その日、小鳥遊聖は王宮からの呼び出しに頭を抱えており、研究所所長のヨハン・ヴァルテックに相談をしていた。
「あ〜、国王からではなくまさかのカイル殿下からの呼び出しを…くらってしまった…か。とっくに謹慎も解けてるからな。本人への直接謝罪…とか?」
「そんな文面ではありませんでしたよ。」
「なら俺じゃなく殿下の婚約者…、お前の
「う〜ん?」
難しい顔になる彼女にヨハンは気付く。
「乗り気じゃないな。」
「あの件は王様から公式謝罪受けましたけど…、やっぱり苦手なんですよ…カイル殿下。婚約者の彼女にポロッといらん事言いそうで…。」
苦笑いをして言葉を濁す聖の頭をヨハンはクスリと笑いクシュクシュと撫でる。
「所長?」
「苦手なのは仕方ないかも知れんが、やはり殿下の相談は彼女が一番だよ。」
「はぁ、明日丁度彼女のお茶会に誘われていますから話してみます。」
そして当日のお茶会。テーブルには彼女…エリザベス・アシュレイ、そして御園愛良が参加していた。
「ごめんなさい。実は殿下にとある進言をさせて貰ったの。国王陛下からも許可を頂いたものなのです。」
「えっ、リズが仕掛け人なの!?」
「むう、その言い方は聞き捨てなりませんわ。先ず聞いていただきたいのですがちゃんと理由がありますの。」
(そりゃあ、あるわよね。)
取り敢えずその理由を聞いてみる聖は何となく愛良に視線を向けると何かを期待する様な眼差しを向けていた。
「愛良ちゃん…何か知ってる?」
「えっ、あっ、はい。でも先ずリズのお話を聞いて下さい。」
「分かってる。どういう事か教えて、リズ?」
彼女の話ではソルシエ王国から来た友好派遣魔導師が関係している様でその一人がソルシエ数少ない光の魔力を扱うのだと言う。
「それって…聖属性魔法を使うの…?」
「まだ分かりません、でも殿下は他の国でも“聖女”が出現した可能性を疑っております。…ですので一度この国の“聖女”であるセイの助言を聞いてみてはと殿下に言いましたの。」
「成る程…、理に適ってる…の、かしら?」
そこで愛良もイマイチ乗り気にならない聖に自分が話せる事を教えた。
「名前はマリアさんっと言われて治癒魔法を少し見せてもらえる機会がありました。」
「愛良ちゃんから見てどうだった?」
「とてもあたたかく優しいと評判な魔法でした。でも聖さんと比べてしまうとやはり…。」
「やはり?」
「ん〜、まだまだ…と言った感じでしょうか?」
そう困った顔をして首を傾げてしまい、つられて聖も首を傾げた。
「それともう一人の留学生の方も気になりまして、公爵令嬢のカタリナ・クラエス様と言いまして…。」
「カタリナ…クラエス様?」
「その…」と言い淀み目が泳ぎ出した。
「あいらちゃん?」
「日本でわたしが…好きだったゲームのキャラと名前と姿が同じなんです、マリアさんも。」
「へっ?」
聖から素っ頓狂な声が洩れ、リズ…エリザベスは愛良が何を言っているのか全く分からなかった。