プロジェクト東京ドールズ:外伝 『忘却のイミテーション・ドール』 作:やさぐれショウ
その頃、南東では……ピグマリオンを撃破に成功したサクラとノドカがいた。だが、ノドカはサクラに剣の切っ先を向けていた。理由がわからず、戸惑うサクラ…そんなサクラに、ノドカは剣を振るう。
「ノドカちゃ…?」
そんな時…
「っ!!」ズドォンッ!!
「っ!?」
間一髪で翔が駆け付け、ノドカに向かって波動弾を放った。咄嗟に避け、距離を取るノドカ。その直後……
「はああっーーーー!!」
ミサキが駆け付け、ノドカ目掛けて剣を振り下ろした。ノドカはミサキの攻撃を受け止める。
「ヤマダ!!」
すかさずヤマダが姿を現し、ノドカに飛び掛かり、彼女を拘束した。ミサキはノドカに剣先を向ける。
「……。」
抵抗しないノドカから通信機を奪い取ったヤマダは、それをサクラに投げ渡す。
「おい斑目ェ。」
翔も通信機から斑目に話し掛ける。
『どうした、何があった!?』
斑目の声が聞こえてくると、まずミサキが報告をする。
「南西2体討伐完了のち…南東でサクラ達と合流。ノドカを捕縛しました。」
次に、翔が報告する。
「神社鳥居前にて討伐完了し、南東にてサクラ達と合流。ノドカを捕縛した。おい、特疾研から剥いだデータを送ったろ?まだ見てねぇのか?」
「ま、待ってください…どうして…!?」
「ちっ、先に越されたか…ま、良いっす…Sさん、アンタもコッチ側って事が分かりましたから。」
「俺はお前達と敵対するつもりはねぇ。メリットねぇし、面倒事が増えるだけだ……」
漸くDollsから信頼された翔。
「おい斑目ェ、南田ァ、どうなんだ?」
『か、確認しました!!これって……ピグマリオン被害者のレポート…?』
「そうだ。多分ヤマダも気付いてんだろ……」
ピグマリオン被害者のレポート……ピグマリオン被害で自身のアイデンティティと認識する部位を損傷した患者は…その傷から記憶が流れ出し、患者自身が自らを忘れていく……それだけではなく、他者からの認知までも失っていく…
「つまり、透明人間みたいにその人間の存在が段々薄れていくってことっすね。」
「あぁ…んで傷口から精気と共に記憶が流れ、消えていく……恐ろしい症状だ……てか、もう居るんだろ?とっとと出てこいよ?」
翔の視線の先から、靴音が聞こえてくる。
「ふふっ、恐ろしい症状でしょう?そしてその治療法として確立したのが…」
それは、特疾研所属の小山内だった。
「小山内…っ!!」
彼女に敵意を向けるミサキと翔。
「言っておくが、もう全部バレてる…さ、洗いざらい吐き出せ。」
「えぇ、わかったわ。」
小山内はもう包み隠すこと無く、全てを話し始める。
「ピグマリオンの一部組織に、人間の記憶を吸収してエネルギー化する働きがあることがわかったの。それが、『ピグマリオンの肉芽』……移植した肉芽で『記憶』の流出を塞ぐことにより、症状の進行は抑えることができた。そして更に…ノドカはその先の奇跡の一端を見せてくれたの。肉芽が生んだ力…あなたたちと同じ、ピグマリオンに対抗する力よ。」
ピグマリオンの肉芽をノドカに移植した事で、ピグマリオンに対抗する力を手に入れた…これを、奇跡と言う小山内。
「…笑わせんじゃねぇ。」
「こんなの、治療でも奇跡でもないわ!!」
「そーそー…ジブン見ちゃったんすよねぇ…Sさんも気付いてるかもですが……」
「当然だ…その肉芽は成長し、化け物を呼び寄せる…ってな……どうりで
「ピグマリオンを呼ぶ…!?」
小山内の言葉、翔の言葉を聞き…言葉を失うサクラ。
「…どうしてこんなにピグマリオンが寄ってくるのかずっと気になってたけど、それで分かった。今のノドカはその状態よ。肉芽が『なぜか』急成長してフィールが漏れ…ピグマリオンを呼び寄せてる!!」
「うそ…!!」
「…ったく、ゴキブリホイホイかよ……小山内、何故こんな事をする?」
ミサキの言葉に驚いたサクラを守るように立つ翔は、小山内に問う。
「あら大変…それならこの子は忘れ去られて死ねば良かったわね?」
「っ!!」
「御託は良い…小山内、てめぇの狙いは…
翔がそう言うと…彼女は狂ったように笑い出す。
「アハハハハッ…持てる者は持たざる者の思いが何一つわからない!大人しく、こちらにお前達の『心臓を……』」
「ギアを、寄越す…?」
「そうよ!『あの子』にギアがあれば…そうすれば!!」
小山内の狂気を目の当たりにし、顔を青ざめるサクラとミサキ。そんな彼女達の前に、翔が立つ。そして、イクサナックルを小山内に静かに向ける。
『生き返る…?馬鹿な…ギアはそんな、死者を蘇らせる物では……』
「グダグダ言ってんじゃねぇ、まぁだ分かんねぇのか?奴の本当の狙いは……」