レベリス、パレッティア冒険者ギルド一行はスランタニア王国を目指す。
レベリス王国国境を出て数日。スランタニア王国、クラウスナー領を目指すレベリス王国冒険者ギルドの一行は何事もなく順調に旅を進めていた。ギルドから王都総本部のグランドギルドマスターに秘書。護衛にはホワイト、ブロンズ、シルバー、ゴールド、プラチナム、オーシャン、ブラックの階級の内に各支部プラチナとオーシャン十数名。ブラック1名と特別依頼1名の合わせた精鋭旅団であり、国王の指名による特別依頼はレベリス王国のレベリオ騎士団指南役にして国王よる剣聖と言わしめた通称…片田舎の剣聖で知られる男、ベリル・ガーデナントであった。
「…心配だ、ミュイは学校へちゃんと行けてるだろうか?ちゃんと御飯は食べているだろうか…?心配だ、ああ…。」
下を向きぶつくさ呟いて馬に跨る彼に同じく馬に乗り横へつける人物がいた。ザンバラの髪の毛をポニーテールに結び、女性ながらに男顔負けの鍛え上げられた身体をした人物。
ギルド最階級のブラックプレートを持つ冒険者…スレナ・リサンデラ。片田舎の剣聖ベリルの弟子である。彼女は不安げに悩む彼を見て笑いかけて話しかけた。
「どうしました先生、家に残したミュイが心配ですか?」
「そりゃ…ね、ミュイはしっかりした娘だがまだ幼い。ルーシーの
それを聞いてスレナは普段見せない女性的微笑みを見せる。
「ふふ、大丈夫ですよ彼女なら。歳に似合わぬ無骨さはありますがそれに比例して心の強い娘です。ちゃんと先生の留守を守ってくれますよ。」
「…そうだね。」
スレナに言われて、ミュイの強さを思い出すベリルは前を向いて馬の手綱を握り直した。
同じくパレッティア王国より出行した冒険者ギルド一行、王都ギルドよりギルドマスターを筆頭に屈強な冒険者十数名に何と王族ながら冒険者のパレッティア最高峰ゴールドランクである問題児にして異才、アニスフィア・ウィン・パレッティアが先頭に立ち馬を駆っていた。横に並ぶ人物はオールバックに長い髪を一本の三つ編みにシッカリと結び骨太な骨格に浅黒い肌、どう鍛えればそうなるのか解らない程に屈強な筋肉を服の上からも見て分かる。そして何故だか彼の乗る馬の横を背が低く緑色に禿頭の魔物…ゴブリンが荷物持ちとして歩いていた。
そして彼の服のデザインはアニスフィア…アニスには何となく覚えがあった。
「“烈”さん、その服オーダーメイド?」
アニスの質問に烈と呼ばれた男性は横目で彼女を一瞥するが、質問には答えた。
「オーダーメイドだ。この世界にも腕の良い裁縫職人がいて良かった。」
「まるで他の世界から来た様な言い方だね。」
少し悪戯な笑みで烈を見たアニス。実は彼女は“
烈はそれ以上は相手にせず前を見るが下の方からイヤらしい声質、イヤらしい話し方でゴブリンがアニスに声をかけてきた。
「ヒヒヒ、旦那ハ各地デ様々ナ魔物ヲブッ倒シ、
パレッティア何テ小国ノ冒険者ギルドニ登録シテモラッタ事有難ク思ウンダナ。」
「ブラキラカ王国だっけ?パレッティアにも“もがく者”を探している話は届いてるけど、もがく者って何?」
「知ラネェヨ。」
「知らないか、残念。」
烈は一ヶ月程前くらいにふらりとパレッティア王国に入り、旅金稼ぎに冒険者ギルドに登録していた。
そして今回の案件で彼の同行をアニスが強く推したのである。国や組織が絡むのを嫌う彼であったがゴブリンの入国と冒険者達との関係に彼女が間に入り骨を折ってくれたのでその借りとして同行を受け入れたのであった。
しかし実際はそれだけではなく、彼事態がアニスフィア・ウィン・パレッティアに何か…引っ掛かるものを感じていた。
(デザイン…か、裁縫職人達はザイデラとか言う国の物かと勘違いしていたがあの娘はそうではなさそうだ。)
パレッティア王国冒険者ギルド一行もまた何事もなくスランタニア王国、クラウスナー領への旅道を続けた。