おーい羂索! 夢バトルしようぜ夢バトル! 作:空吉
GQuuuuuuX、終わってしまいましたね……嵐のような作品だった……ずっと楽しく見ていました……
その日、順平は真人と話した後、いつも通りに帰路に着いていた。だが、家の前に担任の姿を認めた瞬間、足が止まる。
担任はあろうことか、順平と同級生だった
だから、自分もそういう
「ストーーーーップ!!!」
────しかしそこに、乱入者が現れて。順平は思わずそちらを見た。……なんだか変な生き物がこちらに向かってきていて、それを追って飛び込んでくる少年──学生……?
彼は体操選手のようにアクロバティックに、その変な生き物を捕まえて、着地まで決めていた。その彼は順平の担任を無視して、「聞きたいことがあるから面貸して」と飄々と声をかけてきた。──その彼の制服に、覚えのあるデザインのボタンを認める。真人が言っていた、呪術高専の制服。
しかし担任も黙っておらず、喚き散らしているのを少年が少し剣呑な目つきで睨んで──それで終わらなかった。また別の声と足音が、その場に響く。
「悠仁、彼を連れてもう少し離れて!」
途端に目の前の少年が順平の後方を見て、少し狼狽えた。
「えっ、いや待て待て待て、紫苑何する気──」
順平は聞こえてきた声に思わず振り向いて、そして、自分の横を軽やかに駆け抜ける、その人の姿を見た。──女の子? 中学生くらいの……いや、違う── ?
すれ違う一瞬、時が遅くなったように感じた。
その子の、色の薄いサングラスの奥の瞳と視線が交差して──表現としては簡素であるのだが、本当にそう表現するのが的確で、正しく思えて──そう、とても『キラキラ』していた、と思った。
その子は、そのキラキラした瞳のまま、前方の順平の担任に向かって駆け寄っていって──思い切り拳を引いて、叫んだ。
「歯ぁ喰いしばれ! そんな大人! 修正してやるーーッ!!」
目にも止まらぬ速さで、その人の拳が担任の顔にクリーンヒットして──順平はその日初めて、人間の体が宙を舞うのを見た。
そして、担任は声も出さずに(正確には出せずに、だったが)離れた地面にズベシャ、と倒れ込み、ピクリとも動かなかった。
担任を殴り飛ばした張本人は、フスーッと満足気に息を吐いた。見た目も女の子みたいなのに、一体どこからそんな力が……。そんなことを考える順平と共に、たった今起こった事件(?)をポカンと眺めていた短髪の少年ははっと我に帰り、その子に詰め寄った。
「突然の暴力はダメだろ!!」
「暴力ゥ〜? 違うねッ! これは『修正』ってんだよッ! まあ殴って気合いを入れることなんだけど」
「ダメじゃん!! いやまあ俺もアイツは退かそうと思ってたけど……」
「いざとなったら知り合いの弁護士に頼むからヘーキヘーキ。まあそこまでしなくても、伊地知さんに任せとけば何とかしてくれるっしょ」
「何も平気じゃなくねえ?? それに伊地知さんに無茶振りばっかりするのやめろよな……、……なんかお前、五条先生に似てきた?」
「ゲッ、……マジ? いや今はとにかく伊地知さん……あれ? いないじゃん。さっきまでそこにいたと思ったのに」
彼らはそんな会話をした後、女の子の格好をしている方が、スマホを取り出してどこかに電話をかけ始めた。
「もしもし
あとその勢いで俺が捕獲した【蝿頭】祓っちゃった。いや本当すんません、あと一体は悠仁が捕獲してるんで」
時折分からない単語が挟まるも、なんとも不穏な依頼を誰かに出して電話を切る。
「きたない、さすが紫苑きたない」などと言いながら、隣で頭を抱えている少年の肩を励ますように叩き。
くるりと振り向いて、その子は微笑みながら「ごめんね、話に割り込んじゃって。ああいう大人を見るとイラッとくるぜ! になっちゃって」と順平に話しかけてきた。
