おーい羂索! 夢バトルしようぜ夢バトル!   作:空吉

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大変お待たせしてしまいました
私生活の方で懸案事項が重なっていたのですが、すべて終わったのでやっと投稿です 久々のため文体等がちょっとブレてるかも……
GQuuuuuuXはしっかり追っていたのですが、毎週情報量が多すぎて咀嚼が大変ですね……え? もうそろそろ終わっちゃうの? ほんとぉ?


第6話 あんなの人の死に方じゃありませんよ! いや本当に

 その日、伏黒と釘崎は京都高専からやってきた東堂と禪院真依と事を構え。

 五条は京都高専の学長・楽巌寺と対峙していた。本来の打ち合わせ相手である夜蛾の到着を遅らせるという一計を案じてまで。

 それも五条からすれば、楽巌寺を含む保守派の上層部が、少年院任務の一件を仕組んだことへの、些細な当てつけ程度のものだったが。

 

「これからの世代は、『特級』なんて物差しで測れないどころか────()()()()()()()()()()()()()ほどの逸材が台頭するかもしれないよ」

「…………何?」

「僕ばっかりにかまけていると痛い目見るってこと、理解できたかな? おじいちゃん!」

 

言うだけ言って去って行った五条悟の背中を、楽巌寺はじろりと睨め付けた。

 しかしながら、その後気が逸っている様子を隠せない三輪に、仕方なく遣いを頼んで席を外させてやった後も。難しい表情で、癪ながら五条の言葉の意味をしばらく考え込まざるを得なかった。

 

 なお、紫苑がこれを聞いていた場合、「広告の大げさ、ダメダメ! JAR○に通報するぞ! いや……宇宙世紀のマジもんのニュータイプならそうなるだろうけど……俺はまだわかんないから……」などと、誇大広告を指摘しながらも事実としては否定しきらないだろうことは、楽巌寺には預かり知らぬところである。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 2018年9月。

 その日、信用も信頼もしているが尊敬はしていない先輩・五条悟が、「生徒の任務の引率をしてほしい」と七海のところへ連れてきたのは、上層部の思惑から逃れるため一時的に身を隠しているという、東京高専一年の2人であった。

 どちらも五条が大変目を掛けているという。

 第一印象としては、対照的な2人だな、というところだった。

 片や、かの『宿儺の器』。執行猶予付きとはいえ秘匿死刑が決定されていたはずだが、それを感じさせない明るい雰囲気と、明るい色の短髪の少年。活発で、見るからに動けそうだ。体術を得意としているそうだが、よく分かる。

 片や女性ものの改造制服に身を包んだ、華奢とも呼べる小柄な体躯と、黒く艶やかで肩より長い髪が特徴の──確かに見た目からは判断しづらいが、間違いなく少年。帽子と薄い色のレンズが入ったサングラスで、目元に陰が作られている。

 そして、おそらく得物と思われる、身の丈より大きな弓袋を携えていた。

 

「信用できる後輩の脱サラ呪術師、七海建人君でーす」

「その言い方はやめてください。──初めまして。虎杖君と華祥寺君ですね」

「あ、ハイ! ハジメマシテ」

「──初めまして。お会いできる日を楽しみにしていました」

 

虎杖は初対面で多少緊張しているようだったが──不思議なのは華祥寺だった。

 嬉しさを隠しきれない声音と表情で、帽子とサングラスを取り、伏せていた目をまっすぐこちらに向けて。七海は真正面から、彼のその瞳を見た。

 

 それは例えるならば、虹か、極光(オーロラ)か。五条の【六眼】とも異なる、幻想的な輝きを宿す瞳。

 それを見た瞬間に、七海は──不思議なことに青く見える宇宙を幻視した。さらには何故か、いつか行ってみたいと密かに考えていたクアンタンの海を想起した。宇宙で瞬く星が、波間に揺れる光のように思えた。

 果てのないその景色。そしてその向こうに感じる()()の気配に、思わず目を奪われて──「おっと」という少年の声が意識を引き戻す。

 

「やっぱりこの一月(ひとつき)で感応しやすくなってるな。術式の進化とはいえ……失礼しました。

 『サングラスをかけている時は術式を発動しない』という【縛り】はあるんですが、尊敬している方へのご挨拶に、サングラスかけたままってのはどうかと思ったし──つまり、俺ってあなたのファンなので、ひと目、直接見たくって」

 

華祥寺は帽子とサングラスを元通りに装着し、ぺこりと頭を下げた。……彼は今自分のファンだと言ったのか? 理由がわからず内心首を傾げる。

 

