ドラゴンボールX   作:人工知能318号

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超熱戦! 超烈戦! 超絶大激戦!! ブロリー(Z)VSブロリー(超)

 

 

 

 

 

 遥か彼方の宇宙を切り裂くように航行する巨大宇宙船が、漆黒の闇を貫いていた。

 

 その船体は無骨で重厚。まるで鉄の要塞が星々の間を漂っているかのようだ。

 表面には幾多の戦闘で刻まれた傷跡が走り、長い年月を経た威厳と荒々しさを物語っている。

 内部では重々しい金属音と機械の駆動音が響き合い、薄暗い通路に不気味な反響を投げかけていた。

 

 その船の中心に君臨するのは、隻眼のサイヤ人・パラガス。

 がっしりとした体躯は戦士としての風格が滲み、残された右目からは鋭い眼光が放たれていた。

 

 その視線には、抑えきれぬ復讐心が宿っている。標的はただ一人──サイヤ人の王子、ベジータ。

 パラガスにとって、ベジータはかつて彼を裏切り、誇りを泥に塗った憎むべき存在の息子だ。その名を心の中で呟くたび、彼の胸の奥で怒りの炎が再び燃え上がり、決意を固めさせる。

 

 この巨大宇宙船において、パラガスは単なる戦士ではない。

 彼は知略に長けた指導者として、船内のあらゆる者を統率していた。

 船内には、最先端の技術を操るタコ型宇宙人の科学者がいた。彼は触手を器用に動かし、複雑な機械を操作し、その脅威のテクノロジーでパラガスを支えている。

 また、銀河の至る所で生き抜いてきたならず者たちも集結していた。彼らは粗野な笑い声を上げつつ武器の手入れに余念がなく、その目は獲物を求める獣のようにぎらついていた。

 

 この異様な集団を、パラガスは冷徹な命令と揺るぎないカリスマでまとめ上げていた。

 巨大宇宙船は単なる移動手段ではない。武器庫には無数の破壊兵器が並び、研究所では新たな技術が生み出されていた。そして中央には、パラガスの玉座が据えられた戦いの拠点があった。

 彼の計画は緻密で、単にベジータを倒すだけでなく、宇宙全体を支配下に置くという壮大な野望に裏打ちされていた。その夢は彼の心に深く根を張り、どんな障害も乗り越える原動力となっていた。

 

 ある時、パラガスは玉座に座し、静かに呟いた。

 

「ベジータ……貴様がどれだけ高慢に振る舞おうと、この俺が貴様の命を奪い、その王座を我が物とする日が来る……」

 

 その声は低く抑えられていたが、言葉の端々に秘めた憎悪がにじみ出ていた。

 彼の手には、実の息子ブロリーを制御する装置が握られている。小さな機械の表面には緑色の光が点滅していた。それは、ブロリーの力を抑え込むための重要な鍵だった。パラガスは装置をじっと見つめ、指先で軽く撫でながら、計画の最終段階を思い描いていた。

 

 しかし、計画が順調に進む中、予期せぬ災厄が訪れる。

 南の銀河の一角、名もなき無人惑星に船が停めていたある日、ブロリーの制御装置に異常が生じた。

 突然、装置の光が不安定に明滅し、小さな火花が飛び散る。それと同時に、ブロリーの内に秘めた力が抑えきれなくなり、爆発的な勢いで解き放たれた。

 

「ウオオオオオッ!!」

 

「申し上げます! ブロリー様が伝説の超サイヤ人になられましたァ!」

 

 ブロリーの咆哮が宇宙船を震わせ、惑星そのものが揺れるほどの轟音を立てる。

 緑色のオーラが彼の体から噴き出し、まるで嵐のように周囲を飲み込みながら広がった。

 

 その瞬間、ブロリーの理性は完全に吹き飛び、暴走状態に突入する。

 筋肉が膨張し、目が白く濁り、ただ破壊を求める獣と化した。ブロリーは易々と近くの星々を破壊し、拳を振り下ろすたびに爆発が起こり、無数の岩石が宇宙空間に飛び散った。

 そして、彼が放ったエネルギー弾の一つが、宇宙空間に漂う謎の奇怪な装置に命中した。

 

 その装置は、科学者が「ワープさま」と呼ぶ金魚のような形の宇宙移動装置。

 独特の丸みを帯びた形状は、確かに金魚を思わせる奇抜なデザインだ。だがエネルギー弾が直撃した瞬間、装置は火花を散らし、けたたましい警告音を上げながら大爆発を起こした。

 

 爆風が宇宙船を揺らし、破片が飛び散る。

 破壊された装置を起点に周囲の空間が歪み始めた。黒く渦巻く異次元ホールが現れ、その中心からは不気味な吸引力が放たれる。

 船内の照明が点滅し、警報が鳴り響く。パラガスは咄嗟に立ち上がり、鋭い声で命令を下した。

 

「全員、退避だ!」

 

 だが、時すでに遅し。

 巨大宇宙船は異次元ホールに引き寄せられ、抗う術もなくその闇の中へと吸い込まれていく。

 隻眼のパラガスとその一行は、未知の領域へと飛ばされた──。

 

 

 

 意識を取り戻した瞬間、パラガスは異様な光景に目を奪われた。

 

 目の前には荒涼とした岩石地帯が果てしなく広がっている。灰褐色の大地には鋭い岩が突き出し、風に削られて奇妙な形を成していた。

 空は不自然に明るく、薄いオレンジ色に染まっている。その中央には月にも似た衛星が不気味に輝き、冷たく現実離れした雰囲気を漂わせていた。

 

 パラガスはゆっくりと立ち上がった。鋭い眼光をきらめかせながら、周囲を見渡す。

 遠くには巨大宇宙船の残骸が散らばり、金属片が風に揺れてカタカタと音を立てていた。異次元ホールに吸い込まれた衝撃が、まだ耳の奥に残響となって響いているようだった。

 

 近くでは、タコ型宇宙人の科学者が慌ただしく動き回っていた。

 彼は触手を器用に操りながら壊れたコンピュータの残骸を叩き、断片的なデータを必死に解析している。やがて、科学者が振り返り、震える声で報告した。

 

「う、うわへへ……。

 パラガス様、我々の現在地が判明しました。この小惑星は……我々が元いた世界とは異なる、パラレルワールドの星ですじゃ」

 

 パラガスはその言葉に一瞬息を呑み、驚愕の表情を隠せなかった。

 パラレルワールド──そんな非現実的な概念が、今、目の前に現実として突きつけられたのだ。

 

 科学者はさらに続ける。

 

「宇宙船は無残に損壊し、部下たちの大半は行方不明です。生存者の確認もままなりませんですじゃ」

 

