頬と唇のないまるで死体の様な顔にミュイとフレンは震え上がり、クルニは一度は怖じ気付くも自分の顔を拳で殴り自身を奮い立たせた。
「随分気合の入った雌餓鬼だぁ、殺さずに嬲り生かすも良いなぁ。」
「下劣ッスね、もう聞きたくないから倒すッス!」
「やっってみろよぉ、雌餓鬼ぃ。」
クルニはツヴァイヘンダーを又右衛門に切っ先を向けた。刃のないリカッソを握り、確かな殺意を向け、魔人荒木又右衛門へと突進した。
「やあああああああっ!!」
まるで猛々しい雄牛の如し突撃に又右衛門は手に持つ刀を鞘に仕舞い、嗤う又右衛門。そして深々とツヴァイヘンダーが突き刺さりリカッソの鍔まで行った。しかしツヴァイヘンダーからは手は離れず、その目は黒墨を帯びて行く。
「クルニさん、大丈夫なのか!?」
ミュイが心配して彼女に走り寄ろうとするが、クルニが大声で彼女を止めた。
「
そう叫ぶクルニが彼の顔を見上げた瞬間、表情は凍りつく。又右衛門の目が蒸気を帯びて黒く濁り、頬と唇のない口からは夥しい吐血と血腥い吐息がクルニの顔に降り掛かった。彼は嗤っていた。
「悪いなぁ、雌餓鬼ぃ。俺あもう“
ツヴァイヘンダーを握る手に生暖かい感触を感じてクルニは手元を見た途端、彼女は悲鳴を上げた。深々と剣先が突き抜けた又右衛門の腹の傷口をぬらぬらと
クルニが腕に力を入れて引き千切ろうとするがビクともしない。
「お嬢ちゃぁん、
又右衛門は自分の右目に指を突っ込み、何と目玉を抉りクルニの顎を掴み、彼女が抵抗しても無理矢理口を開けさせた。
「クルニさん!」
「クルニちゃん!」
ミュイとフレンの呼び掛けも耳に入らず、クルニは涙を流すが、又右衛門は厭らしい笑みを浮かべて目玉を彼女の口にこじ入れた。
「んムウウウッ!?」
嫌がって吐き出そうとしても又右衛門に口を鷲掴みにされて何度も頭を振られ、喉元で目玉を転がされた。泣きながら耐えるクルニであったが何度も喉元喉仏を刺激されてとうとう飲み込んでしまう。
「おええっ、げええぇっ!?」
両手は使えず、バタバタと足をばたつかせ唾液をだらしなく垂らしても何とか吐き出そうと苦しげに喘ぐクルニ。
しかし彼女を絡め取った
「あっ、あがっ、ああっ!?」
明らかにクルニに異常が見え始めた。過呼吸が激しくなり、身体が痙攣を始める。それでもツヴァイヘンダーからは手を離さず、視点の合わない目には又右衛門の敵意が滲む。
「嫌いじゃないぜぇ、俺に向けたその殺意ぃ。それを向ける相手は俺じゃあなくなるけどなあ。」
又右衛門が腸の拘束を解くとクルニは両膝をつく。額に脂汗を滲ませ、視点は合わさないまま身体の痙攣は止まらない。
「クルニさーんっ!」
ミュイがクルニを援護しようと木剣を右手に駆け寄るが、クルニが大声で彼女を止めた。
「ミュイさん、来ちゃ駄目っ…ス!」
ミュイは思わず足を止め、クルニを見た。
「クルニさん、何で止めんだよ?あたしも戦う!」
「ミュイさんの、勝てる相手じゃない…ッス。…それに私、何かおか…しい!」
黒ずんだクルニの視線がミュイとフレンに向けられ、その殺意もまた二人に向く。又右衛門はクルニの背後に立ち、イヤらしい手付きで彼女の両肩に手を置くと長い舌を出してクルニの左頬を持ち上がる程に舐め上げた。
「さぁ、そのぶっとくて長い得物であの餓鬼と
又右衛門の呼び掛けにクルニのは表情から理性が消え、涎を振りまいて叫び声を上げた。