プロジェクト東京ドールズ:外伝 『忘却のイミテーション・ドール』   作:やさぐれショウ

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拾伍 素顔を見せた翔

おかあさん

 

おにぎり

 

ともだち

 

あ、し……

 

まま

 

ともだち 

 

友達

 

心配そうな目をするノドカに、サクラは言う。

 

「大丈夫だよノドカちゃん……みんなが、いるからね!!」

 

ピグマリオンに取り囲まれたDollsと翔。それぞれ武器を持ち、ノドカを守りながら戦う。シオリ、レイナ、アヤはガンに持ち替え、遠距離攻撃を開始…敵が怯んだ隙に間合いを詰め、ナナミとユキで触手を退けて…ヒヨ、ヤマダでアタックを仕掛けるという作戦だ。銃声を起点にし、最終防衛ラインはミサキとサクラと翔だ。

 

「お願いします!!」

 

「「「OK!!」」」

 

「OK……です!!」

 

「あぁ、了解した。」

 

まもなく、チームリーダーによる銃撃が始まり…ナナミとユキが剣で新型ピグマリオンの触手を切断する。最後に、ヒヨとヤマダのハンマーでトドメを刺す。

 

「後ろから来るわ!!攻撃を休めないで!!」

 

背後から、別の新型ピグマリオンが迫る。すかさずヒヨが攻撃を仕掛けるが、避けられて頭上を通過された。更に、骨のようなピグマリオンも通過する。

 

「ミサキさん!!」

 

「くっ…!!」

 

ミサキは骨のようなピグマリオンに攻撃を命中させたが、新型ピグマリオンを打ち漏らした。

 

「っ!!」ドゴォッ!!

 

ミサキが打ち漏らしたピグマリオンは、翔のイクサナックルに殴られて撃破された。サクラも新型ピグマリオンに対抗できているが、別の新型ピグマリオンに攻撃され、地面を転がる。すると、ノドカが手を伸ばし…サクラの剣を握る。

 

「ノドカちゃん…!」

 

サクラはノドカに微笑む。

 

「ふふっ、ダメだよ!ここは先輩に任せて…」

 

「サクラ来てるぞ!!」

 

「ッ!?」

 

翔の声を聞き…サクラは剣でガードをし、攻撃を防いだ。しかし、新型ピグマリオンの触手に剣を絡まれた。

 

「ノドカちゃんは、この後…ライブが、あるんだから…一緒に…!!一緒に、ステージに立つんだから…っ!!」

 

その時、ミサキが撃破した筈の骨のピグマリオンが起き上がり、サクラに迫る。

 

「ッ!!」

 

慌てて翔が骨ピグマリオンに向かうが、そんな彼を新型ピグマリオンが攻撃し、吹っ飛ばした。

 

「があっ!?」

 

「S!!」

 

その間に、骨ピグマリオンはサクラに狂爪を振り上げる。

 

「っ!?」

 

その時、ノドカが咄嗟にサクラを突き飛ばし…狂爪はサクラに当たらなかった。それと引き換えに……骨ピグマリオンの狂爪は、ノドカの腹部を貫いていた。 

 

「……!!」

 

「…ゴホッ…こん、どは……私、が……まもれた……」

 

それが、ノドカの最期の言葉だった。

 

「あ……」

 

サクラを庇ったノドカは、骨ピグマリオンと新型ピグマリオンの餌食となり、惨殺された。

 

「あ…ああ……」

 

それでも、ノドカは笑っていた……和花とサクラを投影し、彼女を守ったのだった。その後……

 

アアアアアアアアッ!!!!

 

サクラは発狂しながら、ノドカを殺害したピグマリオンと戦い…撃破した。ピグマリオンは全て撃破されたが、今度は…空に、次元の歪みが出現した。

 

「何…まだ来るの!?」

 

「そんな…S……え、す……えっ?」

 

翔が吹き飛ばされた方を見ると、砂埃がまっていて…近くには彼がいつも身に着けている黒いマスクが落ちていた。そして、砂埃に1つのシルエットが浮かび上がる。

 

「…いってぇなぁ、この野郎ォ……」

 

砂埃から出て来た姿に、Dollsは皆驚愕する。

 

「…え、嘘…し、翔君…!!??」

 

「えっ、翔さん…!?」

 

