プロジェクト東京ドールズ:外伝 『忘却のイミテーション・ドール』   作:やさぐれショウ

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伍 仲良くなろう作戦

「−−というわけで、『ノドカちゃんと仲良くなろう作戦』決行です!!」

 

突如として、ドールハウス内にある女子寮で始まった作戦…食卓には大量のごちそうが並んでいる。

 

「ずいぶん張り切って作りましたね。」

 

「えへへ…初めての後輩歓迎会ですから。」

 

これらは全て、サクラの手料理であり…あまりにも多い為、シオリは目を丸くしていた。

 

「後輩ね…ノドカのほうがシミュレーターバトルサクラのベストスコアよりかなり上だったけど。」

 

「ゔっ……!?」

 

ミサキの言葉を聞き、何も反論できないサクラ。ナナミも追い打ちを掛けるように言う。

 

「まぁまぁ、サクラさんのウリは戦闘スキルじゃなくて家事スキルじゃないですか。」

 

「ナナミちゃんまで〜!!」

 

ミサキとナナミに弄られ、少し怒るサクラ。そして、エプロンを結び直すと…

 

「もう私、ノドカちゃん呼んできますから…みなさんちゃんと歓迎会してくださいね!」

 

…と言い、ノドカの部屋に向かった。ドアをノックし、ドアを少し開ける。

 

「ノドカちゃーん、夕飯準備できてるよー?」

(あ、開いちゃってる…!)

 

「何か用ですか?」

 

部屋の中には、着替え中のノドカがいた。サクラは「ごめんね開けちゃって」と謝罪しながら、ノドカを歓迎会に誘う。

 

「あの……ご飯はみんなと食堂で……」

 

「それは命令ですか?」

 

「ううん、命令ってわけじゃないよ?ただ、みんなが揃う時ってあんまりないから……」

 

「命令なら参加します。」

 

命令に忠実なのか、命令であれば参加するとノドカは言う。

 

「命令じゃ、なかったら…?」

 

サクラがそう言うと、ノドカはおもむろに1つの握り飯を取り出し、齧り付く。

 

(…おにぎり?)

 

呆気にとられたサクラだが、ハッとしてもう一度ノドカを歓迎会に誘う。

 

「あ、あの!肉じゃが美味しいよ!」

 

すると、ノドカはツカツカとドア前に歩いて来て……

 

「…ごちそうさまです。」

 

…と言い、パタンとドアを閉めた。ノドカを歓迎会に誘えず、がっくりと落ち込むサクラ。そんな彼女を、陰から見守っていたアヤとレイナ。

 

「感情を取り戻すには、しばらく時間がかかりそうね。」

 

「ふっふっふっ…新人教育の大変さを知るのが先輩への第一歩よ。」

 

歓迎会は失敗に終わったが、サクラの先輩への道はまだ始まったばかりであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「…皆、特にサクラちゃんは苦労しそうですね。」

 

「……。」

 

「でも、サクラちゃんならきっと…」

 

「……おい。」

 

「…はい?」

 

「何故俺までこうする必要があんだよ?」

 

寮の出入り口近くには、カナと翔の姿があった。

 

「翔君は皆の希望ですから♪」

 

「死ね。」

 

「酷いっ!?」

 

「バカッ、声がデカい…!!」

 

寮のドアが開くと同時に、曲がり角に引っ込んだ翔とカナ。

 

「誰かの声が聞こえたような…ふふっ、きっと気の所為ですね。それとも、翔君が悪戯でもしたのかしら、うふふふっ♪」

 

ドアを開けたのはシオリで、周囲に人の気配が無いことを確認し、ドアを閉めた。

 

てめぇ、少しは状況を考えろバカタレが…!!

