おーい羂索! 夢バトルしようぜ夢バトル! 作:空吉
いつもより少し長めです
迷いに迷ってるので修正の可能性は大いにあります
暇つぶしにでも読んでもらえたら幸いです
虎杖は自分では敵わぬ特級呪霊を相手にし、死にたくないと叫びながらも、その場における心残り──どう見ても事切れている紫苑の体を傷つけまい、けして巻き込むまいと立ち回っていた。もしかしたら助かるかもしれない、と無根拠な希望も持っていた。
伏黒の合図を受けて宿儺に代わったが、宿儺も既に死体となった紫苑には全く興味を示さず、特級呪霊を甚振るように、遊びのように戦っていた。
そうして特級呪霊が祓われ、生得領域も閉じ。しかし虎杖はすぐには宿儺と代わることができずに、伏黒の前には宿儺が現れた。
宿儺は虎杖を人質に取ると、彼の心臓を抜き取り、3本目の【指】まで取り込んだ。
絶体絶命の窮地において、それでも伏黒は戦うことを選び。そしてその選択が、結果的に、彼らを救ったのである。
伏黒は【大蛇】によって宿儺を拘束しながら上空に運び、【鵺】の体当たりによって、攻撃を畳み掛けようとした。
しかし、宿儺はそれを意にも介さず【大蛇】を破壊。ただの『膂力』によって、伏黒の服を掴むと、意趣返しと言わんばかりに上空に放り投げた。
その実力差を目の当たりにし、隙が出来た伏黒に、宿儺は指を組んだ両手を振り下ろそうとした────まさに、その刹那。
「 ラ ラ 」
時が止まったような感覚。同時に、聴いたことのない、しかし美しい旋律が、あたり一帯に響き渡った。
次いで少年院から、周辺地域ごと飲み込むのではないかと思うほどの呪力が膨れ上がる。宿儺は思わず視線をそちらに向けた。
(今の旋律は何だ? そして呪力だけではない、この異様な『
するとその思考の間に、膨れ上がった呪力と『
それが次に現れたのは、宿儺の目と鼻の先。
確かに目前にいた伏黒を見失い、その場で宿儺が認識できたのは、
もちろん宿儺はそれをすぐに退けようとして──しかしその『
そうして、
「やめな〜〜……っさい!!」
そんなふざけた調子の言葉とともに打ち下ろされ、その質量と勢いに、宿儺は防御もままならず直下の地面に叩きつけられた。大地が抉れる。
しかし、彼はその優れた視力で、その『巨大なヒレ』を持つものの全貌を、瞬間的に捉えていた。
それは、半透明にゆらゆらと輝く、大きな【鯨】の姿をした呪霊であり。
そして、その呪霊の背には伏黒と──少年院で確かに死んでいたはずの、そして
「
そして悪いな恵! ちょっと蘇生遅れちった」
「………………俺は、お前を見捨て」
「てな〜〜い!! 判断は的確! 悠仁も俺の体を巻き込まないようにしてくれたから、特級にやられた時以外の傷はあんまりない!
その傷もちゃんと
【反転術式】、使えるんだけど、何か嫌な予感というか、忘れていることがある気がしてこの時点での使用はやめました。やめたのか。
しかし恵くんさあ……。宿儺相手からの一時的な解放に対する安堵と、俺に関するあれこれと、この【鯨】なんなんだよという気持ちと、怒涛の展開に混乱してるんだろうが、それでいてまず出てくるのが俺に対する罪悪感かい! こう……心根というか性格というか……苦労するよォこれは。
「術式とかについては後でまとめて説明する。
釘崎は無事? あっ過去見えた、やっぱり恵のおかげで救助も早かったじゃん、呪霊も倒せてるし」
「……お前が釘崎に玉犬を付けるように言ったからだ」
「賛辞は素直に受け取っとくもんだぜ。
つーか謝るってんならそもそも俺だからな。博打するにしても、もうちょい考えるべきだったよ。本当にごめん」
「博打?」
「そう、博打。あの時俺は確かに思ったんだよ、『このままここに置いてってくれ』って。死に際で何かが掴めそうだったから。
お前らは多分それを
そして実際、俺は【
だから、俺はお前らに不必要な心の傷を与えたことになる。謝るのは俺の方だよ。
さて、そろそろ悠仁のこと呼び戻さないといけねえし、降りるぞ。恵は【鯨】から離れるなよ」
俺が滔々とそう語った後に、【鯨】はすぐに俺の意を汲んでくれたのか、すいすいと泳ぐように降下を開始した。こんな時でも風が心地良い。
クク……実は俺……クジラの背中に乗るの、本当に夢だったんだ……!! ポケモンのルビー・サファイアをプレイした時から、絶対にホエルオーで『なみのり』したかったから……!!