 パラガスは歯を食いしばった。

 拳を握り潰しそうなほどの力で怒りを抑え込み、深く息を吐く。そして、すぐに状況を冷静に分析し始めた。眼帯の下で燃える復讐心は揺らぐことなく、彼は低く呟いた。

 

「ここがどこであろうと、俺の復讐は終わらん」

 

 その声には、決意と怒りが混じり合っていた。

 

 その時、遠くからかすかな足音が聞こえてきた。

 岩の隙間を縫うように近づくその音に、パラガスは反射的に身構え、鋭い視線をそちらへ向けた。

 

 そして、岩陰から姿を現したのは──もう一人のパラガス。

 

 隻眼のパラガスと同様に、その男の片目は失われていた。

 しかし、それ以外は大きく異なる。彼の姿は白髪交じりの乱れた髪に、曲がった背。顔には長年孤独に耐えてきたような疲労の色が深く刻まれていた。

 服はボロボロで、粗末な布をまとった姿は、この荒れ果てた星で長く生き延びてきた証だった。

 

 そして、その背後には原始的な獣皮を身にまとったブロリーが控えていた。

 このブロリーは、隻眼のパラガスが知る息子とは異なり、どこか穏やかな表情を浮かべている。

 筋肉質な体は健在だったが、その瞳には狂気ではなく、静かな知性が宿っていた。

 

 隻眼のパラガスは一瞬、驚きに目を丸くしたが、すぐに冷静さを取り戻した。

 ゆっくりと歩み寄ると、老体のパラガスに鋭い声で問う。

 

「貴様……何者だ?」

 

 老体のパラガスは静かに目を細め、かすれた声で答えた。

 

「俺はパラガス。……サイヤ人だ」

 

 その言葉に、隻眼のパラガスは眉をひそめた。

 

「パラガスだと?

 俺と同じ名前……つまり、お前がこの世界の俺ということか。

 お前、俺はベジータ王に復讐するべく生きている。お前はどうだ?」

 

 声には疑念と警戒がにじんでいる。

 老体のパラガスは一瞬遠くを見つめ、ゆっくりと口を開く。

 

「あ、ああ……! 

 俺たちはベジータ王に追放されてから、何十年とこの星で過ごしている。信じられない程長い時間だ。

 ベジータ王に復讐すると言うのなら、ぜひ協力させてくれ」

 

 その言葉には、長年の恨みと諦めが混じり合っていた。しかし、同時に、再び燃え上がろうとする希望も感じられた。

 

 隻眼のパラガスはじっと老体の顔を見つめた。

 

「平行世界ということは……お前にも息子ブロリーがいるのだろう?」

 

 老体は頷いた。

 

「そ、そうだ。

 2人のブロリーがいれば、この宇宙に最早敵はおらん!」

 

 隻眼のパラガスは一瞬黙り込んだ。

 目の前で老いた自身が語る言葉を頭の中で反芻し、その可能性を測る。やがて、口元に不敵な笑みが浮かび、低く哄笑した。

 

「面白い……

 俺はベジータに復讐し、この宇宙を支配するつもりだ。貴様がその意志を共有するなら、共に戦うのも悪くない」

 

 その声は荒々しく、自信に満ちていた。

 老体のパラガスは静かに頷き、深く刻まれた皺の中で目がわずかに輝いた。

 

 二人の間に奇妙な絆が生まれた。

 それは、同じ名前と目的を持つ者同士が、異なる運命を経て交わった瞬間だった。

 

 

 

 

 

 

 二人のパラガスは、それぞれのブロリーを従え、協力体制を築き始めていた。

 隻眼のパラガスは、かつて巨大宇宙船で培った科学知識を駆使し、冷徹な頭脳で計画を立てた。

 一方、老体のパラガスは、小惑星バンパでの長い孤独な生活で磨かれたサバイバル技術を持ち込み、過酷な環境下での生き抜き方を熟知していた。

 

 二人の異なる経験が交錯し、損壊した宇宙船の修復という最初の目標に向かって動き出した。

 船の残骸は岩石地帯に散乱し、歪んだ金属板や焼け焦げた配線が風に揺れている。

 彼らは使える部品を一つ一つ丁寧にかき集め、タコ型宇宙人の科学者が触手を忙しく動かして機能を点検していた。

 

 隻眼のパラガスのブロリーは、緑色のオーラを纏いながら、壊れた船体を軽々と持ち上げ、その怪力で修復作業を加速させる。

 一方、老体のパラガスのブロリーは、原始的な力強さで岩を砕き、障害物を排除しながら、黙々と手を動かした。

 徐々に、船の形が再び浮かび上がり、かつての威容を取り戻しつつあった。

 

 

 

 夜が訪れると、小惑星バンパに嵐が吹き荒れた。

 鋭い風が岩の隙間を抜け、唸り声を上げながら洞窟の入り口を叩く。

 二人のパラガスは、修復作業を一時中断し、洞窟の奥に身を寄せた。

 

 薄暗い空間には、風が運んできた砂塵が舞い、わずかに残る火の光が二人の顔を照らしている。

 隻眼のパラガスが先に口を開いた。

 

「惑星ベジータは巨大隕石の衝突によって消滅した。だがベジータ王の息子、ベジータ王子は今も生きている。

 きっとこの世界でもそうだ。これが許せるものか」

 

 その声は低く、抑えきれぬ憤りが滲み出ていた。

 黒い眼帯の下で、彼の眼光は鋭く燃え、復讐の決意が揺るぎないことを示していた。

 

 老体のパラガスは目を閉じ、しばし沈黙した後、かすれた声で呟いた。

 

「ああ、あいつは俺からすべてを奪った。

 だが、今度こそ取り戻す」

 

 その言葉には、長年の苦しみと、再び燃え上がる闘志が込められていた。

 復讐という共通の目的が、二人の心を強く結びつけ、洞窟の冷たい空気の中で熱い絆を育んでいた。

 

 

 

 やがて、数日が過ぎ、宇宙船の修復が完成に近づいた。

 船体は完全ではないものの、航行可能な状態まで復元され、武器庫や制御室も最低限の機能を回復していた。

 

 隻眼のパラガスは立ち上がり、拳を握り潰すように力を込め、力強く宣言した。

 

「ベジータ、貴様の命は俺たちが奪う。このパラレルワールドの宇宙を俺たちのものにする日が近いぞ!」

 

 その声は洞窟内に響き渡り、まるで嵐の風を凌駕するほどの勢いがあった。

 老体のパラガスもまた、静かに微笑みながら立ち上がった。

 白髪交じりの髪が風に揺れ、疲れた顔に一筋の希望が浮かんでいる。

 

 二人の背後には、それぞれのブロリーが無言で佇んでいた。

 隻眼のパラガスのブロリーは筋肉を膨張させ、緑のオーラが微かに揺らめき、内に秘めた力がうずいているようだった。

 老体のパラガスのブロリーは、獣皮をまとった姿で穏やかに立ち、その瞳に静かな決意が宿っていた。

 

