異世界転々忍法戦記   作:濁酒三十六

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魔人との死闘に剣聖は。

 アルベルトは宿の食堂へは第三騎士団の騎士に案内してもらい入ると既に大きな長テーブルには上座にカイル、両脇にはパレッティア、レベリスの両陣営が席に着いていた。

 アルベルトが不思議に感じたのはパレッティア陣営でカイル王子寄りには会議の中心になる筈のグランドギルドマスターが座るのだが、宰相の娘とはいえ冒険者ギルドとは関係のないユフィリア・マゼンダが座り、その傍らにグラマスが立って彼女の横には王姉殿下であるアニスフィア・フィン・パレッティアが座っていた。

 レベリス陣営は予定通りにメイゲンが王子寄りに座り、その横にはベリルが座り、彼の傍らにスレナ・リサンデラが立っていた。

 更に言うならカイルの傍らにはスランタニア宰相の息子であり彼の側近…ダミアンがおり、後ろにはメリッサと大型犬のオボロ、そしてクラウスナー城から往復して戻って来た律花とミアと身元の分からない三人の少女達が控えていた。これにはクラウスナーまで一緒に来ていたベリルとスレナも不思議に感じていた。

 

(城の混乱を一番に察知した時はビックリしたけど…、まさか娘達が…。)

 

 そんな事を考えながら律花達にベリルの視線が行き、それに気付いた律花はベリルに対し軽く頭を下げる。

 そしてアルベルトも一礼をしてカイルの傍ら…ダミアンの反対側に着く。…そしてカイルが会議の開始を告げた。

 

「ではこれより我がスランタニア、パレッティア、レベリスによる三国冒険者ギルド現習会議を…とする筈であったが、先の二度に渡るクラウスナー城並びに聖女強奪未遂案件に於いてお話ししたいと思う。

パレッティア王国アニスフィア殿下、マゼンダ公爵令嬢。レベリス冒険者ギルド代表メイゲン殿も宜しいか?」

 

 パレッティア側はユフィリアが代表して答える。

 

「かまいません、寧ろ色々と此方から聞きたい所です。」

 

 初めて顔合わせした時と違い、威圧感がかなり滲んでいる。アニスもグラマスも冷や汗を額に滲ませる。しかし、アニスの左頬が何故か手形がついて腫れていた。…続いてメイゲンも眼鏡を直し答えた。

 

「我々からは何も言う事は出来ませんが…我が国の剣聖が敵を退けた以上は話の内容を全て、我が国の王に伝えねばなりません。それは了承の程をお願い致します。」

 

 カイルは頷くとユフィリアにもそれを承諾させ、会議が始まった。開始としてカイルはスランタニア王都で起きたアシュレイ家襲撃事件を話す。敵は鬼門衆と言う異世界より転移した外道の忍者集団である事。友好国であるソルシエの令嬢を巻き込んでしまった事。…そして鬼門衆と因縁のある孤高の忍者を客将としている事。今言える情報をカイルは口にする。

 ユフィリアの眉間が寄り、メイゲンはカイルの一語一句を全て書き記した。そして立ち上がり、深々とテーブルを囲む各々に頭を下げた。

 

「では、我々レベリス冒険者ギルドは此処で失礼させていただきます。」

「うえっ?メイゲンさん!?」

 

 驚いたのはベリルであったが、スレナもまたメイゲンと同じく踵を返した。

 

「先生、他の者にも帰国の準備をさせます。お早く…。」

 

 彼女に促されてベリルも立ち上がり一礼するとカイルも立ち上がった。

 

「ベリル・ガーデナント殿、スレナ・リサンデラ殿、此度は魔人アマクサを討ち取り、感謝する。殺された騎士団達も報われる、ありがとう。」

「カイル殿下、あの男はまだ…」

 

 ベリルが口を濁すがカイルは彼の言葉を止める。

 

「分かっている。それでも、礼は言わせてくれ。」

 

 そう言ってカイルはベリルとスレナに頭を下げた。

 

 ベリル達はレベリス冒険者旅団に戻り、荷支度を始める。ベリルは話し合いに参加しなくて本当に良かったのかが気になりメイゲンに尋ねた。

 

「メイゲン、本当にこのまま帰ってしまっていいのかな…、大事な事とか話し合ったりしなくて良かったのかね…?」

「ベリル殿、我々の中に誰か一人…王族貴族がいたならあの場に残るべきではあったでしょう。

しかし我々は平民による民間組織、他国との外交は出来ません。」

「先生、冒険者ギルドはカイル王子殿下の話の記述を一刻も早く国王に届けなければなりません。」

 

 二人の言う通りだと納得するベリルだが、あの天草四郎時貞を見てから妙に血が騒ぐ感覚を覚えていた。

 

 

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