プロジェクト東京ドールズ:外伝 『忘却のイミテーション・ドール』   作:やさぐれショウ

9 / 18
玖 警戒

どこかの施設

 

 

得体の知れない怪物

 

 

怪物に取り込まれる人達

 

 

響き渡る断末魔

 

 

助けを求める声

 

 

どうしようもなくその場を離れる

 

 

目の前には−−−−

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……!!」

 

目が覚めると、自室のベッド上にいる事に気付くノドカ。

 

「気分はどう?」

 

近くにはサクラの姿があった。

 

「……。」

 

「もう少し寝てた方がいいね。」

 

優しく微笑むサクラを見るノドカ。

 

「大丈夫、このままゆっくり−−−−」

 

彼女が何かを言いかけた時…ドアがノックされ、ゆっくり開かれる。そこには、メガネが特徴のスーツ姿の女性が立っていた。

 

「あ……えっと……」

 

サクラが戸惑っていると、女性はゆっくりと口を開く。

 

 

「小山内です。」

 

「ノドカの保護者の。」

 

 

「は、はい!ちょうど今、目が覚めたところで…」

 

「そう。」

 

状況を説明するサクラに、崩さぬ笑顔を向ける小山内。そして…

 

 

「…ごめんなさい、外してもらえるかしら?」

 

 

…と、サクラに退室するよう促した。

 

「あっ……!す、すみません…!」

 

すぐに立ち上がり、お辞儀をして部屋から出ていくサクラ。2人きりになると、小山内は近くの椅子に座る。

 

「1週間ももたないなんて、計算違いだったわ。」

 

そして、ポケットから小さなケースを取り出す。

 

「貴女には辛い思いをさせてしまったわね、ごめんなさい…でも、これでもう……」

 

 

大丈夫

 

 

小山内がケースから取り出したのは、怪しげな薬液が入った注射器だ。それをノドカの腕に伸ばし、ゆっくりと薬液を注入した。

 

「忘れていないわね?」

 

「……!!」

 

小山内の言葉に、目を丸くするノドカ。

 

「自分がすべきことを…忘れないで、命令よ。」

 

「命令……OKママ……」

 

 

 

ノドカが眠りにつくと、彼女の腕にある注射痕が静かに消えた。それを見届けた小山内は椅子から立ち上がると、部屋を退室した。

 

「早い到着だったな。」

 

部屋を出てすぐの廊下には、斑目の姿があった。

 

「まるでノドカに発信機でも付いているようだ。」

 

「あら、身内が心配なだけよ。」

 

笑いながら言う小山内。

 

「身内…ね。」

 

斑目は少しの間沈黙を開け、口を開いた。

 

「やましい事がないのなら…もう少し『デザインドール』の情報を寄越してもいいんじゃないか?このままではあの娘の警戒は解けない。」

 

斑目は小山内の目をまっすぐ見て、彼女に問う。

 

 

お前の目的は何だ?

 

 

「……。」

 

小山内は何も言わず、立ち去っていく。だが、去り際にこう言った。

 

「…渡せる情報は全て開示しているわ。」

 

「そうか…それなら世間話はどうだ。小山内−−」

 

 

お前の娘は

 

何歳(いくつ)だった?

 

 

「……!!」

 

斑目のこの言葉に、小山内は足を止め…何かに動揺するような顔をする。

 

「女手ひとつで育て上げ……さぞ苦労を重ねたことだろう。“生きていれば”……確か、ノドカと同年−−」

 

 

一緒にするな

 

 

斑目の言葉を遮り、足早に去って行く小山内。ドールハウスを出ると、妖魔との戦闘から帰還した翔と遭遇した。

 

「…あら、貴方は確か……」

 

「……。」

 

すぐに笑顔を見せる小山内を黙って見る翔。

 

「…?」

 

「……なぁ。」

 

突如沈黙を破った翔にびっくりする小山内。

 

「何険しい顔してんだ?」

 

「…!?」

 

「何もやましい事が無けりゃあ、堂々としてれば良いだろ?」

 

「……身内が心配だったから来たのよ。」

 

(身内?そういやコイツ…あの新人の保護者を名乗ってたな……)

 

眉間に皺を寄せる小山内と、反対に無表情な翔。

 

「身内を名乗るのであれば、我が子を守ってやれや。」

 

「貴方に何が分かるの…?」

 

「俺は最前線に出てんだ、そこで戦うDollsを知っている。当然、そこにお前の子もいる。1つしかねぇ命をかけて、不特定多数の人間の命を守ってんだ…それなのにお前は……」

 

目を閉じていた翔は、キッと鋭い眼差しを小山内に向ける。

 

「!?」ゾワッ…

(…何なのよコイツ、凄まじい覇気……一体、何者なの…!?)

 

彼から放たれる覇気は、小山内を怯えさせるのには十分過ぎた。翔は鋭い目を向けたまま、小山内に言う。

 

「身内が心配だから来ただと…?今更過ぎるんだよ、ふざけてんのか?いつ命を落とすか分からねぇ状況の中で戦っているというのに、お前…本当にノドカ(アイツ)の保護者なのか?

 

「……。」

 

翔からの言葉責めに、段々苦虫を噛み潰したような顔になる小山内。

 

「言っておくが、俺は−−」

 

 

うるさい!!

 

 

小山内は乱暴に言葉を吐き捨て、走り去って行った。そんな彼女の態度を見た翔は、ドールハウスへと入っていく。

 

(…ありゃあ真っ黒だ……ま、俺は全部知っているがな……)

 

彼は気付いていた。小山内はノドカの保護者ではない事…何か良からぬ事を企んでいる事……

 

(だが、あの女の好きにはさせん……Dolls(アイツら)に手ェ出そうモノなら……俺は、あの女を消す。)

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。