「ま、マスクが……!!」

 

「…え、Sさんが……翔君…!?」

 

砂埃から出て来たのは、血を拭う翔の姿だった。死んだはずの彼を目の当たりにし、Dollsは言葉を失っていた。

 

「……。」

 

「…化け物の次は妖魔か、俺が潰す……」

 

翔はイクサベルトを身に着けると、イクサナックルを構える。

 

「…翔さん、翔さんだぁ!!」

 

「翔ぉぉおおおお!!…ヒック、クスンッ…生きてる…翔が、生きてる…!!」

 

「翔…さん……♪」ポタポタ

 

Sの正体が翔であることを理解したDollsは、涙を流して喜んだ。

 

『翔く…いえ、Sさん!!』

 

「もう良い…正体がバレた。」

 

『…えっ!?』

 

「Sと呼ぶ必要はねぇ……俺はSではなく、青空 翔だからなぁ!!」

 

通信機越しのカナにそう言うと、イクサナックルを左手に押し当てる。

 

 

《R・E・A・D・Y》

 

 

ナックルから低い電子コールが響くと、次にサイレンのような待機音が響き始める。

 

「変身…!!」

 

特に変身ポーズを取らず、翔はナックルをベルトに取り付ける。

 

 

《F・I・S・T・O・N》

 

 

ベルトのイクサジェネレーターが赤く点滅し、十字架のようなエフェクトが回転しながら翔の前に移動…スーツを形成し、翔の全身に重なり、仮面ライダーイクサへと姿を変えた。顔面部のシールドが閉じた『セーブモード』である。

 

「翔さんだぁ!!わーい!!」

 

「…ッハハ、まさか…変装してたなんて…流石のヤマダでも、気付けなかったわ……」

 

喜ぶDollsを背に、構えを取るイクサ。彼の前には、2つの顔を持った巨大な妖魔が出現した。『ピュア・アルカリア』と呼ばれる個体で、力も知能も重ね持つ強敵だ。しかし、イクサに変身した翔は『妖魔退治の専門家』と呼ばれており、数々の強力な妖魔を倒して来た。そのため……

 

「っらぁ!!」ドゴォッ!!

 

「!!??」

 

「ッ!!」ゴスッ!!ドゴッ!!ボコッ!!バキィッ!!

 

ピュア・アルカリアのような強力個体は、彼にとってはそれ程の脅威ではなかった。ピュア・アルカリアの爪攻撃を軽々と躱し、カウンターでダメージを与えて行く。

 

「……そうだったのね、翔君…♪」

 

「Sって仮名で活動し、私達を…そして、罪の無い人達を守ってくれてたんですね……」

 

「翔さんなら、あの怪物を…倒せるかもしれないわ…!!」

 

「翔、お願い…勝って…!!」

 

翔の勝利を祈るDolls。彼が使用するライダーシステムは不完全であり、使用者へ掛かる負担は凄まじい。最悪の場合、死亡する事もあり得る…それでも、セーブモードのイクサでピュア・アルカリア以上の戦闘力を見せる翔。武器はイクサナックルしか無いものの、ブレイクダンスのような回転蹴り、中段蹴りや踵落とし等の足技、背負投げや巴投げ等の投げ技、エルボーやストレート等の腕技等…多彩な技でピュア・アルカリアを追い詰めていく。ピュア・アルカリアを投げ飛ばしてすぐ、イクサは銅色の足の形をしたフエッスルを読み込む。

 

 

《イ・ク・サ・レッ・グ・ラ・イ・ズ・アッ・プ》

 

 

低い電子コールが響くと、イクサは空中に飛び上がり…ドリルのように高速回転しながら、ピュア・アルカリアに飛び蹴りを繰り出した。ピュア・アルカリアは完全に地面に埋まり、身動きが出来なくなった。イクサは空中へ再び飛び上がり、銀色のイクサナックルの形をしたフエッスルを読み込む。

 

 

《イ・ク・サ・ナッ・ク・ル・ラ・イ・ズ・アッ・プ》

 

 

そして、イクサナックルをベルトから取り外すと…空中から必殺技『ブロウクン・ファング』を放つ。ナックルから放たれた5億ボルトの熱線は、ピュア・アルカリアを焼き尽くし、ガラスが砕けるように爆散させた。

 

「やった…翔が、勝った!!」

 

