異世界転々忍法戦記   作:濁酒三十六

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石動、伊賀、甲賀。

「マダラ?…今宝蔵院復活(・・・・・)って言ったの!?」

 

 百合のシュシュのインカムから聞こえた子供の様な声に聖達の顔が驚愕で強張り、ポニーテイルの少女も焦りを見せてインカムの音声を外へも聞こえる様にオープンにすると、カイルとクラウスナー卿が少女に威圧し、詰め寄った。

 

「貴様、城に仲間を侵入させているのか!?」

「しっ、城の者達はどうした!?」

 

 少女は物怖じせず、しかし切迫した表情で答えた。

 

「すみません、仲間を城に忍ばせました。その仲間から城門で暴れた胤舜が復活したと連絡を受けました。詳しい状況はこれから…」

 

 …と、その場にいた烈が突然くるりと踵を返しクラウスナー城へと駆け出し、瞬く間に見えなくなった。少しの間呆ける一同。しかしそこでインカムから違う男の声が聞こえた。

 

《リリィ、カスミです。マダラの報告を受け継ぎます。城内は既に十数名の死者が出ています。》

「カスミ、マダラはどうしたの!?」

 

 ポニーテイルの少女律花が焦り声を上げるとカスミは宥める様な口調で答える。

 

《大丈夫、無事ですよ。しかし周囲の惨状にショックを受けてブラックアウトしています。早期の救出が望まれます。》

 

 律花は少し考え、カイルの目を真っ直ぐに見つめる。

 

「カイル王子殿下、クラウスナー卿、城への進入をお許し願いますか?

城内の人の救出に助力しますから友達を助けさせて下さい!」

 

 その言葉にカイルは直ぐには返事をせずに傍らにいるクラウスナー卿に視線を向ける。幾らカイルの地位が高かろうと城の主は彼であるのだからカイルが勝手に許す訳にも行かない。

 それに彼女の素性も分からないのに城への進入を許可は出せないと考えた。しかし…。

 

「宜しいでしょう、城へ入る事を許しましょう。」

「よいのか?…得体の知れない娘だぞ。」

「今は有事で御座います、殿下、どうか御許可を。」

「城の主は卿だ、私からは何も何も言わない。だが…娘、名は何と言う?」

 

 すると彼女の傍らに黒いフードコートに身を包んだ少女と白い法衣風のフードコートを着て大きな犬を連れた少女が現れてポニーテイルの少女は名乗る。

 

「私はイスルギ…律花石動(リッカイスルギ)、リリィと呼んでください。」

 

 続いて黒のフードコートの少女がフードを脱いでショートヘアの素顔を見せた。

 

「リリィの友達…ミアと言います。」

 

 大型犬を連れる白い法衣の少女もフードを脱ぎふわりとしたセミロングの髪を見せる。

 

「初めまして、メリッサと言います!」

 

 その三人の少女に聖、そしてアニスは驚きを隠せないが今は何かを聞く様は時間はない。烈海王が先に向かったクラウスナー城では甦った宝蔵院胤舜が大暴れをして多くの命を奪っていた。

 

「リリィよ、クラウスナー城へ向かい城の者…城にいる傭兵団に助力せよ!友を助けてもそのまま留まり援護するのだ!」

「御意、王子殿下!!」

 

 律花はスランタニア…カイルに忠誠を誓っている訳ではない。しかし、彼は今の命令に律花への信頼、そして懇願が込められているのを理解した。

 律花は決意を込めて仲間であり友に指示を出す。

 

「ミアは私と一緒に来て。メリッサは此処に残って。オボロはメリッサの護衛(ガード)…」

「いえ、私も城へ向かいます!」

 

 返事は彼女の知る“オボロ”ではなく伊賀の姫君である“朧”が返した。暫く静寂が支配して皆彼女に視線が向く。朧は不思議そうに目を点にして首を傾げた。

 

「…頼んだよオボロ。」

 

 律花は少し気が抜け、メリッサの傍らにいる大型犬を撫でるとその犬はまるで理解したかの様に一度だけ大きく吠えた。そして律花は黒い獣…日本の…怒りを刻んだ狐面で顔を隠すと着ていた赤いジャージが黒に染まり皆を驚かした。律花はそのまま“忍者”の如く疾走(はし)り城へと向かう。ミアと呼ばれた黒いフードコートの少女もバイザー被り何とホバー走行で律花を追った。

 聖達が驚いたまま律花とミアを見送ると朧は弦之介に決意の眼差しを向ける。

 

「弦之介様、きっと私の瞳が役に立つと思います。」

 

 弦之介は答えずに彼女の目を見返し、カイルに向き直る。

 

「カイル殿、朧殿の目…破幻の瞳なら胤舜の再生能力を抑え込めます。」

「何、それは本当か!?」

 

 朧もカイルに向いて頷いた。その話を聞いていた蛍火が止めようとするが如月左衛門に止められる。

 

「頼めるか、二人共?」

 

 カイルと聞かれ、二人は首を縦に振った。

 

「任せた!」…と、カイルに言われると弦之介は朧を瞬時におぶる。「きゃっ!?」と小さい悲鳴を彼女は上げたが人一人背負ったと思えない速さで弦之介は駆け抜けてしまった。

 

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