王都を出た三台の馬車行列は数日程でスランタニア王国を出、名もない林道を進んでいた。先頭の馬車は律花が馬車の綱を御者として握り、メリッサがパレッティアへの地図を見ていた。
「何もなければパレッティアまでは10日かからず着けると思う。カスミ、後ろのアルベルト
《了解。》
メリッサの首元のインカムから空を飛んでいるカスミの応答が聞こえ、白頭鷲のカスミは一番後ろで単馬を駆るアルベルトの肩へと降りた。皆、国の外では敬称は出来るだけ使わずお互いを呼ぶ様にしていた。
「アルベルト殿、この道を何もなく進めば10日かからないと地図を見るメリッサから連絡がありました。」
「分かった、セイとユフィリア様に伝えよう。」
そう聞いたカスミはまた大空へと舞い上がり、空からの警戒に戻る。アルベルト達はカスミにマダラ、オボロの正体を律花より聞いているので鷲である彼が話しても驚く事はなかった。
アルベルトは聖の乗る馬車に馬を横に付けてコンコンと窓を叩いた。
「アルベルト様?」
「セイ、メリッサ嬢からこのままならパレッティアまで10日かからないそうだ。」
「十日かからない…長いですね…。」
「はは、まだ当分は馬車の中だ、頑張ってくれ。カタリナ嬢とアンも調子が悪くなったら馬車を停めるので言ってほしい。」
「分かりました、ありがとうございます。アルベルト様。」
二人がアルベルトにお礼を言ってアルベルトは2台目の馬車のアニスとユフィリアにも伝えると獣兵衛がアルベルトに野営を提案。
「そろそろ暗くなる。飯にして一晩休んだ方がいいと思うぜ。」
「…そうだな。ユフィリア様、夜営になってしまうが宜しいでしょうか?」
「賛成です、馬車を止めて夕食と致しましょう。」
三台の馬車は森の中の広い場所へと止め、聖とアンが夕食の準備を始めた。王国内では村や町で宿に泊まっていたので最初の夜営となった。
「アンさんが居て助かります。」
「恐れ入ります、セイ様。」
二人はテキパキと鍋にコンソメスープを作り、アルベルトとメリッサは馬達に荷馬車に積んでいた草を与えている。
律花とミア…アニス、ソラは豚肉と野菜がたんまり入ったコンソメスープの匂いを嗅いで目を輝かせ、離れた所で獣兵衛がチラチラと夕食を気にしている。
カタリナもアニス達と同じ様に夕食を見つめているが、加えて涎を人目を憚らず垂らしてアンが拭いていた。そしてそんな風景をユフィリアはとても楽しげに眺めていた。
皆がスープを食べ終え、一休みとなった時、ユフィリアとアニスが目配せし、アニスはカタリナに話しかけた。
「んじゃ、皆お腹一杯になった所で…
アンはドキリと驚いた顔をし、聖は少し険しい顔となり頷く。カタリナはその両方であった。
「アニス様…、どうして
「カタリナ、聖さんの部屋でこう言ったわ。“流石元
それを聞いた皆は“エロい”に強く反応して彼女に注目、聖は顔を赤らめてスカートを伸ばす。
「アニス、真面目に話して。」
ユフィリアに睨まれて少々縮こまり謝るアニスは話を続けた。
「そしてジェフリー王子がユフィに“ウィンウィン”って言葉をラーナ様伝いに知っていたと話した。OLもウィンウィンも
最後の言葉にカタリナは更に驚いた。
「えっ、アニス…様も、転生…者?」
カタリナの問いかけにアニスは頷いた。