異世界転々忍法戦記   作:濁酒三十六

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三国代表者総当たり戦開幕。

 代表者総当たり戦は次の日には選手が決まり日取りも決まった。レベリスからはやはり剣聖ベリル・ガーデナント。弟子であるスレナ・リサンデラの名も上がったのは当たり前だがそのスレナからの強い推薦から彼に決まった。パレッティアからはアニスフィア・フォン・パレッティア。彼女自体は烈海王を推していたがまだ冒険者として一年に満たない上に余所者を理由に出場出来なかった。そしてスランタニアからはアルベルト・ホーク。傭兵団のレオンハルトとかなり悩んだがカイルの前で立ち合い、アルベルトが勝利、代表者と決まるが、烈も弦之介も参加はしないので剣士のみの総当たり戦となったのであった。

 日取りは代表者を決めた次の日と決めてその日に全ての試合を終わらせる為に早朝より始める事にした。

 そして当日早朝、場所は城城下町の広場で行い三人の代表者が並び、その周囲も町の人達が集まり試合開始を今か今かと待ちわびる。無論、聖達は一番見える前で観賞してカイルが開催の言葉を宣言する。

 

「これより三国代表者総当たり戦を開始する。各国代表者は二国代表者と対戦、代表者には勝ち負け関係なくスランタニアから報奨金を出そう。この試合の目的は謂わば各々の実力を見せるだけだが下手な闘いをすればそれはギルドのみならず国の尊厳をも傷付ける。各々はそれを肝に命ずるよう。

そして代表者にパレッティア王族であるアニスフィア・フォン・パレッティアがいるが手加減無用、本気で来いとの事だ。大怪我をさせても罪にはならない。それに此方には聖女による治癒魔法があるから問題もない。各国代表者、健闘を祈る!」

 

 カイルの言葉が終わり、試合開始となり最初はアルベルトとアニスが広場の中心で向かい合った。審判のクラウスナー卿が立ち、向かい合う二人の顔を交互に見る。

 

「第一試合、スランタニア…アルベルト・ホーク様、パレッティア…アニス・フォン・パレッティア様!試合開始!!」

 

 二人の視線が重なる。アルベルトは右手に木剣一本を両手で構え、アニスは両手に木剣を二本…双剣で構えた。

 

「女性で双剣とは珍しいですね、アニス様。」

「そうでもないよ、聞けばレベリスのスレナさんも双剣らしいよ。」

「ほう、機会があれば手合わせ願いたいですな。」

 

 簡単な会話が終わると先手とばかりにアニスが突進して「先手必勝おおっ!!」と叫んで一気に間合いを詰めていきなり十字斬りを見せる。しかしアルベルトは刀身がクロスする寸前を下段斬りを当てて十字斬りを崩す。

 

「へっ?」

 

 素っ頓狂な声が出たアニスの頭にそのまま下段斬りで振り上げた木剣をそのまま上段斬りで振り下ろした。アニスは思わず目を瞑り脳天への衝撃と痛みに備え噛み締めた。

 

「あれっ?」

 

 衝撃も痛みもなく拍子抜けとばかりに片目を開けると木剣は(すんで)の所で止められていた。クラウスナー伯が右手を大きく振り上げて声を張り上げる。

 

「一本、勝者アルベルト・ホーク様!」

 

 アルベルトが勝ち、見ていた聖は思わず見惚れ「かっこいい…。」と呟き、その隣で烈とベリルが今の一戦の感想を口にする。

 

「アニス嬢はアルベルト殿を甘く見ていたな。」

 

 …と烈が辛辣な一言、ベリルも苦笑いしながら苦々しい感想。

 

「出出しで双剣による十字斬りとはね、大技…と言うかいきなり十字斬りを繰り出す剣士は…そうはいないかな。反対にアルベルト殿はその場から動かずに十字斬りの弱点を見切り、下段斬りで割入り、剣の公差を崩してそのまま剣を振り下ろす。なかなかの力技ではあるけど一般の剣士だったら後方へ飛び退くだけでしょう。」

「対人より熊や猪と言った大型、毛の固いの獣に対してなら効果はありましょう。」

 

 …と、弦之介が言う。アニスの耳には男達の酷評が聞こえて肩を落とし項垂れた。

 

「うへ〜、いくら何でもわたし弱過ぎない?」

「アニス様の戦い方が相手にそぐわなかった、只それだけです。

ああ、私ももう一度先生と手合わせしたいな…。」

 

 アニスの隣に立ったスレナはアニスにそう伝え、自分はこの試合に参加出来なかった事を残念に思った。

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