 その時、老体のパラガスがふと口を開いた。

 

「ところで、ブロリーの呼び名はどうする? 分けなければややこしいぞ」

 

 隻眼のパラガスは一瞬考え込み、口元に不敵な笑みを浮かべた。

 

「それならば……俺の息子のブロリーは伝説の超サイヤ人に覚醒する。

 だから、『伝説ブロリー』だ。お前の方は……『原始ブロリー』とでもしておこう」

 

 その提案に、老体のパラガスは小さく頷き、二人の間に軽い笑いが広がった。

 呼び名が決まったことで、彼らの結束はさらに固まったようだった。

 

 こうして、復讐の炎を胸に秘めた二人のパラガスは、新たな戦いへと歩み始めたのだった。

 修復された宇宙船が再び宇宙を切り裂く日を目前に、二人の視線は遠くに潜むベジータの影を捉えていた。

 

 

 

 小惑星バンパは、生命の息吹が極端に乏しい荒涼とした星だった。

 存在する生物は獣と虫のみ——そのどちらも、過酷な環境に適応した異形の存在だった。

 

 表面には鋭利な岩石が無秩序に突き出し、赤茶色の砂塵が常に舞って視界を曇らせている。

 昼間は穏やかな気候が広がるものの、夜になると状況は一変した。

 強烈な嵐が吹き荒れ、岩の隙間を抜ける風が唸り声を上げる。

 砂塵が渦を巻き、洞窟の入り口を覆い尽くす中、洞窟の奥深くに逃げ込まなければ命を落としかねない。

 この環境で生き延びるには、並外れた適応力と冷徹な判断力が必要だった。

 

 

 

 バンパに生息する獣は、緑の毛並みを持つ超巨大な哺乳類で、その巨体は遠くからでも威圧的な影を落とした。

 その肉は生存に必要な栄養素を多く含んでいたが、味は最悪だった。

 酸味と腐臭が混ざった刺激的な匂いに、噛むたびにねっとりとした不快な粘液が広がる。

 それでも、食わなければ飢え死にする。

 選択肢はなかった。

 

 一方で、獣の血を吸う巨大なダニたちは、赤黒い体を蠢かせ、鋭い口吻で獲物に食らいついた。

 不意に襲われれば、皮膚を容易く食い破られるほどの威力を持っていた。

 隻眼のパラガスや老体のパラガスは、しばしばこのダニを駆除しながら狩りを行わなければならなかった。

 捕らえたダニも食料となったが、獣の肉以上に食べるのが苦痛だった。

 それでも、生き延びるためには必要だった。

 

 

 

 隻眼のパラガス一行がこの星に到着した当初は、宇宙船に備蓄されていた食料に頼っていた。

 だが、異次元ホールに吸い込まれた事故でその大半が失われた。

 残されたのはわずかな食糧と、極限状況に耐えるための意志のみ。

 

 隻眼のパラガスは、自ら率先して獣に挑んだ。

 血まみれの緑毛を剥ぎ取り、その肉を部下たちに分け与える。

 眼帯の下の鋭い眼光は、過酷な状況下でも揺らぐことはなかった。

 その手には血と粘液がべっとりと付着し、滴る血が岩肌に落ちて乾いた跡を残した。

 

 老体のパラガスは、長年のサバイバル経験を活かし、原始ブロリーと共に狩りの技術を磨いていた。

 原始ブロリーの怪力は、獣を一撃で仕留めるほどの威力を持っていた。

 血塗られた手で肉を運ぶ姿は頼もしくも、どこか野生の獣そのものだった。

 

 タコ型宇宙人の科学者は、不味い肉を少しでもマシにするため、船内の残骸から化学物質を抽出し、調味料を開発した。

 その味は依然として粗野であったが、飢えをしのぐには十分だった。

 

 

 

 過酷な環境は、肉体だけでなく精神も蝕んでいった。

 ならず者たちの間では、調味料や肉の分配を巡る小競り合いが頻発した。

 罵声と拳が飛び交う光景は日常となり、部下たちの目には飢えと疲労が滲む。

 

 科学者たちは疲弊しながらも宇宙船の修復に追われ、触手を震わせながら機械を弄る姿には、限界の近さが見て取れた。

 

 隻眼のパラガスと老体のパラガスは、こうした混乱を収めるため、互いに知恵を出し合った。

 隻眼のパラガスは冷徹な命令でならず者たちを黙らせ、老体のパラガスは静かな威厳で彼らを落ち着かせた。

 

 

 

 表面上は協力が続いているように見えたが、隻眼のパラガスの態度には、時折不自然な冷たさが垣間見えた。

 彼が老体のパラガスを見る目は、信頼というよりは計算に満ちている。

 その視線は一瞬だけ鋭く光り、再び抑えられた。

 

 一方、二人のブロリーは対照的な静けさを保っていた。

 隻眼のパラガスのブロリーは制御装置によって感情を抑え込まれ、緑のオーラが微かに揺らめく。

 その瞳には、内に秘めた力が渦巻いている気配があった。

 一方、老体のパラガスのブロリーは穏やかな表情を湛えているが、獣皮の下には野性の力が眠っていた。

 

 隻眼のパラガスがその装置を握る手には、時折不必要に力が入り、指先が微かに震える瞬間があった。

 それは信頼ではなく、支配への執着を暗示しているかのようだった。

 

 

 

 宇宙船の修復が最終段階に近づいたある日、隻眼のパラガスは冷徹な決意を固めていた。

 修復された船体が薄暗い光を反射し、機械音が低く響く中、彼の心は老体との協力関係に終止符を打つ方向へと傾いている。

 

 彼にとって、ブロリーの力を独占し、その制御を自らの手で握ることこそが、ベジータへの復讐を果たす最短距離。

 老体のパラガスは確かに有用な知識と技術を提供してきた。だが、今やその存在が隻眼の野望にとって障害となりつつあった。

 彼は一人、船の片隅で目を細め、冷たく呟く。

 

「ブロリーを支配するのは俺だけでいい」

 

 その夜、隻眼は計画を実行に移した。

 修復作業の進捗を確認する名目で、老体のパラガスを宇宙船の奥深くへと誘い込んだ。

 互いに息子ブロリーを連れて、薄暗い照明が四人の影を長く伸ばす。

 

 隻眼は穏やかな口調で老体を導きながら、その背後に忍び寄った。

 老体が一瞬気を緩めた隙を突き、隻眼は手に溜めたエネルギー弾を無慈悲に放つ。

 

 緑色の光が通路を切り裂き、老体の背中に直撃した。

 鈍い衝撃音と共に、老体は床に膝をつき、血と埃にまみれた顔を苦痛に歪ませる。

 驚愕と痛みに震える声で叫んだ。

 

