異世界転々忍法戦記   作:濁酒三十六

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そして運命が重なる。

 弦之介が朧の部屋の前に立ち、ノックをコン、ココン、コン…と打つと合言葉で確認する事なくドアが開き、朧が飛び出して彼に抱き着くと涙を流し上目遣いで弦之介を批難した。

 

「酷いで御座います弦之介様、朧を眠り薬で眠らせて自分は死地(・・)へ赴くなんて!

弦之介様が()なくなられてしまわれたら朧は、おぼろは…。」

 

 そこまで言うと朧は嗚咽で言葉が繋がらずに弦之介の胸に顔を埋めてしまう。弦之介としては彼女を戦いには巻き込みたくはなく、しかし一人にするにはスランタニアの人間を信じるのは危険と判断して如月左衛門を護衛に置いたのであった。部屋の中では弦之介と同じ衣装…(弦之介は羽織はアニスフィアに貸してない)の左衛門が苦笑して二人の傍らに付く。

 

「つい今しがた薬が切れて起きた朧様と目を合わせてしまい(・・・・・・・・・・・)変化が解けてしまいました。

スランタニア兵士は弦之介様に承諾は得ても戦闘要請をする事はせず様子だけを見に来られました。蛇も蜂に抑え込まれこの部屋には現れず、朧の安全は保たれました。」

 

 左衛門の報告に弦之介は頷く。

 

「相分かった。これよりカイル殿下と会合を致す。

…朧殿、一緒に来ていただけるか?」

「はい。」

 

 そして三人はカイル達のいる部屋へと移動する事とした。

 その頃、レベリス王国冒険者ギルド旅団一行はクラウスナー領まで後1日程まで近付き、その道程で三人の少女達を乗せた馬車と出会い同行していた。

 馬車にスレナ・リサンデラの駆る馬がぴったりと付いて馬車の少女達と会話を弾ませていた。馬車の御者席には白いフード付きの法衣(ローブ)に身を包み、フードからはフワフワな髪の毛を覗かせた小柄な少女が前の馬二頭を駆り、隣には立派な大型の犬が大人しく座っていた。

 後ろの荷台には前の少女より黒く薄手のフード付き外套(コート)を着て右肩にリスの様な小動物を乗せたショートヘアのボーイッシュな少女、そして彼女と向き合って座るもう一人は赤いジャージにホットパンツ。真っ黒な厚手のタイツ姿とショートヘアの少女より元気そうな少し乱れたポニーテイルの少女が乗っていた。

 

「それでメリッサ達はクラウスナーに人を探す為に来たのか?」

「はい、わたし達の父親の友達を探しています。この国が近かったので立ち寄ったのもありますが何か手掛かりでもあればと思いまして。」

 

 小柄な少女が人懐っこい笑顔をスレナに向けて答えたが荷台の二人の少女は無言でポニーテイルの少女に至っては敵意すら僅かに覗かせていた。それ感じたスレナはちょっと寂し気に笑い、馬車に手を振って三人を気遣い離れた。

 向き合い座るショートヘアの少女、ミアは少し呆れてポニーテイル娘…リリィに話しかけた。

 

「リリィ、殺気が洩れてる。ビビリ過ぎ。」

「そだよ、スレナさん心配して話しかけてくれたんだよ。」

 

 二人に責められてリリィこと石動律花はむくれて拗ねてしまう。

 

「二人は感じないからそう言えるんだよ。この世界に飛ばされて(・・・・・・・・・・)何とかこの数ヶ月でいろんな仕事(バイト)しながら馬車とちょっとの食料買って路銀もちょっとしかない。運良く人の集まりに出会したかと思えば滅茶苦茶強そうな奴等がゴロゴロいる集団だから気が気でないよ。

特に今の女…、後向こうにいるオジサン。…静かで優しそうだけど、とんでもなく強い。お祖父ちゃん(・・・・・・)と同じ感じがするんだ。」

 

 リリィは少し遠くに見えた…スレナの馬が傍らに付いた馬に乗るオジサン…ベリル・ガーデナントを指差した。

 

「優しそうなオジサンだよ?」

「お祖父ちゃんも優しかった。」

 

 少し眉間が寄りながら不思議そうにベリルを見るミアにリリィは思わず口を滑らせてしまい、ミアの表情が曇ってしまう。

 

「…ごめん。」

 

 ミアを気遣い謝る。ミアは儚げに笑う。

 

「リリィが謝らないでよ。」

 

 ミアはそう呟いて蹲り顔を埋める。暗い空気が流れて御者席の大型犬…オボロが耳を垂れて心配し後ろを覗く。すると空気を読んでか読まずか、御者席で馬の手綱を握っていた。白い法衣の少女…メリッサが前を見たまま口を開いた。

 

「…だったら、絶対優しい人だよ。」

 

 ミアは蹲ったままだが、リリィは何となくベリルに視線を向け、向こうもそれに気付いたの様で此方に手を振ってくれた。

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