プロジェクト東京ドールズ:外伝 『忘却のイミテーション・ドール』   作:やさぐれショウ

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拾壱 ライブ前の予兆

遂に、ノドカのお披露目ライブの日がやって来た。ライブ会場の近くには神社があり、左右にはいくつもの屋台が出店している。

 

「リハーサルを見せてもらったが…本番まで日の浅い中よくやった。ファンの反応が今から楽しみだ。」

 

斑目はメンバー達に激励を贈る。

 

「今日は研修生であるノドカのお披露目ライブでもある…存分に花道を飾ってくれ。」

 

「「「はいっ!!」」」

 

「それでは総員、本番である夜まで解散。祭りは好きに回って良いが、知名人であることを忘れるなよ。」

 

ライブ開始は夜、祭りのフィナーレを飾る為、重要だ。

 

「…うう、ライブ前の連絡が斑目さんってなんか……」

 

「はい、あっちの任務みたいです……」

 

「はぁ…マスター、まだ帰って来ないんですかね?って……」

 

アヤとユキは何か言っているが、ふと…ミサキはヒヨの方をみる。彼女はその場でしゃがみ、何かを考えている様子。

 

「もうちょっとで思い出せそうなのにな〜……」

 

と言い、中々思い出せないようだ。

 

「また?」

 

「ええ、最近『Miracle Smile』を聞く度に言ってるわね……」

 

「あーやっぱり思い出せない〜〜!!」

 

そんなDollsを、翔は見守る。彼女達には『S』と名乗り、顔には黒いマスクを身に着けている。その為、目元だけが見えない状態になっている。そのお陰か、それとも冷酷な性格のお陰か、両方のお陰か……Dolls達には正体がバレていない。ただ、サクラだけは彼の正体を知っているが、メンバー達には話していない。

 

(お祭りかぁ…)

 

少しソワソワし始めるサクラの腕を掴むノドカ。

 

「あっ、ノドカちゃん…外に行きたいの?」

 

サクラの問いに静かに頷くノドカ。

 

「待っててね!上着を取って来るから。」

 

そして、上着を取りに向かった。

 

「……。」

(今のところ、ノドカには異常は見えない……ただ、アイツ……)

 

「……。」スッ…

 

翔がノドカを見ていると、ヤマダがミサキの近くにやって来た。

 

「…ミサキさん、ちょっと良いっすか?」

 

「何?レイドボス云々なら手伝わないわよ。」

 

「ちげっすよ。あのヒト…ノドカさんのこと……ちょっと、ヤベーの見つけちゃって…

 

「!!」

 

(ヤマダも気付いたか…ノドカが居るとこ、何故か化け物共が頻繁に出るんだよな……恐らく、アイツには…化け物の細胞が埋め込まれている……)

 

陰で探りを入れていた翔は、小山内とノドカについて…もう既に知っている。その為、Dollsを守る為にここに居る。その頃、ノドカはサクラと一緒にライブステージを見ていた。

 

「ステージ…おっきいよね?」

 

サクラの言葉に頷くノドカ。そして…

 

「…はい、キラキラしています。」

 

…と、静かに言った。そんな彼女に、サクラは言う。

 

「真ん中に立ったらね、もっとキラキラしてるんだよ!」

 

「もっと……」

 

「ふふっ、思い出すなぁ!」

 

サクラは自分が初めて舞台に立った時の事を思い出していた。本当にDollsとライブに立てるのかライブ直前まで信じられず、指も喉も震えてしまった……だが、隣を見ればDollsの皆が居て…マスターも、そして客席には多くのファンがいた。一面のペンライトが星のように輝き…自分は1人じゃないと思えるようになり、力が湧いて来た…と、語った。

 

「1人じゃ…ない…?」

 

「うん、1人じゃないよ!!たくさん練習して…夜食のおにぎり作りだって、あんなにうまくなったんだもん。」

 

先輩として、後輩のノドカを励ますサクラ。

 

「今日のノドカちゃんの初ライブも、きっと素敵なものにーー」

 

その時…

 

「ーーノドカ。」

 

小山内がやって来た。

 

(…ちっ、折角のとこに水を差しやがって……)

 

小山内を見て、眉間にシワを寄せる翔。サクラは小山内に挨拶をする。

 

「こんにちは小山内さん…来てくださったんですか?」

 

「えぇ、大事な身内の初舞台ですもの。」

 

「良かったね、ノドカちゃん!」

 

しかし、小山内を見るノドカは…腕が、少し震えていた……

 

「…ノドカちゃん?」

 

その時…サクラの耳に着いている通信機が鳴る。

 

『た、大変です!!ライブ会場周辺、神社を取り囲むように複数のピグマリオン反応が出現!!』

 

ピグマリオン反応が現れたのだ。

 

「う、うそっ…!?」

 

『方位伝えます!北北東2体、南東1体、南西2体、西北西1体、全て前回の新型の模様!!』

 

全て新型ピグマリオンであり、強敵だ。

 

『お前たち聞こえたな!?各々に掃討地域を伝える!!南東の新型を最後の合流地点としーー』

 

「あら出動?」

 

「は、はい…!!」

 

「それは大変……」

 

「ちっ……」

 

翔は小山内の前に出て来ると、彼女に文句を言う。

 

「国の関係者なら分かんだろ?一々聞くんじゃねぇ、ぶっ飛ばすぞ?」

 

「え、Sさん…!!」

 

「いいからさっさと行け。」

 

命令、だものね?」

 

「命、令……」

 

「行きなさいノドカ、命令よ?」

 

「行こうノドカちゃん!!ここから1番近いのは、南東!!」

 

そして、ノドカはサクラと共に最寄りのピグマリオン発生地点へと向かった。

 

「…俺だ、出たのは化け物だけじゃねぇだろ?」

 

『あ、翔君…はい、妖魔の反応もあります!!場所は会場の鳥居前です!!』

 

「なら俺が始末する、後翔って言うな…」

 

『す、すみません!!』

 

翔もカナと連絡を取り、妖魔発生地点へ移動した。彼は別の通信機でカナとやり取りをしているため、本当の名前を言われてもバレはしない。現場に着くと、黒い穴『次元の歪み』が出現していた。

 

「おい、何だあれ…?」「ママ、あれなぁに?」

 

(マズい、このままじゃ妖魔が現界する!!こうなりゃ……)

 

翔はイクサナックルを右手に持ち、そこから波動弾を発射した。1発だけではなく、2発3発…10発以上も発射する。その結果、次元の歪みは消滅し、妖魔が現れることは無かった。イクサナックルから放たれる衝撃波は、殺傷能力は低いものの、ある程度撃てば次元の歪みもモノリスも破壊できる。

 

「…ふぅ。」

 

「おぉ〜、あんたすげぇな!!」「お兄さん、ありがとう!!」「仮面のお兄ちゃん、ありがと〜!!」

 

妖魔出現を阻止し、人々を守った翔。

 

「…ッ!?」

(…サクラが、危ない!!)

 

サクラの異変を察知した翔は、すぐに彼女の元へ向かう。そんなサクラの側には、ノドカがいる。

 

(もし、化け物を呼び出しているのがノドカだとしたら…アイツは、間違いない……人類の敵だ!!)

 

 

 

 

 

 

 

「…え……ノドカ、ちゃん……?」

 

「……。」

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