「貴様、何故だ……!」

 

 だが、隻眼のパラガスは無表情だった。

 その瞳には感情の欠片すら宿っておらず、冷ややかに応えた。

 

「お前はもう用済みという事だ。

 老いぼれにブロリーを預ける気はない」

 

 その声は氷のように冷たく、裏切りの刃が突き立てられた瞬間を象徴していた。

 老体のパラガスは這いながらも、血を吐き出し、必死に手を伸ばす。

 

「ブロリー、俺を助けろ!」

 

 その声は弱々しく、絶望に震えていた。

 しかし、原始ブロリーは動かなかった。否、動けなかった。

 父の危機を前にして、彼はただ低いうめき声を漏らすだけだった。

 

 これもまた、隻眼の策略。

 隻眼は老体の不在を見計らい、すでに科学者に密かな命令を下していた。

 

 タコ型宇宙人の科学者は、疲弊した触手を震わせながら新たな制御装置を開発していた。

 それは、二個一組の金の輪——つまり、隻眼のパラガスが元々持っていた制御装置のコピー。

 これを原始ブロリーの首にも密かに取り付けた。

 

 さらに、老体が長年使っていた電撃装置のコントロールも科学者の技術によって奪い取っていた。

 二重の制御が原始ブロリーをがんじがらめに縛り、その自由を完全に奪った。

 隻眼の手には、新旧二つの制御装置が握られ、彼の指先が微かに震えるほど興奮が抑えきれなかった。

 

 

 

 原始ブロリーの瞳には混乱と苦痛が渦巻いていた。

 筋肉が膨張しようとするたびに、電撃がそれを押さえ込む。

 隻眼のパラガスは冷酷な笑みを浮かべ、伝説のブロリーに命令する。

 

「行け、老いぼれにトドメを刺せ」

 

 伝説のブロリーは緑色のオーラを爆発させ、床を震わせながら老体に迫った。

 その顔には冷酷な笑みが浮かび、理性よりも破壊の本能が勝っているようだった。

 

 だが、その瞬間——異変が起きた。

 

 原始ブロリーの目が血走り、彼の内に秘めた本能が覚醒する。

 二重の制御装置から発せられる電撃が全身を焼き、精神的な束縛が彼の心を締め付けている。

 しかし、その苦痛を超えて、耳に届く声が彼の野性を呼び覚ました。

 

「ブロリー……助けてくれ……!」

 

 筋肉が膨張し、全身から蒸気のような熱気が立ち上り、制御装置の鎖が軋む音が響いた。

 

「ガアアアッ!!」

 

 咆哮が船内に轟き、原始ブロリーは力ずくで装置を引き千切る。

 金属が砕け散り、火花が飛び散る中、原始ブロリーは鎖を断ち切り、自由を取り戻した。

 

 隻眼のパラガスは目を丸くして後退したが、時すでに遅し。

 原始ブロリーは老体を守るため、迷わず伝説のブロリーに立ち向かった。

 

 その巨体がぶつかり合い、衝撃波が船内を揺らした。

 二人のブロリーの拳が交錯し、エネルギーが炸裂する。

 

 理性と狂気、支配と自由——

 ブロリー同士の壮絶な戦いが今、幕を開けた。

 

 

 

「だあぁぁぁぁ!!」

 

 小惑星バンパの荒野に、轟音が炸裂した。

 二人のブロリーが正面から激突し、その衝撃だけで地面が波打つように揺れる。原始ブロリーは規格外のパワーを誇り、オーラを纏った拳を振り下ろした。

 一撃が大地に叩き込まれると、巨大なクレーターが瞬時に生まれ、割れた岩石が爆発的に飛び散る。だが、原始ブロリーは野性的な敏捷さでその攻撃を紙一重で回避し、獣のようなうなり声を上げながら反撃に転じた。

 

 伝説ブロリーの動きは破壊的で計算されたものだったが、原始ブロリーは本能に導かれた予測不能な戦法で応戦する。

 拳と拳がぶつかり合い、衝撃波が空気を切り裂き、バンパの鋭利な岩石を粉々に砕く。砂塵が渦を巻いて舞い上がり、視界を埋め尽くすほどの混沌が広がった。

 

 隻眼のパラガスは戦いを呆然と見つめていた。

 眼帯の下で鋭い眼光が揺れ、彼の手元では制御装置が火花を散らしていた。彼はすぐさま科学者に連絡し、焦燥感を抑えきれずに叫んだ。

 

「新たな制御装置を急げ! このままでは手に負えんぞ!」

 

 科学者は触手を震わせながら、慌てて機械を弄り始めた。

 一方、老体のパラガスは地面に這いつくばり、血と埃にまみれた体をなんとか起こそうとしている。

 彼の視線は戦う息子たちに向けられていたが、力尽きた体ではただ眺めることしかできない。その瞳には、絶望とわずかな希望が交錯していた。

 

 戦場では、原始ブロリーのオーラがさらに膨張した。緑の輝きが彼の全身を包み、筋肉が脈打つように膨れ上がる。

 伝説ブロリーが両手で放ったエネルギー波──青緑色の奔流が荒野を焼き尽くしながら迫った──を、原始ブロリーは片手で受け止めた。

 その掌から火花が飛び散り、彼は歯を食いしばりながら力を込めると、その波を押し返す。エネルギーが逆流し、伝説ブロリーの足元で爆発を起こし、地面がさらに抉れた。

 戦いは一進一退を繰り返し、小惑星全体が震えるほどの激しさを帯びていた。

 

 隻眼のパラガスは焦り始め、声を張り上げる。

 

「ブロリー、それ以上気を高めるなぁ!!」

 

 だが、伝説ブロリーは戦いの昂奮に飲み込まれ、もはや制御を無視していた。彼の髪は碧く染まり、口元には狂気じみた笑みが浮かぶ。

 

 小惑星バンパの荒野は、もはや戦場という言葉では収まりきらない混沌と化していた。

 二人のブロリーの衝突は地面を抉り、大気を焼き尽くし、星そのものを揺さぶる。隻眼のパラガスは戦闘力8000を誇る戦士だったが、その目さえも二人の超戦士の動きを捉えきれず、ただ立ち尽くすしかなかった。

 老体のパラガスもまた、岩陰に身を寄せ、息子の戦いを息を殺して見守った。

 

 両者に付けられた制御装置は既にオーバーヒートし、金属が焼ける臭いと共に火花を散らしながら機能を停止している、

 ブロリー達の力が完全に解き放たれ、もはや誰にも止められない領域へと突入していた。

 

「気が高まる……溢れる……!」

 

 伝説ブロリーが呻くように言うと、原始ブロリーがそれに応えるかのように咆哮を上げた。

 

