プロジェクト東京ドールズ:外伝 『忘却のイミテーション・ドール』   作:やさぐれショウ

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弐 ドールハウス

ドールハウスに到着すると、カナは嬉しそうな声色で斑目を呼ぶ。

 

「斑目さん斑目さん!!翔君が…翔君が、帰って来てくれたんですよ!!」

 

(俺が帰って来た…何を言ってるんだ……?)

 

戸惑う翔を余所に、ドールハウスから斑目が姿を見せた。

 

「……!!」

 

翔を見るなり、目を丸くする斑目。

 

(普段の斑目さんとは思えねぇな……)

 

表情には出さないが、心の中では呆れている翔。

 

「…青、空……いや…翔……翔…!!」

 

目に涙を浮かべた斑目は、翔を力一杯抱き締めた。だが…

 

「気安く触んじゃねぇ…」

 

翔がそう言うと、斑目はすぐに翔を離す。

 

(やはり、翔は怒っているのか……私が、しっかり向き合わなかったばかりに……)

 

「さぁ翔君、遠慮せずどうぞ上がってください♪」

 

カナと斑目により、ドールハウスへと通される翔。そして、事務所へと案内された。

 

「これなら、アイツらも喜ぶこと間違いなしだな。」

 

「えぇ、あの娘達もずっと…翔君を待っていましたから♪」

 

翔が帰って来た事で盛り上がる斑目とカナ。だが、翔が待ったを掛ける。

 

「今俺がアイツらに会うのは、どうにも都合が悪い……」

 

「えっ、どうしてですか?」

 

「分かんねぇのか?アイツらは今が輝いている…ここですぐにゴールを与えてみろ、折角の輝きが一瞬で消えちまうだろ……後、マスターって奴にも会わん。」

 

今のDollsはどのアイドルよりも人気芸人よりも、誰よりも輝いている。そこに、新人のサクラもおり、さらには彼女達を近くで支えるマスターがいる。

 

「そうか…分かった、私は翔を尊重する。カナ、お前はどうする?」

 

「私も、翔君の意志を尊重します。」

 

翔の言葉を聞き、Dollsとマスターとは会わせない事を約束をした。翔が居候しているのも、斑目とカナの秘密にする事に……IXAシステムが適合している事も、斑目とカナはすんなり受け入れた。

 

「そろそろDolls一行が帰還する。カナ、翔の部屋に。」

 

「はい、では翔君。貴方の部屋まで案内します。」

 

カナの案内により、Dollsの女子寮から離れた部屋へと案内された。一人暮らしをする為の部屋と何ら変わりのない部屋だ。幸いにも、ファクトリーから近いため、翔はカナと共にファクトリーへと向かった。到着すると、現在メンテナンス中のIXAシステムを見ることが出来た。

 

「……。」

 

「翔君は仮面ライダーが大好きですもんね♪どうですか、忠実に再現したんですよ?」

 

「……まぁまぁだな。」

 

無表情のまま、翔は言う。イクサベルトもイクサナックルも、両サイドのフエッスルホルダーも、ナックルフエッスルも劇中に登場したモノと全く同じである。変身プロセスまでも、劇中同様の再現度だ。

 

「まもなくDollsが帰還します、勘付かれないよう配慮しますのでご安心ください。」

 

「……。」

 

Dollsとマスターが帰還し、一旦ファクトリーに足を運ぶと聞いた翔は、すぐさま撤収した。

 

「カナさん、只今戻りました。」

 

「おかえりなさい、マスター♪」

 

マスターとDollsを迎えるカナ。怪我人は誰もおらず、全員無事である。

 

「IXAシステムはどうですか?」

 

「特に問題はありません…とは、言えませんね……」

 

マスターの言葉を聞き、口角を下げるカナ。現在、IXAシステムは現状とあまり変わっていない。装着者への負担も大きく、ナックルフエッスル以外のフエッスルを読み取る事が出来ない。武器もイクサナックルしか無く、それ以外の武器は未だ開発に至っていない。

 

「カナちゃん…翔さん、居ないの……?」

 

ヒヨが寂しそうな顔をしながらカナに問う。彼女の問いに対し、カナは何も言えなかった。

 

「ヒヨさん、翔さんはもう……」

 

「…ね、ねぇやめてよ、また辛くなっちゃうじゃん…」

 

翔の話題が出る度に、辛そうな顔をするDolls。掛ける言葉が見つからず、黙り込んでしまうカナ。サクラとマスターは、これらの状況に戸惑っている。

 

(皆が言う『青空 翔』君って、一体何者なんだろうか…)

 

(『青空 翔』さん…一体、どんな方なのでしょうか……)

 

 

 

その頃、ドールハウスにある翔の自室では…

 

(この世界は恐らく……俺が住んでいるドールズの世界とは別の世界だろう。その証拠に、片山さんは居ないが、代わりにマスターという存在がいる。)

 

この世界について、今知っている情報を整理している翔。自分が本来住んでいる世界には、マスターという存在が居ない。ドールハウス専属医である片山(かたやま) (あい)がマスターの代わりである。しかし、この世界には愛はおらず、マスターという存在がDollsを指揮している。

 

(斑目さんも南田さんも、サクラ以外のDollsも俺を知っている……何が何だか分からんな……そもそも、何故俺はこの世界に飛ばされた…?)

 

思い当たる節が無く、密かに繋がりがある神ヘルメスと女神アフロディーテからは何も言われていない。

 

(…ま、この状況には嫌でも慣れる……どーした事か……)

 

行く宛も無い翔は、元の世界に帰れるまでドールハウスにて居候する事にした。

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