プロジェクト東京ドールズ:外伝 『忘却のイミテーション・ドール』   作:やさぐれショウ

18 / 18
拾捌 〜後日談『こちら側の和花と希美』〜

パラレルワールドに飛ばされた翔は、どうにか元の世界に帰る事が出来た。彼が降り立ったのは、初めて転生した時に落ちて来た公園だった。

 

「あっ、翔さんみ~つけた!!」

 

「翔君、ここにいたのね?」

 

「心配したんですよ、翔さん。」

 

「…お、おぉ。」

 

チームBと共に、ドールハウスへと戻っていく翔。

 

「あ、おかえりなさい♪」

 

「おかえり、翔君♪」

 

彼らを出迎えたのは、カナとドールハウス専属医の1人『片山愛』だった。この世界には、ドールハウスを指揮する“マスター”という存在が居ない。愛と翔が、マスターの立ち位置に居るのだ。

 

「あ、翔!!もう数週間、どこに行ってたのよ!?アタシ達、必死で探したんだよ!?」

 

「どこへ行こうが、俺の勝手だろ…」

 

「そ、そうだけど……でも、うん……ちゃんと帰って来てくれて、良かった……」

 

翔が無事である事に、安心するアヤ。

 

「でも、アヤさん…泣いてました……」

 

「そーそー、翔さんが〜翔さんが〜って感じでw」

 

「はいそこ〜!!それ以上言わな〜い!!」

 

ユキとヤマダにツッコミを入れるアヤ。彼女は本気で、翔を心配していたようだ。他のメンバー達も、アヤと同じ気持ちだった。

 

「あっ、翔さん!!」

 

「翔さん、ご無事だったのですね!!」

 

「良かった…おかえりなさい、翔君♪」

 

サクラ、ミサキ、シオリも彼の心配しており…今、彼の無事を確信して喜んだ。

 

「そういや、巡回はまだだろ?俺、ちょいと行ってくるわ…着いてきたら、ぶっ飛ばす……」

 

翔はそう言うと、ファクトリーへと向かった。ドールハウスのファクトリーには、様々なライダーマシンやライダーシステムが厳重に保管されている。彼が手に取ったのは、ドールハウスが開発したライダーシステム『IXAシステム』だ。

 

「珍しいですね、翔君。IXAを使うんですか?」

 

「…あぁ、これが良いんだ。」

 

「はい、どうぞ使ってください♪あ、イクサリオンも使いますか?」

 

「必要ねぇ。」

 

翔はIXAシステムを持ち出し、巡回へと向かった。

 

 

 

街を巡回した彼がやって来たのは、とある公園……並行世界では、ここに和花と希美がいた。そして……

 

「希美!!」

 

「…のどか!!」

 

この公園で、希美と和花が出会った。

 

(並行世界では、悲惨な末路を迎えたが…せめて、この世界ではそんな展開を迎えないでくれよな……)

 

そう思いつつ、公園内に入っていく翔。その時……

 

「っ!!…ねぇ、希美!!あの人、間違いないよ!!」

 

「…えっ?」

 

「ほら、青空 翔さん!!Dollsを変な人達から守ったヒーローだよ!!希美、翔さんのファンでしょ!?行こ♪」

 

「…あっ、のどか!?」

 

和花と希美が翔に気付き、彼の元へ向かって来た。こちらの世界での翔は、国民的アイドルであるDollsを変人から守った英雄とすっかり著名人になっている。その為、この世界の住人達の中にはDollsのみならず、彼のファンになる人もいる。特に、若い男女層に人気がある。当の本人は、それを望んでいないが……仕方ないと受け入れている。この世界の和花と希美も、Dollsの大ファンであり、同時に翔の大ファンでもある。

 

「あの〜、すみませ〜ん!!」

 

「……?」

 

声をかけられ、足を止める翔。

 

「もしかして、青空 翔さんですよね!?その腕輪を見てもしかしてと思ったんですけど…」

 

「…そうだ、俺に何か用か?」

 

ファンにとって、翔の左腕に巻かれているアマゾンズレジスターは彼の目印となっている。翔は無表情で、和花と希美に用件を尋ねる。

 

「あの、あたし達…翔さんのファンなんです!!あたしは小山(おやま) 和花(のどか)って言います!!ほら、希美…!!」

 

「あ、あの…えっと……わ、私…能登(のと) 希美(のぞみ)です…!!えっと、翔、さん……あの、その……さ、サインくだしゃい…!!///」

 

恥ずかしがりながらも、翔にサインを求める希美。そして和花は…

 

「翔さん、握手してください!!」

 

翔に握手を求めた。

 

(小山 和花と、能登 希美…か……見た目も中身も完全に、同じだが…苗字が異なるぐれぇか……)

 

少しの間の後、翔は2人の要望に応える事にした。

 

「…良いぞ。」

(何故サンバイザー?何かスポーツでもやってんのか…?)

