レベリス王国冒険者ギルド旅団がクラウスナーに到着し、リリィ達三人娘は人探しの為に途中で別れた。
レベリス冒険者ギルドはクラウスナー城前へと着くがやはり襲撃後の惨状に驚きを隠せずにいた。今回冒険者ギルドからはレベリス支部から眼鏡を掛けた気難しそうな男…メイゲンが派遣されてきた。レベリスの冒険者ギルドグランドマスターは動かず、何とレベリス支部へ丸投げしてたのである。ギルドマスターのニダスも仕事が忙しく抜けられず、メイゲンにお鉢が回ったのであった。
「情けない話だ。我が国のグランドマスターが他国へ行くのは面倒臭いと雲隠れし、レベリス支部のギルドマスターは忙しいと言い訳して私に押し付ける。
スランタニアの滞在を考えたら凡そ三ヶ月はレベリスに帰れない。…娘に会えない。」
レベリスはパレッティアと同じくスランタニアからは少し遠い国である。メイゲンには娘がおり、偶にギルドで遊んでいた。珍しくゲンナリしていたメイゲンをベリルは苦笑いしながら肩を叩いて慰め、自分も残して来たミュイに胸を馳せた。スレナは破壊された城門を見渡し、未だ片付かない何本もの岩の角に貫かれていた鉄の魔物に目を向けた。
「コイツが城門を此処まで破壊したのか。…しかし見た事のない魔物だ。ゴーレムか?」
「俺も見たことはないな。…と言うかゴーレムは魔術師学院で初めて見たけど。(ブラウン教頭のあれゴーレムだよね?)
足が六本、腰の辺りに6つの筒が付いて頭には四本の穴の空いた…牙、それとも角かな?」
スレナの後ろからベリルが声を掛け、そのまま二人で360°回りながら細部まで確認していると老婆が声をかけて来た。コリンナである。
「コイツは忍者とか言う連中と一緒に城を襲って来た怪物さ。えらく硬くて騎士や傭兵達の剣が全く刃が立たなくてね。」
「あぁ、本当やられたぜ。飛び道具バンバン出して来てな、俺の傭兵団もかなりの損害だ。」
コリンナの傍らに立っていたレオンハルトが鉄の魔物を睨みながら悔しげに言った。あの戦いで傭兵団はかなりの死者を出していた。スレナは素朴な疑問をレオンハルトに尋ねる。
「コイツは魔術師がやったのか?」
「あぁ、そうだ。まあ、スランタニアじゃあ魔術師じゃなく魔導師だがな。」
「へえ、国で呼び方が違うのかぁ。」
ベリルは国別の呼び方の違いに普通に感心。…すると城門が近付く数人の影が見え、ベリルと同じく呼び方に感心した。
「良いよね〜、魔術師魔導師魔法使い♪
パレッティアにも魔法省があるのに何故かそーゆー呼び方ないんだよな〜。」
姿を現したのはアニス。後ろには聖とアルベルト、烈がついていた。三人も鉄の魔物の残骸を見に来、其処でお互いの紹介をした。
烈はベリルとスレナを見るなり「ほう。」…と声を洩らして口端を上げ、その笑みにスレナはあからさまに不快感を見せる。
「おい、貴様、何が可笑しい?」
「いやすまぬ。ベリル殿から面白いものを感じてね。…
何やら急に空気がピリピリと弾け、スレナと烈は睨み合う。
「お前が感じた通りだ、この方は私の剣の恩師、ベリル・ガーデナント。我が国一の剣士にして誰もが認めし
挑みかかる様に高らかにスレナは恩師を紹介すると、後ろでベリルは「スレナ、やめなさい。」…と焦りながら止めている。
烈は烈で嬉しげにしかし悪い笑みを周りに見せて周囲を不安にさせた。
「やはり。どうだろうベリル殿、一つ手合わせ致しませんか?」
「いや、遠慮し…」
「何処の馬の骨とも知らぬおさげが
先生と剣を交えたくば先ずは弟子たる私と立ち合え!」
二人の視線から火花が弾け聖達はポカンとして空気に呑まれた。ベリルは冷や汗が滲み出スレナを制止しようと説得。
「スレナ止めなさいってば、烈さんどうか引いてはもらえないか?
私は剣聖なんて大層な者ではありませんから。それにクラウスナーに来たのは腕試しではなくスランタニアが冒険者ギルドを運営する為の情報共有のサミット参加の筈。護衛である我々が問題を起こす訳には行きません。」
其れまで黙って聞いていたアニスが顎を擦りながら悪い顔して笑う。それを見た聖は何となくアニスが面倒な事を言うだろうとな…と感じた。