「ウオオオオオオオオ!!!」

 

 瞬間、伝説ブロリーの全身から黄金のオーラが噴き出し、緑色の気が爆ぜた。

 彼の筋肉がさらに膨れ上がり、髪が逆立ち、瞳が白く輝く──『伝説の超サイヤ人』への変身だ。

 

 その姿はまさに破壊の化身であり、足を踏み鳴らすだけで大地が砕け、衝撃波が荒野を切り裂いた。彼は原始ブロリーに向かって突進し、

 全身を緑の炎で包みながら拳を振り下ろした。一撃が命中するたび、地面が割れ、岩石が粉々に砕け散り、爆音が空気を震わせた。

 

「まずはお前から血祭りにあげてやる!」

 

 伝説ブロリーの声は狂気に満ち、拳に込められた力は星を破壊するほどの威力を誇っていた。

 

「ラアアアア!! ウォアアアアア!!!」

 

 対する原始ブロリーは通常形態のまま、獣のような敏捷さで応戦する。

 咆哮を上げながら伝説の攻撃をかわし、爪のように鋭い手で反撃を繰り出した。彼の動きは野性的で、予測不能な軌道を描きながら伝説ブロリーの巨体に飛びかかる。

 

 両者の拳が交錯するたびに衝撃波が爆発し、バンパの地殻が悲鳴を上げた。

 地下から溶岩が噴き出し、赤い輝きが戦場を照らす中、空気が熱で歪み、視界が揺らぐ。伝説ブロリーが放つエネルギー弾が原始ブロリーをかすめると、彼はそれを肩で受け流し、即座に跳躍して膝蹴りを叩き込む。

 伝説ブロリーの腹に命中した一撃は鈍い音を響かせ、彼を数メートル吹き飛ばしたが、すぐに体勢を立て直した伝説ブロリーが咆哮と共に再び突進してきた。

 

 二人の戦いは壮絶さを増し、拳が空気を裂き、蹴りが大地を粉砕する。

 伝説ブロリーが両腕を広げて放った緑の衝撃波を、原始ブロリーは両手で掴むように受け止め、力任せに引き裂いた。エネルギーが四散し、周囲の岩石が溶けるほどの熱を放ちながら、二人の超戦士は互いに一歩も引かず激突を続けた。小惑星バンパそのものが、彼らの戦いの舞台として耐えきれなくなるほどの混沌に飲み込まれていた。

 

 

 

 戦いが進み、伝説のブロリーが一歩リードする。

 緑と黄金のオーラが彼の全身を包み、伝説の超サイヤ人としての力が荒々しく炸裂していた。

 

 原始ブロリーのパワーは確かに凄まじく、その野性的な力は単純な破壊力では上回っていた。

 だが伝説ブロリーは破壊衝動と悪辣な知性を併せ持ち、戦術的な優位を築く。彼の動きには計算があり、相手の攻撃を読み切る鋭い観察力が光っていた。

 原始ブロリーが正面から突進してきた瞬間、伝説ブロリーはその動きを予測し、巨体とは思えぬ速さで横に跳んだ。間髪入れず、彼は両手を振りかぶり、緑色のエネルギー波を放った。

 その光はまるで雷鳴を伴う嵐のように荒野を切り裂いて原始ブロリーへ直撃。轟音と共に彼の体が数十メートル吹き飛び、岩石に叩きつけられると、地面に深い溝を刻みながら滑った。

 

 原始ブロリーは苦痛に顔を歪め、砂塵の中で膝をついたが、その瞳にはまだ闘志が宿っていた。

 彼は低く唸りながら、ゆっくりと立ち上がった。

 

「ウオオオオ───アアアアアァァァアアアアア!!!」

 

 原始ブロリーの瞳が変じる。

 深い闇のような黒から、黄金に輝く光へと変わり、彼の内に秘めた力が目覚めた。それはサイヤ人の本能、大猿の膨大なパワー。

 変身こそしなかったものの、彼の肉体は大猿の力を吸収し、全身が脈打つように膨張する。

 

 緑のオーラが爆発的に膨れ上がり、まるで太陽が荒野に降り立ったかのように周囲を照らし出した。

 髪が逆立ち、筋肉がさらに隆起し、彼の存在感は一瞬にして戦場を支配する。地面がその気圧に耐えきれずひび割れ、砂塵が渦を巻いて彼を中心に舞い上がった。

 

「ガアアアアアッ!」

 

 咆哮を上げ、原始ブロリーは伝説ブロリーに向かって突進。

 その速度は目で追うのも困難なほどで、これまでの戦いがまるで茶番であったかのように、彼は伝説ブロリーを圧倒し始めた。

 

 伝説ブロリーが迎撃のために拳を振り上げた瞬間、原始ブロリーの右拳が雷鳴のような音を立てて彼の腹部にめり込んだ。

 

「なんて奴だ……ッ!」

 

 伝説ブロリーの呻き声が漏れ、その巨体が後方へ吹き飛び、修復された宇宙船の船体に激突した。金属が歪み、衝撃で船が大きく揺れ、火花が飛び散った。

 だが、原始ブロリーは追撃を止めることなく、さらに迫った。彼は伝説ブロリーの胸ぐらを掴み、野獣のような力で引き寄せると、そのまま地面に叩きつけた。轟音と共に巨大なクレーターが生まれ、バンパの大地が崩れ始めた。衝撃波が荒野を切り裂き、地下から噴き出す溶岩がさらに勢いを増し、赤い輝きが戦場を染めた。

 

 伝説ブロリーは地面に這いつくばりながらも、緑のオーラを再び燃え上がらせて立ち上がろうとした。

 しかし、原始ブロリーは容赦なく追撃する。

 

 彼は咆哮を上げながら跳躍し、両手を組んで振り下ろす一撃を伝説ブロリーの背中に叩き込む。

 地面がさらに砕け、伝説ブロリーの体がクレーターの底に埋まる。砂塵と溶岩が混じり合い、空気が熱で歪む中、原始ブロリーの黄金に輝く瞳は、まるで復讐の炎そのもののように燃え盛っている。

 彼の力が完全に覚醒した今、戦いの流れは一気に逆転し、小惑星バンパそのものが二人の激突に耐えきれず悲鳴を上げていた。

 

 

 

 追い詰められた伝説のブロリーは、地面に膝をつきながらふと空を見上げた。

 バンパの荒涼とした空に浮かぶ小さな衛星──その月が冷たく輝き、彼の目に映り込む。月光が放つ微弱なブルーツ波が、彼のサイヤ人の血に火をつけた。

 

 尻尾を失ったブロリーは大猿へと変身することはできない。だが窮地に追い詰められた彼の肉体は、生存本能が極限まで活性化し、その刺激を吸収した。

 彼の体が震え、内に秘めた力が新たな形を求めてうごめき始めた。

 