「…………いいえ、気にしないでください。今のは私も不注意でした。君の術式のことは、さわり程度にしか聞いていませんが、いずれ必要になれば説明をしてもらいます」

「了解です」

「えーっ紫苑は七海のこと知ってたの? いつから?」

「こないだ伊地知さんとの雑談でちょっとだけ」

「伊地知さん、そんな話してたっけ?」

「まあまあまあ」

 

五条のダル絡みと、至極最もな虎杖からの質問を華祥寺は受け流した。あきらかにはぐらかしているが、とにかく深く突っ込んで答える気はないということらしい。

 

「そういえば七海サンはなんで最初から呪術師になんなかったんスか?」

 

虎杖が今度はこちらに話を振ってきたので、丁度いいかと自らのスタンスについて話をする。

 呪術師はクソだが、一般企業での労働はもっとクソだということ。そのうち適性のある方を選んだに過ぎないこと。──『宿儺の器』たる虎杖のことは術師としてはまだ認めていないし、虎杖を守ろうとする五条やそれに同意する華祥寺とは考えが異なっていること。

 だから、虎杖と華祥寺は、呪術師として有用であると自分に示すように、と七海は締め括った。

 虎杖は何か思うことがあるように視線を落とした後、気丈に顔を上げ、自分が弱いことなど分かっている、だからこそ認めさせるまでもう少し待ってほしいと述べた。

 対して華祥寺は、ただ微笑むに留めていた。言わずもがな、というところか。

 そうして五条と別れ、七海は虎杖・華祥寺とともに、人が異形の死体となって発見された映画館へ調査に赴いたのである。

 

 問題の映画館では、極薄いが辿ることが可能な程度には残穢が視認できた。七海は残穢とその確認方法について、虎杖たちにレクチャーを行う。

 虎杖は少し手間取ったがしっかりと追えるようにったし、サングラスを外した華祥寺は、流石に【魔眼】の術式のために眼がいいのか、それとも得意とする呪力操作の類か、最初から視認出来ているようだった。

 

「……てか紫苑なら術式でどこに続いてるか辿れるんじゃ?」

「そうだけど、せっかく残穢がお手本みたいに残ってるからな。……だから怪しいんだけど。まあ、これも実践と思って何でもやってみないと」

 

……確かに、まるで誘導するように残穢が残されている、と言われればその通りだ。

 

「……確かに華祥寺君の言う通りでもある。少し警戒しながら進みましょう」

 

道中で今回の犯人(というより人ではないから原因だろうか)の目星をつけながら、屋上に辿り着く。そこでは案の定、()()が意味のない言葉を発しながらこちらを見つめていた。

 

 


 

 

「え〜と、正面に1体、右前方に1体。あとは──」

「そこの塔屋(ペントハウス)の陰に1体、だな」

「ちょうど3体。……残穢とも一致しますね。私が正面の1体を受け持ちますので、右前方の1体を華祥寺君、そこの陰の1体を虎杖君にお願いします」

 

揃って臨戦態勢を取りつつ、一応気配を探り直してみたが、俺の眼にも引っかからないし、七海さんの言う通り残穢とも一致する。

 こいつらが本当に、わざわざ俺達を誘い込むような真似をしたのかはわからないが──というか原作で何か読んだ気がするけど覚えていないので──七海さんの指示に従うとしよう。

 

「勝てないと判断したら呼んでください」

 

そして七海さんの『大人』への持論を聞く。大人は子供を優先する義務があるということ。

 悠仁は少年らしく「子供扱いしないでくれ」と少し反発していたが、俺はジーンと胸に手を当てて感じ入っていた。

 

「お、大人……まともで、『最近の』大人だあ……!!」

 

平成最終盤と令和にかけて連載された漫画キャラなだけある、なんか一般的に理想とされるようになった、子供を守るのが当然と思ってくれるタイプの大人……!! ……まだ20代だよな? ほんとぉ? 声帯との相乗効果でそれより上に感じられるところはある。やっぱり経験値がものを言うのか?

