異世界転々忍法戦記   作:濁酒三十六

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宝蔵院胤舜対烈海王!!

 常人なら首が逆に向いて死んでしまうだろう胤舜の顔面に蹴り込んだ烈の一撃にも胤舜は倒れないが烈は直ぐ様足を胤舜の太い首に絡めて胡座の形を取り両手で顎を押さえ飛び蹴りの勢いそのままに胤舜の首を軸にして自身の体重を乗せてぐるりと回転した。

 激しく血が噴き上げ胤舜の首が半ば千切れかけてぶらりと逆さに垂れて血がダラダラと流れ落ちる。

 転蓮華、烈海王が得意とする関節技。…と言うより殺人技である。本来なら加減をして首の骨を外すだけの…それでも恐ろしい技だが其れを烈は更に飛び蹴りによるダメージと勢いを追加して自分の全体重を乗せ加減どころか付与を加え胤舜の首をもぎ取ろうとしたのだ。

 その光景にレオは開いた口が塞がらず、斬られた傷の痛みすら麻痺してしまう。烈は無骨な身体ながらつま先からスタイリッシュに着地をすると追い打ちとばかりに胤舜に凄まじい前蹴りを喰らわせた。胤舜の身体は千切れかけた首のままに数m先へと吹き飛ばされた。

 しかし烈は構えを解く事なく蹴り飛ばした胤舜を睨む。

 

「おい、いつまで見ている?彼を早くこの場から連れ出せ。」

 

 途端、烈は胤舜から目を離さないまま背後に対し声をかけると後ろの柱の影から小さな影が現れた。…ゴブリンだ。

 

「持って来ているのだろう、ポーション(・・・・・)を。早く彼に飲ませるんだ。」

「ヘッ、ヘイヘイ。」

 

 彼…烈海王に付きまとう小鬼はあの三国総当たり戦の際はずっとこの城で傭兵団や使用人達を雑多に手伝わされていた。

 

「ヤット旦那ノ戦いガ見レルゼェ、楽シミ二シテマスゼ烈海王(だぁんな)っ!」

 

 ゴブリンは残忍な魔人を前にしている烈海王を心配する所かこれから始まると知れた死闘の観客を気取っていた。

 レオにポーションを飲ませ、ゴブリンはもう早く始まれと思いながら期待に瞳を輝かせ烈を見る。

 ポーションを飲んだレオの深手も瞬く間に血が止まり、塞がった。恐らくは()が調合した物なのだろう、レオの治癒は通常のポーションよりも治りが早かった。レオは自分の大剣が胤舜の足元に転がされているので取り返そうと立ち上がるが烈が突然大声で彼の行動を制した。

 

「私の前に出るな!もし出たなら例え誰であろうと敵として容赦せんっ!!」

「何言ってんだよ、あんたもあれ倒したとか思っちゃいねえんだろ!複数で畳み込むべきだ!」

「否、私一人で倒し切る!」

 

 そんな言い合いの間に首が千切れかけた胤舜がムクリと起き上がり首が一人でに元通りになり繋がる。レオにやられた胴体もいつの間にか再生していた。

 

「貴様、烈海王(・・・)か、ブラキラカ王(・・・・・・)が言っていた転生者(あがく者)。…そして武蔵殿(・・・)に殺された大陸の人だな。」

 

 烈の闘気が色濃く噴き上がった。

 

「ブラキラカ王、あがく者、そして我が死因(・・・・)を知っているか。いろいろ聞かせて貰えるかな、胤舜殿?」

「むははあぁ、いいだろう。先ずは…ブラキラカは我ら魔界転生衆(・・・・・)の手に堕ちた。そして武蔵殿も我らと同じく魔界転生衆の一人、そして貴様を殺した記憶を持っている。」

「何…だと?」

「これだけだ、後は武蔵殿との再会してからだ。…この俺が貴様を殺してしまうがな。」

「そうか、なら私もお前を殺す覚悟でのぞもう!」

「覚悟?その程度か、死合の素人め。」

 

 そして二人は睨み合い構えを取り、暫く何方(どちら)も動かない。

 

「シュッ!!」

 

 胤舜が一息吹いて十字槍を縦にして突進。その間合いは一気に縮まり切っ先が烈を真っ二つにしようと攻まった。彼はその突進を避ける事なく待ち受け槍の先が接触と同時に左内へ回転、槍は左へ逸れて勢いのままに胤舜は烈と激突…いや、烈は右肘を突き出して胤舜の顔面にカウンターを決めていた。

 消力(シャオリー)。筋肉の脱力を利用して刺突の瞬間を見極めて着点をずらし、その突進力にて回転、衝突に合わせて肘打ちのカウンターを打ち込んだのだ。鼻血を噴き出し苦悶に顔を歪める胤舜に烈は凄まじい連打の乱舞を打ち込む。

 かつて彼が生きた世界にスペックと云う死刑囚がいた。スペックは5分間息を止める事が出来、その技法を生かし相手に反撃の間を与えない無呼吸による凶悪な連打攻撃を繰り出せた。

 相手が息絶えるまで止まらない連打を今、烈が胤舜に打ち込んだ。彼の肺活量もまた常人の数倍あり更には連打には蹴りも加わり、胤舜は十字槍を握ったまま防御する事出来ず受け続ける。

 胤舜の吐血が滝の如く吐き出され烈を頭から振り注ぎ鮮血に染めるが怯む事なく、容赦なく、連撃が続く。だが胤舜の槍を握る腕がゆっくりと上がり、両腕が槍の柄を逆手に握り締める。槍は十字の切っ先を一心不乱に連撃を撃ち込んでいる烈の脳天に定め、振り下ろした。

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