アニスに誘われて律花、ミア、メリッサが来た場所は何故か王宮浴場の脱衣場であった。三人は唖然とし、尋ねる律花の声が裏返る。
「あの…アニス…様?」
「スランタニアに着いてまだお風呂まだでしょ、裸の付き合いよ。」
ニコリとアニスは笑い三人を脱衣場へと押し入れた。…と、中には既に四人の女性が居て律花は慌てた。
「アニス様もう先客が居ますって、お風呂狭くなりますよ!」
「大丈夫、浴場はメチャ広いわ。…でも、私が呼んだのは“カタリナ様”だけなんだけどな?」
先客とはカタリナとマリアにメアリ、そしてソフィアであった。メアリはキッとアニスを睨んで指差した。本来なら不敬行為である。
「いけませんわ!たとえパレッティア女王王姉殿下であろうと、カタリナ様を一人っきりにしてお風呂に入るなど…させる訳にはいきません!」
そう啖呵を切ったメアリは一息にドレスを脱ぎ捨てる、なかなかのプロポーションだ。アニス達は笑いながら拍手。ミアは呆れがちに小声で呟き、メリッサが苦笑いしながらツッコミを入れた。
「これが貴族社会?」
「あはは、違うよミア。」
そんなこんなと和気あいあいに皆脱衣する。メリッサとソフィアはまだまだ子供体型。カタリナは食いしん坊の癖にかなりスタイルが良かった。律花も胸はあまりないが健康的なラインをしている。そしてミアはとてもスレンダーで背が高い上に女性らしい細い腰に目が行く。残念なのは胸が一番まな板な所か。そしてアニスは体形的には律花と似ていたが、背中を見て全員言葉を失う。
アニスの背にある量の紋章の様な
先程まで強気でいたメアリとおっとり落ち着いていたマリアは彼女の背を見て物怖じし、反対にカタリナとソフィアはアニスの刺青を瞳を輝かせた。
「アニス様、背中のタトゥー素敵です。」
「ソフィアもそう感じたのね、私も同じよ。」
そう言って二人キャッキャとアニスの手を握りはしゃぐとメアリは“しまった!”と思い「わっ私だって!」と二人と一緒にはしゃいで反対にアニスが戸惑い苦笑する。
「えっ?あっ、ありがとう。」
しかし律花は警戒し、刺青について尋ねた。
「アニス様、その刺青は…?まさか伊達や酔狂で彫った訳じゃないでしょ?」
アニスは律花の質問に不敵に笑った。
「貴女はこの刺青をどう思う?」
「…不敬な答えでごめんなさい。…
それを聞いたカタリナ達はギョッとしてしまい、アニスはアニスで予想してた答えなのか不敵な笑みを崩さない。
「正解。これはね、
「魔石…?」
ミアが知らないとばかりに口に出す。魔石とは時に討伐した魔物の体内より発見される魔力が鉱石化した物である。
「へえ、魔石って魔物から取れるんだ。」
カタリナが“へ〜っ”と感心する。魔石に関してはソルシエのスクールでも教えていたのだが、彼女は忘れていた様である。
「生まれ付き魔力のない私は魔力を持つ為には必要な施術だったのよ。お陰でドラゴンの力…肉体の強化魔法を使える様になったわ。…他の魔法はてんで駄目なんだけどね。」
そう言ってアニスは笑う。しかし表情は直ぐ真顔になり立ち上がって風呂端に座り足を組んで本題を話し始めた。
「実はね、王都への道中…馬車の中でユフィと話したの。三国同盟を結成したら“パレッティア王国”に鬼門衆と天草四郎時貞に対抗する戦力を集めようって。」
それを聞いて皆が顔を強わらせた。
「それは…カタリナ様も連れて行く。…と言う事なのでしょうか?」
マリアが心配気にそう言うと、アニスは肯定し、頷く。
「こう言っちゃあ何だけど、ソルシエにはカタリナ様を任せられない。危機感が足りなさ過ぎる。今の刺青への反応…私的には嬉しかったけど、出来れば律花…リリィ達みたいに怖がって欲しかった。恐怖、警戒は敵を見極めるのに必要な要素よ。そう言う意味ではマリアさんは合格、ソフィアさんは不合格。メアリさんは最初の反応は良かったけどソフィアさんカタリナ様に釣られて不合格。ある意味一番悪い。」
「なっ!?」
不合格…更に一番悪いと言われたメアリは憤慨、ソフィアもシュンとして下を向いてしまう。
「カタリナ様だけでなくリリィ達三人、そしてスランタニアの聖女…聖さんも連れて行くつもりよ。」
次の日、大きな円卓にスランタニア…ソルシエ…パレッティアの代表が顔を合わせる。そんな中で律花達は上座に席を置いたジークフリート達王族と向かい合わせとなり三人共が極度の緊張に襲われたのであった。