それに【鯨】ってモチーフはSFと縁が深いんだ。小説もあるし、ガンダムにだって
え? 呪術廻戦にSF関係ねーだろって? お、俺の生得領域が宇宙とかかもしれねーだろ!! さっきまで居たのは多分【幻影の呪霊】の生得領域だったし。
そういえば『呪術廻戦』のジャンルってダークファンタジーでいいんだっけ? 俺こういうの『伝奇』にも入ると思って……型月の影響も受けてるって言うし……うーむ、いや、詳しくないから考えるのをやめよう。
閑話休題。とりあえず宿儺の着弾地点(!)と思われる場所から少し離れたところで【鯨】を止め、俺だけが地上に降りる。
「恵は降りるなよ。何かあっても【鯨】が守る。
あ! 間違っても
「何で魔虚羅のことまで知ってんだ!! あとその呼び方なんか嫌だからやめろ!!」
あんまり宿儺に目をつけられたくないからなんだが、さっきの感じ手遅れか……? でも
近づいてみると、予想通り、宿儺は多少のダメージを残しつつも既に体勢を立て直していた。
それでも俺と【鯨】に多少なりとも興味を引かれたのか、口角を上げてこちらを
「知っている呪力だとは思ったが、まさか日和見の回遊魚が降りてきているとはな。昔より奇天烈な色をしているな? その呪術師に『飼われた』せいか」
『──久しいですね、宿儺。ええ、興味深い事例にめぐりあえたもので。長生きはしてみるものですよ』
今『
まあともかく、【鯨】もとい【幻影の呪霊】と縁というか因果を結んだのは、うんうん、それもまた『めぐりあい宇宙』ってやつだね。……ちょっと待てよ、俺ってこいつのこと『鯨』だと思ってたけどもしかして『魚』だった?
呪術廻戦的にも死滅回游とかあるしなんか魚モチーフ多かった気がするし……? そういえばこいつの尾鰭も鯨より魚に近いような……い、いや! 俺の中では【鯨】ってことにしておく。良いんだ。気づかなかったんだ。
あ、なんかちょっと【鯨】に笑われた。
「それで? 【魔眼】の餓鬼とわざわざ『縛り』を結んでまで契約したか」
「受肉じゃないぞ。【魔眼】は
と言うわけでそろそろ虎杖起こさせてもらうぜ、変なこと考える前にな」
何だっけほら、露骨な肋骨じゃなくて……迂闊な契約、略して……みたいな名前の『縛り』だ。アレって結構致命的だった気がするから本当にやめてほしい。
すると、宿儺がケヒッ、と例の特徴的な邪悪な笑みを溢した。
「俺がお前の言うことを素直に呑むと思うか?」
「全く思わんから、もう最大出力で【魔眼】使ってるよ。今回は『停止』。『過去視』の方の拡張術式な」
宿儺は俺の言葉に眉根を寄せて体を動かそうとしたが、指一本動かすのにも苦労している。おお、怒りやら不快な感情やらが伝わってくるぜ……。
まあ動けないのは当然だ。俺の呪力の他に【鯨】の呪力も上乗せして、出力を最大にしているのだから。
効果としては、簡単に言うと「過去のある時点で事象を一時的に止める」というものだ。
『
「さて宿儺、俺は一度死んで、なんと【魂の輪郭】を知覚出来るようになっている。残念だろうが一旦ここまでだ。心臓も俺が『戻して』やれるからな。
ああ、そうだ。──少年院の特級呪霊を祓ってくれたこと、ものすごく感謝しているよ」
「──次は最初に貴様を刻むぞ、餓鬼」
その一言を最後に、俺は宿儺と目を合わせ、【魔眼】を使用して魂を探す。
宿儺の魂のその奥に、おそらく必死に宿儺と交代しようともがいている悠仁の魂を見つけて、ほっと息をついた。でも少し……この魂……泣いてます。よし、すぐ出してやるからな。
ところで、俺のやろうとしていることは少し特殊だと思う。俺と同じく【魂の輪郭】を知覚できた最終決戦の悠仁は、宿儺と恵の魂の境目に【解】を打ち込むことで魂同士を剥がした。