 それにしても、フィクションでしかこんなに出来た人間見たことないぜ! 今はこの世界が現実なので、ますます絶滅危惧種で感動する。イノタクが尊敬するのもわかるってものだ。

 えっ、という感じで振り返る悠仁と眉を寄せた七海さんに、慌てて手を振って弁明する。

 

「いやほら最近関わった大人って五条センセーと伊地知さんくらいなもんだからほら、伊地知さんはいいけどセンセーの方がアレで」

「……まあ、五条さんが酷いのは分かります。

 ではまず、彼の代理として一応ある程度の指導も兼ねてやってみますから、呪霊から注意を逸らさず、こちらも見ていてください」

「普通に無茶振りすぎない!?」

 

悠仁のツッコミもなんのその、七海さんは自らの術式の開示を行い、()()()の手足を綺麗に切断してみせた。指導というだけあって、比較的こちらが目で追いやすい身のこなしを意識してくれたようだ。

 それを結局見ていた悠仁は、【逕庭拳】で自分が受け持った()()()に結構な傷を負わせていた。さて、今度は俺の番だ。

 携えていた武器を下ろし、弓袋を取り払う。中から出てきたのは『錫杖』────を少しばかり改造したものだ。先端の環状の部分に、さらに別の呪具である赤い宝玉を付け足したり、その呪具の性能を損なわない程度に装飾をつけてもらって、RPGとかに出てくるような、魔術師の杖っぽく改造したのである。

 

 この錫杖を五条センセーに連れて行ってもらった武器庫……忌庫? で見た時に、おぼろげながら浮かんできたんです、俺の『戦闘スタイル』が。

 俺の術式【追憶幻想(メモリーズ・オブ・ノーバディ)】は、残念ながらいまだに『究極の過去視(泡影の魔眼)』と『究極の未来視(直死の魔眼)』を習得するに至っていない。

 だから結局それまでの繋ぎとして、基本の攻撃手段を『呪力砲』に定めた。ガンドはそのままでできるけど、もっと威力の高いのが出来るといいな、と。

 

 そこで問題は呪力量よりも呪力操作──指向性を与えることの方だ。そこに補正のある【天与呪縛】とはいえ、あと少し補助が欲しい。まあせっかくなので威力も上乗せしたかったのだが。

 そのために選んだ、そういう性質の呪具である『錫杖』と『宝玉』。本当は変形機能なんかあれば良かったんだけど、さすがにそこまで高望みはしない。

 ここまで言えばおわかりですね? そう──俺の基本戦闘スタイルは、SFといえばSF、ただしガンダムではなく──天下の『撃ち抜く魔法』を持った魔法少女、『高町なのは』さんモチーフなのだ!! もちろんただの趣味である。

 

 ()()()が腕を勢いよく振り下ろしてくる。それをさながらゲームのアラウンドステップのごとく、自分の身軽さを活かしてかわしつつ背後に回る。

 ある程度の距離をとって杖の先端を相手に向け、思い切り呪力を込めると、先端に光球が現れ、急激に膨らんでいく。

 その間にも()()()は振り返り、こちらに向かってきたが──準備は万端だ。

 

「よっしゃ、これが伝説の『ディバイン・バ』──」

 

その瞬間、俺の視覚と聴覚に訴えかける、ニュータイプ音とニュータイプ光。あっ、と思う間もなく、『過去視』が発動した。

 そして理解する。この存在が()であるのか。そういえば原作でそんな話があったのも思い出し。さらに、()()()()()()()()姿()()()()()()()()()()を、じっくりと見た。もう死んでいるのに、思念が残っている。

 ──ああ。そうだった。でももう、俺では救えない。だったらせめて『この技』の呼称を変えて、そして、せめて一撃で。

 

「──『人を殺す魔法(ゾルトラーク)』」

 

俺の放った呪力砲は紛れもなく、相手の()()()()の上半身を消し飛ばした。

 残心。相手が動かないのを確認して──がくりと、思わずその場に膝をついてしまった。

 

  断っておくが、別にグロいものが大変苦手である、ということはない。呪霊なんて大体グロいし。生まれた時からそれらが見えていて、高専でも任務をこなすようになれば結局は見慣れるというものだ。

 しかし、こういう相手……というか存在に関しては──『見て』しまった過去や未来(もの)によっては、SAN値が減らないというわけでもないらしい。

 ということに、俺自身もたった今気がついた。

 

「──華祥寺君!?」

 

俺の様子に気づいた七海さんが駆け寄ってくるが、さすが()()()からは意識を逸らしていない。そんなところもめちゃくちゃカッケェ……などと遠い目にならないと、精神が引き摺られるのを止められなかった。悠仁も俺をフォローするように立ち位置を調整してくれた。

 

 うん、何というか、こればかりは不意打ちで、動けなくなるなどとは情けないのだが。

 漏瑚の一件から1ヶ月ほど、体術も、術式の使い方についても五条センセーからスパルタ指導を受けてきた俺は、術式の理解を深め、解釈を広げ、結構出来ることが増えた。

 例えば、サングラスをかけている間は術式自体を使わない【縛り】を設けて、術式の効果範囲を広げることや、精度を高めることに成功した。必要な時に、様々な、そして必要な人の思念や情報を拾えるように。

