかのように周囲を圧倒する。

 超サイヤ人ブルー進化への覚醒だ。

 

 髪が濃密な青に輝き、風に揺れるたびに光が跳ねる。

 瞳には稲妻のような鋭い閃光が宿り、全身から放たれる神の力が空気を焼き、地面を震わせた。傷だらけの体からは血が滴り落ちるが、その姿は屈辱を跳ね返す王者の威厳に満ちていた。

 

 一瞬にしてベジータは大猿ベビーの懐に飛び込む。

 音速を超えた動きが空気を切り裂き、蒼い残像だけが後に残った。

 拳が大猿の顎に炸裂すると、骨が砕ける鈍い音と共に衝撃波が広がり、巨体が仰け反る。地響きがツフル星の大地を揺らし、岩石が崩れ落ちる中、大猿の口から血と唾液が飛び散った。

 だが、ベジータは止まらない。彼の瞳は冷たく燃え、勝利への執念が全身を突き動かしていた。

 

「貴様の小細工など、真正面から叩き潰してやる!」

 

 ベジータは沸る神の気を収束させ、エネルギーを一点に集中させる。拳から迸る光が凝縮され、蒼白い輝きを放つ槍と化した。

 彼がそれを大猿ベビーの胸に突き刺すと、光の刃が巨体の肉を貫き、内部に潜むベビーの本体を直撃した。黒い粘液が噴出し、肉体が内側から崩壊するような軋みが響く。

 

「グアアア!!?」

 

 ベビーの絶叫が荒野にこだまし、黄金の大猿の巨体が膝をついて崩れ落ちた。地面が陥没し、土煙が舞い上がる中、その瞳から光が消えていく。

 

 だが、ベジータはここで終わりを告げるつもりはなかった。

 

「終わりだ……貴様を完全に葬ってやる!」

 

 彼は全気力を振り絞り、最後の力を爆裂させる(ファイナルエクスプロージョン)

 その瞬間、蒼白い爆発がツフル星を包み込んだ。光はまるで星が誕生するかのように眩く、空を覆う濁ったオレンジ色を一掃した。

 爆風が荒野を焼き尽くし、大地に刻まれたクレーターがさらに広がる。

 ベビーが地球人に植え付けた卵のみが連鎖的に反応し、次々と破裂。黒い煙が立ち上り、瘴気のように漂った後、風に散って消滅した。

 

 爆発の光が収まり、ツフル星の荒野に静寂が戻った。

 ベジータは膝をついたまま、荒々しい息を整えながら立ち上がる。深蒼のオーラは消え、血と土にまみれた体は疲労で重いが、彼の瞳には勝利の確信が宿っていた。

 

「俺の勝ちだ」

 

 呟きは低く、風に運ばれて消えた。

 額の血を拭い、彼は荒れ果てた大地を見渡す。崩れた岩山と黒い煙の残骸が、壮絶な戦いの爪痕を物語っていた。

 その時、遠くから聞き慣れた声が響いた。

 

「ベジータ!?」

 

 ブルマだ。寄生から解放された彼女が、よろめきながら荒野を駆けてくる。服は煤と汗で汚れ、髪は乱れているが、その目には驚きと安堵が混じっていた。ベジータが振り返ると、彼女は立ち止まり、彼をまじまじと見つめて叫んだ。

 

「あ、あんた双子だったの!?」

 

 一瞬、ベジータの眉がピクリと動くが、ブルマはすぐに状況を察した。

 

「……いや、待って。

 ベビーに操られてたベジータとは別に、異世界から来たアンタが助けてくれたのね……ありがとう、ベジータ」

 

 声が震え、目を潤ませながらも、彼女は気を取り直して近づいてきた。

 ベジータは彼女を冷たく一瞥しつつも、倒れていた“もう一人のベジータ”——ベビーに寄生されていた自身の肉体——に目をやる。その体は意識を失い、地面に横たわっていた。ブルマは急いでそばに跪き、彼の状態を確認する。

 

「まだ息があるわ。こっちのベジータはサイヤ人の生命力なら大丈夫ね……。

 アンタの方は……あたしの技術と、ここの機材なら元の世界に戻してあげられるわよ!」

 

 決意を込めた声と共に、彼女は懐から小型ツールを取り出し、転送装置を新たに作り始めた。

 ベジータは腕を組んで見守りつつ、「こっちの世界のお前が原因でこうなったんだぞ」と毒づくが、その口調にはどこか安堵が滲んでいた。

 

 数時間後、ブルマの手によって開発された転送装置が再び起動する。

 ツフル星の機材を組み合わせた即席の機械は、ぎこちなく唸りを上げながら青白い光を放ち始めた。ベジータはその光に足を踏み入れ、振り返ってブルマを見た。

 

「全く、お前には苦労をかけさせられる」

 

 一言だけ残し、彼の姿が光に飲み込まれる。次の瞬間、視界が切り替わり、聞き慣れた機械の音とオイルの匂いが鼻をついた。元の世界——ブルマの研究所だ。

 研究所に戻ったベジータは、目の前に立つ“見知った”ブルマと対峙する。彼女は驚いた顔で彼を見つめ、「ベジータ! 無事だったのね!」と駆け寄ろうとするが、彼は手を上げて制した。

 

「二度と俺を実験台にするな」

 

 満足げに呟き、彼は背を向けて歩き出す。

 背中には戦いの傷が残りつつも、王子の誇りが揺るぎなく輝いていた。

 

 

 

 一方、ツフル星には静寂が訪れていた。風が砂塵を運び、崩れた大地に吹き抜ける。

 ベビーの怨念は完全に消え去り、黒い煙の最後の欠片も空に溶けた。荒野に残るのは、戦いの記憶と、サイヤ人の王子が刻んだ勝利の証だけだった。

 

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