だったら似たようなことを、俺の術式でも出来るはずだと考えた。術式とは、解釈を広げたら出来ることが増えるのは本当に便利だと思う。調整は本当に、めちゃくちゃに難しいが。
受肉体を『受肉前に戻すこと』については、俺の術式では
しかし俺が【魂の輪郭】を知覚できるようになったことで、悠仁のように『器』側の魂が起きているか、
悠仁の場合は、表に出ている魂と、肉体の主導権を『過去に戻す』。その後で肉体の状態も『過去に戻す』。
俺はこの『対象の状態を過去に戻す』拡張術式に【
実は覚えたての【反転術式】を使うか、とも思ったが、他人の臓器を生やすのはちょっと……覚えたてでは難易度が高いので、別の手段……普通に俺の術式を使うことにする。
まずは魂を戻す。せっかく【鯨】がいるので連想したフレーズを呪詞として使い、術式を発動した。
「もう泣かないで いまあなたを探してる人がいるから お前に逢いたいよと」
歌はいいね、人間の生み出した文化の極みだよ。本当にそう。しかもこれは名曲中の名曲。沁みる。
宿儺の瞼が落ち、体に浮かんでいた宿儺の紋様が消えていく。がくりと虎杖の体から力が抜けて、慌てて支えた。重い……!!!!(ルフィ並感)
少し離れた場所からハラハラと見守っていたらしき恵を、手招きしてようやく側に呼んでやる。彼は【鯨】を伴って小走りでやってきて、虎杖を支え、その場に寝かせるのを手伝ってくれた。
さて次は肉体の方だ。次の時までに反転術式も【巻き戻し】も練習しとくからな……。
「『虎杖悠仁の肉体』『2時間前』──『
──よし、無事に心臓の鼓動まで戻ったな。……正直エグい不安だった、ぶっつけ本番でやることじゃねーわ。
宿儺に治された指とか腕とかも『巻き戻り』そうで心配だったから、結構な時間分を戻したけど正解だったらしいな。
「……紫苑、虎杖。俺は正義の味方じゃない、呪術師だ。だから虎杖を助けたこと、一度だって後悔したことはない」
「いーんじゃねーの、俺だってないよ。あとそれは悠仁が起きた時にも言ってやれよ……あれ、雨上がった? つか〝帳〟もないような……」
「────これ、どういう状況?」
「ヒュッ」
「あ……五条先生!」
恵がすぐに反応してたけど俺はめちゃくちゃビビった。センセーは突然現れたし、俺も『未来視』を発動してなかったから……。
しかし光明! まさかここの時点で来てくれるとは思わなんだ、伊地知さん連絡つけてくれたんか! 助かる。センセーに後処理とか全部押し付けられるじゃん!
「うおおおん五条センセーぬ疲も!!!!!」
「無事で良かったけど、この呪霊が何かは説明してもらうよ? ──【眼】も随分と変わったみたいだね」
「アッ」
必死に言葉を探す俺の横で、【鯨】はゆっくりと旋回すると、不思議な響きの声で五条センセーに語りかけた。
『初めまして、五条悟。私は【幻影の呪霊】、ここにいるのはその分身です。
華祥寺紫苑が以前私の本体をその【魔眼】で見たことから因果が結ばれ、この度対価を得て彼に力を貸す『縛り』を結びました』
「そういうことっす! 助かったっす!! 【眼】が変わったのもそれ関係です!!」
『彼が一度死ななければ、今回のことはなかったでしょうが』
「え、紫苑一回死んだの?」
「死んだっす! でも蘇生したっす!! あ、
ポケモンかい、という感じだがまあ置いといて。
『──では、私も一度顕現を解き、本体に戻ります。
ああ、そういえば……少々うるさい
「え!?」
【鯨】は空気に溶けるようにキラキラシュイーンと消えていった。
というか……あっ! そういやこの少年院の呪胎が持ってた【指】って羂索の仕業か!! 忘れてたのってこれだわ!! 監視用呪霊でもいたのか!?
