スランタニア王国では見送りを終えたジークフリート、カイルにジェフリーとラーナが早速今後について話し合っていた。
「今一度互いの国から特使を送る事…は良しとして、我らが国で何が出来るか、国戦力の増強はハッキリ言って良い手ではない。何も知らない国に対し、無駄な危機感を煽りかねない。」
ジークフリートはカイルの案を否定。
「しかし
カイルのいう国とは
スランタニアともソルシエとも国交はないが、軍事国家として名を馳せ、何年かに武芸大会を開き精鋭を集めている噂がある。最近では数ヶ月前に行われたらしい。
「…では、後一国。同盟に加わって頂くのはどうでしょう?」
ジェフリーの案にカイルが眉をひそめた。
「その案はパレッティア女王がいる際にするべき案ではなかろうか、我々だけでするべきでは…」
「出発前に既に伝え賛同を貰っていますよ。」
「して、その同盟に引き込める国は目星がついておられるのか?」
ジークフリートに尋ねられたジェフリーは頷く。
「はい、スランタニアには個人の強さを数値に置き換え見える魔法があると聞きました。」
ジークフリートの顔が険しくなり、カイルが声を荒げた。
「ジェフリー王子、それを誰から聞いた!?」
「私です、カイル王子。」
声の主はユーリ・ドレヴェス宮廷師団長。しかも彼はラーナ・スミスの傍らにいつものニコニコ顔で立った。彼は鑑定魔法…所謂対象の強さをレベル、ステータスで見透す事が出来る。
「ドレヴェス師団長、何故だ!?」
「えぇ、ソルシエどの交友的関係としてラーナ様の鑑定を少々しまして…彼女はなかなかに素晴らしい魔導師でした。」
それを聞いてカイルは眉間を摘む。彼は重度の魔法探求者である。恐らくこの国にはない闇属性魔法の情報に釣られて鑑定魔法をラーナに見せたのだろう。
「ドレヴェス師団長、国外の者を鑑定する際は父上か私に許可を取れ。」
「はい、申し訳ありません。因みにお話は私の鑑定魔法の事ではありません。」
それにジークフリートはジェフリーに問いかける。
「すると我が国以外でも強さをレベルで判定する国があると?」
「はい、しかもその国には“レベル99”の猛者がいると聞きました。」
「レベル99、確かに高い…が、どの様な人物なのか?」
「まだ男か女かも分かりませんが、噂によればその99レベルの者は闇属性の魔法を使うと聞いています。」
「闇属性…成程、ソルシエとしては“闇の魔力”との関係があるかを調べたい所だな。」
「はい、既に去年からコンタクトは取っていたのですがその国は“魔王”に狙われていてつい最近、その決着が着いた様なのです。」
「魔王、そんなものが存在していたのか。」
「もう我々には関係御座いませんが、かの国には魔王の軍勢を退け、魔王を滅ぼした功績があります。」
「レベル99の強者がおり魔王を滅ぼした国。して、その国の名は?」
「
ジェフリーは両手を握りら不敵にも笑う。それを見たラーナは不快さを露骨に顔に出した。
(ジェフリー、ドヤッているがそれ調べたの全部私だからな!)
バルシャイン王国王都のドルクネス家当主…ユミエラ・ドルクネスは目を覚まし、起き上がらず仰向けのままで虚ろな目を天井に向けていた。魔王を倒した後、この国は概念的に変わり始めていた。レベル的な強さの変化や保有している
ユミエラにも微かな変化が現れ、Level99の強さはそのままだが病気に弱いといった弱体化が出ていた。
「頭…痛い…。」
(今まで風邪で寝込むとなかっな…。)
彼女…ユミエラ・ドルクネスは朝から熱がある様で頭痛に悩まされてベッドで静かに寝ていた。コンコン、と部屋のドアがノックされる。彼女の侍女…リタである。
「お嬢様、具合の方はどうでしょうか?」
「まだ頭が重いわ。」
リタは水の入った桶を持って来て簡単にユミエラの汗を拭いた。
「先程、屋敷にパトリック様が御見舞いに来られてお嬢様の御様子を聞かれましたので大丈夫だと伝えました。」
「そ、ありがと。」
パトリック・アッシュバトン…、現在ユミエラと婚約の話が進んでいる相手である。両親はいろいろあり辺境領にいるので王家が後見人となっている。
「それとパトリック様から王宮からの手紙を受け取りましたので具合の良い時にお読み下さい。」
「うん。」
リタが部屋を出るとユミエラはベッドの上で王家からの手紙を開けて読んだ。
「魔王城の探査…、無理…。」
此処数日、アネモネ領にある魔王城跡に黒髪の女の霊が出ると言う噂が立ち、バルシャイン王子であるエドウィン、将軍の息子であるウィリアム・アレス、大臣の息子オズワルド・グリムザードの三人と魔王を倒した功績として光の魔法を使う聖女の認定を受けた平民の少女…アリシア・エンライトでパーティを組んでの依頼であった。
…が、ユミエラがこの状態なので無理である。彼女はリタに断りの手紙を代筆させ、取り敢えず寝る事にした。