カイル殿下は城の自分に設けられた書斎に聖を連れ、ダミアンが書斎にアニスフィアを先に招き入れ、聖、アルベルト、その後直ぐに来た弦之介達も書斎へと入れて最後に自分が入りドアを閉めた。左衛門は入らずに書斎の守衛を務める。
カイルは机のある椅子に座り、アニスフィアは低いテーブルを挟んだソファの片方へとダミアンに案内され烈が背後に回るがアニスフィアがソファの空いた場所をパンパンと叩き「隣となり。」と笑い、無理矢理座らせ、彼は不機嫌そうに溜息を吐いた。
その向かいのソファには聖がアルベルトにエスコートされて座るとアルベルトは弦之介に目配せ、それを理解した弦之介は朧にソファに座るよう促し、彼女はアルベルトに軽く頭を下げて座った。
そしてアニスフィアが話を切り出す。
「それじゃあ、いろいろお話しするけど…、その前に聖女様のお名前教えて?」
「名前…ですか?…セイ・タカナシ…です。」
「その名前、
アニスフィアの言葉に聖だけでなくカイルとアルベルト、弦之介に朧、烈までが驚いた。恐らくは異世界よりの召喚を疑っての事なのだろうが名前から看破してくるとは思いもよらなかったのだ。
「あ…アニスフィア様は日本を知っておられるのですか?」
「うん。だってわたし、
次はとんでもないカミングアウトに一同騒然である。その中でも一番驚いたのが聖でまさか異世界転生者に二人・・も出会うとは何の因果か。すると隣に座る黒髪おさげのガタイの良い男…烈海王がとんでもない事を口にした。
「私も転生者だ。」
またも一同驚愕、アニスフィアはパレッティア王国の冒険者ギルドで彼と初めて出会った時は自分が生きていた世界より“異世界転移”をして来たと推測していたのだ。彼女はあんぐり開けた口を閉じる。
「・・・・・と、取り敢えず烈さんは置いときます。」
そう言って箱の場所を置き換えるパントマイムをして見せ、聖を見つめた。
「聖さんが日本人だと感じたのはやっぱその長くて綺麗な黒髪だよね。」
アニスフィアが聖の黒髪を褒めると何故か後ろのアルベルトが顎に手をあてて“ウンウン”と頷いた。それを見たアニスフィアは苦笑いしながらも話を続ける。
「そして名前。この世界に“タカナシ”…なんて姓はそうそういない。いたなら高い確率で別の世界…日本から転移、召喚された人だよね。」
そう言って聖を日本人と当てたのを自慢気に鼻を高くし胸を張るアニスフィア。聖は聖で彼女が異世界転生者である事実…自分を日本人と言い当てた事実が証拠となるが、隣でムッスリとしている強面の人物…烈海王を見て尋ねた。
「えっと、アニスフィア様は…」
「アニスでいいよ、聖さん。」
「あ、はい。アニス様はやはりこの世界には赤ん坊から人生を重ねていらっしゃるのでしょうか?」
「そうだよ、王族ですからね。只烈さんの爆弾発言もいるけどその話はまた後で。今は…カイル殿下、サミット前に起きた襲撃事件ですが、恐らくパレッティア王国にも関係あるかも知れません。」
「何、パレッティアにもキモンシュウが侵入しているのか!?」
またアニスフィア…アニスから無視出来ない告白を受けてカイルが眉をつり上げる。
「鬼門衆かは分からないけど日本の剣士であろう魔人がパレッティアで現れてある物と人物を誘拐した。」
「日本の、剣豪…!?」
聖が聞き返し、アニスは神妙な表情でパレッティアを襲った魔人・・の名前を口にした。
「その魔人は田宮坊太郎…と名乗ったわ。」