あっぶね、【反転術式】ひいては【術式反転】までみんなの前で分かりやすく発表会するところだった!! 【鯨】がぐう有能すぎる。
「……総監部、ですかね」
「まあそうだろうね。この任務自体、僕に対する嫌がらせでしょ……最近の圧力が足りなかったかな。
それで悠仁は? 平気? 野薔薇が病院に搬送されてるのは伊地知から聞いたよ」
「悠仁もちょっと色々あって、俺と恵で……なんとか……しました……」
あかーん気が抜けた! 精神的疲労からか、はたまたさすがに術式を使いすぎたのか、視界が回って足元が怪しいので、まだ意識を取り戻さない悠仁の隣に寝転んでしまう。
「うーん……報告……日本の勝利である……」
「はいはい、無理しなくていいから。
あ、伊地知がもうすぐ野薔薇を搬送した病院から蜻蛉返りするから、みんなもすぐ検査ね。──お疲れさま」
五条センセーの珍しい労いの言葉を聞きながら、しかし俺は今回得たものについて考えていた。
①【魂】関連の技術。【魂の輪郭】の知覚と干渉。
俺は前世で死んで、この『呪術廻戦』の世界に転生した。そしてこの任務でまた死んで、蘇生した。
2回も死んだからまあ、【魂の輪郭】の知覚くらい出来るようになったんだろう。で、知覚できるなら干渉も出来る。悠仁が真人や最終決戦の宿儺にダメージを与えていた理屈だな。
②その【術式】について。
死んだ俺は無事(?)『呪力の核心』を掴み、なんと過去編の五条センセーよろしく覚醒。【反転術式】【術式反転】を共に会得。
【過去視】の反転だから【未来視】が可能に。何ということでしょう、匠もびっくりのビフォーアフターである。
術式の解釈も何だか随分広げられるようになって、『見る』だけでなく『事象の改変』まで出来るほど強力になった。まずは【巻き戻し】から使用してみたが、あっさり成功もしたし。
さすがにもう術式名も【過去視の魔眼】じゃ偽りありだし、変えないとな……。
なんかいい感じのやつ……呪術廻戦から連想……エヴァ……BLEACH……あ! 劇場版タイトルから『MEMORIES OF NOBODY』を借りよう。記憶にまつわる話ということで。
字は適当に当てて、【
しかし令和になってまさかアニメ側のセンスが師匠のセンスに追いつくなんてな……あれは前世で生きてるうちに見られて本当に良かった……。
『千年血戦篇』最終章もきっと素晴らしいだろう、安心だ……。
話が逸れた。で、問題はここからなのだ。
特級呪霊の攻撃を受けて死んだ折、過去に因果を結んでいたらしい【幻影の呪霊】の【生得領域】と繋がった。まあこれは【魔眼】の性質上仕方ない。なんかおもしれー奴認定されて協力してくれるらしいし。結果オーライ。
しかし、そこで【幻影の呪霊】が蒐集していた『記憶』を【過去視/未来視】の機能がついた【魔眼】で見てしまって────つまり。あれ、やっぱり『刻が見える』ってやつだ。完全ではなかった、と思うが……。
その証拠がこの【眼】の光だ。本当にこれ『人の心の光』だ。マジもんの『キラキラ』で、任意で接続可能らしい。俺の眼、これからずっとこうなの? 嘘でしょ?
術式と【魂】関連の技術を合わせると、今後の洗練によっては、他者の魂への感応とか、ガンダム用語でいう『全体』『虹の彼方』または『奇跡』へのアクセス……多分死者との交信もワンチャンある、という確信を持っていて……。
もしかして俺、『ニュータイプ』目指せるんじゃないの〜〜!?!? 見えないものが見えちまうよ〜〜!!
これって喜んでいいこと? 絶望すること? ちょっと憧れではあったけど、実際そうなるって大変どころの話じゃないよな?
なんか【未来視】的にはテレビアニメ版カミーユオチになる可能性もわずかばかりある感じなんだけど!?
いや、うーん……なったらその時に考えるか……。今は俺の今世の目標のために、出来ることが増えたのを喜びたい。
ちゃんとGQuuuuuuXの続編を見られる未来の可能性もあったし、喜びたいんだよ!! ネタバレは嫌だからもちろん内容自体は見なかった。
それにしても、なんかさっきから五条センセーからの視線が痛えよ〜〜……。ミトメタクナイ!
五条は、アイマスクの下の【
特に、華祥寺紫苑のことを。
彼には、明らかにこの任務の前と後で変化があった。もはや『進化』とも呼べるほどに。
呪力の質も精錬され、呪力量も増え。乙骨のように、外付けの【式神】
何よりあの【魔眼】だ。自分の【六眼】とはまた違う、この世のものとも思えぬ光──。
口角が自然と上がる。思わず口元を手で覆ってしまう。久しく感じていなかった高揚。そう、
他と隔絶した『最強』に成ってからここまで、強く聡い仲間を育てるために生きてきた。
確かに紫苑には、初めて会った時からシンパシーのようなものは感じていた。
だが、五条と同じ『絶対的な強者』では有り得ないし、今後も成り得ない。生き物としての線引きも、変わらない。
たった1人の『親友』ではない。五条と渡り合える『強者』でもない。しかし、これまでに考えもしなかった、
彼が成長し、やがて『その視座への到達』が叶ったのなら。
華祥寺紫苑は、
称号:『革新の兆し』を獲得しました みたいな話
これクロスオーバーとかのタグいるやつですかね……規約確かめておきます