ベッドから目覚めたカタリナとそしてソルシエから来た者達は楽しげに語らい、明るい笑い声が部屋中に溢れる。
そこへ王宮侍女がドアを静かに開けて彼等を呼びに来た。
「皆様、客間にてジークフリード国王とジェフリー第一王子殿下がお呼びで御座います。」
それを聞いたカタリナ達は笑いと止める。
「じゃあ、私は着替えてから行くわね。」
「はい、では先に行ってますね。カタリナ様。」
マリア達は部屋を出て侍女に案内されて行った。残されたカタリナの着換えをアンが手伝う。
「アン、私達…ソルシエに帰れるんだよね?」
「はい、ジオルド様だけでなく、ジェフリー様アラン様と王族が三人も迎えに来られたのですから、スランタニアもカタリナ様マリア様を渡さなければならない筈です。」
「アンとソラも一緒でしょ、それとも…獣兵衛さんからの“ナデポ”が気に入ったかな?」
「何故そこでジュウベエ様の名が出るのですか、それにナデポとは何ですか?」
「撫でられて嬉しいって意味だよ。」
カタリナの答えにアンは露骨に嫌な顔をする。
「もう撫でられて喜ぶ様な歳ではございません。」
「むふふふ、本当?」
カタリナの顔は少々ゲスいものとなり、アンはピシャリとその顔を両手で挟みグニグニと崩す。グニグニと…。
「何もありません。」
「
そんなこんなと主従イチャイチャした後に別の王宮侍女に客間まで案内をしてもらった。
客間の扉を開けた途端、空気は一変する。既にソルシエ側スランタニア側に別れて席に着いていた。
ソルシエ側は第一王子のジェフリー、その隣に魔法省のラーナ・スミスが並んで座って後ろにはジオルド、アラン、ニコル、キース。そしてマリアにメアリ、ソフィアと控えており、向かってスランタニア側はジークフリード国王、隣に第二王子のレインが座り、後ろに宰相、エリザベスがいた。…と、スランタニア側の壁際には国の客将である牙神獣兵衛が刀を携え胡座を
ジェフリーとラーナ、マリア以外のソルシエの面々は敵意剥き出しにジークフリード王を睨んでおり、重苦しい空気を醸し出していた。皆の視線がカタリナに集まり、ジークフリードが彼女に話しかける。
「カタリナ嬢か、
「…はぁ。」
カタリナが空いていたラーナの隣に座ると、ジークフリードは改めて両国の関係とカタリナの件について話を始めた。
「先刻話した様に、我が国はカタリナ公爵令嬢には多大な御恩情により聖女様への襲撃を退ける事が出来た。
…だが、襲撃は他国とのサミットに遠征に行かれた聖女に二度目の攻撃があった。最早我が国スランタニアへの攻撃として決して許す訳には行かない。
間もなく我が息子カイルと聖女セイがパレッティア王国女王と王姉殿下が来る。どうかソルシエ王国の代表として会談の席に着いてはくれまいか、ジェフリー王子。」
唐突の他国首脳会議の誘いである。すると隣で聞いていたジオルドが立ち上がり怒声を上げた。
「他国との会談だと!?私は婚約者であるカタリナを連れ戻しに来たのだ!
それにその会談は戦の相談ではないのか、我がソルシエを戦に巻き込むつもりか!!」
「ジオルド、座りなさい。」
「しかし兄上!」
「座りなさい。」
兄であり、ソルシエ第一王子であるジェフリーに諌めされ、不満ながら従うジオルド。ジェフリーはスランタニア国王に笑顔で即返答した。
「ジークフリード王。我が弟の不敬、どうか許して欲しい。…しかし我が国とカタリナ・クラエス公爵令嬢をこれ以上巻き込もうとするのはいただけません。
彼女は弟の愛しい婚約者です、カタリナ嬢は連れて明日にでも国に…」
「ジェフリー王子。」
…と、其処で彼の隣にいた黒髪眼鏡の美女…魔法省部署長であるラーナ・スミスが割って入った。
「私としては数日の滞在はしたいと思っております。魔法省としてもこの国の魔法は見てみたいし、宮廷魔導師団師団長とはいろいろと意見交換などをしてみたいのですが…。」
ラーナの提案にジェフリーは少し考える。
「…そう、だな。国王陛下、五日程の滞在をお許し願います。
其れまでに答えを出しますので暫し、お待ち願いますでしょうか?」
「あぁ、構わない。」
カタリナはジオルドが自分の為に憤慨してくれた事が嬉しくはあったが、ラーナが何を考えているのか…ジェフリーがどう答えるのかが分からず、不安になってしまうのであった。