異世界転々忍法戦記   作:濁酒三十六

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悪夢開口…

 三国総当たり戦はスランタニア…アルベルト・·ホーク、一勝一敗。アニスフィア・ウィン·パレッティア、一勝一敗。ベリル・ガーデナント、一勝一敗。…と勝敗的にはどの国も良い成績ではあったが…、アニスとベリルは顔を真っ青にして項垂れていた。

 特にアニスは勝ち方があまりに恥ずかしい勝ち方な上、ベリルの弟子で彼を敬愛するスレナが何本にも枝分かれした青筋をクッキリ浮かべた形相でビビるアニスに襲いかかろうとし、第一第三騎士団が10人以上でのしかかってやっと止めた…かと思えば罵詈雑言を機関銃の如くぶつけ、何と押さえつけていた10人近い男共を山のまま持ち上げて見せた。

 

「貴っ様ああっ、我が師ベリル・ガーデナントの頭を股に挟み込み、こともあろうかスカートの中に入れ視界を奪い去り勝つを拾うなど卑怯卑劣千万、冒険者の…いや、女の風上にも置けぬわあああっ!!」

 

 持ち上げた騎士の山を放り投げたスレナの手が腰の剣に伸びようとした瞬間にまだ青い顔のベリルが彼女の手を掴んだ。

 

「先生!?」

「駄目だスレナ、手を引きなさい。」

「しかし…っ!?」

「スレナ、冷静にっ」

 

 そこで二人の前にユフィリア・マゼンダが立った。

 

「ガーデナント様の言う通りに怒りを収めて下さいリサンデラ様、それ以上は…“戦”となります。」

 

 ユフィリアの口から戦争と言う言葉が出てアニスは青褪めユフィリアを凝視。そこで初めてスレナは自分の愚行に気付いて剣の柄を握ろうとする手を離し、彼女はユフィリアとアニスに片膝を付いて頭を下げる。

 

「申し訳ありません、パレッティア王国王姉殿下に対しとんでもない狼藉を働きました!

…ここは我が“首”を持ってお収め下さい!」

 

 事の重大さに気付いたみたいだがまだ冷静さを欠いている様で言動がそれこそ取り返しの着かない方向へ向いており、ベリルは蒼白し彼女の隣で一緒に跪いた。

 

「私からも謝罪を、本当に申し訳ありません!

どうかスレナをお許し下さい。」

 

 ベリルとスレナの必死の謝罪にユフィリアも応えるかの様に、アニスの後頭部を鷲掴みにして無理矢理頭を下げさせて自分も謝罪、アニスも抵抗する事なく二人に頭を下げた。

 

「今回の一番は“うち”のアニスフィア様の無防備さが原因です。男性との試合なのだからミニスカートではなくタイツズボンでも何でも“下着の見えない物”を穿けば良かったのです。」

 

 ユフィリアのジト目がアニスを睨んだ。

 

(ユフィの圧に潰される!)

 

 アニスは彼女の眼力にタジタジになり、此処でカイルが間に入る。

 

「事なき様なら其処迄に、我が国で呼んで戦の要因を作ってしまうのは私としても申開きが立たない。」

「そのつもりですよ、カイル・スランタニア第一王子殿下。」

 

 ユフィリアはニコリと笑って彼に伝えるが、その笑みを見たアニスはブルリと悪寒を感じて震えたのだった。

 

「御話は終わりましたか?」

 

 ふと気付けば側に弦之介が見知らぬ少女を連れて来ていた。その少女を見た途端に聖の表情は凍りつき、アニスの方を振り向く。アニスもまた聖と同じ顔をして聖を見る。二人はそのまま烈にも視線を向けるが彼は何やら別の理由なのか、鬼気迫る表情で周囲を気にしておりピリピリしていた。

 

「…烈様はどうされたのでしょうか?」

 

 聖はアニスに尋ねたがアニスは難しい顔をする。

 

「烈さんの顔からすると…、何か危険を察知したのかも?」

 

 彼、烈海王は拳法家。鍛錬された感覚により何かを感じたのだろうが聖にはいまいちピンと来なかったが、あの少女を気に止めていないのは理解出来た。

 彼の事は一先ず置いておき弦之介が連れた少女の服装は明らかに聖とアニスがいた世界の物で髪は黒髪のポニーテイルと“現代的”で恐らくは二人がいた時代と近い時代から転移して来たと推測出来た。

 

「弦之介様、その方は…?」

 

 彼が少女を連れて来た事が気になった朧が聞くと弦之介は掌を向け、彼女はその意を汲む。

 

「カイル殿下、この者があの鉄の妖物(・・・・)について話をしたいそうだ。」

 

 弦之介に伝えられ、カイルが驚いてポニーテイルの少女を凝視、その目に緊張を隠せない少女だが意を決して口を開けた。

 だがその時、彼女がポニーテイルを結った百合のシュシュのインカムからマダラの声が入る。

 

《リリィ、助けて…。城が、城の人達が…、“宝蔵院胤舜”が復活した!》

 

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