プロジェクト東京ドールズ:外伝 『忘却のイミテーション・ドール』 作:やさぐれショウ
ある日のドールハウスにて……
ドールハウス内にけたたましい警報音が響き渡る。
『赤坂付近でピグマリオン反応が検知されました!Dolls総員出動願います!!』
カナからのアナウンスが入ると、Dollsは直ちに出撃する。
「フヒヒィー!!久々の出動ー!!」
「みんな行くわよ。」
「初めての総員出動ですが…ノドカさんなら大丈夫です。」
新メンバーのノドカにとって、全員で出撃するのは今回が初である。彼女は、チームAに所属している。
「チームAはミサキさん中心で動くの、しっかりついて行こう。」
ノドカに声を掛けるサクラ。その時、斑目からのアナウンスが流れ始める。
『待て。』
メンバー達が疑問を抱く暇もなく、指示が出される。
『ノドカは現地まで同行し、後方待機だ。』
「斑目さん…!」
それは、ノドカを前線に出すのではなく、後方で待機させるという事だった。これに、シオリとナナミが反論する。
「それでは逆にノドカさんが孤立して危険です。」
「戦力的にも待機は合理的ではないのでは?」
それに対し、斑目はこう言った。
『能力は高いが、コンビネーションに不安が残る。前線に出すことは許さん。』
斑目の言葉に、Dollsはぐうの音も出なかった。確かにノドカは戦闘力は高いが、Dolls全員と連携が取れるとは限らない。観測室には斑目とカナ、更には翔が居る。
「新型の反応も観測されています。戦力は多い方が…」
カナが説得を試みるも、斑目は揺るがない
「特疾研の真意がわからん以上ノドカを前線に出す事はできん。」
「……。」
思わず翔に視線を向けるカナだが、彼は興味なさそうにしている。
「……了解です。」
「これは命令だ。ノドカは後方待機、9名で討伐に当たれ。」
「命令……命令なら、OKです。」
斑目の『命令』という言葉を聞き、納得するノドカ。
「っ……」
そんな彼女に不安そうな顔を向けるサクラ。
「ノドカ、危なくなったらいつでも呼んで。」
レイナを筆頭に、10人は出撃していく。
「みんな、出撃よ!!」
その頃、観測室では……
「…この反応は!?前の妖魔反応とは違う……」
カナの言葉を聞き、翔はモニターを覗き込む。そこには、黒い穴が出現し、そこから妖魔がゆっくりと地上に降り立った瞬間が映し出されていた。近くには、ピグマリオンもいる。
「妖魔達は、ピグマリオンを利用しようってのか……」
「…どういう事ですか?」
「特に目的がねぇなら、一般人を襲ったって良い…だが、妖魔達は一般人を襲ってねぇ。寧ろ、Dollsが来る場所に姿を見せてんだ。それも頻繁にな……だったら、奴らの狙いはDollsだろう。」
この世界に来てから、翔は妖魔達の動向を探っていた。彼らは一般人を襲う事は一度も無く、Dollsがいる場所に集中して姿を現し…何かしらの理由で、Dollsを狙っていると、翔は考えている。
「翔、行くのか?」
「当たり前だ。」
「分かった…
「…嗚呼、任せろ。」
Dollsが出撃した後、翔もIXAシステムを持って出撃した。
ピグマリオン出現現場では、テアトルを張ったDollsが討伐に当たっている。
「くっ…また新型……!!」
「こいつ前のより強いんですけど!?」
今回の新型ピグマリオンは、前のよりも素早い動きをしている。更に、下級クラスのピグマリオンを多く引き連れている。
「あーもー!!雑魚は退いてってば!!」
「ふわぁっ!?」
アヤは中々減らない雑魚を相手にする事で精一杯であり、ヒヨは新型にふっ飛ばされ、地面に叩き付けられる。次第に苦戦し始めるDolls。後方にはノドカがいるが……
「命令は、後方待機。」
斑目の命令に忠実に従い、その場から動かない。どれだけ仲間が敵から攻撃されていても……
「命令は……」
近くに瓦礫が飛んで来ても……
「……待機。」
その場からは動かない。やがて、ピグマリオンに紛れて、妖魔が出現した。
「っ!?また新型…!?」
「な、何なんですか…アレ……!?」
現れた妖魔は、金色の体色と右腕が巨大な剣になっているのが特徴だ。その妖魔が剣を構えた時…上空に1つの人影が姿を現す。
「…
「「!?」」
やがて、人影は妖魔に向かって飛び蹴りを放ち、ミサキとナナミの近くに降り立った。
「なっ…え、Sさん!?」
「アイツは妖魔っつってな、お前達が戦っているピグマリオン同様…人類の天敵だ。」
妖魔についてざっくり説明する翔。
「奴は任せろ。」
そして、妖魔に向かって走って行く。そんな彼に、無数のピグマリオンが迫ったが…彼は地面を蹴って飛ぶと、プロペラのように回転し、襲って来たピグマリオン達を切断した。そして、妖魔の懐に素早く潜り込み…腹部に張り手を放つ。怯んだ隙に、右腕の大剣を叩き折った。彼が妖魔の相手をしている間、Dollsはピグマリオン討伐に専念する。後方にはノドカがいる。
「!!」
(このままじゃノドカちゃんのところにまで攻撃が…)
サクラは、あの時ノドカに助けられた事を思い出していた。そして……
ノドカを守る為、雄叫びを上げる。
サクラはノドカの前に立つと、剣を盾代わりにして瓦礫からノドカを守った。だが、真っ二つに割れた瓦礫から新型ピグマリオンが姿を見せた。
(新型…!!)
