パレッティアへの出発が明日へと迫り、皆が身支度をしている頃、聖は自室で自分が召喚された時に着ていた服を久し振りに着替えていた。着替えには彼女付きのメイド長であるマリーと侍女数名が手伝っていた。パレッティア王国へは聖女の
度はないが初めて顔を合わせる相手に対し認識阻害を施した眼鏡とタートルネックのトレーナーに重ねた制服の上着に膝下までのタイトスカート、黒のストッキングと…、靴は履いてなかったのでこの世界で履いている短ブーツである。
髪は項の位置で簡単に束ね、アルベルトよりプレゼントされた髪飾りはいつもの場所に付ける。
(う〜ん、やっぱこの格好じゃあ合わないな…、でも付けない選択はないんだよね。)
そこで聖は自分の服からとても強い魔力を帯びている事に気付いた。
(えっ、なに、どゆ事!?)
そこで思い出した。この服は確か万が一着る時があるかも知れないと一度宮廷魔導師団に預けた事があったのである。預けた人物は魔導師団副師団長でありアルベルトの兄であるエアハルト・ホークである。
“聖女が着るに相応しい魔法付与をしておこう。”
(あ…、言ってました、ハッキリ付与して置く言ってました。
どうやら聖の服はエアハルトにより物理と魔法の防御付与が最高レベルまで付与されていた。
「これが噂の“魔改造”というやつなんですね。」
「聖様、まかいぞうとは何でしょうか?」
思わず口にしてしまい、控えていたマリーが聞いてきた。
「あっ、魔改造…とはエアハルト様の魔法付与への賞賛ですよ。」
(うん、嘘は言ってない。)
…などと一人納得してマリーと笑い合う聖。
(…でも本当に凄い、鉄の鎧より防御あるかも。それに…。)
と、右膝を軽く上げてストッキングを摘んだ。
(このストッキング、引っ張っても引っ掛けても絶対に破けない!)
その姿を見ていたマリーが苦笑いをしながらもあられもないと窘める。
「セイ様、淑女が片足を上げたままでいるのは…。」
「えっ?あ〜、すみませんストッキングの強度に感動しちゃって…。」
聖は苦笑いで片足のまま返す。ふと、視線を感じドアの方を見ると隙間が空いており、其処から八つの瞳が聖を覗き見していて小声からソフィア、メアリ、アニス、カタリナと分かり…下から順に感想が聞こえて来た。
「大人の色気です。」
「艶めかしいですわね。」
「黒ストがまたいい。」
「流石元
そうカタリナが口にするとそれにアニスが「えっ?」と見上げて反応、カタリナも下のアニスを覗き込んで「えっ?」と返した。
聖は顔を赤くしてワナワナ震えてユックリと足を降ろす。…と、怒った顔のマリーがドア前に行って四人を睨み叱りつけた。
「他国の王族貴族の方々が何とはしたない!
淑女…しかも聖女様の部屋を覗き見るなど言語道断で御座いますよ!」
そして四人は部屋の前に立たされマリーの説教をされてしまう。その後ろでオロオロするマリア、愛良…そしてユフィリアの三人には聖が説教をした。
どうやらソルシエかしまし娘達の世話役であったリズことエリザベス・アシュレイがとある用事でソルシエのラーナと話し合いをしているので代わりに愛良が明日に備えて休みとしていたアニスと4人を加えて庭園へ案内の途中で聖の部屋を通り、起きたトラブルであった。
「愛良ちゃん、マリアちゃん、止める時はちゃんと止めよう。警備の騎士さんに見つかったら連れてかれるでしょ。カイル様だったら国際案件だよ。」
「「ごめんなさい…。」」
「そしてユフィリア
「…ハイ。」
「ココ、“権力”、使う所です。」
「申し訳ございません…。」
三人はションボリして謝り、聖は切り上げてくれたが、マリーはかなり怒っていた様で説教が終わらず、聖が宥める羽目になってしまった。
因みに愛良とマリア…ユフィリアも聖の大人の美脚というものに目を奪われていたオチではある…。