プロジェクト東京ドールズ:外伝 『忘却のイミテーション・ドール』   作:やさぐれショウ

13 / 18
拾参 特別な…

小山内の真の目的が明らかになり、翔はミサキと共に彼女に武器を向ける。それでも小山内は、動揺しなかった。

 

「いい子ね、ノドカ…」

 

そして、謎の薬液が入った注射器を取り出す。

 

「今日はいつもと違う特別なお注射をしてあげる。」

 

「特別…?まさか…!?」

 

その時…ノドカが一瞬の隙を突き、ヤマダの拘束から逃れた。

 

「うわっ…!?」

 

「ヤマダさん!!」

 

その間に、ノドカは小山内の元へ向かう。

 

「止まれぇ!!」ズダァンッ!!ズダァンッ!!

 

翔はイクサナックルから衝撃波を放ったが、全て避けられてしまう。

 

「…クソが!!」

 

「ヤバいっす。あの注射、ピグマリオンの肉芽を活性化させる薬液っす!!」

 

「えっ!?」

 

「…くっ!!」ズダァンッ!!

 

翔は小山内目掛けて衝撃波を放つ。しかし、もう既にノドカには薬液が注入されていた。

 

「だめ…!!」

 

ノドカはナックルから放たれた衝撃波を弾き飛ばした。まもなく、ノドカの目が変わり…血管のような模様がピキピキと浮き出て来た。

 

「さぁ、愛しい化物…最後の命令よ。『ノドカ』の命のために奇跡を…ギアを奪いなさい?」

 

サクラ、ミサキ、ヤマダを指差す小山内。

 

OK、ママ。」

 

ノドカは3人に襲い掛かるが、翔が彼女を止める。

 

「させるかよ…」

 

肉弾戦を繰り広げるノドカと翔。まずは相手の行動を把握すべく、互角に渡り合う。

 

『みんな!今すぐサクラ達の元へ向かえ!!』

 

漸く救援要請を出した斑目。

 

『もう向かってる!!』

 

通信機から聞こえてくるアヤの声。そこに、チームBが到着した。そんな3人に、ノドカは襲いかかり、足を振り下ろしてきた。

 

「きゃっ!?」

 

ガッ!!

 

「…ムンッ!!」

 

間一髪で翔がチームBを助け、ノドカを投げ飛ばした。ノドカは宙返りをし、地面に着地した。

 

「Sさん!!」

 

「コイツは任せろ!!周辺の警戒に当たれ!!」

 

引き続き、ノドカと交戦する翔。そんな彼を見た小山内は、歯ぎしりをしている。その時…ヒヨがハッとした顔をする。

 

「…あっ、あの動き……」

 

ノドカはバレエやフィギュアスケートのような動きをしている。

 

「ヒヨさん…?」

 

「そうだ、やっと思い出した…あのポーズ『ノンちゃん』だ!!」

 

ノンちゃん…それはノドカの……いや、能代希美(のしろのぞみ)のニックネームである。ジュニア杯でも優勝する程、フィギュアスケートの実力は凄まじく『氷上のクールビューティー』との異名があった。その時の曲がDollsの『Miracle Smile』だったのだ。その希美の友人が、和花(のどか)であった。彼女の前ではありのままの自分で居て、早く彼女に会いたいが故に、そして彼女が作ってきたおにぎりを食べたいと思うが故に、たまにだらし無い部分も見せてしまうこともあった……悲劇が起きる前、希美は和花と共に近くの公園でランチをしていた。和花とその母『小山内』お手製のおにぎりを食べていた。母子共に仲が良く、希美はそんな彼女を羨ましいと思っていた。そんな彼女に、和花はこう言ったのだ。

 

『あたしは希美のお母さんみたいなもんでしょ!!』

 

『OK任せて!!ママが守ってあげる〜♪』

 

希美は恥ずかしがったものの、内心では嬉しかった。マネージャーである実母からは、あまり可愛がって貰えず、寂しい思いをしていたのだ。そんな時、悲劇が起こる。トラックが蛇行運転しており、こちらへ近付いて来ていた。希美には、トラック運転手を喰らうピグマリオンが見えており、それを和花に訴えたものの、彼女にはピグマリオンが見えていなかった。和花が「逃げよう」と言っても、希美は必死に「お化けが!!」と訴え続けた。だが、そのせいで逃げる事を忘れてしまっていた。気が付けば、もうトラックは目前にまで来ていた。その時、和花が希美を突き飛ばし…その直後、鈍い音と共にトラックが横転、希美は意識を失った。気が付くと、公園は凄惨な事故現場へと変わり果てており…横転したトラックの近くには、無惨な姿へと変わり果てた和花が転がっていた。その時、トラック運転手を喰らったピグマリオンが希美に襲い掛かった……そして、小山内と出会った。後ろでは、ピグマリオンに殺される人達の断末魔が響いている。

 

「……あら、どうしたの?」

 

「それ、その足……驚いたわ…まさか、肉芽がここまで癒着するなんて……」

 

希美はピグマリオンに襲われた際、足を失ったらしく……ピグマリオンの肉芽を移植されてから、足が元通りになっていたのだ。

 

「和花はもう、動かなくなってしまったのに…」

 

「のど…か…?うご、かない……?」

 

ピグマリオンに襲われ、怪我を負った為…希美は記憶を無くしていた。その為、小山内の言葉に困惑するばかりだった。

 

「そうよ…私の愛する和花はもう…動かなくなってしまったの……」

 

 

お前のせいで

 

 

この時の小山内は、愛娘を犠牲に…生き残った希美に対し、憎悪を抱いていた。だから……

 

「だからお前は和花の命のために償わなければならない。この命令を忘れられないように特別な名前をあげるわ。」

 

そして、ピグマリオンの肉芽に関する薬液が入った注射器を取り出し…希美の耳元で囁く……

 

 

お前はノドカ

 

 

『和花』のために

 

 

仮初めのノドカになるの

 

 

こうして、『ノドカ』が生まれた。

 

「さぁ立ちなさい…その醜い足で。」

 

 

 

そのノドカは、ピグマリオンの肉芽が活性化し、Dollsと翔に牙を剥いて襲い掛かって来ている。ナナミとヒヨがふっ飛ばされ、翔がまたノドカとぶつかり合う。

 

(何としてでも、Dollsは…俺が守る…!!)

 

翔はノドカの攻撃を受け流しながら、Dollsから遠ざけている。

 

『シオリ、対処を!!』

 

翔と戦うノドカを見て、躊躇いながらも…剣を手に取った。

 

「ッ!!」

 

「むっ!?」

 

その時、ノドカの足が翔の顔を掠り…微かにマスクがズレた。

 

「!!」

 

咄嗟にマスクを着け直す翔だが、シオリは目を丸くしていた。

 

(…まさか、Sさんは…っ!!)

 

そして、ノドカ目掛けて走り出し、翔と距離を取ったタイミングで……

 

「やああああーー!!」

 

ノドカ目掛けて剣を振り下ろす。だが…

 

ギィンッ!!

 

何故かサクラが、シオリの剣を受け止めたのだ。

 

「さ、サクラさん……!?」

 

「…!!」

 

「サクラてめぇ…気でも狂ったか!?」

 

戸惑うシオリ、怒鳴る翔。

 

「待ってください!!こんな戦い、間違ってる……!!」

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。