「翔君、スゴいです♪」

 

「流石だわ、翔君♪」

 

勝利したイクサは変身を解き、翔の姿に戻った。彼が向かったのは、ノドカの遺体を目の当たりにするサクラだった。ノドカの亡骸を抱き締め、顔を俯かせている。

 

「……。」

 

そんな彼女を見て、翔は何も言えなかった。他のメンバー達も、暗い顔をしている。

 

『みんな、ご苦労だった。ライブの時間だ。』

 

「もう敵はいねぇんだろうなぁ?どうなんだ?」

 

『周囲にピグマリオン及び妖魔の反応はありません。翔君、戦闘は終わりました。お疲れ様です。』

 

翔が倒したピュア・アルカリアが、最後の敵だったようだ。

 

「…おい、どうするつもりだ?」

 

「……。」

 

翔の言葉に、何も答えないサクラ。

 

(こうなるのも当然か…仲間が命を落としたんだからなぁ……)

 

その時、シオリがこう言った。

 

「斑目さん、『Miracle Smile』は私とミサキさんの2人で」

 

「いいえ、私が歌います。」

 

シオリの言葉を遮るように言うサクラ。

 

「…サクラ、歌えるのか?」

 

「歌わせてください…ノドカちゃんと、約束したんです…!!」

 

目に涙を浮かべながら言うサクラ。それを見た翔は、「やると決めたからには、最後までやれ。手ェ抜いたら許さねぇからな?」と言った。メンバー達はライブ会場まで移動し、準備に取り掛かる。そして、夜になり…祭りのフィナーレとなるDollsライブが始まった。翔は観客に紛れ、Dollsを見守っていた。サクラは先程までノドカとのやり取りをしていたことを思い出し、涙ぐむ。近くには、ミサキとシオリが…ステージの恥には他のチームメンバーが…そして、1番前には…観客と共に翔がいる。そして…サクラの前に、楽しそうに笑うノドカの幻が見えた。サクラは涙ながらに、最後まで全力で歌い切った。

 

(ね、ノドカちゃん…1人じゃ、ないよ……?)

 

こうして、ライブは終わった。ライブ終了後、Dolls一行は斑目とカナと共にドールハウスへと帰還する。そこには、翔もいる。彼は終始、Dollsメンバーからくっつかれていた。

 

「えへへっ、翔〜♪」ギュ~

 

「離れろ、暑いだろぉが……」

 

女性が嫌いな翔は心底迷惑そうな顔をしている。それでも、メンバー達は彼から離れようとしない。

 

「や〜だ〜♪だって、やっと…翔に会えたんだもん…もう離れたくないよ……」

 

「…ちっ、重てぇ奴だな……あっちぃんだよ、離れろ…!!」

 

「わわっ!?もう、翔ったら……」

 

アヤを無理矢理引っ剥がしても、今度はユキがくっついて来る。

 

「翔さん、会いたかったです…♪」

 

「お前もくっつくんじゃねぇよ……」汗

 

「ヒヨもヒヨも〜!!」

 

「……この野郎。」イライラ…

 

「やめなさい、翔さんが困ってるでしょう?」

 

翔にくっつくユキとヒヨを制止するミサキ。

 

「そんな事言ってぇ、ミサキさんも翔さんにくっつきたいんじゃないんすか〜?」ニヤニヤ

 

「う、うるさい…!!///」

 

ヤマダにからかわれ、図星を突かれたのか顔を赤らめる。

 

「皆何だかズルいわ、私だって…翔君にくっつきたいのよ?」

 

「私もです、翔君…よろしいですか?」

 

レイナとシオリも翔にくっつきたいという欲望を抑えきれず、彼に同意を求めたが…彼からはあっさり却下された。

 

「ダメだ…暑いからなぁ……後、お前達はアイドルだろうが…スキャンダルとか捏造されたらどーすんだ…」

 

「その時はその週刊誌を社会的に抹殺してやります…フフ、フフフフフフフフ……」

 

Dollsに呆れながらも、彼女らと共に歩く翔。

 

(これで、9人のDollsは守れた……ん?)

 

ふと、夜空を見上げると…空には北斗七星が見えた。その近くには、1つの流れ星が見える。

 

(あの流れ星、段々デカくなってるな……何なんだ、一体…?)

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