「ウオオオオオオ!」

 

 雄叫びが荒野に響き渡り、伝説のブロリーは憤怒に燃える。

 この野蛮な獣──原始ブロリーに圧倒される現状が、彼の誇り高いプライドを激しく傷つけたのだ。

 緑のオーラが一瞬揺らぎ、彼の瞳が血のように赤く染まる。

 

 刹那、全身が膨張し、筋肉がさらに隆起して脈打つ。

 緑色の輝きが急速に収束し、代わりに赤い毛皮が彼の体を覆い始めた。両腕が一回り太くなり、髪は鋭く紅く変化し、背後には力強く揺れる新たな尾が生えた。

 

 この形態は、また異なるパラレルワールドの魔界で孫悟空が覚醒した姿──超サイヤ人4と呼ばれるもの。

 彼の体から放たれる赤黒いオーラは、まるで生き物のようにうねり、周囲の空気を重く圧迫した。

 

「貴様ごときに……俺が負けるか!」

 

 伝説ブロリーの声は低く、怒りに震えていた。

 彼は口を大きく開き、赤黒いエネルギー波を一気に吐き出した。その奔流は荒野を焼き尽くし、地面を溶かしながら原始ブロリーを直撃した。爆発がバンパの地表を揺らし、砂塵と溶岩が混じり合って空を覆う。

 原始ブロリーの巨体は吹き飛ばされ、背後の岩壁に激突した。岩石が砕け散り、彼の体が半ば埋もれるほどの衝撃。黄金のオーラが一瞬揺らぎ、彼は苦痛にうめきながらも立ち上がろうとした。

 しかし、伝説ブロリーは容赦しない。超サイヤ人4の力を解き放った彼は、瞬時に距離を詰め、赤い毛皮に覆われた拳を連続で浴びせた。

 

 一撃が命中するたび、衝撃波が荒野を切り裂き、バンパの大地がさらに崩壊する。

 伝説ブロリーの拳は雷鳴のように唸り、原始ブロリーの胸、腹、顔を次々と打ち砕いた。最初の拳が胸にめり込むと、彼の体が浮き上がり、次の膝蹴りが腹部に叩き込まれる。

 原始ブロリーがよろめく間に、伝説ブロリーは両手を組んで振り下ろし、彼の背中に全力の一撃を見舞った。

 

 地面が陥没しクレーターが広がる中、原始ブロリーの動きが明らかに鈍り始めた。

 彼の息が荒くなり、膝が震えながらも、その瞳にはまだ戦意が宿る。しかし、超サイヤ人4へと覚醒した伝説ブロリーの猛攻は、まるで止まらない嵐のように彼を飲み込んでいた。

 

 

 

 しかし、原始ブロリーはまだ諦めていない。

 岩壁に埋もれ、瓦礫と血にまみれたその体は、一見動きを失ったかに見えた。だが、彼の内に宿る野獣の本能が再び目を覚ます。

 岩の隙間から低いうなり声が漏れ、地面が微かに震え始めた。

 

「ガアアアアアアアアアアア!!!」

 

 原始ブロリーが放った咆哮は、空気を切り裂き、伝説の超サイヤ人4さえ一瞬怯ませる。

 その声は荒野を震わせ、溶岩の流れを逆巻かせるほどの力を帯びていた。彼は両腕を広げ、全身から溢れる緑色の気を一点に集中させた。

 掌の間で緑の光が渦を巻き、巨大なエネルギー波が形成されていく。その輝きはまるで星そのものを飲み込むかのように膨張した。

 

 対する伝説ブロリーも負けじと応戦の構えを取った。

 赤い毛皮に覆われた両手に赤黒い気を集め、口元に狂気的な笑みを浮かべながら叫ぶ。

 

「グオアアア!!!」

「フハハハハ! まだ上があるか! 面白い!」

 

 二人の超戦士が同時にエネルギー波を放つ。

 原始ブロリーの緑の奔流と、伝説ブロリーの赤黒い嵐が、バンパの中心で激突。光と光が交錯し、爆発が星全体を包み込んだ。

 衝撃波が荒野を切り裂き、修復された宇宙船を吹き飛ばす。その余波はバンパの衛星さえ揺らし、溶岩が空高く噴き上がった。

 

 緑と赤の輝きが混ざり合い、目も眩むほどの閃光が広がる。

 隻眼のパラガスと老体のパラガスは、爆風に耐えながらもその壮絶な光景から目を離せなかった。隻眼は制御装置を握り潰さんばかりに力を込め、老体は這いながらも息子の姿を追い続けた。

 

 また二人の超戦士のエネルギー波が衝突した瞬間、小惑星バンパは限界を迎えた。

 地殻が砕け、内核が不安定になり、星全体が赤く脈打つように震え始めた。伝説ブロリーの超サイヤ人4の力があまりにも強大で、バンパに致命傷を与えてしまったのだ。

 科学者が慌てて計算を叩き出した結果を、隻眼のパラガスへ伝えた。

 

「あと5分で星が爆発します!

 すべてが消滅する危機ですじゃ!」

 

 その声は風に掻き消されそうだったが、戦場の混沌はすでにその警告を現実のものとしていた。

 

 その中で、伝説ブロリーと原始ブロリーは再び激突する。

 拳と拳がぶつかり合い、衝撃波が空気を切り裂いた。原始ブロリーは大猿パワーを全開にし、全身から迸る気で伝説に立ち向かった。

 彼の拳は雷鳴を伴い、伝説ブロリーの赤い毛皮を打ち砕こうと迫った。伝説ブロリーも負けじと応戦し、超サイヤ人4の力を振りかざして拳を繰り出した。

 

 両者の力が拮抗し、一瞬の静寂が訪れる。

 だが、その刹那、原始ブロリーの顔に戦慄の表情が浮かんだ。

 本能が警告を発していた──伝説ブロリーにはまだ力が残っている。

 

 その予感は的中した。

 伝説ブロリーの赤い毛皮の上から、白銀のオーラが彼を包み込んだのだ。

 先程の覚醒とは異なり、髪や瞳の色が変わることはなかった。しかし彼を塗装する白銀の力は、確かにその強さをさらに上へと引き上げていた。

 そのオーラは冷たく鋭く、まるで刃のように周囲を切り裂いた。

 

「ウオオオオ!!!」

 

 彼は咆哮を上げ、鋭い一撃を繰り出した。

 その拳は神域に達し、空気を引き裂きながら原始ブロリーの胸を貫くように直撃。オーラが砕け散り、原始ブロリーの巨体が吹き飛ばされ、バンパの溶岩湖に叩き込まれた。

 赤い液体が飛び散り、彼の体が湖面に沈むと、熱気と共に蒸気が立ち上った。

 伝説ブロリーは狂気的な笑い声を上げる。

 

「ハハハハハ!

