「提案てーあーん、オー族てーああーんっ!」
いきなり王族発言して周りを困惑に陥れるアニス。聖は楽しそうに手を上げているアニスの背中を見て思う。
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先ず王族が好き好んで冒険者にはなったりしないだろうし実力で最高峰にまで登りつめたりしない。何より色々思惑はあるにせよ堂々と他国に乗り込んできたりしないだろう。聖は彼女が生前何をしていたのかと考えてしまった。
「こうして三国揃って代表に相応しい猛者強者がいるならやる事は一つ、パレッティア、レベリス、スランタニアによる“無差別トーナメント”開催をわたくし、アニスフィア・フォン・パレッティアが提案致しまーす!!」
トーナメント、言ってしまえば“皆戦って強さを見せて!”…と言った所だろうか、だが意外にも反対したのは烈であった。
「下らん、私は今この場でベリル殿と立ち合いたい。」
それに待ったをかけたのはカイル。
「それは許さん。
実力の一端とは書斎で蛍火を瞬時に制圧してみせた事実からの考察だろう。これを聞いたベリルに至っては(俺は王子様にどーゆー戦い方を想像されたんだ?)…と顔をしかめる。するとレオンハルトは乗り気なのか力拳を作り言い放つ。
「面白そうじゃねえか、俺は腕試しやってみてえぜ!」
賛成者が1名出てしまった。そしてもう1名は何とベリルといたレベリス最高ランクの冒険者…スレナ・リサンデラが賛成する。
「私も賛成だ、レベリス冒険者の実力…我が師ベリル・ガーデナント先生の剣技を他国にも知らしめるチャンスだ!」
ベリルはガビーンと驚き、オロオロする。
(スレナ、知らしめなくていいから!)
項垂れる彼をよそにメイゲンまでが賛成する。
「他国の騎士、傭兵、冒険者達の力量は見て損はないでしょう、サミットでの課題にも役立ちます。」
…と、現実的な観点から意見を伝える。ベリルを認めたのもスレナの模擬戦からでやはり“見る”事を彼は大事と考えた。それを聞いたカイルはメイゲンの話に感化された様でアニスの提案に賛成をする。
「メイゲン殿の言葉には一理ある。アニスフィア義姉殿下の提案を認めよう。しかし日にちを考えるなら参加人数は少なくするべきだ。故にトーナメントではなく各国で代表者一名による“総当たり戦”ではどうだろう?」
総当たり戦、三国代表の三人が二国の代表と戦うと云う事になる。
「それ乗ったああっ!!」
アニスが親指立ててグッと拳を突き出した。
「私は反対です。」
ここで初めて反対を口にしたのは聖である。聖はカイル、アニス、メイゲンを順番に睨み、三人はその圧に身じろぐ。
「先日、この城で何が起きたかを思い出して下さい。未だ分からない…敵と呼べる集団の襲撃…
冒険者サミットを行うなら早急に準備して無事に終わらせ、レベリス、パレッティア両国冒険者ギルドの方々にはこれ以上の危険に遭われない様、国に帰っていただくべきです。」
「早く帰るって、えと、“うち”との同盟の話は?」
「後日、改めて国王へ使者を立てて話されるべきでは?」
アニスに対してきつい口調になる。アニスは後頭部を掻いて難しい顔をすると、聖の傍らのアルベルトが口を開いた。
「私は殿下の代表総当たり戦に賛成する。」
「なっ、アルベルト様…どうして!?」
彼からの思わぬ言葉に聖は縋る様に見上げるがアルベルトはその瞳を見ず言葉を続けた。
「王都で聖が危険に晒された時、私は何も出来なかった。ジュウベイ・キバガミが見せた剣気を飛ばし斬る技を見せられ、こう思ってしまったよ。
そして今、レベリスより来られた剣聖と呼ばれる御人と剣を交える機会が今、目の前にある。
饒舌に言葉を並べたアルベルトの視界に聖は映っておらず、夢見る少年の様な視線がベリルに向いて離れなかった。