アシュレイ家屋敷でのお茶会は一時中断されてからリズとマリア、アンは別室にて聖達三人の話が終わるのを待っていた。先ず聖達が問題としたのが別国の貴族令嬢カタリナ・クラエスが“ニホンジン”と言う言葉を知っていた事実であった。
「エリザベス様、カタリナ様は大丈夫でしょうか、ニホンジンとは一体何なのでしょうか?」
エリザベスことリズは不安そうにしている彼女の質問に対し少しだけ間を置いて言葉をかけた。
「セイとアイラはカタリナ様が口にしてしまったニホンジンと深く関わり合いがあります。何故カタリナ様がその言葉を知っていたのかはとても重要な事なのです。
そしてこのスランタニアにとってもです。
貴女達の国なら“闇の魔力”と同じだと思われます。」
本来ならニホンジンと言う言葉を知っている者は限られているのだ。上げるならスランタニア王国の一部の者…だけと先ずは考える。しかしもしかしたら他に日本人がこの世界に来ているかも知れないと聖は思ったのであろう。
その日本人とカタリナが知り合いである可能性を彼女は考え、同じ日本人の愛良を同伴させ、エリザベスとマリアには一旦席を外してもらったのである。
「セイならカタリナ様と上手く話し合えるわ。心配なさらないで、
「…はい、ありがとうございます。エリザベス様。」
「あら、かたいわ
そう言ってエリザベス…リズはパッと扇で含み笑いを隠した。
マリアはちょっと困り恐る恐る彼女を通称で呼んだ。
「わ…分かりました、リズ…様。」
「あら、様はいりませんわよ、マリア。」
「さすがにそれは…」
そんな感じで二人も少しづつ距離感を縮めていた。彼女の話を傍らで聞きながらカタリナのメイド…アン・シェリーは主であるカタリナの身を案じていた。
(カタリナ様…。)
ある一室の扉ではソラが門番として扉を塞ぐ様にして立っていた。ソルシエ王国魔法省ラーナの部下としては
そんな彼女から「聴き耳は立てちゃ駄目。」とハッキリ言われてしまっているので裏切る様な真似はしたくなかった。
(頼まれたからには番犬の如くだ。)
そう思い気を引き締めた。…と、突然「「エエエッ!?」」と、驚きの悲鳴が上がる。
(今のはカタリナ様の声じゃねえからスランタニアのお二人か。)
部屋内では聖と愛良が面と向かい両手を組合って驚愕していた。
「テテ、て、転っ生…って、何それ、よくオカルトとかで聞くヤツですか!?」
混乱する聖よりも早く愛良が落ち着いて彼女をなだめ、訂正する。
「聖さん違います。異世界転生です、しかもゲームキャラへの転生です!」
「ごめん、愛良ちゃん何言ってるか分かんない!?」
聖は更に混乱した。
カタリナ・クラエスとは前世日本の人気テレビゲームの乙女恋愛アドベンチャー“Fortune Lover”の登場人物で悪役令嬢と言う敵役である。
「えっ、敵?誰の?」
「マリアさんのです、聖さん。」
「えっ、カタリナ様はマリアちゃんの敵なの?」
「いっ、全然違いますよ。マリアとは大親友ですよ。」
聖は更に更に混乱した。
「ごめん愛良ちゃん、社畜の私にはゲームの話はじぇんじぇん話分がりませーん」
とうとう愛良のお腹に顔を埋めて泣き出してしまった。
愛良はよしよしと幼児後退してしまった聖の頭を撫でながらカタリナに向き直る。
「まさか“Fortune Lover”のイベントとかに出会したりとか…ありましたか?」
カタリナの表情が少し青褪めて頷く。
「カタリナ…というか、マリア達のイベントかしら。
…そう、それこそ選択言動行動、どれ一つ間違えれば破滅へ繋がる人生を綱渡りして来たわ。
今もしてるけど…。」
愛良には彼女…カタリナの苦労が何となく察する事が出来た。もし様々なイベントがゲーム通りに起きていた場合、悪役令嬢の様な振る舞いを通していたなら破滅の
しかし今、魔法省から此方に派遣魔導師として来ているなら無事に学園を卒業したのだろう。…なら、ゲームで用意されている様な破滅エンディングはもうないのかも知れない。