 

 何でサングラスかというと、まあ『魔眼殺し』にあやかって、というか。サングラス自体は呪具ではないのでそんな効果もないし、本当に形だけだが。

 あとは正直、羂索対策に俺の情報を隠しておけるところは隠しておこう、的な面もある。ものすごく今更だが。決してクワトロ大尉じゃないぞ。

 とにかくその結果、漏瑚の時の『読心』よりも随分と様々なことを読み取れるようになった。それこそカミーユのように、自分だけでなく離れた仲間の危機感知なんかも。恵たちが京都校の人たちとドンパチやってんなぁ、とかね。無事……とはいかずとも大事なさそうで安心した。

 

 そして、それほどに術式を高精度で扱えるようになった代わりに、受ける精神的ダメージも大きくなる。

 そう、こんな風に、()()()()の思念を拾ってしまった場合には。

 

 手遅れなのに命はあるから、そこでずっと苦しんでいる存在の思念を拾ってしまうのは、思った以上にキツかった。

 少年院の時も無惨な死体を見ていたけれども、その時は残留思念が存在していなかったか、『読心』が使えなかったから平気だった部分も大きそうだ。

 

 TV版Ζガンダム作中にて、カミーユは死んでいく人の思念を何度も何度も感じ取っていたんだろうから、本当に地獄だったろう。ニュータイプ感度3000倍。本当にこれはもう……あまりにも……。精神崩壊、SAN値直葬も当然だ。まさかこんなところで実感することになるとは思わなかったが。

 この世界、というか呪術界、空間把握能力の方じゃなくて、『精神感応』を主とした方のニュータイプ能力って、もしかして……デバフの面もデカくない!? 宇宙世紀でもそうなのでは? 確かに。

 

「…………術式で、『過去』を見ました。あれ、呪霊じゃない……人間です。映画館の死体みたいに、無理矢理形を変えられてしまった」

「…………え?」

 

悠仁が信じられないというように、改造人間を見遣る。七海さんも険しい表情になった。

 

「……俄かには信じ(がた)い。あれらには呪霊と同じように呪力が漲っている。(はた)から見れば呪霊としか判別できませんが──しかし、華祥寺君の術式が間違う余地はない。

 虎杖君、止めは刺さないでください。家入さんにこれらを解剖して調べてもらう必要があります。華祥寺君は無理をしないように」

「待ってくれ。あれが人間っていうなら……」

「ごめん悠仁。俺の調子が悪いからじゃなくて。──『巻き戻せる』範囲外だ。改造されてから時間が経ち過ぎている。俺の拡張術式では、もう、救えない。……だから、撃ったんだ」

 

ぐっ、と表情を歪める悠仁に申し訳なくなる。七海さんが電話をかけ始めたのを、ただ見ていることしかできなかった。

 

 任務で拠点としている場所に戻って、家入さんから報告を受ける。

 やはりあれは元人間だった。七海さんが、改造人間に呪霊と同じように呪力が漲っていたから気づけなかったことを伝えると、脳を弄られた形跡があることなどを伝えられる。

 電話を終える前、最後に家入さんは、俺と悠仁に「履き違えるなよ」と伝えてくれた。改造された時に既に死んでいて、君たちが殺したのではない、と。返事をして、通話が終わる。

 

「──俺にとっては同じ重さの『死』だけど、これは趣味が悪すぎるだろ」

 

悠仁が静かな怒りを滾らせる。俺も同じ気持ちだった。やっぱり真人とは趣味が合わない、つまり相容れない。

 

「相当に狡猾な相手です。──気張っていきましょう」

 

立ち上がった七海さんの言葉に、俺たちは強く頷いた。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

「歯ぁ喰いしばれ! そんな大人! 修正してやるーーッ!」

 

──その日、1人の少年の拳によって、男性教師の巨体が空を舞った。

 

 吉野順平は、その状況をもう1人の少年と共に、ポカンと大きな口を開けて見ていることしかできなかった。

 吉野の担任を鮮やかに殴り飛ばした、その女の子みたいな容姿の少年は──しかし、何とも晴れやかな表情をしていた。

 




原作と大体同じところは端折っていくスタイル(再周知)
とはいえ今回はざっくりしすぎかなとも思うので、塩梅を調整していきたいです

GQuuuuuuXで『キラキラ』『ニュータイプ』について結論が出たらまた色々練り直さないといけないかもしれない……

次回はあまりお待たせしないよう頑張ります
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