 

「ひぃ〜〜、ひゅみまひぇんひゅみまひぇん!!」

 

カナの頬を引っ張りながらキレる翔。手を離すと、カナの頬はリンゴの如く真っ赤になっていた。

 

「俺はアイツらから警戒されてんだ、近付くのは寧ろ逆効果だろうが…」

 

「うぅ……」ヒリヒリ

 

「てか、お前も口を滑らせかけたろ?アレはわざとか?なぁ、わざとやってんのかおい?」

 

「すみませんすみません…!!」

 

ペコペコと綺麗なお辞儀で翔に謝罪するカナ。そんな彼女に呆れた翔は、自分の部屋へと戻って行く。

 

「あ、待って…!!」

 

彼の後を慌てて追うカナ。部屋に戻った翔は、自身の夕飯を作り始める。彼の部屋には、カナも居る。

 

「なんでアンタがいんだよ……」

 

「そ、そんなあからさまに嫌な顔しなくても…」汗

 

「そりゃあ、嫌だからなぁ…」

 

「うぅ……」

 

翔に嫌な顔をされ、涙目になるカナ。それでも彼は、容赦しない。

 

「女の涙ってやつか?残念だったな、俺にはそんなの通用しねぇ…女の涙程、信用できねぇモンはねぇからな。」

 

その時、ドアがノックされ…斑目が入ってきた。

 

「失礼する。」

 

「本当に失礼しやがるな…」

 

斑目までも食卓に座ったので、翔は仕方なく彼女らの食事を作ることにした。

 

「アンタら、どーせ料理出来ねぇんだろ?」

 

翔がそう言うと、斑目とカナはビクッと肩を震わせる。どうやら、図星のようだ。

 

「ったく、料理できねぇんじゃあこの先生きてけねぇぜ?所詮は仕事脳で料理をする事自体考えてなかったんだろォがなァ…だらしねぇ、実にだらしねぇなおい。」

 

チクチク嫌味を言いながら、出来上がった料理を食器に盛り付ける。彼が作ったのは、麻婆豆腐だ。斑目とカナと夕食を共にしながら、翔は言う。

 

「アンタら、何か聞きてぇ事でもあんのか?」

 

彼の問いに答えたのは斑目だ。

 

「君が言っていた妖魔(オブリ)について聞きたい。ピグマリオンとの関係もな…」

 

「…あぁ、答えよう。」

 

翔は妖魔について、斑目とカナに説明を始める。妖魔と呼ばれる怪物は、『時空の歪み』から現れる。通常の人間では見ることが出来ず、『五次元探知能力』を持っている者のみが妖魔の姿を見る事ができる。破壊活動や人間の意識を乗っ取るなどの悪事を働く危険な存在であり、発見次第すぐに討伐しなければならないのだ。豊富な種類の個体もおり、下級クラスの偵察型妖魔、旧式妖魔…中級クラスの飛翔型妖魔…上級クラスの侵略型妖魔…メイ・アルカリア…人間に擬態出来るパスト・アルカリア…超級クラスのピュア・アルカリア……更に、巨大な図体が特徴の急襲妖魔等がいる。ピグマリオンとの関係性はほとんど無いが、強いて言えば…人類の敵である事はピグマリオンと同じだ。

 

「…成る程。」

 

「EsGもいくつか妖魔の反応をキャッチしていましたし、Dollsも妖魔が見えたと言っています。勿論、私たちにも見えます。」

 

「恐らくだが、アンタらも生まれつき…五次元探知能力を持っているんだろう。」

 

話を終わらせ、食事に集中し始める翔。自室に居る時だけは、黒いマスクを外し、素顔を見せていた。

 

「それにしても、翔君の手料理は美味しいですね♪」

 

「そうだな…翔、スゴイじゃないか。」

 

「んだよいきなり、気持ち(わり)ぃ…黙って食え黙って……」

 

カナと斑目に悪態をつきながら麻婆豆腐を口に運ぶ翔。Dollsがノドカと仲良くなろうとしている中、斑目とカナも翔と打ち解けようとしていた。

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