結局、Fortune Lover…ゲームとこの世界との関係は考えない。これが一番と聖は結論づけた。
「ごめんね愛良ちゃん、ちょっと取り乱したわ。カタリナ様、この国にいる間だけでも“日本人”って言葉は禁句でお願いします。
私と愛良ちゃん、とある理由から日本から召喚されて国王陛下やリズの様な貴族の方達にもお世話になっているから…。
それとフォーチュンラバーに関しては…愛良ちゃん詳しそうだから、何かあったらお話を聞いて上げるって事で…。」
(ああ…、これじゃあ愛良ちゃんに丸投げ…。)
何とか復活出来た聖だが、彼女としてはこの異世界に召喚されて1年以上経ち、実はゲームの中の世界だったなんて話は正直考えたくはなかった。
「しかし、召喚か…、この展開はもしかして聖様か愛良ちゃんの何方かが…“聖女”、だったり何かして〜?」
そこまで口にしてカタリナは二人の反応を見ると…愛良は苦笑い、聖は眉間を寄せて難しい表情になっていた。
「わっ、私またNGワード言っちゃいました?」
聖と愛良は頷き、カタリナはペロリと舌を出してテヘッと笑い誤魔化した。
庭園の片隅で一人のメイドが何かを待つ様に立っており、一匹の
そして聖と愛良、カタリナはソラに警護されながらエリザベスとマリア…アンのいる部屋へ移動し、聖から聖女の件がバレた…と言うか話してしまった事をエリザベスに伝えた。
「…で、セイとアイラは色々と意識せずに鋭い指摘をされたカタリナ様の言葉に釣られていちいち顔色変えた上に結局は全て教えてしまわれたと…そのあらましで宜しいかしら?」
シュンとする聖と愛良を見てエリザベスは扇で口許を隠す。…が細い眉毛はつり上がり白い顔にはビキビキの青筋が枝分かれしていた。
「全く、カイル殿下が懸念された通りになってしまわれたなんて…、殿下にどう言い訳したら良いのやら…。」
「ごめん、リズ…」
「謝って済む問題ではありません、国家の秘密を他の国の貴族に話されてしまわれたのですよ!
国家機密の漏洩は場合によっては極刑です…」
それを聞いた聖と愛良は真顔になって青褪める。
「…しかし、流石に極刑などと言う事は十中八九有り得ませんが、ホーク様との
ホーク家、婚約者であるアルベルト・ホーク様…いえホーク様だけでなく研究所の方々にも深く迷惑をかけてしまうのですよ。」
婚約者…アルベルト・ホークの名を出され研究所にも迷惑がかかるかも知れないといわれた聖の頬をツーッと涙が伝う。
「ごめん…なさい。…リズ、私どうしたら」
エリザベスの表情は固い。愛良も泣き出してしまった聖に寄り添う。
「リズ、そんな脅かさなくても…」
「アイラ、貴女もですよ。貴女もセイと同じスランタニア王国の最重要人物なのです。自覚を持って。」
彼女の厳しい言葉に愛良も俯いてしまった。するとカタリナがガタッと音を出して立ち上がった。
「待ってリズ…エリザベス様、聖さんは悪くないんです!
私が、そう、わたしが、聖さんと愛良ちゃんと
「待ってカタリナ様!」
愛良が彼女を止めるがカタリナは意を決した様にみんなの顔を見つめた。
「ソラ、アン、マリアも聞いて。わたし、聖さん愛良ちゃんと同じ世界から…“転生”して来たの!」
「カッ、カタリナさま、てんせい…?」
マリアが絶句し、ソラはやはり頭の上を?が幾つも浮かべては消えている。しかしアンだけが冷静に記憶を辿ると思い当たる節があった。
そこに部屋の扉を強く叩く者がいた。ソラが部屋には入れずに対応しようとして開けた途端に男性使用人が無理矢理扉を抉じ開けた。
「おいお前!」
「煩い!
エリザベス御嬢様、大変で御座います!アシュレイ家の屋敷が、“キラービー”の大群に取り囲まれました!!」
それは突然の出来事であった。キラービー…雀蜂の大群が何処からともなく現れて外にいるアシュレイ家の使用人達を襲い始めたのだ。
その大群の中を十人近い忍装束…忍者と背中が大岩の様に盛り上がり二股の槍を持ち、見窄らしい異国服片目の傴僂男を先頭に練り歩く。
「キヒヒヒ、邪魔をする者は殺せ。聖女は屋敷の中だ、連れて来い。」
傴僂男…鬼門八人衆蟲蔵が残忍な笑みを浮かべた。