次の朝にミュイはクルニ達三人の騎士と一緒にビデン村へと発った。村に着いたら当分は実家で母フレンと暮らし、道場でランドリドに指導される事となり、クルニ隊長として三人の騎士と一緒に村に駐屯する事となり。
彼女達を見送り、ベリルとアリューシアを含めた十人の騎士がルーシー達魔法師団と合流した。魔法師団は人数は少なく団長であるルーシーとフィッセルに学院教師のキネラ・ファイン。アンザスと言う魔法師団所属の若い男性魔術師であった。
レベリオ騎士団はベリル以外は皆単馬に跨り、ベリルはアンザスとキネラの三人、ルーシーはフィッセルの二人で乗る。
「では、わし等も出発するか。」
ルーシーがアリューシアに伝え、彼女が出立の号令を出して前進。レベリオ騎士団と魔法師団の馬車列はパレッティアへと出立となった。
「アリューシア。」
少ししてルーシーが馬車の窓を開けて先頭のアリューシアを呼びつける。
「何でしょうか、ルーシー師団長?」
馬車の横に馬を付けたアリューシアにルーシーは彼女の耳に顔を近づけ囁いた。
「ベリルからは離れるなよ。」
途端、アリューシアは瞬間沸騰したかの様に顔が真っ赤になり頭を引いた。
「るっ、ルーシー様、急に何を言っ…!?」
しかし彼女の表情は悪戯を口にした時とは全く違うものでアリューシアの目をじっと見つめる。
「…分かりました。」
いつもとは明らかに違うルーシーにアリューシアは彼女に応え返事を返した。
スランタニアからの一行は後二日もしないでパレッティアへ到着するからか、ユフィリアから休憩を取りたいと言われ小休止を取っていた。聖は木陰で布幕を張って着替えていたユフィリアの姿を見て“あっ”と気付いた。。
「ユフィリア様、その
「はい、このドレスは
飛翔星装はユフィリアがクラウスナーまで一人で
「魔法で空を飛ぶ、私がずっと見て来た夢。それを叶えた形なんだよ!」
アニスは魔法で空を飛ぶ為に魔法科学…魔学を提唱し続け、ユフィリアと縁を結んでいた。そんな気持ちが甦って来たのか、箒に跨っては飛び降りて死にかけ、素材、魔物、冒険者、魔道具、そして魔法科学と聖にもアルベルトにも理解出来ない話が次々と出て来た。
「セイ、アニス様の言ってる事…解るかい?」
「はは…、解りません。特に飛び降りて死にかけた所は…。」
しかしそこで牙神獣兵衛が可哀想な人を見る様な目でアニスを見下ろし、一笑に伏した
。
「人が空を飛ぶ?出来る訳ねえだろ。」
アニスの耳がピクリと動き、まるで昭和の不良の様に眼付けで睨んだ。
「はっ?此処は異世界、魔法が支配してんの。出来ない事なんてないんだよ!」
…と、何処ぞの悪役が吐きそうな台詞を彼に叩き付ける。獣兵衛には悪いが空を飛ぶ偉業をアニスが成し遂げているのは事実で直ぐにそれは解らされてしまうだろう。そして何も言わない律花とミアは心の中で何故か獣兵衛に謝罪していた。
((ごめんなさい
二人はクラウスナーでユフィリアが飛んで来たのを目撃しており、更にミアは超能力で…律花は科学の力で飛べる。彼女達は事の顛末を静かに見守るが、メリッサが獣兵衛に声をかけようとした。
「獣兵衛さん、リリィとミアもがっ!?」
「ぁあ?」
瞬間、二人はメリッサの口を塞ぎ獣兵衛はチラ見しただけで無視。ユフィリアはそんな光景を苦笑した。
「それではアニス、行ってまいりますね。」
「はい、行ってらっさいユフィ♪」
返事を返すアニスは悪い笑顔を浮かべており…ユフィリアの爪先が地面を離れた瞬間、獣兵衛は眉をひそめた。
ユフィリアの身体が真っ直ぐ空を昇り、ギュンとパレッティアと思しき方角へ凄い速さで飛んで行った。
聖とアルベルトは見上げる十兵衛を後ろから見、それが敵に容赦しない忍びの剣士ではなく…有り得ないものを見てしまった一般人の背中と同じに思え、同じくユフィリアの飛んで行く姿を見たアンとソラは目をまん丸にして空を見上げ、同じ顔で見ていたカタリナは小さく呟く。
「ぶくう…じゅつだ…。」
それは彼女の前世で世界的に人気だった日本の漫画に出て来る飛行法の名前であった。