プロジェクト東京ドールズ:外伝 『忘却のイミテーション・ドール』   作:やさぐれショウ

10 / 18
拾 お披露目ライブに向けて

任務の途中で気を失ったノドカだったが、翌日には元通りになった。時刻は午前8:00…レッスン場にはサクラとノドカを除くDollsと翔の姿があった。翔はこの世界のDollsに対して、自分の正体を隠している。その証拠に、顔には黒いマスクを身に着けている。このマスクで目元を隠すことで、彼女達からは気付かれない。

 

(サクラとノドカの奴ら、何やってんだ…?もうレッスンが始まっちまうぞ……)

 

やがて、バタバタと走る音が聞こえて来ると、その音は段々大きくなって行く。その後すぐ、バタンッとドアが開き…

 

「すみませんっ、遅れました…!!」

 

サクラとノドカがレッスン場に来た。

 

「遅刻よ。」

 

「1分遅刻だ、遅くとも10分前には集合しろ。」

 

「すみません!」

 

ミサキと翔からの厳しい言葉を受け、頭を下げて謝罪するサクラ。ノドカはそんな彼女を見て、ペコリと頭を下げる。

 

「大丈夫ですよ。二人が遅れることは私から説明しておきましたから。」

 

「ま、仕方ないわ。あの戦闘以来だもの。」

 

サクラとノドカをフォローするシオリとアヤだが、翔は再び厳しい言葉を言う。

 

「仲間達とは繋がってんだろうが、せめて連絡ぐらいはしろ。」

 

「お〜、おっかねぇおっかねぇ…鬼のSさんっすねぇ。」

 

あ?

 

「……スンマセンした…」汗

 

翔をからかったヤマダだが、刃の如く鋭い目で睨まれ、すぐに謝罪した。

 

「…体はもういいの?」

 

ノドカに問うレイナ。すると、ノドカは自分の頭を指差し…

 

「ここの、ねぐせ…」

 

…と、言う。

 

「…は?」

 

理由がわからず、困惑するアヤ。

 

「ねぐせ、が、取れなくて…大変でした。」

 

ノドカの言葉を聞いたDollsは全員ポカンとし、翔はため息をつく。

 

「ノドカちゃん…!」汗

 

やがて、ノドカの髪の毛が跳ねた。その瞬間、メンバー達は笑った。翔は相変わらず無表情を貫いているが…

 

「ね、ねぐせって!!www」

 

「確かに、serious problem(深刻な問題)ね♪w」

 

「ねぐせは、なかなか取れません…」

 

アヤとレイナは笑い、ユキもノドカに共感を示している。

 

「ならさっさと直せ…」

 

呆れながら言う翔。シオリは色々準備をすると、ノドカを呼ぶ。

 

「ノドカさんこっちへ…直してあげるわ。」

 

シオリの言葉に頷いたノドカは、何故かサクラの手を引いて向かう。

 

「の…ノドカちゃん…引っ張ったら危ないよ!?」

 

「べったりですね。」

 

「あはは!カルガモのおかーさんと赤ちゃんみたい!」

 

冷静に言うナナミと微笑ましそうに見守るヒヨ。

 

「割り込み現象でしょうか?初めて見た者を親と思い込むというあの…」

 

「違ぇだろ…」

 

ナナミの考察を否定する翔。

 

「恐らく、アイツは満開野郎を信頼しているんだろう…理由は知らんがな……」

(おにぎりありがとうって、ノドカはサクラに言っていたな…多分それが答えだろう……)

 

気を失う直前、ノドカはサクラに言っていた事を思い出す翔。数日前、遅くまでシミュレーターで訓練をしていたノドカの為に、サクラがおにぎりを作った。それがきっかけになったのか、ノドカはすっかりサクラに懐いていた。

 

「…どちらにしても、ずいぶん個性が出てきたんじゃないかしら?」

 

「ね?この調子なら“アレ”も上手く行きそう!」

 

良い方向性に変わったノドカを見て、微笑むレイナとアヤ。

 

「あの、“アレ”って…?」

 

アヤの言葉が気になったサクラは、手を挙げて質問する。アヤは「ふっふっふーん♪」と得意げに笑い、質問に答える。

 

「そりゃモチロン、研究生ノドカのお披露目ライブ!!」

 