(マズい!!)
翔は妖魔を倒すと、折った大剣を新型に投げようとした。だが……
「あ……」
サクラが新型に攻撃される直前、新型の身体が両断された。ノドカが剣を振るい、新型を撃破したのだ。
「ノドカちゃん…ッ!?」
だが、ノドカにもう1体の新型が迫って来ていた。
「危ない!!」
すかさずサクラが剣を振るった事で、もう1体の新型も倒れた。他のメンバー達も、ピグマリオンの殲滅を終えていた。倒れそうになるノドカを、慌てて支えるサクラ。そして……
「ありがとう……ありがとうノドカちゃん……!!」
…と、ノドカを抱き締めながらお礼を言い、笑顔を見せた。そんな彼女の笑顔を見たノドカは、ゆっくり口を開く。
「あ……あの……」
「?」
そして……
…と、サクラにお礼を言い、笑顔を見せた。しかし……
その直後、ノドカは意識を失った。
「ッ!?ノドカちゃん…!?しっかり…!!ノドカちゃん!!」
そのタイミングで、無数の黒い穴が現れ始める。
「ちっ、時空の歪み…こんなタイミングでか……」
イクサナックルを取り出す翔。やがて、無数の黒い穴から妖魔が姿を現した。黒く大きい図体で、巨大な両腕を翼のように羽ばたかせ、空を飛んでいるのが特徴だ。
「全員
Dollsに背を向けながら指示を出す翔。
「はぁっ!?何言ってんのよアンタ!!」
「新人が意識手離してんだろうが!!ソイツを連れてとっとと行け!!」
「……!」
反論するアヤをすぐに黙らせ、ナックルを左手に押し当てる翔。
ナックルから低い電子コールが響き、サイレンのような待機音が響き始めると……
…と翔は呟き、ナックルをベルトに取り付ける。
点滅するベルトのイクサジェネレーターから十字架のようなエフェクトが出現し、段々スーツを形作ると…それは翔の全身に重なり、仮面ライダーイクサへと姿を変えた。
「みんな、退却よ。」
イクサに変身した翔を見て、レイナは退却指示を出す。
「レイナさん、しかし」
「大丈夫、Sは強いわ。彼を信じましょう?」
レイナの言葉を聞き、Dollsはノドカを連れて撤退した。イクサはベルトからナックルを取り外すと、衝撃波を発射し、飛翔型妖魔を撃墜…最後にナックルを打ち込み、息の根を止めた。次の妖魔を撃墜すると、その妖魔には飛び蹴り一発で仕留める。残りの妖魔も、ナックルから放たれる衝撃波で全て撃墜した。
「これじゃあ非効率だ…なら、コイツを試すか。」
イクサは脚の形をした銅色のフエッスルを取り出す。原作【仮面ライダーキバ】にも存在しない、新しいフエッスルだ。
(読み取ってくれよな…?)
ナックルをベルトに取り付け、そのフエッスルを読み取る。
フエッスルの読み取りに成功し、音声を出すイクサシステム。イクサは右脚にエネルギーを纏わせると、助走をつけて空高く飛び上がる。
「ッ!!」
そして、妖魔に向かってライダーキックを繰り出した。1体を撃破すると、キックの反動を利用し、もう一度宙へ飛び上がる。そして、2体目の妖魔にライダーキックを繰り出し撃破…蹴りの反動で再び宙を舞い、最後の妖魔もライダーキックで撃破した。全ての妖魔を殲滅したイクサは変身を解き、翔の姿に戻る。
(予めフエッスルを新調して正解だったぜ……)
そして、何事も無かったかのように、その場から立ち去った。