 

まず、希美が出して来たサンバイザーにサインをし、その後和花と握手をした。

 

「わぁ〜、翔さんと握手しちゃった〜♪もう一生手を洗わないようにしよっと!!」

 

「の、和花…それはちょっと……」汗

 

「手ェぐらいちゃんと洗え、早死にしてぇのか?」

 

「くぅ〜〜!!ドライな言葉でも、ちゃんと優しさが込められてる…流石翔さん!!はい、ちゃんと手洗いします♪」

 

「…それで良い。」

 

ファン対応をしていると、次元の歪みが出現……そこから、1体の妖魔が姿を現した。上級個体妖魔、パスト・アルカリアだ。

 

「わわっ!?あれは、妖魔…!?」

 

「ど、どうしよう和花…!!」

 

「アイツは俺に任せな、お前達はさっさと逃げろ。」

 

翔はそう言うと、イクサベルトを装着…イクサナックルを取り出し、自分の左手に強く押し当てる。

 

 

《R・E・A・D・Y》

 

 

ナックルから電子コールが響くと、次にサイレンのような待機音が響き始める。

 

「変身。」

 

翔は特に変身ポーズを取らず、ナックルをベルトに取り付ける。

 

 

《F・I・S・T・O・N》

 

 

ベルトのイクサジェネレーターが赤く点滅し、黄金色に光る十字架のようなエフェクトが回転しながら翔の前に移動…スーツを形成し、翔の全身に重なり、仮面ライダーイクサへと姿を変えた。

 

「か、仮面ライダー…!!」

 

「翔さんの生変身シーン来たぁ〜!!」

 

驚く希美とテンションが上がる和花。そんな彼女達を守るように、イクサは立つ。

 

「妖魔、その命…神に返せ……」

 

そう言うと、イクサの顔面部のシールドが展開…赤い複眼が露わになると、炎のようなエネルギー波が発生し、妖魔にダメージを与える。これは、『バーストモード』と呼ばれる形態で、基本形態ではあるものの……セーブモードでは抑えられていたパワーを開放した姿であり、イクサの性能を100%発揮できるようになっている。まず、イクサはガンモードのイクサカリバーから実弾を発射した。

 

「!!??」

 

実弾は妖魔に命中し、妖魔は怯む。その隙に、イクサカリバーをカリバーモードにし、真紅の刃で妖魔を斬りつける。

 

「ムンッ!!ムンッ!!」ジャキンッ!!ジャキンッ!!

 

妖魔は攻撃を受けながらも、イクサに反撃をするが…止められ、再びカリバーで斬られる。

 

「希美、翔さん強いね〜!!」

 

「う、うん…スゴい…!!」

 

「……。」チラッ…

(逃げろと言った筈だが、まぁ良い…すぐに終わらせてやる……)

 

逃げずに残った和花と希美に呆れつつも、イクサはイクサライザーを取り出す。そして、『1.9.3』の順番にボタンを瞬時に押す。ドールハウスのメンバーの中で翔のみが、イクサライザーのボタンを素早く押すことができるのだ。

 

 

《R・I・S・I・N・G》

 

 

電子コールが響くと、ライザーのコールボタンを押す。すると、胸部を始めとした上半身の装甲がパージされると同時にインナースーツや、顔のシールドが変化・変形。最後にイクサライザーにライザーフエッスルを差し込むことで変身が完了する。これは、仮面ライダーイクサの最終形態『ライジングイクサ』だ。

 

「す、姿が…!!」

 

「変わった〜!!カッコいい〜!!」

 

目の前で姿を変えたイクサに、興奮しっぱなしの希美と和花。ライジングイクサはイクサライザーの銃口を妖魔に向け、無数のエネルギー弾を発射した。

 

「!!!!????」

 