何でも、Dollsはとあるお祭りイベントでライブを披露することになっていた。そこで、新人のノドカもライブに参加し、世間に知ってもらおうと話していたのだ。新入りファンもおなじみのファンも入り交じる為、彼女を知ってもらうには良い機会だと考えたそうだ。

 

「やったねノドカちゃん!!ノドカちゃんのこと、みんなに知ってもらえるよ!!」

 

思わず喜ぶサクラだが、ノドカはきょとんとしている。そんな彼女を見て、ハッとするサクラ。そして…

 

「あ……」

(だけど…この間、倒れたばっかりなのに…大丈夫かな……)

 

この間の任務で倒れ、復活したばかりの彼女を心配する。それと同時に、ノドカお披露目ライブの構成についてチームリーダー達が議論を始める。

 

「構成はどうする?なるべく人数を絞った方がセンセーショナルだけど。」

 

「ソロは…さすがに難しいですしね……」

 

「かといってメンバー全員だとノドカの印象が−−」

 

すると、サクラが手を挙げる。

 

「あのっ!!」

 

メンバー達が注目する中、サクラは提案する。

 

「私とノドカちゃんのデュオで歌わせていただけませんか?」

 

それは、サクラとノドカが2人で歌うということだった。

 

「サクラさんとノドカさんで…?」

 

「はい…!」

 

サクラはノドカの手を優しく握りながら言う。

 

「私のワガママなんですけど、隣に立っていたいんです。何があっても、すぐにフォローできるように…」

 

そんなサクラを見て、翔は口角を上げる。

 

「中々面白い事言うじゃねぇか、俺は良いと思うぜ…?」

(可愛い子には旅をさせろ、だったか…新人には色々経験して貰わねぇと行けねぇからなぁ。)

 

「なら、『Miracle(ミラクル) Smile(スマイル)』はどうでしょう?歌いやすいピッチだし、二人の声質にもあってると思います。」

 

この曲は、チョコのCMソングにもなっている歌だ。ヒヨは全然違う振り付けを披露し、ナナミに呆れられた。アヤもシオリの提案を良いと言う。すると、ノドカはこの曲を知っていると言い、歌い始める。だが……

 

「お経みたい〜!!」

 

「マジそれ!!ダンスはあんなに上手いのに…なんで!?」

 

「歌詞が入っているのは良いが、ボイトレレッスンは必須だな……」汗

 

お経を唱えるように歌う為、ヒヨは笑い、アヤは驚愕し、翔は困った。

 

「サクラ!!これは形になるまで相当時間が掛かるわよ?」

 

「だな、それなりに覚悟をしておいた方が良いぞ……」

 

「は、はい…!!」

 

アヤと翔の言葉にプレッシャーを感じるサクラ。だが……

 

「…大丈夫、です。サクラと歌えるなら…大丈夫です。」

 

…と、ノドカは言った。

 

「ノドカちゃん…!!」

(やっとノドカちゃんに先輩らしいことしてあげられるかも…!)

 

サクラはノドカの手を握り…

 

「一緒に頑張ろうね、ノドカちゃん!!」

 

…と、言った。アヤとレイナによる特別レッスンが始まると聞き、逃げようとするヒヨとナナミ……彼女達のレッスンは厳しく、過酷である。そんなレッスンから逃れようとする2名を、シオリと翔は逃さなかった。途端、ヒヨとナナミの叫びが響き渡った。

 

「……。」チラッ…

 

ふと、ミサキとヤマダに目を向ける翔。

 

(険しい顔してんな…多分、またノドカが戦闘で倒れねぇか心配しているか……それとも、ノドカがスパイだと疑っているか……か?んで、ヤマダに関しては…まぁ、特疾研を探るつもりだろう…アイツの情報収集能力は半端ねぇからな……)

 

妙な胸騒ぎを感じつつ、翔はDollsのレッスンを見守った。サクラは先輩としてノドカにしっかり教え、これなら大丈夫だろうと感じていた。

 

(ただ、問題は……奴、小山内だな……アイツの目の奥に、深い闇を感じる……ぜってぇ何かあるっつっても、もう知っている……奴はDollsに目ェ着けてやがるからな……せめて、9人のDollsは守らねぇとな……)

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。