 貴様ごとき、俺に敵う筈もなかったのだ!」

 

 彼の力が暴走し、バンパの大地をさらに破壊し尽くした。

 拳を振り上げるたびに衝撃波が広がり、岩石が蒸発し、溶岩が空高く噴き上がる。星の崩壊が加速し、天空が赤黒く染まり、地面が割れて内核の光が漏れ出した。

 小惑星バンパは、もはや彼の力に耐えきれず、崩壊のカウントダウンが刻一刻と迫っている。

 

 今にも砕け散りそうな星の上。

 伝説ブロリーの白銀に輝く姿は、まるで破壊の神のように荒野に君臨していた。

 

 

 

 

 

 隻眼のパラガスは、小惑星バンパが崩壊するこの壊滅的な状況の中、生き延びる道を必死に模索していた。

 伝説ブロリーと原始ブロリーの戦闘の余波で、修復された宇宙船はほぼ全壊。金属の残骸が溶岩と砂塵に埋もれていた。

 しかし、彼の鋭い視線が奇跡的に残った1人用の脱出ポッドを捉える。ポッドは船の片隅に半ば埋もれていたが、起動可能な状態を保っていた。

 

「俺にもまだ、幸運が残っていたか……!」

 

 彼は瓦礫をかき分け、息を切らせながらポッドにたどり着くと、素早く内部に滑り込んだ。

 ハッチを閉じて、汗と血にまみれた手で起動スイッチに触れようとする。だが寸前、冷たい気配が彼に迫る。

 

 そこには白銀のオーラを纏った伝説ブロリーが立っていた。赤い毛皮の上に輝く白銀の力が、彼をまるで死神のように見せていた。

 

「何処へ行くんだ?」

 

 伝説ブロリーの声は低く、抑揚のない冷酷さを含んでいた。その瞳は白く輝き、感情の欠片すら感じさせなかった。隻眼のパラガスは一瞬硬直し、慌てて取り繕うように叫んだ。

 

「お前と一緒に、避難する準備だ!」

 

 だが、伝説ブロリーは鼻で笑い、その言葉を一蹴した。

 

「1人用ポッドでか?」

 

 その冷ややかな一言に、隻眼のパラガスの顔が青ざめた。

 彼の心臓が激しく鼓動し、逃げ場のない恐怖が全身を包んだ。伝説ブロリーは悪魔のような笑みを浮かべ、ゆっくりと近づいてくる。

 赤と白銀のオーラがうねり、彼の足音が地面を震わせるたび、ポッドの金属が軋む音が響いた。次の瞬間、伝説の手がポッドを掴み、まるで玩具のように軽々と持ち上げた。

 

 その死の淵で、隻眼のパラガスは突然悟った。

 自分は老体のパラガスと原始ブロリーに嫉妬していたのだと。あの親子は、歪んだ形であれ互いに寄り添い、絆で結ばれていた。

 それに対し、自分は伝説ブロリーをただの道具として使い、裏切りと支配に走った。

 この関係の違いを、隻眼のパラガスは妬んだ。─────尤も、それは『隣の芝生は青い』という様な感情だったが。

 

 その無自覚な嫉妬が、老体を仕留めようとした動機だったのだ。眼帯の下で、彼の瞳が一瞬揺れ、過去の記憶が走馬灯のように流れ込んだ。

 

「これが……サイヤ人の運命か……!」

 

 彼は最後に呟き、目を閉じた。後悔と諦めが彼の心を満たし、もはや抵抗する力も失っていた。

 伝説ブロリーは無慈悲に笑い、ポッドを握り潰す。金属が悲鳴を上げ、ひしゃげたポッドから火花が飛び散った。

 そして、彼は壊れた宇宙船の残骸ごとそれをバンパの空に放り投げた。ポッドは赤い炎に包まれながら上昇し、バンパの太陽に向かって吸い込まれていった。

 

 やがて、眩い閃光と共に跡形もなく消滅した。

 隻眼のパラガスの野望は、ここで終わりを迎えた。彼の復讐の夢も、宇宙を支配する野心も、すべてが灰と化したのだ。

 

 バンパの崩壊はもはや止められない。

 地殻が砕け、内核が赤く脈打ち、星全体が爆発のカウントダウンに入っている。

 伝説ブロリーは白銀のオーラを纏ったまま、空に浮かび、星が砕ける様を冷たく眺めた。地面が割れ、溶岩が噴き出し、空が赤黒く染まる中、彼の視線は遠くをさまよった。

 

「親父に連れて来られたならず者共か……。

 いつかは自分達の星に帰りたいと、空を眺めていたな。いつかは帰れると良いなぁ」

 

 その言葉は独り言のように呟かれ、どこか嘲笑を含んでいた。

 彼は片手を軽く上げ、赤黒いエネルギー弾を放った。その光は生き延びていたならず者たちを瞬時に捉え、彼らをまとめて消し去った。爆発音が響き、砂塵と血が舞い上がり、彼らの存在は一瞬にして抹消された。

 

 

 

 小惑星バンパが崩壊の淵に立たされる時、老体のパラガスは溶岩湖から這い上がった原始ブロリーに駆け寄っていた。

 ボロボロの体を引きずりながら、彼は息子を見つめる。

 

 老体の目は血走り、汗と埃にまみれていたが、その瞳は複雑な感情に揺れていた。

 原始ブロリーの顔は血と傷に覆われ、オーラは薄れていたが、彼がまだ生きていることに老体は胸を撫で下ろす。

 

 しかし、その視線が息子の顔を捉えた瞬間、過去の記憶が洪水のように押し寄せた。

 バンパでの長い年月、電撃装置で原始ブロリーを縛り、その力を道具として使い続けた夜々。

 あの時、彼は自分の鬱憤を息子にぶつけ、怒りを抑えるために電撃を浴びせた。だが、心の奥では常に恐怖が潜んでいた──息子が自分を恨み、報復としてその怪力で自分を殺す日が来るのではないかという怯えだ。

 

「ブロリー……」

 

 老体は震える声で語り始めた。喉が乾き、言葉が途切れがちだったが、彼はその思いを押し出した。

 

「この星で、俺はお前を道具にした。

 電撃を浴びせ、怒りを晴らした夜もあった。

 だが、心のどこかで……お前が俺を恨み、俺を殺す日が来るんじゃないかと怯えていたんだ。

 …………それでも、お前は……」

 

 彼の声は詰まり、目を伏せた。言葉にできない感情が胸を締め付け、過去の罪が重くのしかかっていた。

 

 原始ブロリーは、傷だらけの体をゆっくりと起こし、老体を見た。

 二重の制御装置を振り切り、命懸けで老体を守ったその瞳は、憎しみではなく穏やかな光を宿していた。血と汗に濡れた顔に、かすかな温もりが浮かんでいた。彼は無言で老体を見つめ、その視線だけで何かを伝えようとしているようだった。

 

「なぜだ、ブロリー。お前はなぜ俺を……?」

 

 老体が問うと、原始ブロリーはかすれた声で答えた。息も絶え絶えだったが、その言葉ははっきりと響いた。

 

「父さん……無事で…………良かった」

 

 その一言に、老体のパラガスの目から涙が溢れた。熱い滴が頬を伝い、埃にまみれた顔に筋を引いた。

 彼は初めて、息子に対する深い罪悪感と愛情を自覚した。長い間、支配と恐怖で息子を縛り続けた自分を恥じ、同時にその純粋な心に打ちのめされた。

 

「すまなかった、ブロリー!

