プロジェクト東京ドールズ:外伝 『忘却のイミテーション・ドール』 作:やさぐれショウ
小山内の真の目的が明らかになり、翔はミサキと共に彼女に武器を向ける。それでも小山内は、動揺しなかった。
「いい子ね、ノドカ…」
そして、謎の薬液が入った注射器を取り出す。
「今日はいつもと違う特別なお注射をしてあげる。」
「特別…?まさか…!?」
その時…ノドカが一瞬の隙を突き、ヤマダの拘束から逃れた。
「うわっ…!?」
「ヤマダさん!!」
その間に、ノドカは小山内の元へ向かう。
「止まれぇ!!」ズダァンッ!!ズダァンッ!!
翔はイクサナックルから衝撃波を放ったが、全て避けられてしまう。
「…クソが!!」
「ヤバいっす。あの注射、ピグマリオンの肉芽を活性化させる薬液っす!!」
「えっ!?」
「…くっ!!」ズダァンッ!!
翔は小山内目掛けて衝撃波を放つ。しかし、もう既にノドカには薬液が注入されていた。
「だめ…!!」
ノドカはナックルから放たれた衝撃波を弾き飛ばした。まもなく、ノドカの目が変わり…血管のような模様がピキピキと浮き出て来た。
「さぁ、愛しい化物…最後の命令よ。『ノドカ』の命のために奇跡を…ギアを奪いなさい?」
サクラ、ミサキ、ヤマダを指差す小山内。
ノドカは3人に襲い掛かるが、翔が彼女を止める。
「させるかよ…」
肉弾戦を繰り広げるノドカと翔。まずは相手の行動を把握すべく、互角に渡り合う。
『みんな!今すぐサクラ達の元へ向かえ!!』
漸く救援要請を出した斑目。
『もう向かってる!!』
通信機から聞こえてくるアヤの声。そこに、チームBが到着した。そんな3人に、ノドカは襲いかかり、足を振り下ろしてきた。
「きゃっ!?」
ガッ!!
「…ムンッ!!」
間一髪で翔がチームBを助け、ノドカを投げ飛ばした。ノドカは宙返りをし、地面に着地した。
「Sさん!!」
「コイツは任せろ!!周辺の警戒に当たれ!!」
引き続き、ノドカと交戦する翔。そんな彼を見た小山内は、歯ぎしりをしている。その時…ヒヨがハッとした顔をする。
「…あっ、あの動き……」
ノドカはバレエやフィギュアスケートのような動きをしている。
「ヒヨさん…?」
「そうだ、やっと思い出した…あのポーズ『ノンちゃん』だ!!」
ノンちゃん…それはノドカの……いや、
『あたしは希美のお母さんみたいなもんでしょ!!』
『OK任せて!!ママが守ってあげる〜♪』
希美は恥ずかしがったものの、内心では嬉しかった。マネージャーである実母からは、あまり可愛がって貰えず、寂しい思いをしていたのだ。そんな時、悲劇が起こる。トラックが蛇行運転しており、こちらへ近付いて来ていた。希美には、トラック運転手を喰らうピグマリオンが見えており、それを和花に訴えたものの、彼女にはピグマリオンが見えていなかった。和花が「逃げよう」と言っても、希美は必死に「お化けが!!」と訴え続けた。だが、そのせいで逃げる事を忘れてしまっていた。気が付けば、もうトラックは目前にまで来ていた。その時、和花が希美を突き飛ばし…その直後、鈍い音と共にトラックが横転、希美は意識を失った。気が付くと、公園は凄惨な事故現場へと変わり果てており…横転したトラックの近くには、無惨な姿へと変わり果てた和花が転がっていた。その時、トラック運転手を喰らったピグマリオンが希美に襲い掛かった……そして、小山内と出会った。後ろでは、ピグマリオンに殺される人達の断末魔が響いている。
「……あら、どうしたの?」
「それ、その足……驚いたわ…まさか、肉芽がここまで癒着するなんて……」
希美はピグマリオンに襲われた際、足を失ったらしく……ピグマリオンの肉芽を移植されてから、足が元通りになっていたのだ。
「和花はもう、動かなくなってしまったのに…」
「のど…か…?うご、かない……?」
ピグマリオンに襲われ、怪我を負った為…希美は記憶を無くしていた。その為、小山内の言葉に困惑するばかりだった。
「そうよ…私の愛する和花はもう…動かなくなってしまったの……」
この時の小山内は、愛娘を犠牲に…生き残った希美に対し、憎悪を抱いていた。だから……
「だからお前は和花の命のために償わなければならない。この命令を忘れられないように特別な名前をあげるわ。」
そして、ピグマリオンの肉芽に関する薬液が入った注射器を取り出し…希美の耳元で囁く……
こうして、『ノドカ』が生まれた。
「さぁ立ちなさい…その醜い足で。」
そのノドカは、ピグマリオンの肉芽が活性化し、Dollsと翔に牙を剥いて襲い掛かって来ている。ナナミとヒヨがふっ飛ばされ、翔がまたノドカとぶつかり合う。
(何としてでも、Dollsは…俺が守る…!!)
翔はノドカの攻撃を受け流しながら、Dollsから遠ざけている。
『シオリ、対処を!!』
翔と戦うノドカを見て、躊躇いながらも…剣を手に取った。
「ッ!!」
「むっ!?」
その時、ノドカの足が翔の顔を掠り…微かにマスクがズレた。
「!!」
咄嗟にマスクを着け直す翔だが、シオリは目を丸くしていた。
(…まさか、Sさんは…っ!!)
そして、ノドカ目掛けて走り出し、翔と距離を取ったタイミングで……
「やああああーー!!」
ノドカ目掛けて剣を振り下ろす。だが…
ギィンッ!!
何故かサクラが、シオリの剣を受け止めたのだ。
「さ、サクラさん……!?」
「…!!」
「サクラてめぇ…気でも狂ったか!?」
戸惑うシオリ、怒鳴る翔。
「待ってください!!こんな戦い、間違ってる……!!」