「よく来たな、セイ・タカナシ。お前に聞きたい事が…」
「殿下、呼び付けて更に高慢な態度…聖女へ取る態度ではありません。お控えを。」
王宮の大広間でスランタニア王国第一王子であるカイル・スランタニア殿下の横柄な態度を隣に座る婚約者であり、この会合の“仕掛け人”であるエリザベスが窘めた。
「う…すまん。」
(うわ、何てしおらしい!)
向かいに座る聖の頭にそんな嫌味が浮かぶ。
「実はソルシエ王国から友好派遣魔導師として二人程我が国に来ているのだが、私はその内の一人、マリア・キャンベルと言う娘がソルシエの聖女だと睨んでいるのだ。
しかし宮廷魔導師団の者に聞けばその娘の使う治癒魔法はお前が使う物より劣るらしい。
魔導師団長のユーリ・ドレヴェスは彼女にはあまり興味を示さん。もう一人の公爵令嬢も師団長の鑑定魔法ではマリア・キャンベルよりレベルが低いそうだ。そちらは妙に人懐っこいらしく受けが良い。先ずはマリア・キャンベルが聖女かどうかを判断…」
「お会いするのが一番です。」
「何っ!?」
驚くカイルだがエリザベスも愛良も特に普通でいた。聖は個人的にも気になるのでちょっと強く押してみる事にした。
「却下だ。お前が聖女と言うのは国家機密なのはお前自身我が父からも耳にタコが出来る程に聞かされた筈だ!」
「私が聖女と言わずに単に治癒魔法の使い手とお話されれば問題ないかと。
リズからは助言と言われましたが私は彼女を全く知りませんから何も言える事がありません。一度会わせて頂ければ聖女でなくともどの様な人物なのか…私からの私感は伝えられるかと思います。」
聖からの意見にカイルは顎に拳を当てて考え込む。
(あっ、“考える人”だ。)
聖は自分がいた世界の有名な彫刻とカイル殿下が重なった。
そして決意したのか、カイルは聖を真っ直ぐに見据える。
「父上に話をしてみよう。聖女に関わる事だ、面会くらいなら何とかなるだろう。しかし、他国の人間に聖女の治癒魔法は見せてはならん。
父上からも其処を強く約束させられるだろうな。」
その数日後に国王より聖とソルシエ王国の友好派遣魔導師との面会…お茶会が許可された。カイルの言う通りに聖の治癒魔法は厳禁となった。
お茶会はいつもの如くリズ、アシュレイ家の庭園で行われた。お茶会の場では家主であるリズと愛良、そして聖が今日の来賓を待っていた。アシュレイ家のメイドに連れられてきたのはストレートの金髪美少女にふわりとした金髪ショートボブの美少女、可愛らしいドレスで着飾り、スカートの端を摘み挨拶をした。
「初めまして、私はソルシエ王国クラエス公爵家が長女、カタリナ・クラエスと申します。」
「わ、私はマリア・キャンベルと申します。よろしくお願いします。」
カタリナ・クラエス、マリア・キャンベルとあまりに対象的でカタリナはキツめ、マリアは大人しめといった印象を聖は感じた。
此方も挨拶の為に立ち上がりスカートの端を摘み頭を軽く下げた。
「初めましてカタリナ様、マリア嬢。私はアシュレイ家息女、エリザベス・アシュレイと申します。本日は私の開いたお茶会に御足労いただきありがとうございます。」
「アイラ・ミソノと申します。」
そこでカタリナの肩がピクリと反応する。
「セイ・タカナシと申します。よろしく…んっ?」
聖が頭を上げるとカタリナが目をまん丸にして…聖の顔をガン見していた。