ジェフリー達ソルシエ王国の一行は男性女性に別れて部屋を用意され、カタリナとマリアはメアリ、ソフィアと一緒の部屋へと移動する事となった。そしてジェフリーは秘密の話があると小部屋を用意して貰い、ラーナと二人きりの密談をしていた。ラーナは持って来た魔道具で室内に音が洩れない結界を張り、ジェフリーと内緒話を始める。
「お前らしくないな、ジェフリー。あんな簡単に明日帰るなどと…。」
「すまない
「弟が憤慨するのは仕方ないが、お前まで一緒になってどうするんだ。
これはスランタニア国王の話に乗っかるのが良いのではないか?」
「そうだな、ソルシエの王子としては他国の内情を知らなければならないが…兄としてはやはりジオルドを早く前の様にカタリナ嬢と一緒に居させてやりたかったんだよ。」
それを聞いたラーナ…スザンナは溜息を吐く。彼女、ラーナ・スミスは仮の名で本名はスザンナ・ランドール。ソルシエ第一王子であるジェフリー・スチュアートの婚約者だが、実質的にはお互い王室、魔法省を繋ぐビジネスパートナーと言った所だろう。
それ故、今回の同行は婚約者としてではなく魔法省職員の方が都合が良かった。
「スザンナとしてはどう考える?」
「スランタニア王国自体には必要以上の肩入れはしない方が良いだろう。…だが、カタリナ嬢がどれだけこの件に足を踏み入れてしまったのかが問題だ。ジークフリード王によれば先のアシュレイ邸襲撃では使い魔ポチの力で賊の作戦そのものを破綻させたと聞く。
…それが本当なら彼女を直ぐに国を出国させられなかったのも頷ける。そして賊…キモンシュウと言う奴らがカタリナ嬢をどれだけ危険視しているかも問題だ。場合によっては王族は彼女を
それを聞いてジェフリーは暗い顔をする。切り捨てる…それはジオルドとカタリナの婚約は破棄させなければならない。そうなればあまりにもジオルドが可哀想だとジェフリーは思った。
深夜、ソルシエの女性部屋はパジャマパーティーが行われていた。しかしワイワイとした騒ぎにはならず、スランタニアへの強い怒りが湧き上がり吐き出されていた。
「スランタニアの王様はカタリナ様をどうするつもりなんですの、パレッティアの女王様と何を話されると言うんですの!?」
メアリがバシバシと枕をベッドに叩きつけ憤る。ソフィアも枕を強く抱き締めて怒りを露わにする。
「王様はカタリナ様を簡単に返すつもりなんかないのです、このままだと私達はカタリナ様と一緒にソルシエには帰れません!」
マリアは怒れる二人を落ち着かせようと言葉を投げ掛ける。
「お二人とも落ち着いて下さい。スランタニアの方々は私達に良くして下さいました。王様も私を平民だからと差別されずカタリナ様と同じ扱いをして下さってます、悪い事は考えてなどいない筈です。」
「でも、ジェフリー様が会談に参加されないなら兎も角、参加を決めて…スランタニアと協力を決めれば…魔法省であるカタリナ様…マリアさんも、よく分からない戦いに駆り出される可能性が出て来ますのよ!」
メアリは慕うカタリナだけでなく友人であるマリアの身も心配していた。マリアはその言葉を嬉しく感じる。
「カタリナ様、カタリナ様はどの様にお考えなのですか?」
「わたし?…私は…、このまま国に帰るとしても…スランタニアに協力するにしても、みんなを守る為にポチと一緒に戦うつもりよ。」
ソフィアの問いにカタリナは自然に戦う決意を口にする。自分でも不思議なくらいに自然に出ていた”戦い“と言う言葉に少し驚いていた。