妖魔は銃撃に怯みつつ、反撃を試みる。しかし、近付けばイクサカリバーで斬られ、離れればイクサライザーで銃撃される。そして、勝ち目は無いと判断し…ライジングイクサに背を向ける。

 

「…逃がすか!!」

 

ライジングイクサはイクサライザーの4キーを入力し、トリガーを引く。

 

 

《L・A・S・E・R・N・E・T・M・O・D・E》

 

 

電子コールが鳴ると同時に、イクサライザーの銃口から青色に光るレーザー状のネットが射出され、妖魔を拘束する。そのレーザーネットは、捕らえた敵に電撃を与える。完全に身動きを封じられ、逃げられなくなった妖魔。すかさずライジングイクサはライザーフエッスルを取り出し、ベルトに読み込む。笛の音が響くと、ライジングイクサは空中へ飛び上がり…妖魔の頭上にて、必殺技『ファイナルライジングブラスト』を発射した。イクサライザーからは巨大な熱線が放たれた。その反動は大きく、ライジングイクサを空高く飛ばしてしまう。だが、ライジングイクサは空中で華麗に回転しながら、上手に地面へ降り立つ。その瞬間、妖魔はガラスのように砕け散った。

 

「和花…ライダーが、翔さんが勝ったよ…!!」

 

「うん、やったね希美!!」

 

ライジングイクサの勝利を見届け、喜ぶ希美と和花。そして、変身を解除し、翔の姿に戻るのも見届けた。

 

「あの、翔さん!!」

 

「…何だ?」

 

「あたしのにもサインいただけますか!?あたし達、実はビーチバレーの選手で、ペアを組んでるんです!!」

 

「…そうか、わかった。」

 

翔は和花のサンバイザーにサインをし、彼女に渡した。この世界での和花と希美はビーチバレーの選手であり、最強高校生ペアとして有名だ。

 

「わぁ〜、翔さんのサイン…希美、これで次の試合頑張れそうだね!!」

 

「うん…!!翔さん、ありがとうございました……!わ、私達も…応援してます…!!」

 

「俺もだ。世界を羽ばたき、絶対に頂点に立て…和花、希美。」

 

そう言うと、翔は彼女達の前から去って行った。名前を呼ばれた2人は、嬉しそうな顔をしていた。

 

 

 

次の日、テレビを見ていると…ビーチバレーの大会で和花&希美ペアが優勝したという報道がされていた。

 

『ビーチバレー最強高校生ペアの小山 和花選手と能登 希美選手!!早速インタビューしましょう。2人の強さの秘訣は、スバリ何でしょうか!?』

 

レポーターからのインタビューにハキハキ答える和花と、恥ずかしがりながらも一生懸命答える希美。

 

『あたし達は、お互いを信頼し合っています!!ね、希美?』

 

『う、うん…!!後、Dollsの曲を聞いたり……後、昨日…青空 翔さんと会って…サイン、貰いました…!!』

 

そして、2人の最強ペアは…お互いのサンバイザーに書かれている翔のサインを見せた。

 

『良かったね希美♪後、変な怪物が出て来て…そしたら翔さんが、あたし達の目の前で仮面ライダーに変身してやっつけてくれたよね!?白いパワードスーツの仮面ライダーになった翔さん、カッコよかったなぁ〜♪』

 

『うん、そうだね和花…♪』

 

『成る程…この夏のように熱い信頼と友情、そしてDollsの曲と青空 翔君のサイン…それが、2人を強くしているのですね!!インタビューありがとうございました!!そして、優勝おめでとうございます!!』

 

『ありがとうございます!!』

 

『あ、ありがとう…ございます…!!』

 

カメラのフラッシュが飛び交う中、お礼を言う和花と希美。

 

『ねぇ希美、今度翔さんに会ったら握手して貰いなよ〜?優勝したご褒美にさ♪』

 

『えぇ〜!?でも、私なんか…相手にされないよぉ……///』

 

『大丈夫大丈夫、あたしもいるから!!』

 

『の、和花〜!!///』

 

テレビの前で漫才をする2人のペアを、黙って見守る翔。そして…

 

(……ま、考えてやらなくもねぇが…今はただ、お前達の優勝を祝おう……よく頑張ったな……和花、希美……)

 

世界の頂点に立った彼女達を心の中で祝福し、微かに笑うのであった。




ED〜J×Takanori Nishikawa『A.I. ∴ All Imagination Tyep-02』〜♪
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。