 俺はお前をずっと……道具としてしか見てなかった! お前が俺の息子だという事を、忘れて……!」

 

 老体は膝をつき、頭を下げた。

 白髪交じりの頭が震え、涙が地面に滴り落ちた。原始ブロリーは弱々しく微笑み、「う、ぅうん」と呟いた後、空を見上げた。

 赤黒く染まった空には、崩壊の兆しが広がり、遠くで白銀のオーラが揺らめいていた。

 

「……あいつ……来る。父さんは、どこか遠くに……」

 

 原始ブロリーの声は弱々しかったが、老体を気遣う気持ちが込められていた。

 老体は首を振った。

 

「いや、もうこの星に安全な場所はない。最後はお前と共にいさせてくれ」

 

 原始ブロリーは一瞬黙り、やがて静かに頷いた。

 

「………………うん、わかった」

 

 二人は互いを支え合い、立ち上がった。

 老体は息子の腕に手をかけ、原始ブロリーは老体の肩をそっと支える。傷だらけの親子は、崩れゆくバンパの大地に立ち、白銀のオーラを纏った伝説ブロリーを睨みつけた。

 

 

 

 伝説ブロリーは、バンパの崩壊を眺めながら悪魔的な笑みを浮かべる。

 白銀のオーラが彼の周囲でうねり、赤い毛皮が微かに揺れる中、彼の瞳は冷たく輝いていた。

 砕け散る大地と噴き上がる溶岩が、彼にとっては何の意味も持たない雑音に過ぎなかった。

 

「無駄な事を……今、楽にしてやる」

 

 彼は両手を広げ、白銀の気を凝縮した巨大なエネルギー弾を形成した。

 その光はバンパの空を覆い尽くし、迫り来る星の爆発さえも比較にならないほどの破壊力を顕現する。赤黒い輝きが渦を巻き、エネルギー弾が放たれた瞬間、大地が裂け、溶岩が空高く舞い上がった。

 その威力は空間そのものを歪め、荒野を焼き尽くす奔流となって親子へ迫る。

 

 老体のパラガスと原始ブロリーは、互いの手を握り合った。

 老体の指は震え、血と汗にまみれていたが、息子の手を離すことはなかった。原始ブロリーの傷だらけの手もまた、父をしっかりと掴んでいた。二人は崩れゆく大地に立ち、迫り来る破壊の光を見据える。

 

「ブロリー、力を貸してくれ!」

 

 老体が叫ぶと、原始ブロリーは最後の力を振り絞った。

 彼の瞳が再び黄金に燃え上がり、弱々しくも力強い光が全身を包んだ。老体もまた、残された僅かな気を振り絞り、息子と共に立ち上がった。

 二人の気が混ざり合い、緑の光が交錯する。親子のそれは一つのエネルギー波となって伝説ブロリーの攻撃に立ち向かった。

 

 両者の力がぶつかり合い、ほんの僅か、一瞬だけその破壊力を押し返す。

 衝撃の余波がバンパの残骸を吹き飛ばし、星全体が震え、轟音が空気を切り裂いた。二人のエネルギー波は、まるで絆そのものが形となったかのように輝き、伝説ブロリーの白銀の気を相手に寸刻の間だけ拮抗させる。

 

「父さん……!」

「ブロリー……!」

 

 二人は互いの名を呼び合い、最期まで抗い続けた。

 老体の声には深い愛情が込められ、原始ブロリーの瞳には父への信頼が宿っていた。彼らの手は固く結ばれ、決して離れることはなかった。

 

 ───だが、伝説ブロリーの力があまりにも圧倒的だった。

 

「よく頑張ったが、とうとう終わりの時が来たのだ……!

 フンッ!」

 

 伝説ブロリーがさらに力を込め、新たなエネルギー弾を放った。

 白銀と赤黒の気が追加され、拮抗していた激突が一気に勢いを傾けられる。追加の気弾が二人の抵抗を押し潰し、彼らの緑と黄金の光を飲み込んでいった。

 

 やがて、エネルギー弾がすべてを覆い、爆発が荒野を包む。光と熱が瞬時に広がり、バンパの大地が悲鳴を上げた。

 

 小惑星バンパはついにその限界を迎えた。

 大地が裂け、内核が爆発し、星全体が光と熱に覆われる。衝撃波が宇宙空間に広がり、バンパは粉々に砕け散って消滅した。

 老体のパラガスと原始ブロリーは、最後の瞬間まで手を離さず、互いを守り抜いたままその光の中に消える。父と子の絆は、最期まで揺らぐことなく、しかし容易く破壊の奔流に飲み込まれた。

 

 その後、広大な宇宙の暗闇が広がる中、ただ一つ響き渡るものがあった。伝説ブロリーの狂気的な笑い声だ。

 

「ハハハハハ!

 終わったな。しょせん、クズはクズなのだ!」

 

 紅い毛皮を纏った彼は、星の残骸を背に漂い、悪魔のような存在感を放っていた。

 白銀のオーラが微かに揺れ、彼の笑い声が虚空にこだまする。隻眼のパラガスの野望も、老体と原始の絆も、すべてがバンパと共に消え去った。

 

 

 

 宇宙には───

 ただ冷たい静寂と、彼の笑い声だけが残る。

 




・超サイヤ人4(DAIMA)
今回の話でブロリー(Z)が覚醒した形態。
DAIMA世界の孫悟空が魔人ブウとの戦いから僅か一年で到達した力で、超サイヤ人3から「もう一つオマケ」で変身する場面はとても格好良い。
GTの超サイヤ人4と同じく超化した大猿のパワーを完全にコントロールした姿と思われるが、詳細は不明。髪や瞳が赤くなっている辺り、ゴッドのパワーとも関係があるのかもしれない。

・白銀のオーラ
超サイヤ人4(DAIMA)の悟空がゴマーとの戦闘時に見せたパワー。
ベジットの使う「バリヤー」にも似ているが、あちらが防御技なのに対してこちらは強化技っぽい。
同じく詳細不明。
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