順平も「ああ、いや、えっと……」とどう対応したものか悩んでいると、その子は少し首を傾げて、順平の顔を覗き込んできた。思わず、どきりと心臓が跳ねる────
「それで、キミ、
「え゛っ???」
俺たちが改造人間を初めて殺めた日から少しして、七海さんは一連の事件の犯人のアジトが『ある程度』絞り込めたから調査を行う、と単独で出かけていった。
まあ当然、アジトどころか犯人の面が割れている──俺が改造人間の『過去を見た』ために──のだが、俺たちを連れていくリスクより、単独で犯人(犯人……犯呪霊?)のところに乗り込むリスクを取ってしまう人だ。
最初、俺は七海さんに着いて行くつもりだったのだが、まあ彼は俺の先日の様子を見ていたため、俺が何かを言う前に、悠仁と共に吉野順平の調査をしてくるように、と言われてしまった。
この前は改造人間が初見だったからSAN値チェック入っただけで、今は多分もう大丈夫なのだが……それでなくとも、守られるべき子供なのだから、という理由で俺たちを遠ざけてくれるのだ。
だから大人しく、悠仁と声を揃えて「気をつけて」と見送った。
不安はもちろんあるのだが──原作的にはここでは死なないはずだけど、何が起こるか分からないので──『未来視』でも確かめて、一応まだ彼が死ぬ『未来』は見えなかったから、それは一旦飲み込むことにした。
で、俺は悠仁と伊地知さんと一緒に、吉野順平に会いに行ったのだ。
まあ俺が行ってどうなるというわけでもないのだが。確かあいつは映画を共通の話題として、悠仁に対し心を開いてくれるだけで、俺は残念ながら映画オタクでもないし、陰の者だから、彼とは仲良くなれそうもない……。
だから、彼が呪術を扱えるかどうか確認して、その後は伊地知さんと待機しているつもりだった。まずはうっかり逃した蝿頭の1匹を捕獲して、──言い争う彼らを見た。
まあ、あの担任教諭を見てしまうと、1人の人間としてちょっとはヤツに対して思うところはあるわけで。捕獲した蝿頭を、思わず呪力を纏った拳で握り潰してしまうくらいには、苛ついたのである。
どうにもこの世界に生まれて力を手にしてしまってから、喧嘩っ早くなった自覚はあるのだが────だからつい、文字通り手と口が出た。かの有名な台詞の叫び時だ! と。
もちろん手加減はしたとも。まあ上手いこと、意識は刈り取れたのだが。
そして、ショッキングな映像を見たからか少し呆けているような吉野順平に対し、俺は単刀直入に問いかけた。「お前は呪詛師か」と。
そんなことはないと分かってるんだけど、なんとなく、ミッドナイトなリフレクション──初対面の時の、ニャアンとマチュのムーヴを思い起こしていたので、ちょっとつられたかもしれない。順平の式神もクラゲだしな。といいつつ今は昼だが。
「言い方!!」
「痛い!!」
すると、ゴン! と音を立てて悠仁の拳骨が頭にクリティカルヒットした。お前の力で拳骨食らったら洒落にならない……はずだが、まあそこはもちろん手加減だ。……結構本気で痛いけど、そこは甘んじて受けるとも。
「本当にゴメン、こいつ突拍子もなく失礼なこと言う時があって……」
「え、あ、いや、うん、僕は大丈夫……。あの、わざわざ……あいつを殴ったりしなくても、僕だけ連れて行けば良かったんじゃ」
吉野順平のその言葉に、俺と悠仁は顔を見合わせる。
「でもお前、アイツ嫌いだろ? 嫌いなヤツにいつまでも家の前にいて欲しくねーだろ」
悠仁の言葉に、俺もウンウンと頷いておく。
順平は目を丸くしてこちらを見つめていたが、「とりあえず行こうぜ」という悠仁の案内に、「……うん」と思わず溢れたような、どこか泣きそうにも思える声で返事をした。
せめて月2くらいのペースで更新目標にしたい