2時間程経っただろうか。休みを取りながら森の中を散策し、キースからそろそろ王城への帰宅を切り出された。
「姉さん、そろそろ王宮へ戻らないかい?みんなも疲れて来てると思うよ。」
「俺はまだまだ大丈夫だぜ」
…と、アランは少し疲れてはいるが強がりを行って見せ、反対にジオルドはキースに賛同する。
「いや、まだ大丈夫な時に引き返すのが良いんだ。キースの言う通り、今日はこれくらいにしないかい?」
ジオルドに言われたカタリナも「そうですね。」と同意するが、ジオルドは少し違和感を感じた。
「いつもなら“もう少し”…とか可愛い我儘を言いそうだが、今日は妙に物分かりが良いね?」
ジオルドから心配そうに聞かれ、カタリナは戸惑って取り繕った。
「あっはは、私も少し疲れたかもです。メアリもソフィアも疲れたわよね?」
メアリとソフィアも少し気にはなったが自分達も多少の疲れは感じていたので帰る事には同意した。…だがその時、マリアが急に両膝を地面に落とし、蒼白な顔となり下を向いてしまう。
「「マリアさん!!」」
メアリとソフィアが慌ててマリアを介抱し、カタリナも心配して腰を落とすがいつもとは違い冷静な表情でマリアの目を見つめた。
「マリア、大丈夫?」
「…はい。カタリナ様…、
マリアが言葉を振り絞り、それを聞いたメアリとソフィアは驚愕してカタリナは神妙な顔つきとなる。
「そう、来たのね、
カタリナの何時にない…いや、見た事がない程の緊張にジオルドは彼女に尋ねた。
「カタリナ、あの“娘”とは…
「ジオルド様、申し訳ありません。何もなければ、楽しいハイキングで終わる筈でした。…でも、もう直ぐ此処にサラが来ます。このハイキングは彼女を誘き出す為のものなんです。」
「姉さん、サラって…。此処はソルシエ王国じゃ…」
それを遮ったのは獣兵衛で彼は襲って来るのは
「…つまりお嬢さんは鬼門衆じゃなく自分の関係者が来ると予測してたって事か。…にしちゃ、頭の上からとんでもない
「えっ?」
カタリナがキョトンと彼をす見た。途端、獣兵衛の頭上から黒い塊がまるでつるべ落としの如く落ちて来た。
獣兵衛は透かさず一回転してこれを回避、片膝をついて素早く刀を抜いて落ちて来た“者”に殺気を飛ばす。“塊”はフードマントに西洋兜の面で顔を隠し、真っ直ぐで鋭く尖った剣を地面に突き立てていた。どうやら頭上から獣兵衛の脳天を狙った奇襲であった様だ。
「ジュウベエ殿助成する!!」
「止せえ!」
獣兵衛の声も追いつかず、兜面の襲撃者の剣が騎士の胸元に3つの拳程の穴を突き通した。剣の刺突がまるでドリルとなり3つの穴を抉り空けたのだ。獣兵衛としても初めて見る剣技である。
「きゃあああああっ!!」
メアリが殺された騎士を目の当たりにして悲鳴を上げてしまう。ソフィアも蒼白な顔となり腰が抜けてしまい、マリアも同じく足の力が抜けて座り込む。ニコルは直ぐに妹の元へ駆けつけてキースも同じく姉カタリナの前に立ち、ジオルドとアランは腰の剣を抜いた。
「まるででかい
名前は何てんだ?」
冷や汗を額に滲ませた獣兵衛に名を聞かれた兜面の男は素直に答えた。
「シュプール…“シュプール・アイレンテール”。」